人工知能（AI）は急激に発展をしているものであり、私たちの生活にも深く関わるようになってきているものです。そして、同時に「AIは人間の仕事を奪う」という意見も多く見られます。これは本当に起こりうるのでしょうか。また、起こるとすればなぜ起こるのでしょうか。
ここではAIと私たちの仕事についての関係性について解説します。AIに仕事を奪われるのか不安に感じている方、どのような仕事であれば奪われないのかを確認したい方は、ぜひご確認ください。
人工知能と現在の仕事場
人工知能は現在の職場にどのような影響を与えるのでしょうか。現在は便利と感じている人工知能ですが、実は自分の仕事を奪ってしまうものかもしれません。ここでAIの進化と影響について確認していきましょう。
AIの進化と職場への影響
AIは書類作業などの単純な物であれば代替ができるようになっています。また、ある程度のものであれば「考える」といった作業も代替が可能です。そのため、現在でも多くの企業の業務でAIを導入しています。ただし、完全にAIに代替するといったよりはサポートとして導入している場合が多いです。
今後も与えられる影響としては下記のようなものがあります。
・雇用減少
AIが人間の代わりに単純作業やルーティンワークを自動化することでこれらの作業に従事していた従業員の雇用が減少する可能性があります。
・業務内容の変化
AIが導入されることで従業員の業務内容が変化する可能性があります。例えば、AIが導入されたことで従業員はより創造的な業務や人間の感性・判断が求められる業務に従事するようになる可能性が高まっています。
・新たな職種の創出
AIの導入により新たな職種が創出される可能性があります。例えば、AIの開発や運用、AIの活用を支援する業務などです。つまりAIを扱う側の仕事が新しい職種として確立される可能性が高いのです。
人間とAIの協働の可能性
人工知能（AI）の進化により、人間とAIが協働する機会はますます増えています。たとえば、前述の仕事の代替は人間の代わりに単純作業やルーティンワークを自動化するものであり、人間と機械の得意領域をわけてそれぞれが作業する協働の1つです。また、考える材料をAIに用意してもらい、最終的な出力は人間がおこなうのも新たな共同の形と言えます。
現在は仕事の分担といった面が大きいですが、今後は人間の精神的な面にもアプローチできる人工知能は出てくる可能性が非常に高いです。たとえば、その日の悩みを聞いてくれる家庭ロボットなどができると日常生活面での協働がおこなえるようになります。現在はビジネスで用いられていることが多いですが、一家に一台は人工知能があるといった世界も遠くはありません。
AIによって影響を受ける職種
AIは仕事に大きな影響を与えますが、影響を受ける仕事と受けにくい仕事というものが存在します。では、大きな影響を受ける職種にはどのようなものがあるのでしょうか。まずは影響を受けやすいと言われている仕事について確認していきましょう。
AIによる単純作業の自動化
AIは単純作業が得意です。そのため、AIによって自動化がおこないやすいような仕事は影響を大きく受けると言われています。
たとえば、仕事でデータを入力するような仕事があった際、それは本当に人間の手でおこなうべきでしょうか。単なる転記であれば人工知能のほうが早く確実に作業がおこなえるはずです。日常の仕事において人間の考えを用いていない単純作業は人工知能によって自動化が図りやすい作業になります。
その他にも、AIが代替しやすいものとしてよく言われる例としては下記のようなものがあります。
・データ入力
・コールセンター
・製造業における組立作業
・物流における倉庫作業
・書類処理
・データ分析
また、下記のようなものは人間よりも高精度になってきていることから代替が進むと言われています。
・医療における画像診断
・金融におけるリスク評価
・交通における渋滞予測
・マーケティングにおける需要予測
AIが切り開く新しい職種
AIが普及するとAIを開発する立場もしくは運用する立場の職種が発展すると言われています。具体的には下記のとおりです。
・AIエンジニア
AIのアルゴリズムやシステムを開発する職種です。AIエンジニアは常に最新の知識やスキルを身につけ、適用することが求められます。
・AIアナリスト
AIを活用してデータの分析や予測を行う職種です。AIアナリストにはデータ分析や統計学などのスキルが求められます。従来のアナリストにAIを積極的に用いている職種です。
