AIが変える!物流業界の効率化と未来ビジョン

コロナのパンデミックで一時的に物流もその影響で取扱量が減少しましたが、ネット通販の利用など巣ごもり需要が増えて物流業界では大口の取り扱いが減少した一方で、小口の取り扱いが急増しました。
それでなくともドライバーなどの人手不足でぎりぎりの状態で物流を維持していたのですが、コロナ以降、人手不足などの解消など物流業界は新たな対応を迫られています。

目次

AIと物流:現在の状況と課題

物流業界の現状と課題は、人手不足と重労働で、その解消が課題です。
しかし、少子高齢化の影響は物流業界では顕著で、ドライバーの高齢化とドライバーの不足、そして、そのことによる長時間重労働に直面しています。
またドライバーの時間外労働時間が960時間上限になる2024年問題は、これにより物流が滞るのではないかと懸念されています。

賃上げをしてドライバーを確保しようと努めているのですが、長時間重労働という印象が強いのか人手不足の解消には繋がりません。だからといって物流を止めるわけにはいきません。
そこで、物流業界はいち早くAIとIoTを取り入れ、作業効率は格段に上がりました。
それまでは人間の勘に頼っていた効率的な配送ルートは、AIにディープラーニングさせることで最適化されることになり、ベテランのドライバーも新人ドライバーもどちらも変わらず最適の配送ルートで荷物を配送することが可能になっています。

また、将来的には自動運転を目指していて、これによりドライバー不足は解消すると見込まれています。
さらに、ドローンでの配送も視野に入れていて、空を飛ぶドローンでは渋滞に巻き込まれることもないので、さらに配送の効率化が考えられます。
倉庫内での作業は、上述の倉庫管理システム(VMS)の導入で一気に効率化が進みました。

スマートロジスティクスとは

まずスマートロジスティクスの定義ですが、小口配送の需要増や人手不足など、物流業界が直面している諸課題を解消するソリューションのことをスマートロジスティクスといいます。
さらにいえば、AIやIoTなど最新のIT技術を駆使してコスト削減や作業の効率化、そして、環境負荷を軽減しながら物流の最適化を目指すことです。

スマートロジスティクスが実現した暁には、物流業界は現在より格段に働きやすい業界へと変身を遂げて、それが人材を呼び込むことへと直結して行き、人手不足の解消など好循環の流れになるだろうと見込まれます。

AIとIoTの役割と効果

まず、AIとは英語でArtificial Intelligenceの略で、それを直訳して人工知能といわれています。
AIは人間の脳を模したニューラルネットワークというアルゴリズムでプログラミングされたもので、データを学習することで一部では人間の能力を超えた能力を持つシステムです。

IoTはInternet of Thingsの略で、日本語ではモノのインターネットといわれています。
IoTはモノとモノをインターネットで繋いで、例えばモノに接続機能を付与し、設備機器やセンサーにIoT技術を付与すれば、モノとモノとがネットでつながり、施設が正常に稼働しているのかをリアルタイムで記録・監視し、異常があれば、自動で調整する仕組みの構築ができます。
スマートロジスティクスにおけるAIの役割は、これまで場数を多く踏んだベテランの勘を様々に数値化してそれらのデータを学習する(ディープラーニング)ことで、ベテラン並みの能力で作業することが可能になります。
それがIoTと結びつけば、倉庫管理は完全自動化への第一歩になります。
また、IoTは色々なモノに組み込めば、たくさんのデータ収集ができ、それをAIが学習すればAIの精度は確実に上がり、そして、様々な方法によって現場で活用できるようになります。

具体的なAI活用事例とその効果

ここでは、具体的な物流業界でのAI活用事例を見てみましょう。
サントリーロジスティクス株式会社と富士通株式会社はフォークリフトの安全性を高めるAIシステムを共同で開発に至りました。
このAIシステムはフォークリフトのドライブ映像データを活用して、フォークリフトの操縦者の操作から、爪操作と走行状態を検知し、危険操作シーンの抽出・判定に成功したというものです。
現時点ではリアルタイムでの解析・判定はできませんが、近い将来、リアルタイムでフォークリフトの操縦者にフィードバックすることを目指して開発が進んでいます。

ラピュタロボテクス株式会社はAMR(自律協働型ピッキングロボット)の開発を手掛けています。このAMRは、スタッフがピッキングした商品を受け取り、所定の場所に運んだり、次のピッキングをスタッフに知らせたりするとしいうものです。
このAMRは日本通運株式会社で採用され、ピッキング作業の効率化と生産性の向上に寄与し、また、スタッフの作業における負担の軽減に役立つものとみられます。

日立ではAI技術による倉庫業務効率化サービスを構築し、展開しています。
このサービスは倉庫内のデータや作業実績、サプライチェーン全体の情報を分析・学習し、倉庫業務の効率化に役立てるというものです。
また、生産性の向上の施策の立案にAIを上手く活用して物流倉庫内の商品の配置の見直しなど飲み直しに役立っています。

GROUNDでは、倉庫の作業状況をリアルタイムで監視し、また、最善の商品の配置を提案し業務の効率化を促すものです。
このシステムには在庫の配置の提案や作業状況の監視、倉庫のレイアウトや動線をデジタル化する機能があり、その上、今後は従業員のシフトを提案する機能を開発している段階です。

NTCでは物流倉庫の業務を効率化するソリューションの開発に携わっています。
それは、スマホのカメラで商品を瞬時に判別し、入荷時や棚卸しなどに置ける目視確認、データの手入力、そして、商品のバーコードの磔などを助けて、人手による業務の削減を可能にします。

