ドライバーのみなさん、トラックの清掃は日常的に行っていますか?
自分自身で清掃している人もいれば、清掃のプロに一任しているドライバーや企業もあるでしょう。
普段から清掃が行き届いたトラックに乗ることは、運転中の気分も良くなり、業務効率も上がる可能性もあります。
今回は、ドライバー自身で車内や外装の清掃を行う場合、どのような手順で掃除を進めて行くと効率的であるか、テクニックをご紹介します。
トラック清掃の基礎知識
大型トラックは多くの洗車機に入らないため、手洗い洗車が一般的。
長距離・長時間走るトラックは自分のパートナーのようなもので、ドライバー自らが外装はもちろん、車内を清掃することもよくあることです。
では、トラックを清掃する重要性や、清掃前の準備・注意点を見てみましょう。
トラック清掃の重要性
トラックの洗車が必要な理由としては、以下の3点が挙げられます。
塗装の劣化やサビの発生を防ぐ
車体が汚れたままで走行しつづけ時間が経つと、あらゆる稼働部がサビつき観音扉の開閉に支障が出てしまったり、腐食してボディに穴が空いてしまったりする恐れがあります。
日頃からこまめに洗車をし、トラックのボディや稼働部をきれいな状態に保つことで、サビの発生や塗装を抑えることができます。
修理コスト増大の抑止
社用車であるトラックを清潔な状態に保つことを心がけると、細かい部分にまで注意が向く癖がつくでしょう。
例えば、エンジン音の異常やブレーキの停止距離が長くなっているなどの、事前にトラックの不備に気付くことは、事故へつながる前にメンテナンスや修理を実施することが可能になります。
また、トラックのメンテナンス費用は、大きな修理になればなるほど修理費用が高額になる傾向にあるので、清掃の習慣をつけることが維持費の節約にもつながります。
安全走行につながる
トラックを洗車すると、パーツをはじめタイヤの劣化や破損、不具合に気付くことができます。
トラックにとって安心・安全な運転は欠かせないものなので、ガラスやミラーといった視界確保に欠かせない部分をきれいに保つことも、安全な走行につながります。
仕事のパートナーであるトラックに長く乗り続けるためにも、清掃をとおして車体の状態をこままめにチェックして、安全に走行しましょう。
清掃前の準備と注意点
車内の清掃前の準備として、車内の荷物を全て外に出すことが大事です。
日々同じトラックを業務で使用していると、段々と仕事の荷物や私物が増えていく場合もあるでしょう。
一つ一つどかしながら作業していては効率が悪いので、ある程度広い場所で、荷物を全て出した状態で始めましょう。
そして荷物がなくなった車内を掃除機やほうきを使って、綺麗な状態にしましょう。
内装の清掃を行う前に準備する便利なモノ
・ホース
・ブラシ
・中性洗剤
・雑巾
・ほうき
・掃除機(コードレスのハンディクリーナー)
・シート用洗剤(またはシートクリーナー)
・ガラス用洗剤
外装の清掃前に準備する便利なモノ
・ブラシ
・やわらかめのスポンジ
・車体用洗剤
・吹き上げ用のセームタオル
・脚立
・バケツ
・ホース
清掃を始める際の注意点として、クリーナーやブラシなど用途の違うものを選んでしまったり、ブラシやスポンジで強く擦りすぎると、トラックのボディーを傷つけたり塗装を傷めたりすることになるので気をつけましょう。
参考記事:日常点検|全日本トラック協会
内装清掃のポイント
トラックの車内が綺麗だと、走行中や休憩時も気持ちよく過ごせ、作業効率も上がります。
大きなトラックの清掃は何より手順が大切です。
また内装の清掃を行う前に、車内に乗せている荷物や付属品、シートは取り外して外に出しておきましょう。
シートとフロアの掃除方法
フロアマットの清掃
車内の全ての荷物を外に出し終えたら、フロアマットの掃除から始めます。
表面が樹脂の素材でできているものとゴム製でできているフロアマットの2種類が一般的で、どちらも掃除の方法としては同じですが、樹脂の素材の方が時間や手間が多少かかるでしょう。
まず、フロアマットを流水でざっと流した後、水で薄めた中性洗剤にブラシを浸けてくまなくこすり磨きます。
汚れがしっかりと落とせたようなら、流水で洗い流し水気を切って乾かしましょう。
ゴム製のものは撥水するのですぐ乾きますが、樹脂製の毛足が長いものは乾くまでに時間がかかるので、車内清掃の順番としては最初に行うことをおすすめしている理由です。
シートの清掃
洗ったフロアマットを乾かしている間に、他の部分の掃除を進めましょう。
車内全体を掃除機やほうきでホコリや砂などを取り除いてから、シートの清掃に取り掛かります。
シートに関しては、掃除機をかけたりほうきで掃いただけでは完全に汚れを落としきれていません。
そこで、シート用洗剤と雑巾を使ってシートを綺麗にしていきましょう。
