現在、AIは急速に発展しており、さまざまなサービスに導入され始めています。しかし、AIは適用できる幅が広いことから全容を掴むことがなかなか難しいです。そのため、AIのできることや活用法を知るためには各分野における進化の歴史や最先端事例を知ることが必要になります。
そこで、ここでは各分野におけるAIの導入例について詳しくご紹介します。AIについて深く知りたいとお考えの方は、ぜひご確認ください。
日常生活でのAIの活用例
AIは日常生活で利用するようなものにも多く導入されています。とくに、日常生活の人工知能としては音声アシスタントと交通システムのシーンでよく見られるものです。では、これらの人工知能はどのような人工知能があり、進化を遂げているのでしょうか。ここで確認してみましょう。
音声アシスタントの進化
音声アシスタント機能は人工知能が人間の言葉を理解し、それに沿った適切な回答をおこなう人工知能です。もっとも身近なものにはiPhoneの音声アシスタントSiriが挙げられます。
Siriはアメリカ国防高等研究計画局が兵士をサポートするためのプロジェクトとして開発が始まりました。現在ではAPI公開などの動きもあり、よりさまざまなサービスに組み込まれています。
また、Google社が出しているGoogle Assistantも有名な音声アシスタントの1つです。Google AssistantはGoogle社が出している他のサービスと連携が可能であり、カレンダーへの予定登録などが可能になっています。
このように音声アシスタントは他のサービスとも連携する動きが多く見られ、より便利になっています。現在でも音声認識などの精度は非常に高いですが、今後はさらなる高精度化が起こり、より滑らかな会話ができるようになることが予想されます。
交通システムの進化
交通システムとしてはデマンド交通の導入が進んでいます。デマンド交通とは後愛タクシーのようなものであり、自分の好きなタイミングで好きな場所に送迎してもらえるといったサービスです。現在は利用範囲などが限定されていますが、より普及していくと全国的にも利用できるようなサービスになるでしょう。
また、環境シミュレーションとして国や自治体も導入することが多くなってきています。たとえば、シミュレーションソフトの1つであるAimsunは国内では金沢都市圏、海外ではパリでの導入事例があります。
交通は日常生活で深く関わり合ってくるものです。そして、交通は無駄な時間がどうしても生じやすくなってしまいます。これらの観点から交通環境への人工知能の導入は今後も進んでいき、より多くの人の「移動」といったものが便利にすることができるようになっていくでしょう。
ビジネスでのAI活用例
人工知能は便利かつこれまでになかった価値を出すことができることからビジネスでも多く利用されています。とくに利用されているシーンとしては業務の自動化とヒューマンエラーが挙げられます。これらにおいてどのような形で利用されているのかを確認してみましょう。
業務の自動化
AIによる業務の自動化には以下の2つの主な方法があります。
1.ルールベース型の自動化
ルールベース型の自動化ではあらかじめ定められたルールに基づき、業務を自動化していきます。例えば、顧客からの問い合わせの対応や請求書の処理など定型的な業務を自動化するために用いられることが多いです
2.機械学習型の自動化
機械学習型の自動化では、過去のデータを学習して業務を自動化します。例えば、商品の売れ行きの予測や顧客の購買行動の分析など、データに基づいて業務を自動化するために用いられます。
前者は過去の無駄であった作業を省き、後者では考える時間などをできるだけ削減するために用いられているものです。前者はある程度ソフトウェアとして確立されたものが販売されており、後者はさまざまな企業が研究をしている段階になっています。ただし、機械学習型も現時点で優秀な成果を出しており、導入する企業が続々と増えています。
具体的な製品としては、ルールベース型は契約書の入力やレビューを自動化するLegalForce、顧客がいつ購入するのかのイベントを予測するPredictive Events などがあります。
ヒューマンエラーの削減
ヒューマンエラーは人間の手で起こされるエラーの総称です。機械の故障などと違って人間のミスというものは予測が難しいものであるため、事前に防ぐことが難しいとされていました。しかし、現在ではヒューマンエラーが大きな影響を及ぼす可能性が大きくなっていることから、なるべく人工知能によって減らそうといった動きが見られます。
たとえば、製造業では人工知能を活用し生産ラインの監視や品質管理などの業務を自動化しています。これによって人間によるヒューマンエラーのリスクを低減し、生産性の向上や品質の向上を図っています。
このようにヒューマンエラー自体を予測するのではなく、ヒューマンエラーが起こりそうな作業を人工知能で代替もしくは監視することで減らすものが多いです。
未来の人工知能技術
人工知能の技術は現在でも急激に進んでいます。その進化は比例どころではなく、指数関数的に上昇しており、近年では昨日と今日の性能が大きく異なることも少なくありません。では、今後の人工知能はどのようになっていくのでしょうか。とくに人工知能の適用が重要と言われている医療分野と災害対応における進化を確認してみましょう。
医療分野での進化
医療分野における人工知能の進化は目覚ましい勢いで進んでいます。人工知能は膨大なデータの処理や分析が得意なため、医療分野では画像診断や創薬、遠隔医療などさまざまな分野で活用されています。
たとえば、画像診断であれば人間の医師では見落としがちな病変や異常を検出することが可能です。レントゲンやCT、MRIなどの画像から、がんや脳卒中などの病気を早期に発見するAIが開発されています。
具体的な製品としてはGoogleのAIヘルスケアがあり、こちらでは乳がんの早期発見に高い精度を発揮することが実証されています。医療は医師がおこなうべきものといった考えもありましたが、近年では人工知能の精度の高さから技術の導入が次々と進められています。
災害対応の進化
災害対応における人工知能は大きく分けて4つの分野で利用されています。
1.災害予測
気象データや地質データなどの膨大なデータを分析することで災害の発生を予測するサービスが開発されています。例えば、Google社が開発した「FLOOD AI」では気象データや地質データから洪水の発生を予測することが可能です。FLOOD AIは2022年の豪雨災害で洪水の発生を正確に予測することに成功しています。
2.被害状況の把握
衛星画像やドローン画像などのデータを分析することで災害の被害状況を迅速に把握することも可能です。例えばNASAが開発した「Planet Labs」は衛星画像から災害の被害状況を把握することができます。本サービスは2023年の地震災害において被災地域の被害状況を迅速に把握することに成功しました。
3.救助・復旧活動の支援
こちらは人工知能とセンサーやロボットなどの技術と組み合わせることで、救助・復旧活動を支援することが可能になっています。実際の例としてはドローンベンチャーの「Zipline」はドローンを使って医薬品や食料を被災地に届けるサービスを提供しています。
4.防災教育・啓発
人工知能とバーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)などの技術と組み合わせることで防災教育・啓発に活用することもおこなっています。米カリフォルニア大学バークレー校が開発した「Virtual Wildfire Experience」ではVRを使って森林火災の恐ろしさを体験できるシステムです。このように人の意識を変える面でも利用されています。
これらのように災害体側にも人工知能は深く関わってきています。さらに、他の分野としても製造、金融、交通などでも人工知能の普及は広まってきており、今後も発展する可能性が高いです。現在はあまり実感がないかもしれませんが、今後はより直接的に人工知能の恩恵を受けるような生活になっていく可能性が非常に高いでしょう。