トラックの売却を検討する際、多くの方が真っ先に気になるのは「いくらで売れるのか？」という点でしょう。しかし、トラックの買取相場は一般的な乗用車と異なり、明確な基準がないのが実情です。車種やサイズ、年式、走行距離、車両の状態など、さまざまな要因によって価格が大きく変動するため、適切な相場を把握することが重要になります。
商用車として長期間使用されるトラックは、日常的な使用によって外装や内装、エンジンの状態が査定額に大きく影響します。また、定期的なメンテナンスの有無や整備記録の存在も、買取価格を左右する重要な要素となります。本記事では、トラックの買取相場の調べ方から、査定額に影響する具体的なポイント、そして売却時の手続きまで、トラック売却を成功させるために必要な情報を詳しく解説します。
トラックの買取相場を知るには
トラックの買取相場を正確に把握するためには、まず自分の車両の特徴を理解することが重要です。トラックは用途や積載量によって小型、中型、大型に分類され、それぞれ市場価値が大きく異なります。
車種・年式・状態で価格は大きく変わる
トラックの買取価格は、車種やメーカー、年式、車両の状態によって大幅に変動します。主要メーカーごとの買取相場を見ると、価格の幅の広さが理解できます。
いすゞでは、小型トラックのエルフが5万～735万円、中型のフォワードが5万～526万円、大型のギガが10万～2,084万円と幅広い価格帯になっています。三菱ふそうでは、キャンターが5万～344万円、ファイター（小型仕様）が22万～485万円、スーパーグレートが20万～1,205万円となっています。
日野の場合、デュトロが5万～730万円、レンジャーが12万～635万円、プロフィアが5万～1,401万円と、特に大型トラックでは高額な査定額も期待できます。UDトラックのコンドルは29万～412万円、クオンは22万～860万円となっています。
これらの価格幅が示すように、同じ車種でも年式や状態によって査定額に大きな差が生じます。新しい年式で走行距離が少なく、メンテナンスが行き届いた車両ほど高い評価を受ける傾向があります。また、冷凍車やクレーン付きなどの特殊仕様は、需要の高さから一般的な平ボディよりも高く評価されることが多いです。
トラックの買取価格が決定する要素として、需要と供給のバランス、時期ごとの車の流通量、円高や円安の影響、人気車種かどうかという4つの要因があります。需要が高いほど価格は上昇し、供給過多の場合は価格が下落します。事業年度の切替期や季節要因によって流通量が変動し、これも価格に影響を与えます。
オンラインの一括査定で大まかな相場を掴む
正確な相場を知るためには、複数の買取業者による査定を受けることが最も効果的です。近年では、オンライン一括査定サービスが普及し、簡単に複数業者の査定額を比較できるようになりました。
トラック専門の一括査定サイトでは、車種や年式、走行距離などの基本情報を入力するだけで、複数の買取業者から査定額を提示してもらえます。これらのサービスを利用することで、おおよその相場を把握できるだけでなく、最も高い査定額を提示する業者を見つけることも可能です。
全国無料出張査定やネット査定、LINE査定など、様々な査定方法が用意されています。特に大型トラックの場合、新車購入価格が非常に高く、中古市場でも高いニーズがあるため、適切な査定を受けることで高額での売却が期待できます。
複数の一括査定サイトを利用することで、より正確な相場を把握できます。ただし、オンラインでの査定額は目安であり、実際の買取価格は現車査定によって決定されることを理解しておく必要があります。買取業者の中には、お客様満足度90.3%（2017年度顧客アンケート）、業界好感度No.1（2014年3月マクロミル調べ）という高い評価を得ているサービスもあり、信頼性の高い査定を受けることができます。
トラックの査定額に影響する主なポイント
トラックの査定において、買取業者が重視するポイントを理解することで、より高い査定額を期待できます。普通乗用車とは異なり、トラックは商用車として過酷な環境で使用されるため、査定基準も独特です。
車両本体の状態（外装・内装・エンジン）
外装の状態は査定額に直接影響する重要な要素です。キャビンやボディの傷、凹み、錆の有無が細かくチェックされます。特に商用車であるトラックは、作業現場での使用により外装に損傷を受けやすいため、日頃からの丁寧な取り扱いが重要になります。
内装については、シートの汚れや破れ、ダッシュボードの損傷状況が確認されます。特に喫煙車の場合、タバコの臭いが査定額に大きく影響することがあります。汗や作業着の臭いも同様に評価を下げる要因となるため、定期的な清掃と消臭対策が必要です。
エンジンの状態は査定において最も重要視される項目の一つです。エンジンやミッションなどの機関部分は修理費用が高額になるため、不具合の有無が査定の重要ポイントとなります。エンジンの始動性、異音の有無、排気ガスの状態、冷却水の漏れなどが詳細にチェックされます。
