「荷物を送りたいけれど、チャーター便を使うほどではない…」そんな悩みを抱えていませんか? 小口配送は、特にECサイトの普及により増加傾向にあり、多くの企業がコストと効率のバランスに頭を悩ませています。より低コストで、より効率よく小口の荷物を運ぶ方法はないものでしょうか?その答えの一つとして注目されているのが「混載便」です。
混載便を利用すると、個別にチャーター便を手配するよりも輸送コストを大幅に削減できる可能性があります。さらに、環境負荷の低減にも貢献できるなど、さまざまなメリットが期待できます。しかし、その一方で、混載便にはデメリットや注意点も存在します。
この記事では、混載便の仕組みから、メリット・デメリット、そして上手な活用方法まで、小口配送に関わるすべての方に役立つ情報を網羅的にお届けします。混載便があなたのビジネスに最適な選択肢となるかどうか、一緒に考えていきましょう。
混載便で小口配送はどう変わる?知っておきたい5つのメリット
小口配送のコストや効率に課題を感じているなら、混載便は検討すべき有力な選択肢です。混載便とは、複数の荷主の荷物を1台のトラックやコンテナにまとめて輸送する仕組みです。
この仕組みにより、輸送コスト削減、リードタイム短縮、環境負荷軽減など、さまざまなメリットが生まれます。ここでは、混載便が小口配送にもたらす5つのメリットを詳しく解説します。
輸送コスト大幅削減!混載便の料金体系とは?
混載便の最大の魅力は、輸送コストを大幅に削減できることです。複数の荷主が1台のトラックを共同利用することで、輸送費を分担できます。個別にチャーター便を手配する場合と比較して、格段に低いコストで配送できます。
例えば、関東から関西へ小口貨物を送る場合を考えてみましょう。チャーター便を利用すると、10万円以上の費用がかかることも珍しくありません。しかし、混載便を利用すれば、荷物の量や大きさにもよりますが、数千円から数万円程度に費用を抑えられる可能性があります。これは、トラックやコンテナのスペースを有効活用することで、無駄なコストを削減できるためです。
混載便の料金は、主に「荷物の重量」「容積」「輸送距離」によって決まります。多くの運送会社では、これらの要素を組み合わせた料金表を設定しています。また、特殊な取り扱いが必要な荷物(壊れやすいもの、温度管理が必要なものなど)には、追加料金が発生する場合もあります。
ただし、どんな場合でも混載便が最も安いわけではありません。荷物の量が多い場合や、特殊な条件での輸送が必要な場合は、チャーター便の方が適していることもあります。自社の配送ニーズを正確に把握し、混載便とチャーター便の料金を比較検討することが重要です。
リードタイム短縮も可能?混載便で顧客満足度を向上させる方法
「混載便は時間がかかる」というイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。定期的に運行している路線便を活用すれば、毎日決まった時間に出荷・配送されるため、安定した輸送スケジュールを組むことができます。
特に、特定のエリアへ定期的に荷物を送る企業にとっては、混載便は非常に有効な手段となります。配送スケジュールが安定化することで、顧客への納期回答も正確になり、結果として顧客満足度の向上につながるでしょう。
ただし、混載便は複数の荷物を積み合わせるため、どうしても配送ルートやスケジュールに制約があります。緊急の配送や、時間指定が必須の配送には、チャーター便や他の輸送手段を検討する必要があります。
環境負荷低減に貢献!混載便がSDGs達成の鍵となる理由
混載便の利用は、企業の社会的責任(CSR)活動の一環としても注目されています。従来の小口配送では、トラックの積載率が低いまま運行されることが多く、燃料の無駄遣いやCO₂排出量の増加が問題となっていました。混載便は、複数の荷主の荷物をまとめて輸送することで、トラックの積載効率を大幅に向上させることができます。
化学品業界で行われた共同物流の実証実験では、トラック積載率が20ポイント向上し、CO₂排出量が最大28%削減されたという結果が出ています。これは、トラックの台数を減らし、1台あたりの積載量を増やすことで、燃料消費量を削減できたためです。
混載便の利用は、CO₂排出量削減だけでなく、総走行距離の削減にもつながります。これにより、燃料使用量の抑制やドライバーの労働時間短縮にも貢献できます。市原〜東北間のシミュレーションでは、総走行距離が29%削減され、CO₂排出量も17%減少したという報告があります。