・AIコンサルタント
企業や組織に対してAIの導入や活用を支援する職種です。AIコンサルタントにはAIの技術やビジネスの知識が求められます。すべての人がAIに対して知見を持っているわけではないため、これから需要が伸びていくと予想されています。
・AI倫理専門家
AIの開発や運用において倫理的な問題を検討する職種です。AI倫理専門家にはAIの技術や倫理学の知識が求められます。上記ら職種のようにプログラマー的な知識ではないような仕事も新たに出てくる可能性があるのです。
また、これら以外のものも従来の業務とのかけ合わせによって新たな仕事が生まれる可能性は高いです。ただし、どの職種においてもAIに対する知見は必須になる可能性が高いでしょう。
AIに代替されない職種とスキル
AIに代替されない職種にはどのようなものがあるのでしょうか。また、それらにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。ここで確認し、今後身に着けていくべきものを知っていきましょう。
創造性と人間性が求められる職種
AIに代替されない職種の代表例として創造性と人間性が求められる職種が挙げられます。下記のような職種では人間ならではの価値を発揮することが求められるため、代替されにくいです。
・クリエイティブ職
デザイナー、イラストレーター、作家、音楽家、芸術家など
・対人サービス職
医師、看護師、保育士、介護士、教師、コンサルタントなど
・交渉・折衝職
営業、コンサルタント、弁護士、外交官など
・複雑な問題解決職
研究者、エンジニア、経営者など
これらの職種では、以下のスキルが求められます。
創造性とは新しいアイデアを生み出す力です。AIは膨大なデータからパターンを抽出することは得意ですが、新しいアイデアを生み出すことはあまり得意ではありません。そのため、創造性を発揮できる人材はAIに代替されにくいと考えられます。
人間性とは、共感力、協調性、コミュニケーション能力など人間ならではの資質や能力です。AIはルールに基づいて判断することは得意ですが、人間の感情や価値観を理解することは得意ではありません。そのため、人間性を備えた人材はAIに代替されにくいでしょう。
AI時代に求められるスキルと資格
AI時代はAIを上手く使うことができる能力、もしくはAIがおこなえないものが必要です。具体的には下記のようなものがあります。
・データサイエンス
データ分析、機械学習、統計学など
・プログラミング
・グローバルスキル
英語力、異文化理解など
・ビジネススキル
マーケティング、ファイナンス、経営など
また、資格には下記のようなものがあります。
・データサイエンティスト検定
・G検定
・E資格
・TOEIC
AIを用いた仕事をおこなっていくのであれば、AIに関する資格は1度勉強してみることをおすすめいたします。
未来の仕事場
AIは未来の仕事場を大きく変える可能性が高いです。では、具体的にどのような産業が未来を大きく変えていくのでしょうか。また、人とAIが共存するためにはどのようなことが重要なのでしょうか。最後にこれらについて確認しておきましょう。
AIと共に成長する新しい産業
まず、AI産業自体は発達していくことが予想されます。また、AIはプログラムなどの技術と関わりが深いことから最先端の技術を扱っている産業がまず成長する可能性が高いです。ただし、それら業界が他の業界に対するサービスを展開していく可能性が高いことから、最終的には多くの業界が成長していくと予想されます。
人とAIの共存の重要性
AIは人間の代わりにすべての仕事を担うことはできません。AIは人間の代わりに単純作業やルーティンワークを自動化したりデータ分析や予測を高度化したりすることは得意ですが、人間の創造性や人間性には及ばないからです。
そのため、AIと共存していくためには人間がAIの得意なことと不得意なことを理解し、AIを活用しながら人間にしかできないことに注力していくことが重要です。
具体的には以下のような点が重要になります。
・AIの得意なことと不得意なことを理解する
・AIを活用しながら、人間にしかできないことに注力する
・AIと人間の協働を円滑に進めるためのルールや仕組みを整備する
とくに最後の部分は現在の時点で非常にあいまいであるため、国や企業全体が一丸となって取り組んでいくことが重要です。
