トラック選びで「あと数センチ入らない」「横から積めない」「現場のゲートをくぐれない」という失敗は、内寸・外寸・ボディ構造、そして法規を同時に見ていないことが原因です。本記事では、軽トラックから小型(2t)、中型(4t)、大型(10t)までの代表的な荷台寸法を、平ボディ・アルミバン・ウイングの違いとあわせて整理し、積みたい荷物と搬入現場の条件から逆算して最適な一台を選ぶ実践手順をまとめました。
最後に、はみ出しや重量に関する法規の要点も確認します。数値はメーカーや年式・仕様で差が出るため、あくまで「目安」として捉え、最終判断は個別車両の実測値で必ず確認してください。
知っておきたいトラック寸法の基本
トラック選定の第一歩は、「サイズ区分(トン数)」と「ボディタイプ(構造)」を切り分けて理解することです。トン数は一般に「最大積載量の目安」を示す呼称で、車体そのものの大きさや荷台の広さを直接保証するものではありません。さらに、同じトン数でも標準・ロング・ワイドといったバリエーション、あるいはクレーンやパワーゲートの有無で内寸・外寸・実積が変わります。加えて、内寸は実際に積めるスペース、外寸は通行・搬入に必要な車体の占有サイズを指すため、用途の要件と現場の制約をそれぞれ満たすかを個別に確認する姿勢が重要です。
車両サイズ(トン数)とボディタイプの違い
サイズは大きく、軽トラック、小型(2tクラス中心)、中型(4tクラス中心)、大型(10tクラス中心)に分かれます。ボディタイプは、荷台がフラットで汎用性の高い「平ボディ」、箱型で風雨を防ぎ荷崩れ・落下リスクを抑えやすい「アルミバン(箱車)」、側面が上方に開いて横から積み下ろしできる「ウイングボディ」が代表的です。
平ボディは荷姿を選ばず、柱や壁が少ないため同一車格でも広く使えるのが強みです。アルミバンとウイングは保護性や側面開口の利便性に優れますが、壁や柱、ウイング機構の都合で内幅・内高が平ボディよりやや狭くなるのが一般的です。
荷台選びで重要な内寸・外寸・床面地上高とは
内寸は「荷台内の長さ×幅×高さ」で、実際に荷物が収まるかどうかの直接的な指標です。外寸は「車体全体の長さ×幅×高さ」で、搬入路の幅や門高、駐車枠、旋回・通行可否を判断する材料になります。
もう一つの重要指標が「床面地上高」です。これは地面から荷台床までの高さで、手積みの負担、スロープ角度、フォークリフトや台車の段差処理に直結します。例えば、床面地上高が高いと人力での上げ下ろしは負担が増え、ゲートやスロープが必要になりがちです。逆に低いと積み下ろしは楽ですが、道路の段差や干渉に配慮が要るなど、作業性・安全性のバランスを見る指標として不可欠です。
【サイズ・ボディ別】トラック荷台の代表的な寸法
ここからは比較検討しやすいように、各車格・ボディタイプの「代表的な荷台内寸(目安)」を具体的に示します。繰り返しになりますが、年式やメーカー、仕様(標準/ロング/ワイド、クレーン・ゲートの有無など)で差が出ます。購入・レンタルの現物での実測確認を前提に、まずはカタログ上の一般的なレンジ感を掴んでください。
小型・中型・大型トラックの荷台内寸の目安
軽トラック(平ボディ)では、荷台長さが約1,940mm、幅が約1,410mmが一般的な目安です。家庭の引越し小口や園芸資材、日曜大工の材木など、短尺・軽量の用途に向きます。都市部の細い路地でも取り回ししやすい一方、パレットや長尺物の本格運搬には容量・寸法ともに不足しやすいため、積載物のサイズが少しでも大きい場合は2tクラス以上を検討しましょう。
小型(2t)平ボディの標準ボディでは、荷台内寸の長さは約3,120mm、幅は約1,620mmが目安です。長さ優先の「ロング」かつ横幅を拡げた「ワイド」になると、代表例として長さ約4,350mm×幅約2,080mmといった仕様も選べます。ロング・ワイドは内寸が伸びる反面、外寸や小回り、最大積載量のバランスに影響が出るため、現場の進入路や必要重量と合わせて最適点を探すのがコツです。
中型(4t)平ボディの代表値は、長さ約6,200mm×幅約2,120mm(標準幅)で、ワイド幅では幅約2,340mmの個体が広く流通しています。標準幅は都市部での取り回しやすさ、ワイドはパレット横並びやかさ物の段積みなど「幅のゆとり」を確保しやすいのが利点です。ボディ長は同クラスでも6.2m、7.2m、8.2mと段階があり、載せたい荷の長さに合わせて選択します。
