人工知能の危険性 – これから何が待ち受けているのか?

近年、人工知能の進化は著しく、私たちの生活や社会に大きな影響を与えつつあります。しかし、人工知能は良い影響だけでなく危険性が出てくることも懸念されています。そして、人工知能の危険性を回避するためには個人、企業、政府がそれぞれに対策を講じることが重要です。
ここでは人工知能がどのような危険を持っているのか、今後どのようになっていくのかについて解説します。人工知能の危険性や未来について知りたいとお考えの方は、ぜひご確認ください。

目次

人工知能の危険性

人工知能にはどのような危険性を持っているのでしょうか。具体的にどのような種類の危険性があるのか1つ1つ確認していきましょう。とくに、確実に起こるとされている技術的特異点(シンギュラリティ)については深く知っておきましょう。

人工知能における危険の種類

「強い人工知能」は人間と同じように知性や意識を持つ人工知能のことを指します。「強い人工知能」は与えられた課題だけでなく自ら学習し、新しい課題を解決することができるものです。それに対し「弱い人工知能」は特定の課題を解決するための知性を持つ人工知能のことを指します。現在ある人工知能はすべて弱い人工知能です。

そして、弱い人工知能は主に「悪意を持った乱用」と「コントロールを超えた影響」の2種類の危険性があります。まず、悪意を持った乱用は悪意を持った人間が人工知能を悪用することであり、たとえば個人情報の盗み取りや、セキュリティシステムにばれないような不正アクセスなどが挙げられます。

コントロールを超えた影響は、人工知能が進化しすぎて人間がコントロールできなくなる問題です。現在は人間の手で人工知能の働きを制御することができていますが、より高度になってくると予想しなかった動きなどが現れてしまうかもしれません。

技術的特異点(シンギュラリティ)とは

技術的特異点(シンギュラリティ)とは、人工知能が人間の知能を上回る時点のことを指します。技術的特異点の概念自体は1980年代にアメリカの数学者であるヴァーナー・ヴィンジ氏によって提唱されました。

技術的特異点(シンギュラリティ)が到来する時期はさまざまな意見がありますが、2050年ごろに起こると予想している専門家が多いです。このことから技術的特異点(シンギュラリティ)は050年問題と呼ばれることもあります。2050年問題と聞いた時にも「人工知能が人間の知能を上回る時点のこと」と思い浮かぶようにしておきましょう。

技術的特異点(シンギュラリティ)は下記のようなメリットとデメリットが出てくるとされています。大きなメリットをもたらず分、デメリットについてどう解決していくのかも同時に考えていかなければなりません。

メリット
・病気や障害を治癒し、人間の寿命を延ばす
・人間の労働を効率化し、新たな産業を創出する
・環境問題や貧困問題などの解決に貢献する

デメリット
・人間の職業が人工知能に代替される
・人工知能を用いた高度な犯罪やテロなどの脅威が増加する

1つ目のデメリットに関しては単純な仕事が奪われる可能性が高いとされています。たとえば、データを左から右に転記する場合などは人間よりも人工知能のほうが得意です。タイピング速度に関しては、人間はどうしても機械に勝てません。

ただし、仕事は急激になくなるのではなく、気が付かないうちに徐々になくなるとされています。たとえば、従来仕事としてあった速記者はタイピングソフトやPCの普及によって徐々になくなりました。また、野村総研とオックスフォード大学が2015年に出したレポートでは日本の労働人口の49%が10~20年以内になくなるとされています。

2つ目のデメリットはすでに出てきているデメリットです。従来の犯罪は人間の手によるものが多く、力技であることが多かったです。そして、力技である事から犯人の追及や対策は比較的おこないやすいです。しかし、人工知能を用いるとより複雑で犯人がされか分かりにくい犯罪になってしまい、生活を脅かす脅威が増えてしまっているのです。

人工知能の危険への対処方法

人工知能には上記のような危険性が持っているため、しっかりと対処しなければなりません。そして、人工知能の危険性に対する対処は個人と企業・政府によるものに分けられます。それぞれの立場からの対処方法を確認し、自分が取るべき対処方法についてしっかりと知っておきましょう。

個人としてできる対策

個人としてできる対策方法は「人工知能の危険性について知っておく」ことがもっとも重要です。前述のとおり、人工知能は便利だけでなく危険性も同時に出てきます。このことを知っているのと知っていないのでは適切な利用ができるかどうかに差が出るものです。

また、利用する人工知能は安全かどうかといった観点ができることからも人工知能の基本的な概念は知っておくべきです。さらに、人工知能は多数のデータから修正・発展をおこなっていきます。私たち一人ひとりのデータが人工知能の発展につながるため、積極的にデータを提供する事も人工知能の危険性を回避しようとする企業の手助けになるでしょう。

企業や政府による対策

企業がおこなえる対策としては人工知能の徹底的な監視、社員への教育の2種類が挙げられます。人工知能はブラックボックスであり、予想していた挙動と異なる動きを示す場合があります。そのような時にすぐに気が付けるよう監視ツールの導入などを検討しなければなりません。

また、人工知能を扱う社員へ充実した教育を提供することも重要です。人工知能は使い方を間違えると顧客情報の流出にもつながりかねないため、社内研修など人工知能に関して一定水準の知識を付けるように尽力しなければなりません。

政府がおこなえる対策としては法律の制定や倫理基準の確立などが挙げられます。人工知能の発展は近年になって急激に進んでいるため、法律や倫理基準が確立されていません。現時点では利用する人それぞれの価値観に沿って利用されているのが現状です。

そのため、政府は国として守るべき最低限の基準を確立し、国全体での水準を決める事が必要になります。これは政府単独ではなく、各国の専門部署と連携して話し合うなどグローバル的なものになる可能性が高いです。

人工知能の未来

人工知能は現在でも発展し続けている技術です。そして、今後はどのようになっていくのでしょうか。ここで未来についても確認しておき、これから人工知能とどう付き合っていくべきなのかを考えていきましょう。

人工知能の進化の可能性

人工知能の進化は、大きく分けて以下の2つの方向性があると考えられています。

1.人間の知能を超える
人工知能が人間の知能を超える可能性は人工知能の研究開発において最も注目されている事柄の一つです。そして、多くの研究で超えるとされています。つまり、人工知能はより幅広い課題に対して、自分で推敲することができるようになるのです。

2.人間の知能と共存する
2つ目の方向性は、人工知能は人間の知能を超えることなく、人間と共存する道を歩む可能性です。この場合、人工知能は人間の補助するシステムとして、人間の能力を拡張する存在になると考えられます。現在はこちらの形であり想像しやすい形かもしれません。

人工知能の進化は予測が難しい領域であり、研究者によって意見がかなり分かれています。しかし、これからの人工知能が人間の生活に大きな影響を与えることは間違いありません。AIがどのように進化し、私たちの生活にどのような変化をもたらすのか今後の動向には意識が必要です。

人間とAIの共存

人間が人工知能を便利に利用するためにはどのように共存していくのかが重要です。とくに、倫理性、安全性について深く考える必要があります。たとえば、人工知能は人種や性別などで差別的な判断を下してはいけません。また、稼働を重視するために危険性を排除しない選択もしてはいけません。

これらは現在の人間にとっては当然のことですが、人工知能にとっては当り前ではありません。人間の感性による判断はその都度人工知能に与える必要があります。これはダイレクトな解決方法が存在しないため、少しずつ丁寧に人間にとって正しい方向へもっていかなければなりません。

これら人間の倫理・感性といった問題を人工知能が処理できるようになれば人間と人工知能が共存できるような社会が実現できるでしょう。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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