10tトラックと15tトラックの違い:特性と用途をわかりやすく比較

大型トラックである10tトラックと15tトラックの特徴や運転に必要なスキル、過積載や減トン、メーカーの特徴など解説します。

目次

10tトラック15tトラックの違い

10tトラックの特徴、使用用途、荷台の種類、15tトラックとの違いなどを解説します。

10tトラックの特徴と用途

10tトラックとは車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上の規格をもったトラックの総称です。車体が大きく安定感があり、高速道路での高速走行や長距離走行も安心して運転できます。
10tトラックはさまざまな荷台のタイプがあり、荷台がオープンになった平ボディトラック、荷台が箱状のアルミパネルで覆われているバンボディトラック、バンボディトラックのアルミパネルの荷台が羽のように開くウイングボディトラック、荷台が冷蔵庫や冷凍庫のような保冷機能付きの冷凍冷蔵車トラックがあります。小型トラックや中型トラックでは輸送できないような大量の荷物や大型の荷物を一度に輸送でき、おもに長距離輸送に広く使用されています。

平ボディトラックは大型の建築資材や工業資材、工作機械などの輸送に、バンボディトラック・ウイングボディトラックは水濡れ厳禁の食料品や食品材料、電化製品、電子部品の輸送に、冷凍冷蔵車は生鮮食品や冷凍食品の輸送に使われています。
10tトラックは荷台の形を変え、建設業界、電子機器メーカー、運送会社、食品メーカーなどさまざまな業界で幅広く活躍しています。10tトラックのエンジンは9000cc以上と、乗用車の4倍以上の排気量があるため力があり、重量のある荷物も安定して輸送できます。

15tトラックの特徴と用途

15tトラックは車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上の規格をもった10tトラックの最大積載量を増やしたもので、平ボディタイプであればおよそ14tまでの最大積載量があります。荷台のタイプは10tトラックと同じくさまざまな形がありますが、平ボディタイプではさらに大きな建築資材や工業資材の輸送に多く使用されています。

運転に必要な免許とスキル

10tトラックや15tトラックの運転に必要な免許やスキル、大型トラックの運転に対する注意点を解説します。

10tトラック運転に求められるスキルと免許

10tトラックを運転するには大型免許が必要になります。大型免許は車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員30人以上の車両を運転できる免許で、10tトラックや大型ダンプ、タンクローリーなどを運転できます。
大型自動車免許は21才以上で普通自動車免許などいずれかの免許取得から3年以上の運転経歴があることが取得条件です。

10tトラックの運転で、まず気を付けたいのは車両の重量の違いです。
乗用車と比べて10tトラックは車体が重いため、ブレーキをかけて止まるまでの距離である制動距離が乗用車よりも長くなります。

荷物を積載した場合は積載した分だけさらに車両重量が重くなるため、制動距離が長くなり追突事故を起こすリスクが高まります。普段から十分な車間距離を取り、とくに急な下り坂などではエンジンブレーキや排気ブレーキを使って早めの減速を心がけましょう。

また車両のサイズが大きいためバックでの駐車時はもちろん、高架橋をくぐる時にも車両の高さに気を付けましょう。さらに、大きな車体には運転席から見えにくい死角が多くなります。とくに車体の左側は見えづらいため、左折時には歩行者などを巻き込まないように注意しましょう。

15tトラック運転に求められるスキルと免許

15tトラックの運転には10tトラックと同じく大型免許が必要です。大型特殊車両や牽引トレーラーなどの車両を運転する場合は、別途大型特殊免許や牽引免許が必要になります。
10tトラックに比べさらに荷台の容量が増えるため、制動距離や内輪差の増加による追突事故、巻き込み事故にさらに注意が必要です。

過積載の罰則と減トンの効果と方法

過積載の罰則や最大積載量を減らす(減トン)する効果と方法を解説します。

過積載の法律違反と罰則

過積載とは車両に設けられた最大積載量を超える荷物を積載した状態のことです。
車両が通行する道路や橋などは定められた強度基準によって設計されているため、過積載の車両の通行は道路や橋などを損傷させる恐れがあります。
また過積載状態の車両は、重量増による制動距離の増加やブレーキの効きの悪化など、追突事故を引き起こす可能性が高まることに加え、車両バランス悪化によりセンターラインを越えるオーバーラン、カーブでの横転などさまざまな事故を引き起こす可能性があります。

