中古車を選んでいると、備考欄に「修復歴あり」という文字を見かけることがときどきあるでしょう。修復歴があることで数万円〜数十万円安くなるケースは多く、気になりつつも「単なるキズやヘコみの修理とは違う?」「事故車?」と不安に思っている方も多いと思います。
今回は修復歴のある車についてわかりやすくご解説し、修復歴ありの中古車の選ぶポイントやメリット・デメリットや注意点などをご紹介します。安全に、より長く運転できる中古車選びをするためにも、ぜひ参考にしてみてください。
中古トラック購入の前に押さえる基本ポイント
導入コストを抑えるために、中古トラック販売店を利用して中古トラック購入をしても、コンディションの悪い車両を引き当ててしまうと、後々費用が台無しになってしまいます。
「修復歴」をよく理解し、信用できる中古トラック販売店から購入することで良好な状態の中古トラックを購入できる可能性が高まるので、重要なポイントを抑えていきましょう。
修復歴の重要性と確認方法
「修復歴あり」の車両とは、車の骨格部位に欠陥や損傷が過去にあり、すでにパーツ交換・修復した履歴のある車のことを指します。骨格部位はフレームとも呼ばれ、外部からの衝撃を軽減するための重要な役割のある部位です。
修復歴ありになる原因として代表的なのは事故なので「修復歴あり=事故車」のイメージが持たれますが、修復歴があるからといって必ずしも全車両が事故にあったとは限りません。
修復歴ありとされる車両は、災害などにより骨格部位にダメージを受けて修復されたものも多く認定されています。
また、販売されている中古車両に事故歴があっても、フレーム自体に損傷がなければ「修復歴なし」とみなされます。
中古車両においては修復歴の有無表示が義務づけられているので、修復歴があることを知らずに購入してしまうことはほぼないでしょう。一方、修復歴にあたらない程度の修理や事故は表示の義務はないため、気になる場合は販売元に確認しましょう。
もし修復歴ありの中古トラックを購入する場合は、安全に長く使用するためにも特に注意が必要です。
修復内容の確認
「修復歴あり」と表示があっても、程度によってはまだまだ安全に運転できる車両は多くあります。修復歴の詳細は、中古車店が車両の元オーナーや車体番号から必ず把握しているので、しっかり説明を受けて選びましょう。修復歴で把握しておきたいポイントは以下の3つです。
* 修復や交換の箇所
* 修復内容の程度
* 原因となった事故や災害内容
異常がないか試乗する
修復歴のある車は基本的に補修されて販売されているため、見た目や説明では状態の判断が難しいため、試乗することでなんらかの違和感を感じられるケースもあります。
フレームに歪みが残っている場合、まっすぐに運転しているつもりでも左右どちらかに寄っていたり、ハンドリングがしづらかったりすることも多いです。修復歴があれば、試乗は必須でしょう。
走行距離と年式の確認
トラックは基本的に普通車より長持ちする設計になっていますが、中古車購入を考えている場合は、修復歴プラス走行距離や年式の確認も必須です。
中古車の世界では年式が古いものを「低年式」・新しいものを「高年式」、走行距離が短いものを「低走行車」・長いものを「高走行車」と呼んでいます。
<h4>中古車の低年式・高年式のメリットとデメリット</h4>
低年式中古トラック
高年式の中古トラックにくらべて低価格であるメリットがあります。ただしそのぶん性能は低くなるデメリットもあります。
また、低年式の中古トラックを購入する場合は排ガス規制についても考慮しなければいけません。エコカー減税の適用で燃費性能によっては購入後の維持費が安くなる可能性もあり、「自動車NOx・PM法」による車種規制の対象となる可能性もあります。
この車種規制の対象となる中古トラックを選ぶと、自動車NOx・PM法対策地域では走行できないため、注意が必要となります。
高年式中古トラック
低年式のものより高性能が期待できる点があります。燃費やエンジンパワー、カーナビなどの付属品も高年式のものほど高性能なものになっています。デメリットは中古であっても高価格が予想されます。
高年式というだけで経年劣化や故障の可能性も少なくなります。しかしトラックによっては適切なメンテナンスがされず、何万kmも走行している「過走行車」が存在するため、「高年式=劣化が遅い、故障の可能性ゼロ」ではありません。年式だけで中古トラックを判断しないよう注意しましょう。