Automogi株式会社は、商品のラベルに記載されている情報をスマホで一括読み取りするAIシステムを開発しました。
ラベルは事前の詳細設定は不要で、スマホでラベルを撮影するだけで終わりです。
漢字の読み取り精度は95%以上なので、扱いも容易ならラベルの読み取りも精度が非常に高いので導入しやすいというのが特徴です。
これまでは、バーコードに登録されていた情報は読み取り可能でしたが、登録されている情報は目視や手作業でチェックするのが一般的でした。
それがこのAIシステムの導入で、手間が省けて精度も高いということで作業効率と作業員の負担軽減が見込まれます。

株式会社NTTロジスコでは、AI画像認識技術を活用した自動検品システムを導入しています。
NTTグループに属する同社は、企業にレンタルで貸し出していた通信機器の回収・撤去してきたものを再利用するためにクリーニング・動作試験・再生品のセット化などのリファビッシュ業務を手掛けています。
リファビッシュ業務のうち、クリーニングが済んだレンタル機械本体及び付属品の電源アダプターのセット化作業における検品作業の自動化に成功しました。
セットする電源アダプターにはバーコードなどの商品識別子がありません。それにより、作業者が印字されている文字を目視で確認して商品コードを特定するとても煩雑な作業を行っていました。
また、目視による検品作業での誤判定を防ぐのに複数箇所の検品作業が不可欠でした。それらの人海戦術をさけ、煩雑な検品作業の精度を上げるためにこのAIシステムが開発されたのです。
この自動検品システムは機体本体の製造番号と電源アダプターの物品コードを撮影した画像から画像認識システムのこのAI自動検品システムではテキスト化します。
これにより、システム上での自動検品までが可能となりました。

Automogi社では、画像・映像解析を手掛けていますが、画像解析技術を物流分野にも応用しています。一つはスマホのカメラで商品を撮影するだけで商品の大きさの計測ができる技術を開発しました。
もう一つは、商品のパッケージ、タグを撮影することで、商品名や型番を認識し、検品作業の軽減が見込まれます。

ARAYAでは、画像認識技術を活用して物流業向けのソリューションを開発しています。
画像認識技術を活用して、検品、安全管理、作業の自動化などが可能になりました。検品は製品にへこみや傷がないかを自動で判別します。
安全管理は、作業員の立ち入り禁止区域への侵入を検知したり、機械や車両と人と接触したらアラームを鳴らしたりできます。
作業の自動化は、資材の数量のカウントや作業の服装のチェックなどを自動でします。

その他にもオプティマインド、ファミリーマート、ヤマト運輸、NEC、東京青果/ヘッドウォータース、ブレインバッド、アクシアルリテイリング/アイテック、三井物産グローバルロジスティクス/シーエーシーなどAIシステムの開発・導入している企業は目白押しです。

倉庫業務とAI:自動化と効率化

倉庫業務とAIによる自動化と効率化は上記で述べた倉庫管理システム(WMS)が挙げられます。
VMSにはAIが搭載されていて、ピッキングに大きな威力を発揮します。
上記でピッキングの効率化を取り上げましたが、中でもピッキングロボットが瞠目に値します。

ピッキングロボットは、人間が行っていた必要な商品を探し、それを取り出して所定の場所に運ぶことを全てロボットがします。
このことで作業員の労働負担の軽減や作業の効率化が見込まれます。そして、AIの識別能力が高いと多くの在庫の中から正確に商品を選ぶことが可能になります。

また、倉庫内で保管されている商品には独りで運ぶのには思い大重量の商品もあります。しかし、それらをロボットに運ばせればいいので、効率化が図られます。
ピッキングで人間のすることはロボットが運んできたものを確認するだけですので、ミスを防ぎかなりの効率化が見込まれます。
万年比とで不足が見込まれる物流業界ではこのようにロボットの導入が益々進むことが予想されます。

配送ルート最適化とAIの役割

AIとIoTは倉庫内の作業ばかりではありません。配送業務にも活用できます。その代表的なのが、AIナビゲートの配送ルートの最適化です。
コロナ以降、小口の荷物が急増しています。また、再配達も増えていて、配送の効率化が急がれるのです。
そこで現在では、AIナビゲートによる最適化された配送ルートで配送員をナビゲートし、このことでベテランと新人の差が少なくなり、配送の効率化が進みます。
また、ドローンによる配送も考えられていて、今後の進歩が期待されます。

AIと物流業界の未来

AIと物流業界の未来は、益々緊密に結びつくことは間違いありません。それは、人手不足は解消するにはAIとIoTの結びつきで、物流業界は完全自動化を目指して進むはずだからです。
人手不足が物流業界の自由化を推進せざるを得ないのです。
AIとIoTの導入で物流はとても効率化と重労働の軽減などが図られ、人手不足解消の切り札としてAIとIoTが見据えられています。

AIによる物流業界の変革

AIにより、物流業界はそれまでの重労働からの解放が行われ、また、かなりの部分で自動化が進みました。
つまり、慢性的な人手不足はAIの導入により何とか切り盛りできている状態が物流業界の現状です。

そして、多くの企業ではAIを積極的に取り入れることで、作業の効率化と労働カンナ教の改善に役立っています。
将来的には物流は完全自化が進み、スタッフの労働負担はさらに軽減され効率化もさらに進むことでしょう。

これからの物流業界の展望

これからの物流業界を展望すると、人が立てず触る作業はどんどんと軽減され、完全自動化を目指して進むと思われます。
生成AIも登場してきたので、AIの重要性は益々高まり、AIの作業もより複雑なことができるようになるのは火を見るよりも明らかで、物流業界の印象は長時間重労働のイメージは払拭され、最も働きやすい業界の一つになる可能性が高いです。
また、現代社会において物流なくしては成り立たないので、ライフラインの一つとして物流の地位は上がるでしょう。
つまり、物流の未来はとても明るいといわなければなりません。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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