人工知能（AI）の技術は日々進化しており、私たちの生活にさまざまな形で浸透しつつあります。人工知能（AI）は私たちの生活をより便利で豊かにしてくれる可能性を秘めていますが、一方で私たちの仕事や安全を脅かすという懸念も高まっています。具体的に人工知能（AI）は私たちの未来をどのように変えていくのでしょうか？
本記事では人工知能（AI）の持つ可能性と危険性、人間の共存と未来についてさまざまな視点から考察していきます。人工知能（AI）について詳しく知りたい方は、ぜひご確認ください。
AIがもたらす懸念とは何か？
AIの恐怖・消費者の不安と実態
AIがもたらす懸念として、世間で「AI恐怖症」と呼ばれる現象が広まっています。AI恐怖症とは、AIに仕事を奪われるかもしれないといった不安感やAIの悪用や暴走によって人類が危機に陥るのではないかとの恐怖感などを指す言葉です。
コンピューター恐怖症やテクノストレスといったテクノロジーの進歩に伴った不安は1980年ごろにも現れていました。これらのような現象が現在、AIで起きているのです。そして、AI恐怖症に陥る理由としては下記のようなものが挙げられます。
・AIの進化のスピードが速い
・AIが暴走する可能性などコントロールできないことに対する恐怖感
・AIに対する理解不足
まず1つ目に関して、AIの進化スピードは今までのテクノロジーの進化と比にならないくらい速いものになっています。AIは指数関数的に進化していると言われています。つまり、1年後には2倍、2年後には4(2×2)倍、3年後には8(2×2×2)倍となり、10年後には1000倍、20年後には1000万倍となるのです。このように急激に発達することからどのようになっていくのかが分からないといった不安が出ています。
2つ目も進化スピードによるものから来ています。進化スピードが急激であるため、人間がAIの動きなどを把握できない可能性が出てくるでしょう。そして、それが人間によって悪影響なものであっても止めることは難しいです。AIによる最適な行動が人間にとっても良いものであるとは限りません。そして、このことを知っている人は不安に思ってしまうのです。
3つ目は、AIに対して理解が深くないが、上記2つの事柄のみを知っている人に多く見られます。つまり、AIの不安を煽る記事や動画から不安な気持ちが大きくなっているのです。
AIの危険性-リスクと課題の全貌
では、AIには具体的にどのような危険性があるのでしょうか。AIの危険性としては倫理的リスクと技術的リスクがあると言われています。
まず、倫理的リスクはAIの開発や普及によって生じる、社会や人間の価値観にかかわるリスクです。つまり、人間の倫理観がAIにも必ず適用されるとは限らないといったことになります。具体的には以下のようなものが倫理的リスクです。
差別や偏見
AIは膨大なデータに基づいて学習し、判断を下すことができます。しかし、学習データに差別や偏見が含まれているとAIの判断にも差別や偏見が反映されてしまうのです。例えば、顔認証技術が人種や性別などによって誤作動を起こし、特定の属性だけ省いてしまうかもしれません。実際に採用にAIを導入していたAmazonでは女性を低い点数にしてしまうといった問題が起こりました。
プライバシーの侵害
AIは個人の情報を収集・分析する作業をおこなっているときにプライバシーを侵害する可能性があります。例えば、AIが人間の行動を予測しようと考えたときに、許可をしていないのにデータを勝手に使用してしまうかもしれません。
次に、技術的リスクはセキュリティの脆弱性が挙げられます。AIは複雑なアルゴリズムの組み合わせによって作られているため、どこかに脆弱性が生まれてしまう可能性があるものです。セキュリティ技術は進歩していますが、同時に攻撃側のウイルスなども発展してしまっているため完全な解決には至っていません。
AI恐怖論の裏側-真実か誇張か？
メディアや書籍でAI恐怖論が目立ちますが、それは本当に起きるのでしょうか。それともブームとして誇張した意見が多いだけなのでしょうか。真実か誇張か、こちらについて確認していきましょう。
シンギュラリティの議論と現実性
シンギュラリティとは人工知能（AI）が進化によって人間の知能を超え、人類のコントロールを離れてしまうという仮説です。シンギュラリティが訪れる時期についてはさまざまな意見がありますが、2045年ごろに起きるとする意見が多くなっています。
では、シンギュラリティは本当に起こるのでしょうか。結論、シンギュラリティが本当に起こるのかどうかは分かりません。研究者間でも、シンギュラリティを支持する側はAIの急速な発展を根拠にシンギュラリティが実現可能であると主張しています、否定する側はAIの限界や人間のコントロールの可能性を主張しています。
