循環型社会への実現には、わたしたちは「5R」への意識を高め実践する必要があります。
この記事では、周知されつつある5Rの概要や重要性、実践のためのヒント、さらに新たに注目されている4Rや7Rについて解説します。
5Rとは何か?
ごみを減らすためのRで始まるあらゆる行動を意味する「3R」や「5R」。
すでに浸透している3Rは、2004年に米国で開催されたG8サミットにおいて、当時の小泉元首相が提唱したことで日本でも注目が集まり普及していきました。
「リユース・リデュース・リサイクル」から成る3R。特にリサイクルについて推進されていたスローガンではありましたが、近年では廃棄物問題への関心が高まる中で、リフューズとリペアを加えた5つの行動である5Rが広まっています。
3Rと5Rの基本的な違い
では、従来からある「3R」と最近耳にするようになった「5R」の違いは一体なんなのでしょうか?
まず、私たちがよく知る3Rはリユース・リデュース・リサイクルから成る、ゴミ問題に取り組むための以下の行動を指しています。
「リユース/Reuse」は使用済みのモノをゴミとせずに繰り返し使うこと。
「リデュース/Reduce」は廃棄物自体を減らす・抑制する行動全般。
「リサイクル/Recycle」は使用済み製品を資源として利用し、ごみを減らすことを目的とする取り組み。
そして、これらの3Rに「リフューズ」と「リペア」を組み合わせた考え方が5Rとして一般的に知られています。
3Rに加わった「リフューズ」は断るという意味を持ち、不必要なものやすぐにゴミになるものを受け取らない行動や考え方です。
・買い物のときはマイバッグを活用し、使い捨て袋を使わない
・不要なチラシや無料だからといってサンプル品は受け取らない
・自宅用であれば、なんであっても過剰な包装は断る
・出先の市販飲料の購入を控えて、水筒やマイボトル持ち歩く
・購入品リストをつくり、むだな買い物をしない
・マイカトラリーを持ち歩き、使い捨てカトラリーを使わない
つまり、「ゴミをどう減らすか」ではなく「いずれゴミになってしまうなら受け取らない・断る」という行為に全てが直結します。
つぎに「リペア」は壊れたり破損してしまったりしたら、すぐ新しいモノを購入するのではなく修理したりすることで一つものを使用することを指します。
・壊れたものをすぐに捨てず、まず修理できるか調べる
・リメイクをして再利用する
・アフター修理サービスつきの製品を選ぶ
・古着や端切れは小物(雑巾など)に活用する
・壊れていても受け取ってくれるリサイクルショップを利用する
廃棄物を減らす、なくすという意味では大きなコンセプトの違いはありません。
従来の「3R」だけでは対策として間に合わなくなったことやサステナブルな社会実現が、「5R」の普及の大きな理由といえます。
5Rの成り立ちと理論的背景
では、ゴミの抑制と資源利用を推し進めることができ、循環型社会への実現にもつながる「5R」はどのように発展し浸透してきたのでしょうか。
その大きな背景として、近年SDGsのあらゆるサステナブルでエシカルな取り組み目標を筆頭に、政府や企業だけでなく、個人レベルでの行動の必要性が広がっているからです。
5Rとして新たに加わった「リフューズ」や「リペア」は、従来の3Rと比較して日常生活のちょっとした心がけで取り組みやすい内容です。
あらゆる買い物の場面、食事をする時、使っていたモノが壊れてしまった時、どのような判断をし、どのような行動をすれば環境に良いか、持続可能なのかを考えるだけです。
この概念が浸透することは、受け身だった消費者からエシカル消費者として行動を可能にし、社会問題についてより良いものに変化させることが期待できます。
このような世界的に変わってきた社会背景のもと、すでに欧米では「5R」が主流になっているほか、5Rにとどまらず様々なRが加わった「6R」や「7R」が用いられることもあります。
5Rの具体的な実践方法
廃棄物問題から始まり、サステナブルな社会実現に向けた「5R」を多くの人が当然のこととして行動できるまでには、実践方法をより多く知ることが不可欠です。
リデュース(減らす)の実践方法
リデュース(Reduce)とは、「減らす」を意味する言葉。
これらの取り組みは過剰な生産を抑えることに繋がり、また製造時のエネルギーも減少することは同時にCO2削減へ大きく貢献します。
個人でできる取り組みとしては、
・買い物時にはマイバッグを活用し、使い捨ての袋を使わない
・過剰なプラスチック包装を避け、簡易エコ包装されている商品を選ぶ
・毎回本体を買うことを控え、詰め替え用商品があるものを選ぶ
・フードロス対策として、使い食べきれる分の食品を買う
・生ゴミは水分をよく切り捨てる、またはコンポストに取り組む
・長く使える高品質かつ本当に必要なものだけを買う
