この記事では、トラックの荷台高さ制限の基準とその違反時の罰則について解説します。荷台の高さはトラックの種類によって異なり、安全な運行のために重要な規制です。制限を超える場合の申請手続きと、高さ制限違反が引き起こす法的リスクについても詳しく説明し、運送業者や運転手が安全運転を守るための指針を提供します。
トラックの荷台高さ制限とは?
トラックに高さ制限が設けられているのは、トンネルや歩道橋などの建築物を通過する際の安全を確保するためです。公道上での安全な運行を保持するためにも、トラックの荷物の高さを常に確認することが重要です。
一般公道と高さ指定道路の違い
一般公道では、車両の高さ制限は通常「3.8メートル」とされています。これは、大半の公道の構造物がこの高さを基準に設計されているためです。しかし、2004年(平成16年)の道路法改正に伴い、道路の構造や保全、交通安全に影響がないと判断された特定の道路については、「高さ指定道路」として指定され、この区間では車の高さ制限が「4.1メートル」まで引き上げられました。さらに、必要な手続きを経ることで、「4.3メートル」までの高さの車両走行が可能となる場合があります。
制限外積載許可の基準
■トラック荷台の高さ制限について
トラックの荷台高さには、一般公道、高さ指定道路、および特別許可を受けた場合の3つの異なる制限が存在します。これらの制限は、交通安全と道路インフラの保護を目的として設定されています。
①一般公道の高さ制限:3.8メートル
②高さ指定道路の高さ制限:4.1メートル
③特別許可後の高さ制限:4.3メートル
これらの高さ制限を超えると、道路法違反として最大100万円の罰金や、道路交通法違反による違反点数1点の加算が課せられるリスクがあります。
■超過時の対処法と申請手順
荷台の高さが一般公道や高さ指定道路の基準を超える場合、制限外積載許可を申請する必要があります。この許可を得ることで、最大4.3メートルまでの高さでの走行が可能になります。申請は出発地の管轄警察署や交番で行うことができます。制限外積載許可は、積み荷の高さだけでなく、トラックの幅や長さを超える荷物を積む場合にも必要です。この申請は、走行予定ルートの安全性確保と交通への影響を最小限に抑えるために重要です。
トラック運転手や運送業者は、これらの高さ制限を常に意識し、超過しないように荷物の積載を行う必要があります。また、制限を超過する場合には適切な手続きを踏むことで、法的な違反を避けるとともに、安全な運転を保証することができます。積載前の高さの確認、必要に応じた許可申請、そしてルートに応じた適切な運行計画の立案は、トラック運転手にとって不可欠です。
特に高さ指定道路や特殊車両通行許可を必要とするルートでは、予めの計画と確認が重要となります。これにより、道路上の他の利用者や構造物への損害を防ぎ、安全な物流を確保することが可能になります。
種類別トラックの荷台高さ基準
トラックは、車体の大きさ、積載量、荷台の形状によってさまざまなタイプに分けられます。それぞれのトラックには、荷物の積載高さに対して特定の制限が設けられており、これを超過すると違反となるため注意が必要です。ここでは、トラックのサイズと種別に基づく荷台の高さ制限、及び高さ制限超過時の対応方法について詳しく説明します。
小型トラックの積載可能高さ
小型トラックは主に市街地での配送に使用され、狭い道路や低い橋などの都市環境に合わせたサイズ制限があります。このクラスのトラック(2トン・3トン)の標準的なサイズは、全長が最大4,700mm、全幅が最大1,700mm、全高が最大2,000mmで、最大積載量は3,000kg、車両総重量は5,000kg以下に設定されています。これらの規格は、小型トラックが都市部での効率的で安全な運用を実現するために設けられています。
中型・大型トラックの積載可能高さ
貨物輸送に使用されるトラックは、小型、中型、大型のカテゴリーに分けられ、それぞれの寸法と最大積載量に基づいて、荷台の地上高と積載可能な荷物の高さが異なります。
①小型トラック(2トン・3トントラック)
寸法:全長4,700mm以内、全幅1,700mm以内、全高2,000mm以内
最大積載量:3,000kg以内
荷台の地上高:約800mm〜900mm
積載可能な荷物の高さ:一般的には約1,100mm〜1,200mm以内
②中型トラック(4トントラック)
寸法:全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内
