ここ最近で人工知能といった言葉をよく聞くようになりましたが、現在までどのように発展してきたのでしょうか。実は、人工知能は古い歴史を持っており、昔から研究され続けてきた分野です。ここで人工知能の歴史と発展について知り、最後に今後どのようになるのかを考えていきましょう。
人工知能の誕生と初期の発展
人工知能はどのように誕生し、初期段階ではどのようなアプローチが取られていたのでしょうか。実は、人工知能は意外と古い歴史を持っているものです。ここで人工知能はどのような目的で作ろうとされ、その目的は達成されたのかを確認してみましょう。
人工知能の誕生
人工知能は1956年に行われたダートマス会議が出発点とされることが多いです。ダートマス会議では「機械が人間のような知能を持つことが可能か」という研究が始まりました。本研究では目的からわかるとおり、機械が人間のように考えることを目指しており、人間を再現することに着目されています。この時点では推論と迷路やパズルのようなものの探索が主な研究対象です。
また、この際にアメリカの計算機学者であるジョン・マッカンシーが人工知能を「人間の脳に近い機能を持ったコンピュータープログラム」と定義しています。現在は一般社団法人人工知能学会設立趣意書が「大量のデータに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」とより具体的に定義しています。しかし、一般的に人工知能と聞くと思い浮かぶものは当時の定義がもっとも近しいかもしれません。
初期の人工知能の研究
この時代の研究では、事前にプログラムされたルールや知識をもとにコンピュータが問題を解決するルールベースと呼ばれる手法が主に用いられました。また、プログラミング言語でありLISPの開発などもなされています。その結果、簡易的なものであれば機械が問題を解くことができるようになり、さまざまな成果が挙げられました。
しかし、当時の主な手法であるルールベースでは限定的な問題しか解決できず、人間のようにあらゆる問題に取り組むことは実現できませんでした。具体的には下記の2点がルールベース手法の限界とされています。
・人間が想像したルールを必ずしもコンピュータ上で表現できない
・人間が考えたルールにはある問題を識別する上で完全でない
人工知能の停滞と再浮上
初期の研究はプログラミング言語の開発、さまざまな研究者が取り組んだことなどからさまざまな成果が挙げられました。しかし、簡単な問題に取り組むことができるようになった後には複雑な問題の壁に当たってしまいます。では、この時代はどのような取り組みであったのかを確認してみましょう。
人工知能の落差と停滞期
ルールベースで解決できる問題が限られていることが判明したのち、AI分野は研究がしばらく止まってしまっています。とくに、会社の売り上げをどう改善するのかといったように不確定要素が多い問題に対しては解決することができていません。しかし、人間がAIを用いて解決したい問題はこのように不確定要素が大きいものであったりします。
その結果、研究が急激に停滞し、1960年代からはAI冬の時代とも呼ばれるほど研究が滞りました。実際に、この時代は研究者がAIに対する興味がなくなってしまったという意見も多く見られます。また、AIの限界を知ったことから投資家からの投資も減り、資金面から研究を続けるのが難しくなったことも1つの要因です。
さらに、研究者が考えたことが当時のコンピュータでは処理できなかったことなども研究が進まなくなった原因として考えられています。実際に、1960年代のコンピュータは数十キロバイトのメモリしか持っていないことも多く、複雑な問題を解かせるのに十分な性能を持っていませんでした。
機械学習の登場と人工知能の再指導
一度は停滞してしまったAI研究ですが、その後、機械学習が出てくることによって再度盛り上がりを見せました。機械学習はコンピュータ自らがデータより学習していき、問題解決させる技術です。1980年代に登場したこの機械学習によって人工知能は柔軟な思考や予測がおこなえるようになっています。
そして、機械学習の登場は研究者や投資家が再度AIに注目する要因にもなり、さまざまな研究がされるようになりました。このブームは第二次AIブームとも呼ばれ、非常に多くのアルゴリズム・技術が開発されています。また、第一次AIブームの着眼点が推論・探索であったのに対し、第二次AIブームでは知識表現が主な着眼点となっています。
しかし、当時の技術ではコンピュータ自身が知識を蓄えることはできず、人間が大量のデータをインプットすることが必要でした。このことから応用先がやや限られ、この時点ではAIですべてのことをおこなうのは不可能とされてしまいました。
大量のデータさえ与えればさまざまな問題にアプローチすることができるため、現実世界への導入も多数検討されるようになった時代でもあります。しかし、ブームの最中と比べると研究事例も少なくなり、第一次ブーム後のように再度冬の時代を迎えてしまいます。
最新の人工知能と未来
近年、人工知能という言葉をよく聞くようになりました。よく聞くことになったことからわかるとおり、現在は人工知能に注目が集まっており、第三次AIブームの最中ともいわれています。では、現在AIはどのように改善されているのでしょうか。また、今後はどのように進化していくのでしょうか。ここで現在について、未来について確認していきましょう。
現在のAIの進化と応用例
現在ではAIは非常にさまざまな分野へ導入されています。たとえば、自動運転やスマホの音声認識は人工知能の応用例の一種です。最近ではAIが病症や原因を追究するサービスも出てきました。これらは前述の機械学習にくわえ、人間の脳を模した機械学習であるディープラーニングによって実現しています。
また、コンピュータの処理能力が向上したことにより、機械学習やディープラーニングにおける複雑な計算をおこなえるようになっています。研究の初期段階では性能上実現できなかったものが、人工知能ではなくハードウェア側で実現ができるようになったのです。また、インターネットの普及によって最新の情報が容易に得られるようになったことも一因でしょう。
AIの未来:シンギュラリティとその先
AIは急速に発展しており、いずれシンギュラリティを起こすとされています。シンギュラリティとはAIが人間の知性を超え、人間の理解を超えた領域で動き出す現象です。
そして、シンギュラリティは2045年ごろに起きるという説があります。2045という数字はアメリカのレイ・カーツワイルが提唱したものであり、具体的な時期については多くの議論があります。しかし、シンギュラリティが起きると予想している研究者は決して少なくなく、いずれ起こる可能性が高いです。
もし、シンギュラリティが来ると人間にとって喜ばしくない行動をAIが取ってしまうかもしれません。制御できれば良いのですが、AIが制御自体にロックをかけてしまう可能性もあります。
しかし、AIによって私たちの生活が便利になっているのも事実です。同時に論理的な問題や社会的な影響についても考え、人間にとって有用なAIの開発を目指さなければなりません。AIが私たちの生活にどこまで影響を及ぼすのか、AIとはどのように付き合っていくべきかを考えながら今後の動向を確認していきましょう。