トラックで荷物を運搬する際、荷崩れは避けたいトラブルです。運転による振動や遠心力によって荷物が移動し、積載中の安定性が損なわれることがあります。そのため、荷物をしっかりと固定するための方法を知っておくことは重要です。
荷崩れが起こると、車両が不安定になり、事故につながります。例えば、急ブレーキや急ハンドル等の状況において、荷物が動いてしまうと、車両の制御が難しくなります。
本記事では、初心者の方が理解しやすいロープの結び方やその特徴を紹介し、荷物を安全に運搬するための手順や基本的な知識について解説します。
荷物固定の基礎知識
荷物を車両に適切に固定することは、安全な輸送をするためにとても重要なことです。
荷物を正しく積載できなければ、移動中に荷崩れが起こり、周囲の安全や荷物自体の損傷が発生する可能性があります。ここでは、荷崩れが起こる理由や、荷崩れを防ぐ積載のコツについて解説します。
なぜ荷崩れが起きるのか?
荷崩れは、荷物の積み方が良くない状態であるところに、車の運転によって生じる不安定な状態が加わることにより起こります。具体的には、車両の振動や急加速、急ブレーキなどの衝撃が積み荷を動かし、荷物同士の間に隙間ができることや、荷台との接触が不安定になることで、荷崩れが発生します。
また、荷物が均等に配置されず、重心が安定しない場合や、不適切な固定方法を使用する場合も、荷崩れを引き起こす要因となります。このような状況下での輸送では、荷物の積み方や固定方法を検討し、適切な対策を講じることが重要です。
荷崩れを防ぐ積載のコツ
荷物を積載する際には、いくつかのコツがあります。まず、重さなどを考慮して、荷物を均等に積み重ねることが重要です。重い荷物は下に、軽い荷物は上に積むようにし、荷台の中心を配慮しつつ、安定性を高めます。
また、荷物同士を密に配置し、隙間をなくすことで荷崩れを防ぐことができます。
さらに、適切なロープやベルトを使用して荷物をしっかり固定することも重要です。
これらの基本的なコツを守ることで、安全かつ効果的に荷物を固定することができます。荷積みの方法を工夫するだけではなく、運転において急ブレーキや急加速など、荷物が崩れる原因となる運転をできるだけ減らすという方法もあります。振動を完全になくしてしまうことは難しいため、積載方法や、運転の方法などでカバーしていくことが重要なのです。
基本の結び方「輸送結び」
輸送結びは、荷物を確実に固定するための基本的な結び方です。ここでは、その手順と応用について解説します。
輸送結びの手順
輸送結びは、荷物をトラックや荷台にしっかりと固定するための結び方の一つです。そのため、長距離の輸送や動きの激しい環境でも安心して使用することができます。
以下は、輸送結びに関する詳細です。
特徴 | 用途 | 適した荷物の種類 | メリット | デメリット | 使い分け方の説明 |
・滑車の原理で、少ない力でも荷物を確実に締め付けることができる | ・複数の荷物をトラックの荷台に固定する際に用いる | ・ダンボール
・家具 ・雑草 |
・複数の荷物の安定性を高める
・トラックや車両の振動、移動中の衝撃にも耐えることができる |
・ロープを強く引っ張り過ぎると積み荷の破損につながる可能性がある
・ほどくのに時間がかかる |
・複数の荷物を1本のロープで固定したい場合に用いる
・不規則な形状の荷物がある場合は、もやい結びを選ぶ ・長尺物がある場合、南京結びを選ぶ |
また、以下が、輸送結びの手順です。
➀ 荷物を載せる車両や物体にロープを通し、一方の端を車両のフックなどに固定します。荷物の上からロープを通し、もう一方の端を手に持ちます。
② 手に持ったロープの先端を二つに折り、大きな輪を作ります。
③ 作成した輪を左手で持ち、もう一方のロープを交差させます。その後、左手で持ったロープを下から一周巻きつけます。必要に応じて、巻き付けを2回行います。
④ 下から一周巻きつけた後、左手で作成した輪を右手で持ち上げ、輪の中にロープの先端を通します。
⑤ ロープの端を引っ張り、輪を締めます。
⑥ ロープの残り部分を適切な場所に固定し、必要に応じて隣の固定ポイントに移動し、同様の手順を繰り返します。
輸送結びの応用
輸送結びは、荷物を確実に固定するための基本的な手法ですが、さまざまな応用場面があります。その中でも代表的な応用場面をいくつか挙げます。
