トラック査定士(中古自動車査定士)は、中古車市場において欠かせない存在です。車の買い取り価格を決定する際に重要な役割を果たす彼らは、車の状態や市場動向に関する専門知識を有しています。本記事では、中古車査定士の資格や取得方法、査定のポイントについて詳しく解説していきます。
トラック査定士の資格
ここでは、トラック査定士とは何かについて、資格の種類と区分について解説します。
トラック査定士とは?
トラック査定士とは、中古自動車査定士の中でも商用車や大型の車両を専門に扱う、大型車査定士を指します。彼らは商用車やトラックの特性や市場動向に詳しく、車両の状態や価値を適切に評価します。そのため、中古のトラックや商用車を売却する際に頼りにされる専門家として活躍しています。
トラック査定士の役割は多岐にわたります。まず、彼らは商用車やトラックのメーカーやモデルに関する豊富な知識を持ち、車両の特性や性能を理解しています。
また、市場動向や需要の変化にも精通しており、これらの情報を査定に活かします。具体的にはどのような車種が売れ筋なのかといった情報や、トラックの機関部分や外観、内装など、さまざまな要素を評価します。特にエンジンやミッションなどの機関部分の状態は重要視されます。さらに、走行距離や事故歴、整備の履歴なども考慮されます。
トラック査定士は、これらの情報を総合して適切な査定額を算出します。公正かつ客観的な査定を行うことで、売主と買主の間で信頼関係を築き、円滑な取引を実現します。注意点としては、国家資格ではなく民間資格であるという点にあります。
そのため、この資格を取得しなければ絶対にその業務ができないという性質の資格ではありません。しかしながら、コンプライアンス強化の観点や、消費者を保護するためという観点から従業員に資格を取得させる企業もあります。
資格の種類と区分
自動車査定士は、車両の種類や重量に応じて一般的に小型査定士と大型査定士の2つの区分に分かれます。
小型査定士は、通常、4トン未満の乗用車や商用車を査定することが主な役割です。これには、普通乗用車、コンパクトカー、ミニバン、軽自動車、商用バンなどが含まれます。小型査定士は、これらの車両の状態や価値を適切に評価し、査定額を算出します。
一方、大型査定士は、バスやトラックなどの大型の車両を査定することができる専門家です。これには、観光バス、貨物トラック、建設用車両、重機械運搬車などが含まれます。大型査定士は、これらの複雑な車両の特性や機械部品、使用状況を正確に把握し、査定を行います。
このように、自動車査定士は車両の重量や種類によって、小型査定士と大型査定士に区分されます。それぞれが異なる車両を査定する専門家であり、車両の特性や市場動向に精通しています。
注意点としては、仮に大型査定士の資格を保持していたとしても、小型の車を査定することはできないということです。それぞれの資格を取得する必要性があります。合格率は70%以上であり、難関資格と比べると取得しやすい資格です。
資格取得のためのステップ
ここでは、中古自動車査定士になるための資格取得のステップとして、必要条件や、試験内容とスケジュールについて解説します。
必要な条件
中古車自動車査定技能士になるためには、小型査定士と大型査定士それぞれの技能検定に合格する必要があります。その検定試験を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
・協会が指定する3日間の研修か、eラーニングによる研修を受ける
・自動車の販売か、整備の経験が半年以上必要
また、小型査定士は普通自動車運転免許が必要であり、大型査定士は大型第一種運転免許が必要です。
試験内容とスケジュール
試験内容は、以下の通りです。
- 学科試験の内容
・中古自動車査定制度
・中古自動車査定基準、同細則及び加減点基準
・自動車の構造、機能及び取扱い
・保安基準、その他自動車に関する法規
・その他査定に関する事項
- 実技試験の内容
・机上で査定の実技
また、技能検定試験の実施方法は以下の通りです。
- 技能検定の実施頻度:
・小型車は年に2回
・大型車は年に1回
・全国で同時に、種類別で、各都道府県の協会支所ごとに実施