購入を検討している中古トラックを見つけたら、車検証の初度登録年を確認するのが最も正確。車種によっては製造年と初度登録年がズレているケースもたまにありますが、そのトラックがいつ走行され始めたのかは初度登録年で間違いなく確認が可能です。
高走行車・低走行車のメリットとデメリット
前述の年式について見たように、高走行車=走行距離の長い車のメリットは価格の安さにあるといえます。一方でデメリットはリスクの高さです。
どんなものでも使用回数が多ければ多いほど消耗によって、劣化や故障リスクが高まりますが、これは頑丈な設計のトラックでも同じです。
また、低走行車=走行距離の短い車のメリットは、この故障リスクが低くなる点です。ただし「あまり走行していない=状態がよい」では必ずしもないため、試乗や修復歴などで確かめることは重要となります。
また中古といえど低走行車なら価格は高くなります。年式と走行距離を合わせて予算によっては妥協点を考えておく必要もでてくるでしょう。
現車確認で見落としてはならないポイント
新車と違ってコンディションが大きく異なる中古トラックは、購入契約前に現車確認は必ず行うべきです。しかし現車確認で「どこをどう見ればいいか判らない」という人も少なくありません。失敗のない中古トラック選びをするためにチェックポイントをご紹介します。
エンジンの健康状態
トラックの心臓部分であるエンジンが不調な中古トラックを選んでしまうと、購入後エンジントラブルに悩まされる可能性が大いにあります。エンジンは構造が複雑なので、現車確認で判断するのはプロ以外にはなかなか難しいですが、ポイントを押さえれば一般の方でもエンジン状態を確認できます。
* エンジンのかかり具合
* アイドリングの確認
* オイル漏れがないか
* 始動時に異音がないか
* 不審な振動を感じないか
特に異音と振動は、どんな方でも判別できるポイントです。
実際にボンネットを開けエンジンルーム側に回って、キュルキュルという甲高い音が聞こえたり、カラカラカタカタと音が鳴り不規則な振動があるなら、エンジン異常や不調がある可能性があります。
またエンジンのかかりが悪い場合は、バッテリーかセルモーターに問題を抱えているケースが多い傾向です。購入前に試乗し、エンジンの状態を確認することは必須です。
外装と内装の詳細なチェックポイント
エンジンのつぎに、現車確認する際は外装と内装をチェックしましょう。
* 車検や点検整備済ステッカーの有無
点検整備済みステッカーは中古トラックがどのようなメンテナンスを受けてきたかの正確な判断材料です。基本的に運搬業務車両として安全性が重視されるトラックなので、確実にメンテナンスされてきたものを選びましょう。
* どのくらいのキズや凹みが、どの箇所にあるか
トラックの外装には高剛性素材が用いられていますが、業務車両として使用されていた中古トラックにはある程度のキズやへこみが残っていることは珍しくありません。
どういった状況でついた傷か、走行や作業に支障はないのかを販売店に確認しましょう。中古トラックは原則現状引き渡しなので、現車確認の際に明確な回答を得ることをおすすめします。
* タイヤの摩耗具合などのタイヤコンディション
主要な消耗パーツとしてタイヤが挙げられますが、トラックのタイヤは決して安価ではないのでタイヤの溝の減り具合や状態は確認するべきポイントです。また、タイヤのコンディションを確認する際はスペアタイヤも忘れずにチェックしましょう。
* ウィンドウやライト、ミラー類のヒビや破損
業務で高速道路を走行する機会が多いトラックは、跳ね石でウィンドウやライト、ミラー類に破損が生じていることは少なくありません。
フロントウィンドウに破損がある場合は車検を通過できない可能性もあり、走行中の風圧を受けて小さな欠けやヒビでも広がる危険性も考えられるため、外装チェックで発見した場合は販売店と協議しましょう。
* シャーシにサビや歪みがないか
ダンプ車のように荷台が持ち上がる車両なら、外装チェック時にシャーシの確認が行えますが、トラックの場合は車体の下に潜り込まなければシャーシの確認は簡単ではないです。