大型(10t)平ボディでは、内寸長さが約9,500〜10,000mm、内幅は約2,340〜2,390mmが一つのレンジです。建材や設備機器の一括輸送、長尺・重量物で威力を発揮しますが、搬入路の幅・高さ・曲率や待機スペースの確保が必須です。中型と同様、同じ10tでもボディ長のバリエーションや足回りの仕様差があるため、案件ごとに最適な尺を選びます。
平ボディ・アルミバン・ウイングの寸法傾向
平ボディは側壁(あおり)が薄く、柱・壁が内側に張り出さないため、同じ車格なら「内幅を最大限に活かせる」のが強みです。一方で、アルミバンは箱の壁や補強、扉機構の分だけ内幅・内高が数センチ〜十数センチ狭くなる傾向があります。例えば2tバン(ショート/ロング)では、代表的に長さ約3,100〜4,350mm×幅約1,600〜1,750mm×内高約1,500〜1,800mmの目安が示され、同車格の平ボディよりも「幅・高さの一部が削られる」点に注意が必要です。
ウイングボディは、アルミバンの側面が上に開く構造のため、側方からのフォーク積みや長尺物の横差し搬入が格段にしやすく、庫内での荷扱い効率が上がります。ただし、ウイング機構や柱・レール分のクリアランスが必要となり、同一車格・同一ボディ長でも平ボディより内幅・内高が小さいのが一般的です。代表例として、4tクラスのウイングでは、内寸の目安が長さ約6,200mm×幅約2,200mm×内高約2,200mmと示されるケースがあります(装備やパワーゲート有無により差が出ます)。「横から積めるメリット」と「内寸が僅かに狭いトレードオフ」を理解して選定しましょう。
積みたい物から考える!最適なトラック荷台の選び方
積載物のカタチ・大きさ・重さ、そして搬入先の通行条件から逆算するのが、失敗しない最短ルートです。この章では、代表的な荷姿ごとの着眼点と、現場側の制約の洗い出し方法を示します。数値の「目安」を当てはめつつ、最後は現物・現場の実測で詰めるのが鉄則です。
積載物(パレット・長尺物・機械)に合わせた選定ポイント
パレット輸送の代表格は「T11型(JIS)」で、1,100mm×1,100mm×高さ約144mmが標準です。これを2枚横並びで積むなら、理屈上は2,200mm以上の内幅が最低条件ですが、実務では「クリアランス」「柱・ラッシングレール」「内張りのふくらみ」などを考慮して、内幅2,300mm前後を見込むのが安全です。したがって、4tクラスのワイド(内幅目安2,340mm)が第一候補になりやすく、2tワイド(約2,080mm)では横並び2枚は難しい場面が多い、という判断になります。
長尺物(例:5〜6m超の鋼材・パイプ・木材)は、まずボディ長での載り方を想定します。2tロングの約4.35mでは足りない場合が多く、4t標準の約6.2mや、さらに長いロング/スーパー・ロング(例:7.2m/8.2m)を検討します。どうしてもボディから前後方向に出る場合は、道路交通法上の「はみ出し」ルール内に収まるかを確認のうえ、それを超えるなら制限外積載許可の取得が必要です。なお、横方向は基本的に厳しいため、横はみ出しはとくに慎重な確認が必要です。
機械・装置(発電機、コンプレッサ、工作機械など)は、サイズに加えて重量・重心・吊り・固定方法までセットで検討します。平ボディは載せやすく固定自由度が高い一方、重量が嵩めば車両総重量や軸重配分に注意が必要です。クレーン付(ユニック)は自力荷役ができる反面、キャブ後のスペースや補強の都合で荷台長が短くなる傾向があります。同じ4tクラスでも、クレーン段数・アウトリガ仕様で最大積載量が下がるため、寸法と同時に「積める重さ」も必ず確認してください。
見落とせない現場の制約(搬入路の幅・高さ制限)
車両の外寸クリアだけでなく、「走って・曲がって・据え付ける」一連の動線で詰まらないかを前日までに洗い出しましょう。最低限、以下は現地・管理者への事前確認が有効です。
アプローチ道路の最小有効幅・曲がり角の曲率(電柱・ガードレール位置を含む)について、車両全幅だけでなくオーバーハングの振り出しも考慮する必要があります。ゲート・庇(ひさし)・配管・ケーブルの最小有効高さも重要で、ウイング全開時の全高も要チェックです(ウイングは開くと上方に張り出します)。
荷捌きスペースの奥行・幅では、フォーク通路幅、パレットの回転余地、横持ち動線の段差・スロープ角度を確認します。荷捌き場所の床強度・マンホール・グレーチングの位置も重要で、重量物は軸重が一点に集中しやすいため注意が必要です。
