この記事を読んでいる方の中には
「バッテリー液の適切な補充方法と安全対策について知りたい」
「バッテリー液の補充のタイミングと必要性を理解したい」
このように思われている方も多いのではないでしょうか?
この記事を最後まで読んでいただければ、上記の悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
バッテリー液補充の基本
バッテリー液がなぜ必要か、準備する道具のリストとその使用方法について解説します。
バッテリー液補充の必要性
バッテリー液には、充放電の過程において、正極・負極間における硫酸分の動きを媒介させる役割があります。また、極板が空気中に露出してしまい劣化したことでバッテリーの寿命が短くなってしまったり、爆発したりするのを防ぐのもバッテリー液の役割です。
バッテリー液を補充せずに不足した場合、火災や爆発につながる恐れがあります。液面が下がり過ぎた場合、普段であればバッテリー液で覆われている金属部分が露出してしまい、劣化を早めてしまいます。
また、バッテリー液が少ない状態では、水素を発生させる量が多くなり、エンジンルームにバッテリーから生じた水素が充満することで、火災につながってしまう可能性があるため注意が必要です。
補充前の準備と必要な道具
バッテリー液は希硫酸という、精製水と硫酸を合わせた液体でできています。精製水が無く、代わりに水道水を利用しようとする方もいますが、このような行為は絶対にやめましょう。
水道水は、カルシウムやナトリウムを含んでいるため、バッテリー性能が低下してしまう場合があります。蒸発などにより、不足した分だけ精製水を補充すれば問題ありませんが、精製水を足し過ぎてしまうと、希硫酸が薄くなります。
そのため、補充の際には、高純度にバランス良く精製されている、専用のバッテリー液を購入して下さい。
バッテリー液以外に補充で必要なものは、以下の通りです。
スポイト
バッテリー液の補充では、液を多く補充してしまった際にスポイトを使うと便利です。
スポイトは100円ショップで購入でき、液を入れ過ぎた際に抜き出すために使います。そのため、適量を確実に補充できるのであれば必要ありません。
バケツ
こちらは、上記のスポイト同様、バッテリー液を多く補充しすぎてしまった際に使用します。入れ過ぎてしまった分をスポイトで吸い取り、液を入れる用途で使います。
この際は、事前にバケツに水を張ることで作業後の処分が楽になるためおすすめです。
手袋
バッテリー液は、前述したように希硫酸と呼ばれる硫酸の一種が使用されており、濃度が約35度あるため、取り扱い時は十分に注意する必要があります。
万が一バッテリー液を素手で触ってしまった場合は、できるだけ早く手を洗い、痛みなどが生じる場合には皮膚科を受診してください。
また、バッテリー液が服に付着した場合、早めにすすげば問題ありませんが、場合によっては服に穴が開くこともあります。
そのため、バッテリー液を取り扱う際は、手袋をしっかりと装着し、万が一穴が開いてしまっても問題ない服で、十分に注意しながら行うようにしましょう。
ゴーグル
バッテリー液から自分の目を守るために、市販で売られているもので問題ありませんので、ゴーグルも用意しておきましょう。
ゴーグルでなくても、普段メガネをかけているから大丈夫と思われる方もいますが、メガネの場合、側面が開いているため、そこから液が入ってしまう可能性があります。
万が一目の中に液が入った場合、重度の障害や、最悪の場合失明してしまう可能性もあるため、完全に目の周囲が覆えるゴーグルを用意しましょう。
正しい補充手順
バッテリーの液面を確認する手順と、精製水を使い安全に補充する手順について解説します。
液面の確認方法
バッテリー液の残量を確認したい場合、バッテリー側面部分の窓から確認が可能です。
側面の窓にはLOWER(下限)とUPPER(上限)の2本の線があり、横から見た際に液面が2本線の間になければなりません。
エンジンルームが暗く、残量が確認しにくい際は、反対側から懐中電灯などで照らして確認しましょう。
それでも液面が見づらい際は、最終手段ですがキャップを取り外し、割り箸などを差して残量を確認する方法があります。
しかし、この方法はバッテリー液が飛び跳ねて、火傷や失明したりする危険があるため、万が一この方法で確認する場合は、細心の注意を払って行ってください。
安全な補充方法
バッテリー液を補充する際には、必ず事前に以下3点を確認する必要があります。
確認するポイント
– エンジンは停止されているか
– キーはオフ状態になっているか
– エンジンを止めて時間を置き、ボンネットは開かれているか
エンジンルームは高温になっているため、エンジンを切ってから時間を置く必要があります。車両を停止してすぐに触ってしまった場合、火傷する可能性が高いです。
安全に補充するためにも、上記3点について必ず確認した上で補充するようにしましょう。
補充後の点検とメンテナンス
補充後に確認すべき点と、定期的なメンテナンスの重要性について解説します。
補充後の確認事項
バッテリー液を補充した後は、入れすぎていないか必ず確認してください。補充する際は、液面が必ずLOWERとUPPERの間になるように補充します。
LOWERより液面が低い場合、バッテリー性能が劣化してしまう可能性があります。
UPPER以上のバッテリー液を補充しても、逆に性能が劣化してしまうだけでなく、最悪の場合、バッテリー液が染み出すことで周辺が腐食してしまう可能性もあるため注意してください。
液は多く入れればいいわけではなく、適正量入っていることが重要なポイントです。
定期的なメンテナンスの重要性
バッテリー液が減少した状態で鉛バッテリーを使用し続けた場合、爆発する可能性があり非常に危険です。バッテリーの極板がバッテリー液で覆われていないと、極板が露出され腐食してしまいます。
そのまま使い続けた場合、腐食部分から火花が生じ、充電によって発生した水素ガスに引火して爆発する可能性があります。液面に極板がしっかりと覆われている状態なら腐食や火花は生じません。
そのため、液面の点検、補水が不可欠です。バッテリー液量を定期的に確認し、LOWER LEVELより少なくならないよう注意してください。
近年では、自動車用バッテリーは極板にカルシウム合金を使ったタイプのバッテリーが多く使用されています。
このタイプは、自己放電が少量であり、液も減りにくいため、メンテナンスフリーと言われ点検する必要がないと思っている方も少なくありませんが、完全にメンテナンスフリーなわけではありませんので、定期的に点検する必要があります。
突然バッテリーが上がってしまうことのないように、定期的にバッテリー点検を行い、必要であれば補水や補充電を行うようにしましょう。
バッテリー液補充のよくある質問
バッテリー液補充のよくある質問と解決策について解説します。
バッテリー劣化が考えられる兆候はありますか?
バッテリーの劣化を疑うサインは、以下4つです。
– 白い粉が端子周辺に付着する
– 液量が下限より下にある
– 半年以内に液が減少する
– 液の減り方にバラつきがある
上記のようなサインは、バッテリーを使い始めてから2年以上経過した際に現れやすいです。
※当然、車両の使用方法により寿命や症状の発生タイミングは異なります。普段から運転をあまりしなかったり、ほとんど短距離走行だったりする場合、寿命が短くなり、バッテリーを交換する頻度が高くなる可能性が高いです。
バッテリー液量はどの位の頻度で確認した方が良いですか?
バッテリー液が減少することで、最悪の場合、爆発や火災につながってしまう可能性があります。そのため、バッテリー液は定期的に確認する必要があります。
月1回点検することがおすすめですが、少なくとも半年に一回は確認しましょう。特に、バッテリーの消耗の激しい季節の夏と冬が終わった後の、秋・春には必ず点検してください。