例えば、キャンプやアウトドア活動があります。キャンプやハイキングなどのアウトドア活動では、テントやタープの設置などに輸送結びが活用されます。荷物やシートをしっかり固定することで、安全かつ快適なアウトドア体験が可能です。また、運送業や引っ越し業界でも活用されています。
トラックやバンで複数のダンボールをしっかり固定して輸送する際に輸送結びがよく使われます。荷物を固定し、移動中の荷崩れを防止するために欠かせない技術です。様々な場面で応用される技術であり、覚えておくと便利です。
その他の結び方と活用シーン
ここでは、これまでご紹介した輸送結びだけではなく、その他の結び方と活用シーンを解説します。
「もやい結び」の特徴と手順
もやい結びの特徴や用途、メリットやデメリット等については、以下の通りです。
特徴 | 用途 | 適した荷物の種類 | メリット | デメリット | 使い分け方の説明 |
・滑りやすい荷物の表面や重たい物の移動を防止する
・強度が高い。 |
・重量物や、不規則な形状の荷物の縛り付けや固定
・水入りのバケツを吊るすことなどにも使われる ・命綱に使われることもある |
・自転車
・バイク ・不規則な形をした荷物全般 |
・シンプルで迅速に作業でき、解くことも容易
・初心者でも比較的簡単にできる ・重い荷物の固定にも向いている |
・縄で作った輪っか(リング状にしたところ)に荷重がかかると、ほどけやすい | ・不規則な形状の荷物がある場合、もやい結びを活用する
・複数の荷物を1本のロープで結びたい場合、輸送結びを選ぶ ・長尺物を運ぶ場合、南京結びを選ぶ |
もやい結びの手順は、以下の通りです。
➀ 最初に、結びたい対象にロープをかけて、結び目を作ります。この際、十分な長さを確保し、結びたい場所に輪を作成します。
② 輪の下から一方のロープの先端をくぐらせます。具体的には、輪の下にロープを通し、そのロープを反対側のロープの背後に通します。これにより、一方のロープが輪の中を通って反対側に出てきます。
③ 一方のロープを反対側に通したら、次に反対側のロープの先端を取ります。そして、その先端を最初に作成した輪に通します。この際、反対側のロープが輪の中に通された状態になります。
④ 最後に、両端のロープを引っ張って結びます。これにより、結び目がしっかりと固定されます。
シンプルで簡単な上に、強度を確保できるもやい結びは、とても便利な荷物の固定方法です。
トラックの荷物だけではなく、場合など、様々なシーンで活躍します。
「南京結び」のメリットと使い道
南京結びの特徴や、用途等の詳細については、以下の通りです。
特徴 | 用途 | 適した荷物の種類 | メリット | デメリット | 使い分け方の説明 |
・異なる太さのロープを使用可能 | ・主に長尺物など背の高い荷物をトラックの荷台に固定する際に用いる | ・建築資材
・家財道具 ・長尺物 |
・強度が高い
・振動に強い ・荷物に合わせて長さを調整できる |
ロープを強く張らなければ、ほどける危険がある | ・長尺物を運ぶ場合、南京結びを選択する
・複数の荷物を1本のロープで固定する場合、輸送結びを選ぶ ・形状が不規則なものを運ぶ場合、もやい結びを使う |
南京結びの結び方は、以下の通りです。
➀荷物をトラックや他の物に固定します。ロープの片端を荷物の上に通し、固定します。もう片方の端は手で持ちます。
② 持っているロープの端をもう片方の手で持ち、輪を作ります。その輪を、荷物を通したロープの上に交差させます。
③ 輪を交差させた後、もう片方のロープを輪に巻き付けます。2回ほど巻き付けるとしっかりと結びつきます。
④ 巻き付けた後、輪の中にあるロープを引き抜きます。これにより、結び目が完成します。
⑤ 引き抜いたロープの端を引っ張り、荷物や固定したい場所にフックなどを使って固定します。
⑥ 最後に、余ったロープがあれば、それを固定したい場所に巻き付けて固定します。
南京結びは荷物を固定する際に非常に便利です。建設資材や大型家具の運搬などでよく活用され、大きなサイズの荷物をしっかりと固定することができます。また、南京結びは解くのが比較的簡単です。そのため、急な状況での荷物の取り外しが必要な場合にも便利です。
トラックの荷崩れは、荷物の落下を招き、人身事故の原因となります。場合によっては、ドライバーが警察に逮捕されることもあります。
安全確保のため、しっかりと結び方を学びましょう。