エンジンオイルの交換状況も査定に影響します。小型トラックでは10,000～20,000km、中型トラックでは15,000～30,000kmが一般的な交換目安とされています。ただし、悪路や坂道が多いなど厳しい条件下で使用される場合は、より短い間隔での交換が推奨されます。売却前には、交換時期が近づいていないかを確認し、必要に応じて最新の状態にしておくことが大切です。
フレームの錆や腐食による穴あきも重要な査定ポイントです。メンテナンスがしっかりされているかどうかは、トラックに限らず買取額が変わる重要な要素となります。バッテリーの状態やタイヤの溝の深さ、空気圧の管理状況なども査定に影響するため、売却前の点検が重要です。
走行距離と年式のバランス
トラックの査定では、単純に年式が新しいか古いかだけでなく、走行距離との関係性が重要になります。年式が新しくても走行距離が極端に長い場合、または年式が古くても走行距離が短い場合、それぞれ査定額に影響を与えます。
具体的な買取実績を見ると、年式が新しく走行距離の短い車両ほど高く評価される傾向があります。例えば、平成8年式のいすゞエルフ（クレーン付き）が54万円、平成16年式の三菱ふそうキャンターガッツ（平ボディ）が20万円、平成13年式の日野レンジャー（冷蔵冷凍車）が52万円で買取された実績があります。
これらの実績から分かるように、年式だけでなく車両の装備や形状も査定額に大きく影響することが理解できます。特殊装備を持つ車両や、需要の高い冷凍車などは、年式が古くても高い評価を受ける可能性があります。
商用車として使用されるトラックは、一般的に年間走行距離が長くなる傾向があります。そのため、定期的なメンテナンスが適切に行われていたかどうかが、走行距離以上に重要な査定要因となります。点検整備記録簿の存在は、適切なメンテナンスが行われていた証拠となり、査定額のプラス要因となります。
トラックには査定のための明確な基準がないため、買取業者が独自に設けた基準で判断されます。買取業者によって買取相場の基準は曖昧ですが、状態の良い2tトラックは非常に需要が高いため、高く売れやすい傾向があります。年式が新しく、走行距離の短い2tトラックであるほど、高く買取ってもらえることが期待できます。
買取価格を少しでも高くするためのコツ
トラックの買取価格を最大化するためには、事前の準備と戦略的なアプローチが重要です。商用車特有の特徴を理解し、適切な対策を講じることで、相場以上の価格での売却が可能になります。
売却前の清掃とメンテナンス記録の用意
売却前の清掃は、査定額を向上させるための最も基本的で効果的な方法です。外装の洗車はもちろん、普段手の届かない箇所まで丁寧に清掃することで、査定担当者に良い印象を与えることができます。車内の掃除や消臭を必ず行うことが重要で、タバコ臭や汗の臭いを除去し、エアコンフィルターの交換なども効果的です。
キャビン内の清掃も重要です。シートやダッシュボードの拭き取り、フロアマットの清掃、エアコンフィルターの交換など、細部まで気を配ることで内装の印象を大幅に改善できます。特に商用車の場合、作業着や工具による汚れが蓄積しやすいため、念入りな清掃が必要です。
メンテナンス記録の整理も高額査定を得るための重要な要素です。日本自動車査定協会の基準では、整備記録の有無で15点（1万5千円）の加点がされます。これは査定額全体に対する影響度は車両の価値によって異なりますが、確実にプラス要因となります。定期点検整備記録簿、エンジンオイル交換記録、修理履歴などを整理し、車両の状態を正確に伝えることで、査定担当者の信頼を得ることができます。
純正パーツも査定に入れてもらうことで、加点要素となります。カスタムパーツから純正部品に戻し、取り扱い説明書や純正オプションを提示することで、査定額の向上が期待できます。エンジンルームの清掃も見落とせません。エンジンオイルの漏れがないか確認し、汚れを除去することで、エンジンの整備状況を良好に見せることができます。
売却時期も重要な要素です。トラックの買取相場が高くなる時期に売却を進めることで、より高い査定額を期待できます。11月～12月、3月～4月のイベントシーズンや大規模インフラ・建築需要期を狙うことで、需要の高まりを利用できます。年末の物流繁忙期や引っ越しシーズンでの需要増加が、この時期の相場上昇の理由となっています。
複数の買取業者に見積もりを依頼し比較する
トラックの買取価格を最大化するためには、複数の買取業者から見積もりを取得し、比較検討することが不可欠です。トラックには明確な相場基準がないため、業者によって査定額に大きな差が生じることがあります。
一括査定サービスを利用することで、効率的に複数業者の査定額を比較できます。ただし、オンラインでの査定額は目安であり、実際の買取価格は現車査定によって決定されることを理解しておく必要があります。