最大積載量:6,500kg以内
荷台の地上高:約1,000mm〜1,100mm
積載可能な荷物の高さ:一般的には約2,700mm〜2,800mm以内
③大型トラック(10トントラック)
寸法:全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内
最大積載量:6,500kg以上
車両総重量:11,000kg以上
荷台の地上高:中型トラックと同様、約1,000mm〜1,100mm
積載可能な荷物の高さ:一般的には約2,700mm〜2,800mmまで。ただし、大型トラックはその構造により、より高い荷物の積載が可能な場合もある。
これらのトラックの種類によって荷台の地上高さと積載可能な荷物の高さが異なることから、荷物の積載時には車種ごとの制限を適切に考慮する必要があります。特に、高さ制限のあるルートを選択する場合には、荷台の高さと荷物の高さを注意深く確認し、適切な輸送計画を立てることが重要です。
高さ制限違反時の罰則と事故事例
高さ制限の違反は、重大な事故や建築物への損傷のリスクが高いため、これに対する罰則は厳格に設定されています。ここでは、過去に起きた事故事例や、罰則について詳しく解説します。
高さ制限違反の罰則
違法な高さでのトラック運行は、厳しい罰則が伴います。高さ制限を超えたトラックが公道を走ると、場合によっては運行停止や事業許可の撤回などの深刻な措置が取られる可能性があります。
■罰金
トラックが高さ制限や最大積載量を超えたり、道路管理者の許可を得ずに通行したり、許可証を持たずに通行した場合、最高100万円の罰金が課せられます。
この金額は大きく感じられるかもしれませんが、高さ制限違反や過積載は大事故を引き起こすリスクがあるため、この額は妥当と考えられます。経費節約のために高さ制限を無視して運行し、罰金を支払うことになると、結果として損失につながります。
■違反点数
高さ制限違反には罰金の他に、違反点数1点が加算されるペナルティもあります。点数が積み重なると、最終的には免許停止などの重大なペナルティが科されることになります。業務効率を考慮して違反を犯すドライバーもいるかもしれませんが、最終的には運転に支障を来たすことになります。安全な運転を最優先にし、違反を避けることが重要です。
高さ制限違反による事故事例
トラックの高さ制限違反は深刻な法的罰則を伴い、交通安全と道路インフラ保護のために重要です。事故事例から、ドライバーは常に高さ制限の遵守と積載物の管理に注意し、安全な運行を心掛けるべきであることが明らかです。
■事故事例
2021年5月に起きた事例では、高さ4メートルの制限がある高架の下をトラックが通過しようとした際、積載していた重機が高架に接触し、トラックが挟まってしまいました。この事故は、高さ制限を遵守していれば防げたものです。
ドライバーはしばしば「このくらいなら通れる」と過信することがありますが、それが事故を引き起こす原因となります。特に、冷蔵車や冷凍車のように固定された屋根がある車両は、積載物を加えても高さが一定に保たれるため、高さ制限違反のリスクは低いです。
しかし、オープントップのトラックでは、積載物の高さが直接トラック全体の高さに影響します。重機のように自体が高い物を積む場合、高さ制限を入念に確認する必要があります。
また、クレーン車やショベルカーのように高さが変動する重機を積む場合、運搬時にはパーツを適切に格納し、最低限の高さに保つ必要があります。これを怠ると、トンネルや歩道橋に引っかかり、交通の妨げや事故を引き起こすリスクがあります。
■法的罰則
トラックの高さ制限違反は、道路法によって重大な違反と見なされます。一般的に、公道でのトラックの高さ制限は3.8メートルに設定されており、この制限を超えると、道路法に違反したとみなされ最高100万円の罰金が課せられることがあります。
また、道路交通法に基づき違反点数が加算されることもあります。これは、交通の安全と道路インフラの維持のために設けられた重要な規則です。
これらの事例から、高さ制限の遵守と積載物の適切な管理がいかに重要であるかが明らかです。ドライバーはトラックの高さと積載物の状態を常に意識し、道路の安全規制を遵守することで、事故を防ぎ、安全な運行を確保することが求められます。高さ制限違反は、自身の安全だけでなく、他の道路利用者の安全にも影響を及ぼすため、常に注意深く行動することが重要です。