このように、ゴミになりうるものを作らない・買わないという行動によりゴミを減らすことが、リデュースに当たります。
企業目線の取り組みなら、使い捨て製品を作らない、資源の無駄なく生産していくことがリデュースに当てはまるでしょう。
リユース(再使用)とリサイクル(再生利用)の違いと実践方法
リユース(Reuse)とは、不要なものを簡単に捨てず、繰り返し活用できるものを開発することなどがこれに当たります。
最近だと、別の人に無償もしくは有償で譲り受けるサービスを活用することが主流になり、該当するサービスとしてはフリマアプリ、フリーマーケット、リサイクルショップなどが代表的な例です。
その他には、
・フリマアプリやリサイクルショップを有効活用し、むやみに処分しない
・詰め替え可能な商品をなるべく選ぶ
・なにかを新たに購入するときには、フリマアプリやリサイクルショップで一度探してみる
・店舗や公共施設で行われている回収サービスを積極的に利用する
・不要になったものは、別用途で再活用できないか考える
次に、リサイクル(Recycle)は「再生利用」を意味します。
資源として回収されたペットボトル素材を再利用し衣類を作ったり、再生紙でできたトイレットペーパーなどがリサイクルに当たります。
それ以外の実践方法として、
・資源とゴミを徹底分別して出す
・紙箱や包装紙は燃えるゴミではなく「雑がみ」として出す
・リサイクルできる資源ゴミはきちんと分別して、回収日に出す
・生ゴミをコンポストで堆肥化し活用する
5Rの中でもリサイクルは個人ではできることが少ないというイメージがありますが、家庭でのコンポスト利用や、不用品のリメイクなど身近なところでできることはたくさんあります。
5Rを超えた取り組み
「R」の頭文字を持った、ゴミを減らす方法や持続可能で環境に優しい取り組みはほかにも多数あります。最近では、5R以上に定義された6R、7Rなども広まってきています。
4R、6R、7Rとは?
環境問題に積極的に動いている欧米では、3Rにリフューズを加えた「4R」が基本になっています。
不必要になりうるモノを受け取る場面に遭遇した際には、積極的にリフューズする(=断る)べきです。廃棄問題を考える前に、そもそも不要なものを断れば、削減したり再利用にまわす必要すらありません。
最近では、数多くあるRから始まる取り組みの中から項目を選び、「6R」または「7R」や「10R」と呼ぶものも出てきています。
例として挙げられるものが、
Remix /リミックス:新たな生産・創造のために既存の資源を再編集する
Refine /リファイン:徹底分別をして資源として廃棄する
Rethink /リシンク:消費・購入する前にいま本当に必要なものかどうか考える
Rental /レンタル:一時的に必要なモノなどはシェアサービスを活用する
Return /リターン:携帯電話などの電子機器は使わなくなったら購入先に戻す
Reform /リフォーム:着なくなった衣類などを作り直す
Reconvert to Energy /リコンバート・トゥ・エナジー:資源利用できないゴミは、燃やす時に発熱利用する
Rebuy /リバイ:リサイクル製品やリユース品を積極的に購入する
Regeneration /リジェネレイション:再生品の有効活用を心がける
Right disposal/リーズナブル・マネジメント:環境に配慮した適正な処分をする。
Restore /レストア、またはReforest/レフォレスト:自然環境の生態系の復元や、サービスの持続的利用をする
5Rを日常生活で応用するためのヒント
上記のように様々な取り組みは存在しますが、「5R」に定義される内容は、私たちが普段の生活において気軽に取り組め、サステナブルで循環する社会実現には不可欠です。
「大量生産・大量消費・大量廃棄」が当たり前になっていた従来の社会構造から脱却し、生活様式を根本から変化させる必要があります。
この「5R」を日常生活で応用するヒントとして、日常のあらゆる行動をする前にまず「考える」ことが挙げられます。
マイバッグやマイボトルを持ち歩く習慣を身につける、無料であっても不必要なモノをもらわないといった身近な取り組みから始めてみましょう。
このように「短時間でゴミになるようなものを買わない・貰わないこと」を意識するだけです。
また、ずっと使っていたモノも大切に扱い、繰り返し長く使うことを心がけましょう。
ちょっとしか壊れていないなら、修理をしてできるだけ長く使うか、必要な人に譲ることもできます。
どうしても出てしまう不用物は、徹底分別や回収サービスを利用してリサイクルすることができます。資源として回収された物は、専門業者などによって新たに製品の原材料などとして再生利用されます。
そしてまた消費者としてリサイクル製品や再生品を積極的に利用しましょう。
このように、わたしたちは今後「5R」を意識せずには循環型社会の実現には近づけないことは明らかです。