〜物流問題は経営問題!〜【共同配送の実現に向けて】

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はじめに

皆さんは”共同配送”という言葉をご存知でしょうか?共同配送とは、複数の物流企業が1つのトラックやコンテナに同じ届け先の荷物を積載・配送することを指します。

共同配送が実現されれば、物流の2024年問題をはじめとする様々な問題解決に近づくと期待できる一方、企業間の連携は簡単ではなく、実現に向けては様々な障壁が存在しています。

今回はそんな”共同配送”について、食品メーカー共同物流の企業化を実際に実現させたF-LINE株式会社で初代代表を務められておりました、現在は株式会社ミヤマプロジェクト代表の深山隆氏に貴重なお話をお伺いしました。

本記事を通じ、日本の物流の未来について皆様と一緒に考えていければ幸いです。

F-LINE株式会社の立ち上げについて

2016年(平成29年)には先行する『F-LINE準備室』の顧問として就任、食品業界初めての試みである、メーカー5社共同出資の物流会社「F-LINE(株)」の立ち上げに着手、2017年4月に、地域法人として2法人の北海道・F-LINE(株)、九州F-LINE(株)両社の代表取締役社長に就任いたしました。

2019年にはその「F-LINE(株)」を全国統合し、食品日用品業界の『永続的な物流競争力』獲得のための物流プラットフォームである新生・F-LINE株式会社を構築し、2021年6月まで代表を務めました。

立ち上げ初期は九州・北海道にて約200名程度の従業員メンバーからスタートしましたが、2019年には全国統合により、1,000名程度まで従業員が増えました。ここでは旧来の”物流”の様々な常識の壁を超えて「超・物流」を目指し、「共同化」と「標準化」をベースに、新しい仕組みづくり、新しいシステムやテクノロジーの導入や物流人財開発等、積極的に取り組みました。

任期中に達成出来たこと・達成したかったことについて

北海道と九州での共同モデルの構築は達成できました。特に九州では福岡に一大拠点となる、物流ステーションを建設し、ローカルメーカー、日用品メーカーを含む23社様との「共同物流(配送、保管)」を実現させることができました。

一方で、この共同モデルの構築を本州でも横展開したかったのですが、当時はコロナの影響が始まり、時間的にも達成することが叶いませんでした。こちらは現在のメンバーが引き続き進めてくれていますので、これからに期待しています。

共同物流の実現に向けて

共同物流を実現するためには、3つの「共同」が重要だと考えています。

1.共同幹線
2.共同保管
3.共同配送
(各地域についてからの「地域配送」というテーマもありますが)

この3つをどのように組み立て、どの順番で着手していくかのかを最初にしっかりスタディすることが鍵だと思います。

これらに加え、本来”物流はどうあるべきが”という大義名分をしっかり持ち、その大志を基に荷主(発荷主、着荷主)と物流会社の各々が協力しあっていくことが大切ではないでしょうか。

物流の2024年問題について

物流の2024年間題の背景には荷主側との従属的かつ多重的な業界構造が影響していると思います。
日本のトラック事業者6万社のうち約8割の5万社は20台以下の小規模な会社とされていますが、このような零細~中小企業が業界の「基盤」であり、荷主隷属的な業界構造と価値観が本問題に起因しているのではと強く感じます。

ただ、荷主側だけの改革で全てが解決されるということではありません。
総じて、企業における物流担当者の社内的地位はまだまだ低く、どうしても物流単価志向だけになりがちで、新しく強くて永統的な物流を考えるためにも担当者任せにしない、経営全体、さらには社会全体でこの多重的で隷属的な価値観、安直な物流単価志向を改善していく必要があると感じています。

こうした元々あった物流業界の構造的課題や「意識の問題」が今回”2024年問題”として露呈したものだと思います。したがって、これを機に「構造」と「価値観」という根本的な改革がなされることを期待しています。

CLO(最高物流責任者)の選任義務化について

大変良い動きだと思います。ただ、これまでの延長では難しいと感じています。
例えばCLOには権限をしっかりと与え、会社全体が“物流問題は「経営課題」”という意識を持つことが重要になると思います。

そのためCLOというポジションには中長期の経営的な視点と総括的理解ができる人材を配置することが必要になると思いますが、一円でも上がると怒られてきた旧来の物流関連部門には、なかなか、そういう人材は少なく、あらためて、物流経営人材の育成も急務になってくると考えています。

日本と海外との違いについて

例えば、ドイツをはじめとするEU物流では、「標準化」が基本思想であり、パレットのサイズさえ標準化やその他モジュールの仕組み化がしっかりと根付いています。日本はこういった先進的な「標準化」取り組みから学ぶべき点はまだまだ多くある様に感じています。
「標準化」はツール、モジュールにとどまらず、包材、作業(オペレーション)まで貫かれており、「簡素化」を含めたシステムになっています。

一方で、多重検品、多種多数伝票などの”過剰品質”は日本の物流の特徴とも言えます。
もちろんこれは日本の「慎重さ、丁寧さ」とも言える部分であると思いますが、やはり抜本的見直しは必要です。

また近年、東南アジアでは、日本のコールドチェーンの技術・ノウハウを学びたいという声が多くなってきています。日本の冷凍食品・チルド食品は素晴らしいという評価は、アジアの「モダン・トレード(スーパー、コンビニ)」企業からよく聞きます。

日本の物流の良い点や強味は、経済発展の渦中にある国々で伸ばし、役立たせ、他方、悪しき慣習や過剰物流品質などは「標準化」「簡素化」という見直しを行うべきです。そうした観点から、物流業界はもちろん、社会全体の理解と働きかけが強まっていくことを期待しています。

今後の展望について

低温系の共同配送を目指して、まずはプレイヤーを集めて「場づくり」をしていきたいと考えています。
すでに、大手低温系食品メーカーの「研究会」などが立ち上がってますが、中小メーカー、日配低温の方々も含めた、業界の動きをお手伝いしていきたいと考えています。

物流業界には様々な問題がありますが、荷主(発荷主、着荷主)、物流会社の全員が同じ方向を向いて考え、知恵を出し合い、「物流改革」の世論をもっと盛り上げていきたいですね。

株式会社ミヤマプロジェクト:https://www.tax-miyama.com

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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