雑巾に軽くシート用洗剤を塗布して、シミが付いている箇所などをふき取っていき、汚れを取り除きます。
高温のスチームクリーナーを持っている場合は、スチームをシートにかけていくことで、シミや油汚れがシートから浮き上がっていくので、その後雑巾でふき取るだけでシートが綺麗になります。
高温スチームクリーナーは、安いもので数千円から売られており、車内清掃に十分な効果が得られるほか、長く使うことができるメリットもあります。
自分自身で定期的に清掃しようと考えているドライバーの方にはおすすめのアイテムです。
ダッシュボードと天井の清掃法
ダッシュボードの清掃
ダッシュボードは、中性洗剤を含ませた雑巾で掃除していきます。
細かい汚れやこぼした飲み物がこびりついていることがあるため、細部の掃除をするには歯ブラシがあると便利です。
また、広い面はマイクロファイバークロスで水拭きしましょう。
まずインパネやドアスイッチ、エアコンの吹出口など隙間部分を、細めのブラシまたは綿棒を使ってホコリを除去していきます。
つぎにドアハンドルやハンドル、シフトノブなど手が触れる部分は手垢がつきやすいので、中性洗剤を水で薄めたものや専用クリーナーで拭くと簡単にきれいになります。
洗剤で拭きながら汚れを落とした部分は、水拭きして清掃完了です。
天井の清掃
天井は、水をしっかりと絞ったマイクロファイバークロスや雑巾などの布で拭きましょう。
タバコ染みや目立つ汚れがあるときは、中性洗剤を水で薄めたものを霧吹きに入れて、天井に吹きかけて拭き取り、それから乾いた布で拭いていきます。
外装清掃のテクニック
トラックの外装は、日々の仕事や走行で段々と汚れていきます。
掃除の仕方と順序、ポイントを抑えることで、走行時の企業としての良い印象を与えることができます。
また、こまめに掃除をすると不具合にも気付きやすくなり、トラックを安全に走行させ、長持ちさせることにもつながります。
ボディと窓の洗浄法
ボディの清掃
まずはホースやバケツなどでトラックボディ全体に水を流し、ほこりを取り除きましょう。
次に専用の洗浄液をスポンジに含ませ、屋根→フロント→サイド→リアの順に優しく磨きます。その後、流水でしっかりと洗浄液を流します。
水垢が残らないように、乾いたセームタオルやマイクロファイバークロスなどで丁寧に拭いて完了です。
セームタオルの方が吸水性が高く、タオルの毛がつくこともないのでおすすめです。
また、車体を触るとザラザラした感触があるときは、車体に鉄粉がついてしまっている証拠です。
念入りに洗浄したい場合は流水でほこりを落とした後、鉄粉除去剤やタール(ピッチ)除去剤をボディにスプレーして1〜2分放置し、再度洗浄液で洗い流す方法がおすすめです。除去した後は、水分をしっかり拭き取ることも重要です。
窓ガラスの清掃
外側の窓ガラスの掃除は、フロントガラス→サイドガラス→リアガラスの順で始めるのがオススメです。
窓ガラスには、水性の汚れと油性の汚れの2種類があり、雨の後や砂埃など軽い水性の汚れなら、ホースや高圧洗浄機などで汚れを落とします。
油性汚れの洗浄は、専用洗剤をスポンジにつけて優しくガラスを拭いていきます。
鳥の糞などのこびりついた汚れは、スポンジやブラシでしっかりこすって落としておきましょう。
洗剤を水で流したら、水分はセームタオルなどの水垢が残らない布で拭き取り完了です。
タイヤとホイールの磨き方
綺麗に掃除されたトラックのタイヤやホイールは、見ていて非常に気分が良いもの。
特にホイールが美しいか否かで、トラック全体の印象が大きく変わります。
タイヤの清掃
タイヤの洗浄には、ブラシとカーシャンプーを使用します。
バケツに水とカーシャンプーを入れて泡立て洗浄液を作り、洗浄液をブラシにつけて、まずタイヤの汚れを優しくこすって落としましょう。
タイヤには泥汚れやブレーキダストのように落ちにくい汚れや、車体下部のフレームの強い汚れは、スポンジでは落としづらいので、タイヤ掃除の流れでブラシでしっかりこすっておきましょう。
ホイールの清掃
ホイールは酸系のクリーナーを使い、サビや白ボケなどを除去していきます。
専用クリーナーの原液を水で希釈し、スプレーボトルにいれてムラなくホイールに吹付けたのち、スポンジやブラシで擦りながらサビや汚れ・水垢・白ボケなどを落としていきます。
ホイールの専用クリーナーは「ハイトレール」や「サビトルNEOリミテッド」がおすすめです。
ハイトレールが非常に有名で「数あるクリーナーの中で最も汚れが落ちる」「少しの量で期待以上の効果がある」など、トラックファンには定評がある商品です。
また、専用クリーナーは強い薬剤が多いので、出来るだけスピーディーに作業し、最後は水でしっかり洗い流します。
頑固なサビ汚れも、この手順を何度か繰り返せば綺麗になります。