近年、企業はSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を強く求められています。混載便の活用は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」や目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献する具体的な取り組みとなります。
集荷・配送の効率化で業務負担を軽減
混載便は、荷物の集荷や配送の効率化にも貢献します。複数の荷主の荷物をまとめて集荷・配送することで、個別に集荷や配送を行うよりも、時間や手間を大幅に削減できます。
例えば、毎日複数の場所に小口の荷物を配送している場合、混載便を利用すれば、1回の集荷で複数の荷主の荷物をまとめて集荷できます。また、配送先が同じ方面であれば、1台のトラックで複数の配送先に荷物を届けることができます。
これにより、集荷や配送にかかる時間や手間を削減できるだけでなく、ドライバーの負担軽減にもつながります。また、集荷や配送の回数が減ることで、交通渋滞の緩和や、排気ガスの削減にも貢献できます。
多様なニーズに対応!混載便の柔軟なサービス
混載便は、さまざまな種類の荷物に対応できる柔軟性も魅力です。一般的な荷物だけでなく、温度管理が必要な食品や医薬品、壊れやすい精密機器など、特殊な取り扱いが必要な荷物にも対応できる場合があります。
多くの運送会社では、混載便のサービスを拡充しており、クール便や、時間指定配送、貴重品輸送など、さまざまなオプションサービスを提供しています。これにより、荷主は自社のニーズに合わせて、最適な輸送方法を選択できます。
ただし、混載便で輸送できる荷物の種類やサイズには制限があります。特殊な荷物を輸送する場合は、事前に運送会社に確認し、対応可能かどうかを確認することが重要です。
ここは注意!混載便のデメリットと対策:トラブルを未然に防ぐ方法
混載便には多くのメリットがありますが、利用する際には注意すべき点もいくつかあります。ここでは、混載便のデメリットと、それらを回避するための具体的な対策を解説します。事前にリスクを理解し、適切な対策を講じることで、混載便をより安全かつ効率的に利用できます。
荷物の破損・紛失リスクは?混載便の安全対策を徹底解説
混載便では、異なる荷主の荷物が同じトラックやコンテナに積載されるため、荷物の破損や紛失のリスクが全くないとは言い切れません。特に、以下のような状況では注意が必要です。
他の荷物との接触: 重量物や鋭利な形状の荷物と混載されると、他の荷物に傷がついたり、破損したりする可能性があります。
積み替え時の扱い: 倉庫での一時保管や積み替えが発生する場合、荷物の取り扱いによっては、ダメージを受ける可能性があります。
ラベルの剥がれや誤配送: 荷物のラベルが剥がれたり、誤って別の場所に配送されたりすることで、紛失につながる可能性があります。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、以下の対策が有効です。
厳重な梱包: 緩衝材(プチプチ、発泡スチロールなど)を十分に使い、荷物を保護します。必要に応じて、二重梱包や木枠梱包なども検討しましょう。
取扱注意の表示: 「取扱注意」「上積み厳禁」「割れ物注意」などのラベルを、荷物の目立つ場所に貼り付けます。
運送会社の選定: 荷物の取り扱いが丁寧で、実績のある運送会社を選びましょう。
補償制度の確認: 運送会社が提供する補償制度の内容(補償範囲、補償額、免責事項など)を事前に確認し、必要に応じて保険に加入することも検討しましょう。
追跡システムの利用: 多くの運送会社では、荷物の追跡システムを提供しています。このシステムを活用し、荷物の現在位置や配送状況をリアルタイムで確認しましょう。
納期遅延の可能性は?混載便で納期を守るための3つのポイント
混載便は、複数の荷物をまとめて配送するため、チャーター便に比べて納期が遅れる可能性があります。特に、以下のような要因が遅延につながることがあります。
集荷・仕分けの時間: 複数の荷主から荷物を集め、仕分け作業を行うため、一定の時間がかかります。
配送ルートの複雑さ: 複数の配送先に立ち寄るため、配送ルートが複雑になり、時間がかかることがあります。
交通状況: 交通渋滞や事故など、予期せぬ事態により、配送が遅れることがあります。
納期遅延を防ぐためには、以下の対策が有効です。
余裕を持った出荷: 納期に余裕を持って出荷計画を立てましょう。特に、遠方への配送や、繁忙期(年末年始、お中元・お歳暮シーズンなど)は、通常よりも時間がかかることを考慮する必要があります。