AIの専門家の意見が分かれており、どうなるのかは予測できていません。しかし、どちら側もAIは進化し続け、より生活に浸透していくといった意見は共通しています。著名な研究者の意見は下記のとおりです。
▪ヴァーナー・ヴィンジ：2023年までには人間を超える知能が作られる（1993年発表）
▪レイ・カーツワイル氏：2045年にAIは人間の知能を超える
▪野村直之：2029年には少なくともシンギュラリティはこない
また、シンギュラリティが起こる派と起こらない派の意見は下記のようになっています。
▪起こらない派：三宅陽一郎、新井紀子、ジェリー・カプラン
▪起こる派：孫正義、スティーヴン・ホーキング、イーロン・マスク
このように意見がかなり分かれているものです。AI自体ではなくハードウェアの性能について言及していることもあり、今後どのようになっていくのかは統合的な判断が必要になります。
AIによる仕事の奪取の実際
AIは仕事を奪うといった主張が多く見られますが、こちらは実際に起こるのでしょうか。こちらは一部の仕事はその通り奪われる可能性が高いです。特に、単純作業やルーチンワーク作業はAIによって自動化されやすいものになっています。
ただし、AIの進化によって新たな産業が創出されるといった意見も多いです。そして、新たな産業ができるとそこに人の手が入ることは間違いありません。また、そもそもAIを作る人やコントロールする側はAIが普及・進化したとしてもなくせないものです。
つまり、職種として奪われることはありますが、人間の職種すべてが奪われる可能性は低いと言えます。職種として消える可能性はあるため、柔軟に対応できる能力は今後さらに求められていくでしょう。
AIと人間の共存と未来
AIが人間と共存する場合、どのような未来が待っているのでしょうか。ここでAIがより普及した世界がどのようになっているのか予想を考えていきましょう。
AIが生み出す新たな職業と産業
まず、AIの開発や運用に携わる職種は今後増えていく可能性が高いです。現在でもAIエンジニアといった職種はありますが、さらに発展もしくは細分化される可能性があります。さらに、エンジニアリングをする前にどのようなAIを開発すればよいのかコンサルティングをおこなう会社も増えてきています。会社例は下記のとおりです。
・アクセンチュア
・IBM
・EYストラテジー
・アビーム
これらはコンサルファームとして上位企業であり、そのような会社からAIコンサルタントをスタートしています。
また、AIを活用したサービス提供も増えていくでしょう。例えば、自然言語処理ができるChatGPTはサービス例の1つです。現在もAIを導入しているサービスは多数ありますが、今後はさらに多くの人が手軽に組み込むことができるようになる可能性が高いです。AIサービスに関する会社には下記のようなものがあります。
・Appier Group（売上高19,426百万円）
・PKSHA Technology（売上高13,908百万円）
・ブレインパッド（9,797百万円）
つまり、これらの企業に属する人はAIによって新たに生まれた職業に就いている人たちです。徐々に変わっていくため分かりにくくはありますが、このようにAIによって仕事は着実に増えています。
さらに、AIの倫理に関する職業も増えていく可能性が高いです。これはAIに人間の倫理観を教えるのはもちろんのこと、AIを利用する企業や個人に適切な使いかたを教えるなども仕事になるかもしれません。このようにAIによって新たな職業・産業が生まれる可能性が高いです。しかし、どれもAIに対して深く理解しておくことが必要になっています。
たとえば、現在でも倫理法人会があり、倫理の指導をおこなっています。しかし、現在は人間同士の倫理について指導をおこなっている場合が多いです。しかし、今後は人間にとっての倫理を熟知し、AIなどのテクノロジーにも知見がある方が両者を組み合わせた指導を提供していくようになるでしょう。
AIと共生する未来
AIと共存すると下記のようなメリットが出てきます。
・人間の能力を補間
・人間の生活を豊かにする
まず1つ目は、AIは人間よりも高速で大量のデータ処理や複雑な判断を行うことができます。人間の手でおこなうと時間がかかってしまいますよね。このように大量処理が苦手な人間の手助けとなるのです。
2つ目は、生活をさまざまな面で便利・快適なものにしてくれる可能性からきています。例えば、現在でもAIを活用した医療診断によって健康を保つことを手助けしています。また、近い将来、自動運転によって移動中にも時間を持てるようになる可能性が高いです。このように自分が持てる時間を増やす、健康性が向上するなど日常的な生活においても関わってくるようになるでしょう。