過積載は道路交通法、貨物自動車運送事業法により、運転者や運送事業者はもちろん輸送を依頼した荷主も罰則の対象になる場合があります。大型トラック運転者への罰則は、超過割合5割未満で違反点数2点・反則金3万円、5割以上10割未満で違反点数3点・反則金4万円、10割以上で違反点数6点・6月以下の懲役または10万円以下の罰金となり、悪質な場合は事業許可の取消処分が行われる場合があります。

最大積載量を減らす方法とその効果

トラックなどの貨物車は最大積載量に応じて、自動車税や自賠責保険の金額が決まっています。荷物を目いっぱい積載する必要がなくなった場合などには、最大積載量を減らすこと「減トン」で自動車税や自賠責保険といったトラックの維持費を節約できます。
貨物車では最大積載量が2t以下のものと2tを超えるもので自賠責保険の金額が変わるため、目安にするとよいでしょう。

減トンの方法としては、フロントバンパーや荷台パネルを重量のあるものにする、ユニックなどのクレーンを架装するなどがあります。これは最大積載量が「車両総重量-車両重量-(乗車定員×55㎏)」であるため車両重量を増やした分、相対的に最大積載量を減らす方法です。この他にもタイヤをプライ数の低いものに変えて耐荷重を下げる方法がありますが、いずれにしても構造変更申請が必要になります。

10tトラックと15tトラックの選び方

トラック選びのポイントやメーカーごとの特徴を解説します。

ニーズに合ったトラック選びのポイント

大型トラック選びではまず、主な積載物の大きさ、重さを考える必要があります。輸送する荷物の大きさや重さで10tトラックか15tトラックかが決まるからです。大は小を兼ねるという考えで、積載物を大きく上回る積載量を持ったトラックを購入してしまうと、本来必要のない積載量の自動車税などを余計に支払うことになってしまいます。
車両本体価格だけでなく維持費などトータルでどのくらい費用がかかるか試算しましょう。

メーカーごとの特徴と違い

国内での主要なトラックメーカーはいすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうの3つがあります。

いすゞ自動車

いすゞ自動車はトラックの国内販売台数No.1を誇る老舗トラックメーカーです。かつてはトヨタ自動車や日産自動車と肩を並べ乗用車も製造販売していましたが、現在国内ではトラックの製造販売のみを行っています。
いすゞ自動車のトラックは高品質高性能のエンジンに定評があり、環境に配慮した圧縮天然ガス自動車(CNG)や液化天然ガス自動車(LNG)もラインナップされています。
いすゞの大型トラック「ギガ」は燃費性能と力強い走りを両立させたエンジンを搭載。運転席には新機能シートや大容量の収納を備えたハイルーフを採用し、プリクラッシュブレーキやブラインドスポットモニター、標識認識機能などの運転支援機能も充実。快適な運転環境とドライバーの負担軽減に大きく貢献しています。

日野自動車

日野自動車はトラックの国内販売台数No.2のトラックメーカーです。トヨタ自動車の連結子会社であり2tトラックでは圧倒的なシェアを誇ります。
日野自動車の大型トラックはエンジンの耐久性が高く故障が少ないこと、トラックのディーラー数が多いことなど、安心してトラックを使用できる環境が整っている特徴があります。日野の大型トラックである「プロフィア」はプリクラッシュセーフティーやレーンキーピングアシスト、ドライバー異常時対応システムを搭載し安心して運転できる環境を提供。

運転席は人間工学に基づいたシートや操作しやすく配置されたスイッチ類、移動や着替えを妨げないフラット化したフロアなど快適性を追求しています。9Lのディーゼルエンジンはターボモデルもラインナップされており、小排気量ながらパワーと燃費性能を両立し収益の向上にも貢献します。

三菱ふそう

三菱ふそうは三菱自動車工業からトラック・バス部門が分社化、独立したドイツのダイムラートラックの傘下のトラックメーカーです。2tトラックでは電動トラックであるeキャンターも販売しています。
三菱ふそうのトラックは他のトラックメーカーに比べて車両本体価格が安価で、費用を抑えられる傾向にあります。
三菱ふそうの大型トラック「スーパーグレート」は操舵や加減速などの運転操作をサポートするアクティブ・ドライブ・アシスト2、エマージェンシーストップアシストなどの運転支援システムを搭載。エンジンは10.7Lと7.7Lの2つの排気量がラインナップされており、走行環境や積載環境によって排気量を選べる特徴があります。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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