仕事で中古トラックを使う事業主や経営者にとって、いかに長く購入車両を使用するかによって、のちの利益に大きな影響を与えます。
ただし、長く乗り過ぎることで突然故障し動かなくなると業務に重大な支障をきたしてしまうリスクもあるので、トラックの買い替えのタイミングはとても大事。
ここでは中古トラックの購入の最適時期、購入プロセスや必要書類についてご紹介しています。
中古トラック購入の最適時期を見極める
中古トラックを損なく購入するためには、「購入時期の検討をする」というのは非常に効果的だと言えるでしょう。
中古トラックの販売では安い時期というのが存在し、同じ車両でも購入時期が違えば導入コストが大きく異なるケースは決して珍しくありません。
つまり最適時期を選ぶことでトラック導入の費用対効果を、さらに向上させることが可能となると言えます。
市場動向と価格の季節変動
中古トラック販売店としては、1年を通して安定した売り上げの確保を行いたいですが、中古トラックの取引が活発な時期と売り上げが低下する時期は存在します。
一般的に事業用車両として購入されることが多い中古トラックは、5月のゴールデンウィークや8月のお盆休みなどの長期休暇のある月は、売り上げが低下します。特に購入の機会がガクンと減る8月は、少しでも売り上げを確保するために中古トラックが割安で販売されることが多く、中古トラック購入にはねらい目の時期です。
また、自動車購入は決算シーズンを狙うべきと考える方が多くいますが、決算シーズンはトラックメーカーが積極的に値引き販売を行い、新車登録台数が増加する時期。
新車への乗り換えが活発になると、中古トラック市場への車両流入数は決算シーズンが最も多く、状態の良い優良車両が増加するので、中古トラック販売店での値段交渉は難航する傾向にあるでしょう。
新車市場が活性化する決算シーズンは、中古といえど値段交渉には不向きなシーズンだと捉えるべきです。
経済情勢が購入時期に与える影響
昨今、中古車市場は半導体不足や長期化する円安の影響を受けて車両価格が高騰したり、メーカーによっては納車が遅たりし、人気のあるモデルになると受注停止することもあります。この影響は普通車だけでなく、トラックなどの事業用車両であっても同じことが起きています。
この中古トラックの価格高騰につながる原因にもなった部品・半導体不足や日野ショックについてご解説します。
部品・半導体の不足
2020年以降のコロナ蔓延による労働者不足によって、車両パーツや半導体の製造工場が停止し、製造計画が大幅に遅れていることで、十分に部品や半導体を製造できない状況になりました。
部品製造工場が十分に稼働できないと、当然パーツや半導体の価格は上がり、さらに日本は半導体の大半を輸入に頼っているため、長期化する円安によって仕入れ価格はさらに高騰しています。
この経済情勢によって、時期が最適でないと割高でトラックを購入することになってしまいます。
日野ショック
さらに価格高騰に拍車をかけたのが日野自動車のデータ改ざん発覚による一部車両(主にトラック)の販売停止が挙げられます。
日野自動車は約20年にわたり、主にトラックなどの車両エンジンの試験データを改ざんしていたと見られており、国土交通省が対象のエンジンに関する型式指定を取り消す行政処分を出しています。
これにより、該当エンジンが搭載された車両が実質的に販売停止になり、トラック不足に拍車がかかり、さらに価格が高騰してしまうという状況になりました。
参考記事:当社認証不正に関するお客様へのお知らせ、公表情報一覧
中古トラック購入プロセスの全ステップ
中古トラックは、新車購入より比較的短期間で納車されるのが大きなメリット。
スムーズに短期間での納車・運行までを目指すなら、中古トラック購入から納車の流れを知っておきましょう。
今回は中古トラック購入・納車までの流れや、中古トラック選びのポイントについて詳しくご紹介します。
中古トラック選びのポイント
