このごろ「人工知能」といった言葉をよく聞くようになりましたが、人工知能はどのようなことができるのでしょうか。
人工知能の可能性と私たちの生活への影響を確認し、今後どのように世の中が変わるのか確認していきましょう。
人工知能のメリット
人工知能とは「人が実現する知覚や知性を人工的に再現するシステム」のことです。人工知能は人間がおこなっていた作業をコンピュータに置き換えることができるため、普及が進むとさまざまな面に影響を及ぼします。
人工知能による代表的なメリットは以下のとおりです。
・労働力不足の解消
・生産性の向上
・大量データの分析や予測
・安全性の向上
・利便性の向上
では、人工知能でなぜ労働力不足の解消、生産性の向上が実現できるのでしょうか。下記で仕組みや事例を確認していきましょう。
労働力不足と生産性の問題を解決する
現在、日本は少子高齢化が急激に進んでおり労働者不足に直面しています。
そこで、人工知能は人間がおこなっていた作業を代替することができるようになったため、労働力不足の解消につながるのです。
とくに、現在の人工知能でもおこなえるような単純な作業は人工知能が担い、その分人間しかおこなえない作業に人を充てることができるようになります。
同時に、人工知能や機械は人間より早く作業がおこなえます。さらに、人工知能と機械は人間と違って休息が必要でないため、24時間働き続けることも可能です。
このように単純に代替するだけでなく、人工知能は人間に対して最適な行動の計算・提示もできます。
上記のように人工知能は単純労働の代替、効率的な動きの算出、の2点によって労働力不足と生産性の問題を解決することが可能です。ただし、現時点の人工知能ではすべての問題に対処することはできず、局所的な解決にしかなっていません。
ヒューマンエラーの低減
人間は常に作業を完璧にすることはできず、不注意などによって人間の手によるミス(ヒューマンエラー)がどうしても起きてしまいます。そして、ヒューマンエラーは場合によっては非常に危険な事象につながることも少なくありません。
人工知能は人間に比べると命令された指示に沿って遵守するため、そのようなエラーを防げます。また、作業の代替による安全性の向上だけでなく、各作業において異常検知・予測も同時におこなうことでより高い安全性を実現しているのです。
異常検知・予測はその精度が非常に重要になりますが、近年では技術開発などによって精度自体も急激に上がっています。今後も人工知能の精度は向上し続けるため、現在よりも多くの分野に導入できるようになる可能性が高いです。
人工知能の革新的な可能性
人工知能は単純作業の代替が主な活用法でした。しかし、現在では精度向上により代替だけではなく、新たなものを作り出す創造や未来の予測もおこなえるようになっています。
とくに、人間と異なる点は創造や予測に大量のデータを用いることができる点です。私たちも将来の予測をする際には過去の経験から立てていますよね。人工知能はその経験則が大量に入力することができるため、人間よりも性能が高く創造・予測することができるのです。
しかし、創造はどのようなものでも良いわけではなく、人間にとって便利であったり感心を与えたりしなければ意味がありません。今後はそれらすらも人工知能が考えることができるようになると予想されており、今まで人類が考え付かなかった技術や発想が生まれるかもしれません。
情報の組み合わせと新しいアイデアの生成
前述のとおり、人工知能は創造にまで達する可能性が高いです。そして、現在では創造の手助けまでは実現されています。具体的な事例としては、アイデア生成機能を搭載した人工知能「AIブレストパーク」が博報堂とTISによって共同開発があります。
AIブレストパークはある単語を入力した際、連想される単語をクモの巣上に表示するシステムです。この仕組みを利用することで利用者は多角的な観点でアイデアを俯瞰できるようになります。
つまり、人間がおこなっていたアイデア出しのフェーズまでは人工知能がおこなえるようになっているのです。今後は人工知能が現在より多くの情報を組み合わせることができるようになり、具体的なアイデア構築までおこなえるようになると予想できます。
先を読む人工知能
人工知能は人間より多くのデータを扱うことができるため、データによる未来予測が非常に得意です。また、この予測を将来的に起こるインシデントに着目すれば人体に危険が及ぶ事項を予防できます。
人工知能による未来予測の例としてNTTドコモによるAIタクシーがあります。Aiタクシーは人口動向情報、運行データ、気象データを収集し、人の流れがどのようになるのかを予測するシステムです。この事例では新人運転手の売上増加、走行経験のない場所での乗客確保など大きな効果を発揮しています。
このように人工知能は現在だけでなく将来的なことも予測できるようになっている技術であり、今後もあらゆる業務で導入されることが予想されます。
ただし、正確な未来予測のためには大量のデータが必須です。現在は人工知能に与えるデータ量が不足していることから未来予測できない事項は未だ多くあります。しかし、これはIoTの普及やビッグデータの技術発達によって解消されると言われており、解決まで時間の問題です。
人々の日常生活への影響
人工知能は産業や業務だけでなく、普段の生活にも多く影響します。では、具体的にどのような影響が及ぶのでしょうか。ここではすでに影響を及ぼしている事柄についてご紹介しますので、人工知能が生活をどう変えつつあるのかをご確認ください。
自動運転技術と家庭用ロボット
AI(人工知能)が日常へ応用されている代表的な例は自動運転技術と家庭用ロボットです。
まず、自動運転技術は名称のとおり、人間の手ではなく人工知能が運転をする技術です。国内外問わず非常に多くの自動車会社が運転の自動化に取り組んでおり、技術開発が急激に進んでいます。自動運転のレベルは下記のように定義されており、2023年7月時点ではレベル3に到達しています。
・レベル1:ステアリングか加減速のどちらかを自動制御
・レベル2:ステアリングと加減速の両方を自動制御
・レベル3:レベル2を満たすかつドライバーによる操作の必要なし(運転継続が不可能な場合はドライバーが運転)
・レベル4:限られたエリアにおいてすべてを人工知能が自動制御
・レベル5:あらゆる場所ですべてを人工知能が自動制御
このように現時点でドライバーの手間を大幅に削減することは実現しています。さらに、2020年4月以降、AIに運転を任せられるレベル3の自動運転が公道でおこなうことが可能になるなど法的な整備も進んでいます。
家庭用ロボットも日常に関わる人工知能の代表例です。たとえば、ルンバは物質を自動的に最適な掃除ルートを構築し、日々の掃除の手間を削減しています。現在はルンバのように掃除専用と機能が限定的なことが多いですが、今後はあらゆる機能を搭載したロボットが開発される可能性が非常に高いです。
コミュニケーションへの影響
人工知能はプログラムなどだけでなく私たちが利用している自然言語も扱えるようになりました。そして、技術発達によって精度が上がり続けています。
具体的なサービスとしては自動翻訳やチャットボットが挙げられます。たとえば、自動翻訳の精度が満点に近くなれば私たちはどこの国の方ともコミュニケーションを取ることが可能です。チャットボットの精度が上がると利用者の疑問を必ず解決できるようになり、利用者がサービスを使いこなすことができます。
このように人工知能は人間のコミュニケーション部分にも深く関わるようになる可能性が高いです。ここまでご紹介したように、人工知能は人間がおこなっている活動すべてに関わる能力があると認識しておいても良いでしょう。