- 公示と手続き
実施日時や手続きの詳細は、その都度、試験団体から公示されます。
査定時に役立つ知識とスキル
ここでは、中古車の査定時に役立つ知識と、そのスキルについて解説します。
主要な査定ポイント
トラックの査定において、エンジンとミッションは非常に重要なポイントです。
特にエンジンは、査定額に大きな影響を与える要素の一つです。なぜなら、重量物を運搬するトラックはエンジンの状態が良好でなければ、その性能を十分に発揮できず、運用上のリスクが高まるからです。
エンジンの状態を査定前に高い評価を得るためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
具体的には、エンジンオイルの定期交換が重要です。適切なオイル交換はエンジンの寿命を延ばし、性能を維持するために不可欠です。また、できるだけ部品を純正品にすることも重要です。純正部品は品質が保証されており、エンジンの安定性や耐久性を向上させます。
エンジンの状態を確認するためには、オイルゲージを定期的にチェックすることが必要です。エンジンオイルの量や質を確認し、必要に応じて交換や補充を行いましょう。また、エンジンルームの清潔さも査定に影響します。
定期的な清掃や整備を行い、エンジンルームを清潔に保つことが重要です。エンジンの状態で100万円以内の差額が出る可能性があります。トラックのエンジンの修理費が50万円から100万円というケースがあるため、エンジンの不具合はこの範囲の金額で影響がでます。
ミッションに関しても定期的なメンテナンスが必要です。部品の交換やオイル交換を定期的に行うことで、ミッションの正常な動作を維持し、査定額を高めることができます。ミッションに関しても重要部品であり、故障の有無で50万円程度の差が出ると考えましょう。
エンジンとミッションの両方に対する適切なメンテナンスは、トラックの価値を維持し、査定時に有利な条件を得るための重要な手段です。
査定価格に影響する要素
トラックの査定価格に影響する要素はさまざまですが、その車両が売れ筋であるかどうかも重要なポイントの一つです。販売当時に人気の高かった車両は、中古市場でも需要があり、買い取り価格が高くなる傾向があります。売れ筋の車両は、20万円から40万円程度買い取り価格が変動する傾向にあります。
一方で、傷やへこみなどの外観の美しさは、トラックの査定には一般の車両ほど重視されません。
しかし、大きなへこみや目立つ傷などは査定額に悪影響を及ぼす可能性があります。これは軽微なもので数万円程度の差となることが多い傾向にあります。
また、警告灯などの信号関連の機能も査定時に重要な要素です。常に点灯している警告ランプは、車両の不具合を示しており、査定額が低くなる傾向があります。警告ランプの修理費用が2万円から4万円程度のため、その範囲で下がる可能性があります。信号関連の機能が正常に動作しているかどうかは、査定士が注意深く確認するポイントです。
さらに、内装部分も査定に影響します。特に喫煙者の場合、トラックの内装にタバコの臭いが染み付いていると、査定額が下がる可能性があります。普段から車内の清潔さや匂いに気を配ることが、査定額をアップさせるコツとなります。車の内装クリーニングは専門業者に依頼すると1万5,000円から2万円程度かかることを考えると、その範囲での買い取り価格変動が予想されます。
つまり、査定価格に影響する要素は多岐にわたりますが、売れ筋であるかどうか、外観の傷やへこみ、信号関連の機能、内装の状態などが特に重要です。普段から車両のメンテナンスや管理に注意を払い、査定時に有利な状態を維持することが大切です。
ただし、買い取り査定に関しては買い取りを行う企業ごとに判断基準が異なるため、エンジンそのものが健在であれば他の要素はあまり重視しないといったところもあります。具体的にはトラック王国では内装は買い取り価格にあまり影響せずエンジンの状態を重視するとアピールしています。
また、トラックファイブでは外観やメンテナンス状態なども重視されるようです。できるだけ自動車部品に気を使いつつ、普段から車を大切にすることが最終的には高額査定となる可能性があります。