中古トラックを購入する際のポイントは以下の3つです。
中古とはいえ、トラックは高い買い物なので、事前によく確認して失敗のない購入をしましょう。
WEBで事前に販売店を選ぶ
インターネットの普及で、多くの中古車情報が簡単に手に入ります。
いくつもの店舗に出向く手間と時間を省くために、ウェブサイトで購入希望のトラックに目星をつけ、在庫の有無や状態の問い合わせをしてから出向くことで効率よく購入まで進めることができます。
エンジンや耐用年数をチェックする
中古トラックにおいて、重点的にチェックしたいのはエンジンです。
エンジンオイルの交換記録や作動音の正常さ、マフラーに異常がないかが大事なポイント。
また、耐用年数についてもチェックは必要で、新車のトラックだと耐用年数は5年が目安で、耐用年数が全て過ぎている中古トラックの耐用年数は「法定耐用年数×20%」、新車登録時から2年など一部過ぎている車両なら「法定耐用年数-経過年数×経過年数×20%」で計算します。なるべく耐用年数の高いトラックを探しましょう
整備面と契約書をしっかり確認する
中古トラックは、現状引き渡しが多い車両です。契約前に、整備不良がないかしっかり確認しましょう。
内外装の問題はないか販売担当者と一緒に現車確認することは、後のトラブルを起こさないためにも必須です。また、納車時には契約書の内容と異なる点はないか、中古トラック保証面でも不備がないかのチェックが大切です。
購入契約から納車までの流れ
希望車種を中古トラック販売店で探す
希望車種が決まったら、まずはウェブサイトで検索してみてください。
今はインターネットを通じて簡単に大量の中古トラック販売情報が手に入ります。
中古トラックの希望車種を見つけたら、お問い合わせフォームや電話などで販売店にすぐ問い合わせましょう。
実際に店舗で現車確認をする
中古トラックのコンディションは車種によって差が大きいため、可能な距離であれば実店舗に出向き、現車確認を行います。
過去の使用状況やメンテナンス履歴なども、しっかりヒアリングしましょう。
遠方で足を運ぶのが難しい場合は、詳細がわかる写真や状態表などを店舗から送ってもらいチェックしてください。
見積もりを出してもらい、購入契約をする
現車確認をして問題がなければ、見積もりを依頼しましょう。
陸送費などの車両以外にかかる諸経費も含めた金額を出してもらい、最終確認しましょう。
見積もり額に納得し、支払い方法も決まったらいよいよ契約に進みます。
ローンやリースを利用する場合は、審査通過後に本契約を結ぶことになります。
納車点検整備と法定手続きをし、納車
購入契約を結んだら、販売店側が納車前の点検整備と法定手続きを行います。
見積もり内容に点検整備費用が含まれていなければ、別途必要となることもあるので契約前に確認しておきましょう。
点検と手続きが完了すれば晴れて納車です。
中古トラック納車までの期間目安
購入が決まった中古トラックに車検が残っている場合は、契約から納車までの目安は1週間ほどです。
この1週間は車庫証明が取れるまでの時間なので、車検証のコピーをもらい車庫証明を事前に用意しておくとさらに納車を早めることも可能です。
車検が切れていたり、一時抹消登録されている場合は、納品まで10日~2週間ほどが目安です。
また車体のコンディションによっては、点検整備や部品交換などで時間がかかる場合もあります。
購入時に必要な書類と注意点
中古トラックの購入手続きは、必要書類が揃っていれば特別面倒ではありません。
しかし書類不足や書類不備によって法定手続きの進捗は左右され、購入したトラックの納車期間に大きな影響を及ぼすので、購入を考え、車両を探していると同時に必要書類も集め始めておくと安心です。
必須書類の準備と確認方法
中古トラック購入時に行う法定手続きは「中古トラックの名義変更」のことです。
名義変更の際の必要書類は以下のとおりです。
購入名義人の印鑑証明と実印