運送会社との連携: 運送会社と密に連携し、配送状況を常に把握しましょう。遅延が発生しそうな場合は、早めに連絡を取り、対応を協議しましょう。
代替手段の検討: 緊急性の高い荷物や、納期厳守の荷物については、混載便以外の輸送手段(チャーター便、航空便など)を検討しましょう。
業者選びが重要!信頼できる混載便業者を選ぶためのチェックリスト
混載便のサービス品質は、運送会社によって大きく異なります。信頼できる運送会社を選ぶことは、混載便を成功させるための重要なポイントです。以下のチェックリストを参考に、慎重に業者を選定しましょう。
実績と評判: 長年の実績があり、顧客からの評判が良い運送会社を選びましょう。
サービス内容: 自社のニーズに合ったサービスを提供しているか確認しましょう。(例:温度管理、時間指定、特殊貨物対応など)
料金体系: 料金体系が明確で、見積もりが分かりやすい運送会社を選びましょう。
補償制度: 荷物の破損や紛失に対する補償制度が充実しているか確認しましょう。
追跡システム: 荷物の追跡システムを提供しているか確認しましょう。
対応エリア: 自社の荷物の配送エリアに対応しているか確認しましょう。
カスタマーサポート: 問い合わせやトラブル発生時の対応が迅速かつ丁寧であるか確認しましょう。
複数の運送会社から見積もりを取り、サービス内容や料金を比較検討することをおすすめします。また、可能であれば、実際に運送会社の営業担当者と会い、サービスの詳細や疑問点について直接確認すると良いでしょう。
混載便の仕組みを理解しよう!チャーター便や路線便との違いは?
小口配送を検討する際、「混載便」「チャーター便」「路線便」という3つの主要な輸送方法があります。それぞれの特徴と違いを理解し、自社の荷物に最適な方法を選ぶことが重要です。
混載便とは?~複数荷主の荷物をまとめて輸送する仕組み~
混載便は、複数の荷主の荷物を1台のトラックやコンテナにまとめて輸送する方式です。 例えば、A社、B社、C社がそれぞれ異なる場所に荷物を送りたい場合、混載便を利用すれば、1台のトラックで3社すべての荷物をまとめて輸送できます。
混載便の特徴
コスト削減: 輸送費用を複数の荷主で分担するため、個別にトラックを手配するよりもコストを抑えられます。
効率的な輸送: 複数の荷物をまとめて輸送するため、トラックの積載効率が向上し、無駄な走行を減らせます。
環境負荷低減: トラックの台数を減らすことで、CO₂排出量の削減に貢献できます。
ただし、混載便は複数の荷物を積み合わせるため、荷物の集荷や仕分けに時間がかかり、配送ルートも複雑になることがあります。そのため、即日配送や緊急性の高い配送には不向きです。
混載便が適しているケース
・定期的に小口の荷物を配送する
・コストを最優先に考えたい
・納期に多少の余裕がある
・環境負荷を低減したい
チャーター便、路線便との違いを徹底比較!
混載便とよく比較されるのが、チャーター便と路線便です。それぞれの違いを以下の表にまとめました。
項目 |
混載便 |
チャーター便 |
路線便 |
輸送形態 |
複数の荷主の荷物をまとめて輸送 |
1つの荷主がトラック1台を貸し切って輸送 |
運送会社が設定した固定ルートで、複数の荷主の荷物を集荷・配送 |
コスト |
低い(複数の荷主で輸送費用を分担) |
高い(トラック1台分の費用を1つの荷主が負担) |
低い(運送会社の効率的なルートで輸送) |
自由度 |
低い(運送会社が設定したルート、スケジュールで輸送) |
高い(荷主が自由にルートやスケジュールを設定可能) |
低い(運送会社が設定した固定ルート、スケジュールで輸送) |
輸送期間 |
比較的長い(荷物の集荷・仕分け、複数の配送先への立ち寄りがあるため) |
短い(荷主の指定場所に直接輸送) |
比較的長い(複数の拠点を経由するため) |
荷物の取扱い |
積み替えが発生する場合がある |
積み替えなし |
積み替えが発生する場合がある |
適した荷物 |
小口、定期的な配送 |
大量、緊急、時間指定が必要な配送 |
小口、定期的な配送 |
チャーター便の特徴
・1つの荷主がトラック1台を貸し切るため、自由度が高い
・緊急配送や時間指定配送に適している
・大量の荷物を一度に輸送できる
・混載便や路線便に比べてコストが高い
路線便の特徴
・運送会社が設定した固定ルートで運行するため、安定したスケジュールで配送できる
・複数の拠点を経由するため、混載便よりもさらに配送に時間がかかる場合がある
・全国各地に配送ネットワークを持っている運送会社が多い
・混載便と同様に、コストを抑えることができる
自社の荷物に最適な輸送方法を選ぶには?判断基準を解説!
