トラック運転において、燃費に関する悩みを抱えているドライバーは多いのではないでしょうか。トラックは軽量化が難しいうえに燃料も多く、相当の重量となるため基本的に燃費が悪くなります。少しでも負担を減らすためには、相応の対策や改善方法を知っておくことが必要です。
本記事では、トラックの燃費が悪化する原因、燃費を向上させるための具体的な対策、異なるトラックのサイズ別の燃費について解説します。
トラックの燃費が悪化する原因
トラックの燃費が悪化する原因は、主に以下の3点です。
・メンテナンス不足による燃費悪化
・運転方法による燃費悪化
・積載量による燃費悪化
それぞれ詳しくみていきましょう。
メンテナンス不足による燃費悪化
適切なメンテナンスを行えていない場合、燃費が大きく落ちてしまいます。特に、エアクリーナーの目詰まりが起こると吸入空気量が減り、燃費が低下するため注意が必要です。定期的なクリーニングを心がけましょう。
エンジンオイルの劣化も燃費に悪影響を及ぼします。エンジンパーツの摩耗を軽減する役割を果たすエンジンオイルが劣化すると、潤滑性能が低下してしまい燃費向上は見込めません。基本的には毎月チェック、最低でも3ヶ月に1回のペースで交換するのが望ましいでしょう。
タイヤの空気圧も重要です。空気圧が高すぎると燃費が悪化し、逆に低すぎるとタイヤの消耗が激しくなります。適度な空気圧を保つためにも、定期的なチェックを怠らないようにしましょう。メーカー推奨の空気圧を維持することが推奨されます。
運転方法による燃費悪化
普段の運転の仕方も燃費の良し悪しを左右します。特に、急発進や急停車、スピードの出し過ぎは要注意です。いずれもトラックに大きな負担がかかり燃費に影響します。また、加速と減速を繰り返す波状走行や、低速ギアで走り続ける運転も燃費を悪化させるため注意が必要です。
前の車と適切な車間距離を取る(一般道で2秒、高速道路で3秒以上)、エンジンブレーキをうまく活用する、不要なアイドリングをしないといったことを普段から心がけていれば燃費向上が期待できます。
積載量による燃費悪化
積載量と燃費の関係も密接です。車両と積荷のバランスが悪いと輸送効率が落ち、輸送重量あたりの燃費が悪くなります。
空車時や積荷に余裕がある場合は省エネ運転で燃費向上効果がありますが、フル積載時にはいくら運転に気を配っても燃費は向上しません。軽量化ボディの車両であれば、その分積載量が増えるため、結果的に輸送重量あたりの燃費は良くなる傾向にあります。可能であれば、車両の切り替えも検討してみましょう。
トラックのサイズ別燃費一覧と改善ポイント
一般的な普通自動車の平均燃費は約20km/Lですが、トラックは車両の大きさによって燃費が変わってきます。トラックのサイズごとの平均燃費と改善ポイントについてみていきましょう。
軽トラックの平均燃費と改善ポイント
車種によっても異なりますが、軽トラックの平均燃費は約17km/Lです。燃費改善ポイントは他のサイズのトラックと基本的には共通しており、運転の仕方や荷物の積載量に注意しましょう。また、軽トラックは一部を除き軽油が燃料です。軽トラックだからといって間違ってガソリンを入れてしまい、車両トラブルにつながったという事例もあるため注意しましょう。
2tトラック、4tトラックの平均燃費と改善ポイント
いわゆる小型トラックにあたる2tトラック、中型トラックにあたる4tトラックの平均燃費は以下の通りです。
・2t(小型)トラック:10~11km/L
・4t(中型)トラック:7~8km/L
小型トラックはトラックのなかでも比較的燃費は良い傾向にありますが、運転の仕方に注意すればさらなる燃費効果が期待できるでしょう。中型トラックは、荷役性を考慮すると軽トラックや小型トラックに比べて1Lあたりの費用対効果が高くなる傾向にあります。
大型トラックの平均燃費と改善ポイント
大型トラックの平均燃費は4~5km/Lと小型トラックの約半分です。車両重量がある点、長距離走行に比例して燃料の量も多くなる点などから、どうしても燃費は悪くなってしまいます。他のサイズのトラックに比べてよりいっそう、運転やメンテナンスに気を配る必要があるでしょう。
今日からできる!トラックの燃費改善
トラックの燃費はドライバーの心がけ次第で改善可能です。今日からすぐできるトラックの燃費改善方法をご紹介しますので参考にしてみてください。
運転技術の改善
穏やかな走行、アイドリングストップなど省エネ運転を心がけるようにしましょう。トラックの燃費消費はエンジンの回転数に比例するので、スピードの出し過ぎは厳禁です。一般道路では時速50-60km、高速道路では時速80-90kmを目安に走行するのが燃費効率が良いとされています。
低いギア段での運転も燃費を悪化させるため、早めのシフトチェンジを心がけるようにしましょう。エンジン回転数2000rpm以下でのシフトアップが推奨されます。
急発進・急制動も控えることが必要です。排気ブレーキの使い過ぎにも注意し、エンジンブレーキをうまく使うようにしましょう。下り坂では、エンジンブレーキを活用し、必要以上にフットブレーキを使わないようにすることで、燃費改善とブレーキパッドの寿命延長につながります。