買取業者を選ぶ際は、トラック専門の業者を優先することが重要です。トラック専門の買取実績が豊富な業者を選ぶことで、トラックの価値を正確に評価する知識と経験を持った業者に査定してもらうことができます。このとき、一社だけで売却の判断をせず、複数の業者に査定を依頼し、査定金額を比較することが推奨されます。
また、世界中に販路を持つ業者を選ぶことも重要です。特に古いトラックや走行距離の多い車両でも、海外では高い需要があるため、国内市場では低い評価を受ける車両でも高額での売却が期待できます。オンライン査定で複数社を比較し価格競争させることで、最適な買取価格を引き出すことができます。
査定交渉においては、他社の査定額を提示することで価格競争を促すことができます。ただし、最終的な決定は価格だけでなく、業者の信頼性や手続きの迅速さも考慮して行うことが重要です。キャンペーン期間中に査定を行ってもらうことで、買取業者が在庫確保を目的に高額査定を行うキャンペーン時期を利用できます。
トラック売却時の手続きの流れと必要書類
トラック売却時の手続きは、一般的な乗用車とは異なる点があります。商用車としての特殊性を理解し、必要な書類を事前に準備することで、スムーズな取引を実現できます。
査定依頼から車両引き渡しまでの手順
トラック売却の一般的な流れは、業者選定、査定依頼、現車査定、査定結果確認後の金額受け取りという4つのステップで進みます。
まず、買取業者の選定を行います。インターネットで評判や口コミを調べ、出張査定の対応可能性や手数料の有無を確認します。複数の業者を比較検討することが重要で、口コミや評判、出張査定有無、手数料発生の有無を確認して絞り込みます。
次に、選定した業者に査定依頼を行います。問い合わせフォームまたは電話で査定依頼を実施し、Web、LINE、メールなど業者指定の方法で申し込みます。この際、車種、年式、走行距離、車両の状態などの基本情報を正確に伝えることが重要です。
現車査定では、査定日程にあわせて立会い査定を実施し、車両状態を細かくチェックしてもらいます。外装、内装、エンジンの状態を詳細に確認されるため、事前の清掃と整備記録の準備が重要になります。査定時間は通常30分から1時間程度ですが、大型トラックや特殊装備の場合はより時間がかかる場合があります。
最後に、査定結果を比較・検討し、売却先を決定、代金を受け取ります。即日現金受取または後日振込など、希望の受け取り方法を選択できます。査定額に納得できれば契約を行い、契約書の内容を十分に確認し、買取価格、引き渡し日、代金支払い方法などを明確にします。
事前に準備しておくべき書類一覧
トラック売却時には、多くの書類が必要になります。事前に準備しておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。
必須書類として、自動車検査証（車検証）が必要です。車検証は車両の所有者や基本情報を証明する重要な書類で、売却時には必ず原本が必要になります。紛失した場合は、運輸支局で再発行手続きを行う必要があります。
譲渡証明書は、車両の所有権を買取業者に移転するための書類です。通常は買取業者が用意しますが、所有者の実印による押印が必要になります。所有者様の実印が押印された譲渡証明書1通が必要です。
委任状は、名義変更手続きを買取業者に委任するための書類です。こちらも所有者の実印が必要で、買取業者が用意することが一般的です。所有者様の実印が押印された委任状1通が必要になります。
印鑑証明書は、実印の証明書として必要になります。発行から3か月以内の有効期限があるため、売却時期を考慮して取得することが重要です。交付から3ヶ月以内で、有効期限が1ヶ月以上残っているものが必要です。
自動車損害賠償責任保険証明書（自賠責保険証）は、保険の加入状況を証明する書類です。車検証と一緒に保管されていることが多いため、紛失しないよう注意が必要です。
リサイクル券は、自動車リサイクル料金の支払いを証明する書類です。紛失した場合は、自動車リサイクルシステムのホームページで預託状況を確認できます。リサイクル料金の預託状況でも対応可能です。
自動車納税証明書も必要書類の一つです。自動車税の納付状況を証明する書類で、最新年度のものが必要になります。
ローンが残っている場合は、ローン会社からの所有権解除書類が必要になります。完済証明書や譲渡証明書などがこれに該当し、ローン会社によって必要書類が異なるため、事前に確認が必要です。所有者がディーラーやローン会社になっている場合は、追加の書類が必要になることがあります。
法人名義の場合は、商業登記簿謄本や法人の印鑑証明書が追加で必要になることがあります。また、代表者以外が手続きを行う場合は、委任状が必要になります。
これらの書類を事前に準備し、整理しておくことで、売却手続きを円滑に進めることができます。不明な点がある場合は、買取業者に事前に相談し、必要書類を確認することが重要です。書類の準備と並行して、車両の状態を最良に保つための最終チェックも欠かせません。エンジンオイルの確認、タイヤの空気圧調整、バッテリーの状態確認など、基本的なメンテナンスを行うことで、査定時の印象を良くすることができます。