搬入時間帯制限や車両サイズ規制(商業施設・オフィス・学校など)、近隣道路の重量制限・高さ指定道路の有無(高さ3.8m原則、指定道路4.1m区間あり)も事前に確認しておきましょう。
安全な運送のための関連法規と注意点
運ぶことができても「法的にOKか」は別問題です。ここでは積載物のはみ出しルールと、混同しがちな「車両総重量」と「最大積載量」の違いを確認します。日々の運行で最もトラブルになりやすいポイントなので、実務担当者・ドライバー・現場管理者で共通理解を持っておきましょう。
荷物のはみ出しに関するルール
2022年5月13日の見直しにより、積載物の「長さ」と「幅」に関する制限が一部緩和されました。要点は次の通りです。(高さは従前どおり原則3.8m。高さ指定道路では4.1mまで可。詳細は各許可制度の要件に従います)
前後方向では、車体の前後それぞれについて、車体長の10分の1(0.1倍)まではみ出し可能です。すなわち全長ベースで1.2倍以内なら許可不要の枠内運用が可能です(その他条件あり)。左右方向では、改正前は原則はみ出し禁止でしたが、改正後は車体の左右それぞれについて、車幅の10分の1(0.1倍)まではみ出し可能です。全幅ベースで1.2倍までの範囲に限り、許可不要の枠内運用が可能です(後写鏡の視認確保などの条件適合が前提)。
上記範囲を超える積載は、「制限外積載許可」を出発地を管轄する警察署長へ申請・取得する必要があります。申請窓口・様式は各都道府県警で公開されています。
なお、許可不要の枠であっても、積載方法や表示(積載物の端部の赤色布など)に関する一般的な安全措置は遵守が必要です。現場の安全確保と、車線幅・見通し・すれ違い交通への配慮も運行者の責任で伴います。
車両総重量と最大積載量の違い
最大積載量は「荷物だけ」に許された最大の重さです。一方、車両総重量(GVW)は「車両重量(車体)+乗員(定員×55kgが一般的換算)+積載物(最大積載量)」の合計で、満載時の総合重量を意味します。したがって、最大積載量は車両総重量から「車両重量+乗員」を差し引いて求められる関係にあります。
装備追加(例:ウイング機構、パワーゲート、クレーン)やボディ材質の違いは車両重量を増大させ、同じ車格でも最大積載量が下がる要因となります。寸法が同じでも「重さの条件」を満たせないことがあるため、案件ごとに両方の数値を必ず確認してください。
小さなミスマッチをなくす、実務上のチェック順序(まとめ)
最後に、寸法と現場条件、法規の整合をとるための確認順を示します。
まず荷物の「幅×長さ×高さ×重量×重心」を計測し、固定・養生方法も想定します。それに合う内寸(幅・長さ・内高)を持つボディタイプと車格を候補化します(平=内幅重視、バン/ウイング=防塵・防雨・横積み効率を重視)。候補車の外寸と現場の通行・荷捌き条件を突き合わせ、曲がり・高さ・待機・作業の安全動線まで確保します。
長さ・幅のはみ出しが生じる場合は、施行令の許容枠内か、制限外積載許可の取得が必要かを判断します。最後に、最大積載量と車両総重量(軸重を含む)を突合し、過積載にならないかを確実に払拭します。
この流れに沿えば、「寸法は入るが横から積めない」「載るが法規アウト」「進入はできたがウイングが開けない」といった典型的な行き詰まりを予防できます。
主要寸法のクイック参照(目安)
軽トラック(平)では約1,940×1,410mm(荷台)で、小口・近距離の軽量物向けです。小型2t(平・標準)では約3,120×1,620mmで、ロング/ワイドで約4,350×2,080mm例があります。横幅が必要なパレット運搬は4tワイドが有利です。
中型4t(平・標準/ワイド)では約6,200×2,120mm/幅約2,340mmで、ボディ長は6.2m/7.2m/8.2mが目安です。大型10t(平)では長さ約9,500〜10,000mm×幅約2,340〜2,390mmで、長尺・大量輸送の主力となります。
4tウイング(例)では内寸約6,200×2,200×2,200mmで、横積み効率と内寸のバランスを確認する必要があります。T11パレットは1,100×1,100×高さ約144mmで、2枚横並びは内幅2,300mm前後を推奨します(余裕含む)。
※数値は代表値・目安であり、同一名称でもメーカー・年式・架装・装備で差が出ます。実車の型式・架装図・実測で確実にご確認ください。