車両管理の改善
燃費性能はタイヤの転がり抵抗の影響を大きく受けるため、適正なタイヤ空気圧を保つことも重要です。タイヤの空気圧が10%不足すると、燃費が約1%悪化するとされています。メーカー推奨の空気圧を維持し、少なくとも週1回はチェックしましょう。
また、吸気量が適正でなくなると燃費が悪化します。エア・エレメントのクリーニングで燃費性能の低下を予防しましょう。
エンジンオイルの劣化は潤滑性能を低下させる恐れがあるので、定期的な交換は必須です。一般的に5,000km走行ごと、または3ヶ月に1回の交換が推奨されていますが、これはあくまで目安です。
輸送効率を上げて燃費効果を高めるためには、積載量にも気を配る必要があります。車両と積荷のバランスを考えながら運転するように、普段から習慣づけしておきましょう。
最新技術の活用
エコカーの急速な普及により、最近では高い燃費性能を持つトラックが増えてきています。
2015年以降には、排ガス効率を高めるダウンサイジングエンジンを搭載した車両が登場。高年式のトラックは燃費性能が向上していると考えられるので、買い替えも選択肢の一つです。新車購入はハードルが高いかもしれませんが、すでに中古トラック市場への流入も始まっているので検討してみると良いでしょう。
最新のトラックには、アイドリングストップシステムや燃費管理システムなどの先進技術が搭載されています。これらの機能を積極的に活用することで、さらなる燃費改善が期待できます。
燃費改善の最新トレンド
自動車業界では、燃費性能向上のための技術開発が日々進んでいます。例えば、三菱ふそうの「eCanter」は、100%電気で動く小型トラックとして注目を集めています。一回の充電で約100kmの走行が可能で、従来のディーゼルエンジン車と比べてランニングコストを大幅に削減できます。
ハイブリッドトラックも普及が進んでおり、日野自動車の「ハイブリッドプロフィア」は、従来のディーゼルエンジン車と比べて燃費改善を実現しています。
これらの最新技術は、初期投資は高くなりますが、長期的には燃費改善によるコスト削減が期待できます。自社の運用状況に合わせて、最適な選択を検討することが重要です。
燃費改善チェックリストとヒント
以下に、日々の運転で実践できる燃費改善のためのチェックリストとヒントを紹介します。
1. 日常点検
□ タイヤの空気圧チェック(週1回)
□ エンジンオイルのレベルと状態確認(月1回)
□ エア・エレメントの状態確認(月1回)
□ 不要な荷物の除去
2. 運転習慣
□ アイドリングストップの実施(3分以上の停車時)
□ 急発進・急加速・急ブレーキの回避
□ 適切な車間距離の維持(前車追従システムがある場合は積極的に活用)
□ エコドライブモードの使用(搭載車両の場合)
3. 燃費記録
□ 給油ごとの走行距離と給油量の記録
□ 月ごとの平均燃費の計算と比較
【簡単な燃費計算方法】
1. 満タン給油時の走行距離をメモする
2. 次の満タン給油時に、給油量と走行距離をメモする
3. 走行距離(km)÷給油量(L)で燃費(km/L)を計算する
例:500km走行して40L給油した場合
500km ÷ 40L = 12.5km/L
この方法で定期的に燃費を計算し、記録することで、自身の運転や車両の状態が燃費にどう影響しているかを把握できます。
個人でできることは限られているかもしれませんが、運転方法やメンテナンスの徹底などの積み重ねが確実に燃費改善につながります。ご紹介した内容を参考に、日々の運転に役立ててください。燃費改善は、コスト削減だけでなく、環境保護にも貢献する重要な取り組みです。一人ひとりの努力が、大きな変化につながるのです。
燃費改善目標の設定と達成方法
燃費改善に取り組む際は、具体的な目標を設定することが重要です。以下に、目標設定と達成のためのステップを紹介します。
1. 現状の把握
まず、過去3ヶ月の平均燃費を計算し、現状を把握します。
2. 目標の設定
現状の燃費から5-10%の改善を目標にするのが現実的です。例えば、現在の燃費が8km/Lの場合、8.4-8.8km/Lを目標にします。
3. 行動計画の作成
前述のチェックリストを参考に、具体的な行動計画を立てます。例えば:
– 毎週月曜日にタイヤの空気圧をチェックする
– 3分以上の停車時は必ずアイドリングストップを行う
– 急発進・急ブレーキを1日3回以内に抑える
4. 定期的な記録と評価
毎月の平均燃費を計算し、目標との差を確認します。改善が見られない場合は、行動計画を見直します。
5. 達成の celebration
目標を達成したら、自身や同僚を褒めることを忘れずに。小さな成功体験が、継続的な改善につながります。
最後に、燃費改善は一朝一夕には実現できません。しかし、小さな努力の積み重ねが大きな成果につながります。環境への配慮とコスト削減の両面で、燃費改善に取り組むことは非常に重要です。この記事で紹介した方法を実践し、継続的な改善を目指してください。皆さんの努力が、より持続可能な物流業界の実現につながるのです。