もし、多くの積荷を乗せるトラックのシャーシに歪みやサビが発生していると、時間と共に症状が悪化するのでできれば確認しておきたいもの。シャーシのチェックポイントとしては横向きフレームや縦向きフレームに錆や歪みが生じてないかです。
* 荷台や荷室のコンディション
荷役車両である業務トラックにとって、荷台や荷室は非常に重要な部分です。荷台の四隅は水が溜まり易い構造のため、現車確認時には荷台の四隅を中心にフックの根元などに錆がないかを確認しましょう。また荷台のアオリや荷室のドアの動きがスムーズであるかも重要です。
* エアコンが問題なく稼働するかどうか
内装確認の際には、季節を問わず冷房・暖房の両機能を確認しましょう。エアコンの効きが悪い場合はガス漏れやラジエーターのトラブルが予想されます。納車後の快適さに大きく影響するエアコンは、重要なチェックポイントだと言えます。
* メーターパネル内の表示灯や警告灯
トラックのメーターパネル内には30種前後の表示灯・警告灯が装備されています。これらはトラックの搭載機能の稼働状況やトラブルの発生をドライバーに知らせる重要な存在なので、必ず確認すべきチェックポイントです。販売店の担当者と一緒に表示灯や警告灯がちゃんと点灯するか何度もチェックしましょう。
購入後の管理とメンテナンス
トラックのメンテナンスというと、整備工場に持ち込んで頼む本格的なメンテナンスをイメージする方がいるかも知れません。ですが、緩んだ各パーツの締め直しやバッテリーの確認、エンジンルームの掃除やオイル交換などは日常で行えるメンテナンスです。
この定期的なセルフメンテナンスによってトラックに生じる不具合を早期発見できるケースも少なくないので、購入後は簡単なことからセルフメンテナンスを行い、専門家に任せっきりにならないようにしましょう。
定期的なメンテナンスの重要性
トラックは、輸送業にとって欠かせない車両です。しかし、安全に輸送・作業を行うためにはメンテナンス点検は欠かせません。メンテナンス点検といっても、運転前点検と定期点検の2つに分けられます。
運転前点検としては、運転前に車両のブレーキやライト、タイヤのコンディションなどのチェックを必ず行います。
定期点検は、車両メーカーが定めた一定期間・距離ごとに行う点検で、エンジンやトランスミッション、オイル、ブレーキパッド、冷却水などについて点検します。
定期点検を怠ると、車両の故障や事故の原因となる可能性があり、不必要な故障の発生を防ぎ、トラックの寿命を延ばすことができるため、長期的に見てもコスト削減につながります。管理者とドライバーの両者が協力して定期点検を行い、トラックの健康状態を維持していきましょう。
長期間の運用を支える保守のポイント
主に業務に使用されるトラックにとって、中古車両であっても長期間の運用をしたいところです。
そのためにも整備は最も重要な保守タスクの1つです。整備を怠るだけで、可動性や安全性に問題が発生するリスクがあります。一方で整備をしっかりと行うだけで、多くの運用メリットが得られるのは事実です。
定期的に整備・点検を行っていると、トラックのコンディションを把握でき、不具合が生じた場合でも早期に修理することができます。このことで故障リスクは低下し、トラックの寿命を延ばすことができます。
また、燃費の向上にもつながることで長期運用を可能にします。エンジンオイルの定期的な交換は、エンジンをスムーズに作動させて燃費を改善します。その他にも、空気圧の調整やブレーキパッドの交換を行うことでも、燃費の改善に貢献できます。
以上のように、中古トラックにおいて整備・点検の重要性は言うまでもないことがわかります。
今回は修復歴のある中古トラックの選び方について解説しました。修復歴の有無は中古トラックの価格に大きく影響しますが、修復歴があるからといって必ずしも状態が悪いわけではありません。
修復箇所や程度、原因などを確認し、試乗して問題がないか確かめることが大切です。
また、走行距離や年式、エンジンの状態、内外装のチェックも重要です。購入後のメンテナンスも忘れずに行い、トラックを長く安全に利用できるように心がけましょう。
中古トラックは、新車よりも安価で手に入れることができますが、購入前にしっかりと確認すべきポイントを押さえておくことで、安心して長く使える車両を選ぶことができます。今回の記事を参考に、あなたにぴったりの一台を見つけてください。