どの輸送方法を選ぶべきかは、以下の要素を総合的に考慮して判断する必要があります。
荷物の量: 少量であれば混載便や路線便、大量であればチャーター便が適しています。
納期: 緊急性が高い場合はチャーター便、多少の余裕がある場合は混載便や路線便が選択肢となります。
コスト: コストを最優先するなら混載便や路線便、多少コストがかかっても確実に届けたい場合はチャーター便が適しています。
配送エリア: 特定の地域への配送が多い場合は路線便、全国各地への配送が多い場合は混載便が便利です。
荷物の種類: 特殊な取り扱いが必要な荷物(壊れやすいもの、温度管理が必要なものなど)の場合は、対応可能な運送会社を選ぶ必要があります。
これらの要素を一つずつ検討し、自社の物流ニーズに最も合った輸送方法を選びましょう。
混載便を上手く活用するには?導入前に確認すべきこと
混載便は、適切に活用すれば、物流コストの削減や業務効率の向上に大きく貢献します。しかし、導入前に十分な検討を行わないと、かえって非効率になったり、トラブルの原因になったりすることもあります。ここでは、混載便の導入を成功させるために、事前に確認すべきポイントと、具体的な活用方法について解説します。
自社の物流ニーズを明確にするための4つのステップ
混載便導入の第一歩は、自社の物流ニーズを正確に把握することです。以下の4つのステップで、現状を分析し、課題を明確にしましょう。
配送頻度と量の把握: 1週間あたり、または1ヶ月あたりの配送回数と、1回あたりの平均的な荷物の量(個数、重量、容積)を把握します。
配送エリアの確認: 荷物の主な配送先(都道府県、市区町村など)をリストアップします。
納期の確認: 顧客に約束している納期(注文から何日以内に届けるか)を確認します。
特殊な取り扱いの有無: 壊れやすいもの、温度管理が必要なもの、貴重品など、特別な取り扱いが必要な荷物があるかどうかを確認します。
これらの情報を基に、自社の物流における課題を洗い出します。例えば、「小口配送が多く、コストがかさんでいる」「特定の地域への配送が集中しており、効率が悪い」「納期に間に合わないことがある」といった課題が見えてくるかもしれません。
混載便を効率的に活用するための5つのポイント
混載便のメリットを最大限に活かすためには、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
出荷スケジュールの調整: 混載便は、集荷や配送のスケジュールが決まっている場合が多いため、自社の出荷スケジュールを調整する必要があります。
適切な梱包: 混載便では、他の荷物と一緒に輸送されるため、荷物が破損しないように、十分な強度のある梱包材を使用し、適切に梱包する必要があります。
情報共有の徹底: 運送会社と密に連携し、荷物の情報(種類、量、配送先、納期など)を正確に共有することが重要です。
追跡システムの活用: 運送会社が提供する追跡システムを活用し、荷物の現在位置や配送状況を常に把握するようにしましょう。
定期的な見直し: 混載便の利用状況を定期的に見直し、問題点があれば改善策を検討しましょう。例えば、配送頻度や量が変わった場合は、運送会社と相談して、より適切なプランに変更することも検討しましょう。
貨客混載という選択肢~新しい物流の可能性~
近年、新たな物流の形として「貨客混載」が注目されています。貨客混載とは、バスや電車などの公共交通機関の空きスペースを利用して、荷物を輸送する仕組みです。
貨客混載のメリット
コスト削減: 既存の交通インフラを活用するため、新たにトラックを走らせるよりもコストを抑えられます。
環境負荷低減: 旅客輸送のついでに荷物を運ぶため、CO₂排出量の削減に貢献できます。
地域活性化: 過疎地など、物流網が脆弱な地域への配送手段として活用することで、地域経済の活性化につながる可能性があります。
貨客混載のデメリット
輸送量の制限: 旅客輸送が優先されるため、一度に大量の荷物を運ぶことはできません。
時間的制約: 公共交通機関の運行スケジュールに合わせる必要があるため、時間指定配送などには対応できません。
対応エリアの限定: 貨客混載を実施している路線や地域が限られています。
貨客混載は、まだ新しい取り組みであり、課題も残されていますが、今後の物流の可能性を広げる有望な選択肢の一つと言えるでしょう。特に、地方創生やSDGsへの貢献に関心のある企業にとっては、検討する価値があります。