トラックは中古であっても資産価値のある動産として扱われるため、購入契約時には居住する市区町村で印鑑登録を行った実印と印鑑証明が必要です。
また購入者がそのまま所有者となる場合は、トラックの名義変更手続きの際にも実印と印鑑証明が必要となります。
住民票
中古トラック販売店によっては、購入契約時に住民票の提出を求められるケースもあります。
また購入したトラックの名義変更の際に、所有者と使用者の名義が異なる場合は新使用者の住所証明書類が必要です。個人の場合は「住民票」、法人の場合は「会社登記簿謄本」の提出が求められます。
車庫証明
名義変更手続きをする際は、購入するトラックを保管する駐車場の存在を証明する車庫証明の提出が必須です。
車庫証明はトラック所有者の住所を管轄する警察署で簡単に取得できますが、交付条件には保管場所が所有者の住所を起点とした2km圏内に位置することが求められます。車庫証明の交付は申請から約1週間程度を要するので、早めに取得することがおすすめです。
貨物自動車運送事業法の適用を受ける法人の場合は、車庫証明の代わりに事業用自動車連絡書の提出が求められています。
委任状(名義人以外が申請する場合)
購入した中古トラックの名義変更手続きをトラック販売店に代行してもらう際は、代行を委任することを証明する実印が押印された委任状が必要です。
販売店が用意した委任状に署名・捺印を行うだけで簡単に作成できます。
購入するトラックの車検証・自動車納税証明証・自賠責保険証
購入した中古トラックの名義変更手続きには車検証、自動車納税証明証、自賠責保険証も必要となります。
販売店に名義変更手続きを依頼する場合は購入者が準備することはありませんが、購入者が手続きを全て行う際は、販売店からこれらの書類を受け取り陸運支局へ持って行きます。
<h3>購入後の手続きと維持管理</h3>
購入後の手続きには、以下の書類が必要になります。
自動車検査証(車検証)
車検証の名義人(所有者)は、購入トラックの納車時までに新所有者(購入者)に変更されている必要があります。
基本的に販売店で購入した場合は店側が手続きをしてくれますが、個人売買の場合は自ら管轄の運輸支局まで行って申請しなければいけません。
自賠責保険証明書
この「自動車賠償責任保険証明書」は、ナンバープレートが付いている全ての自動車に加入が義務付けられています。
自賠責保険も基本的には販売店で購入したら、店側が手続きをしてくれますが、自分で行いたい場合は保険会社への連絡が必要になります。
車庫証明書(交付から1カ月以内)
通称「車庫証明」の「自動車保管場所証明書」は、所有者がトラックを保管できるスペースがあることを証明するための証書です。
管轄の警察署で申請すればもらうことができ、事業用でトラックを使う場合は「事業用自動車等連絡書」が必要です。
実印・印鑑証明書(交付から3カ月以内)
名義変更の際などに必要になるため、登録済み印鑑と印鑑証明書をセットで持っていきましょう。
納車し、購入後の手続きがすべて完了したら、やっと走行できるようになります。
中古・新車にかかわらず、トラック購入後は定期的なメンテナンスを行うことが大事です。
自分でやっておきたい車のメンテナンスとしては、以下が挙げられます。
・洗車(内装・外装)
・タイヤの空気圧や擦り減り具合の確認
・ワイパーゴムの交換
・ウィンド洗浄液の補充
また、定期的に自分で車の状態を確認するだけでなく、年に最低1回はプロにメンテナンスや点検を依頼するのが望ましいでしょう。
プロに依頼する細かなメンテナンス内容としては、以下の通りです。
・タイヤ交換
・バッテリーの交換
・オイル交換
・ブレーキパッド交換
・エアフィルター交換
・エンジンチューンナップ
定期点検をし丁寧な走行ができていないと、中古トラックは長持ちしません。
特に急アクセル・ブレーキは、車両の質を悪くさせる主な原因のひとつなので、アクセルやブレーキをゆっくり踏み込む習慣をつけ、燃費向上も心がけましょう。
参考記事:点検整備の必要性とメリット