世界各地で道路の安全向上への努力が加速していますが、とくに大型トラックの事故を防ぐための対策が注目されています。
この中で「トラック突入防止装置」が重要な役割を果たしていることが認識されています。
この記事では装置の機能、設置が必要とされる理由、どのような車両に設置義務があるのか、そして安全に与える影響について説明します。
トラック突入防止装置とは？
トラック突入防止装置は交通事故における重大な被害を防止するために欠かせない安全機能の一つです。
この装置が目指すのは乗用車がトラックの下部に潜り込むことを阻止し、衝突の際に車内の人々を守ることです。
定期的なメンテナンスにより装置の性能を維持することで事故時のリスクを減らし、安全に道路を利用することへとつながります。
装置の基本概要
トラックの前部と後部に取り付けられる突入防止装置は乗用車との衝突時に高い安全性をもたらします。
この装置の主な目的は事故発生時に乗用車がトラックの下部に潜り込むのを阻止し車内の人々の安全を守ることです。
これにより衝突による損害を軽減し、乗員に対するリスクを低下させる効果があります。以下、装置の設計と構造について説明します。
装置の設計と構造詳細
①材質
装置は高強度鋼で製造されており衝撃吸収能力が高く重大な衝突でも破損しにくい構造になっています。
この鋼材は耐腐食性にも優れており長期にわたる使用に耐えることができます。
②強度
突入防止装置は国際安全基準に準拠したテストを経て、その衝撃耐性が証明されています。
具体的には定められた速度での衝突試験をクリアしており、最大限の保護機能を実現しています。
③取り付け方法
装置はトラックのシャーシにボルトで固定され、特殊なブラケットで支えられています。
この取り付け方法は簡単で速やかに行うことができ、必要に応じて取り外しや交換が可能です。
取り付け位置は車両の最前部と最後部のバンパーから一定距離内に設定されており安全性を確保します。
これらの設計と構造により突入防止装置はトラックだけでなく、他の道路利用者にとっても重要な安全装備となっています。
この装置を通じて道路上の安全性が大幅に向上し、事故による重大な損害や怪我のリスクを効果的に減少させることが可能です。
前部（FUPD）と後部（RUPD）の違い
車両突入防止装置は追突事故の時、乗用車がトラックの下に入るのを防ぐために大型トラックの前後に設置されます。
この装置があることで事故時の衝撃を和らげ、車の中の人を守る役割を果たします。
正面からの衝突にはFUPDが、後ろからの衝突にはRUPDがそれぞれ対応し乗用車とその乗員を保護します。
このようにして車両突入防止装置は事故による悪影響を減らし、道路上での安全を向上させる重要な役割を持っています。
取り付け義務の条件と基準
トラックに突入防止装置を設置することは安全を確実にするために非常に重要です。
設置が必要な条件や基準は明確に定められており、これを適切に適用することによりすべての道路を利用する方の安全性が向上します。
装置の定期的なメンテナンスとともに、設置義務を守ることはトラックと他車との衝突を避け、乗員の安全を守る上で欠かせません。
どのトラックに必要？
トラックへの突入防止装置の設置は、車両のサイズに基づき義務付けられています。
具体的には車両の重さと高さが決められた基準を超えた場合、安全のために装置を装着することが法律で定められています。
この規則により道路上の安全が強化され、とくに大きなトラックと小さな乗用車との衝突時のリスクが軽減されます。
突入防止装置は、すべての道路利用者の安全を守るための重要な役割を担っています。
保安基準の詳細
国土交通省は車両の安全を高めるため突入防止装置の取り付けを義務付けています。以下詳しく説明します。
①車両総重量7t以上
7トンを超える車両に対しては特別な突入防止装置の設置が義務付けられています。
この要件は車両の後部下縁の高さが空車時に550mm以上ある場合に適用され、装置は後輪タイヤの外側から10cm以内の位置に設置し、その大きさは縦横ともに最低10cm以上である必要があります。
この制度はトラックと乗用車間の衝突を減少させ、全体的な道路の安全性を高める目的で導入されました。
②車両総重量3.5t～7t未満
3.5トンから7トン未満の車両に対する突入防止装置の規則は、空車時の後部下縁が600mm以上の高さにある場合に適用されます。
この場合装置は車幅の60%以上にわたって設置され、その縦横の寸法は最低でも10cm以上必要です。
このような寸法の装置を取り付けることで小中型トラックでも乗用車との衝突事故時の安全性が大幅に向上し、道路上での全体的な安全を確保することができます。
③車両総重量3.5t未満
3.5トン未満の車両では空車時に後部の下縁が700mmを超える場合、車幅の60%以上を覆う突入防止装置の設置が求められます。
この装置は形状が乗用車の突入を防ぐことができるよう設計されていなければなりません。
小型トラックでも後方からの衝突事故時において、乗用車が下に潜り込むのを有効に防止し乗員の安全を確保することが可能となります。
突入防止装置は事故リスクを減らし、すべての車両で道路安全を確保するために重要です。しっかり基準を守って事故防止に努めましょう。
安全への影響と事故率の変化
トラック突入防止装置の設置及びそのメンテナンスは、道路の安全性を大きく向上させています。
これらの装置は、とくにトラックと乗用車の衝突事故において、車内の人々の安全を大幅に保護し、生存率を上げる重要な役割を担っています。
これにより、事故に伴う重傷や死亡事故の可能性が大きく低下しています。以下ではトラック突入防止装置がどのように安全面で貢献しているか、そして事故率の推移にどう影響しているかについて詳しく説明します。
装置の安全への貢献
突入防止装置が乗用車とトラック間の重大事故を減らしています。
この装置により事故時の乗員保護が向上し、深刻な怪我や死亡事故の数を少なくしています。
事故の衝撃を和らげることで乗用車の乗員がより安全に保護され、道路上の全体的な安全性が高まっています。
突入防止装置は事故による被害を軽減し、多くの命を守るために重要な役割を果たしています。
事故率の減少傾向
2009年の交通事故死者数が57年ぶりに5000人を下回ったことは、日本における交通安全対策の効果が現れている証拠です。
しかし、究極の目標は事故率ゼロを達成することであり、この目標に向けてトラックメーカーは、事故の未然防止と発生した事故の影響を最小限に抑えるための技術開発に力を注いでいます。
警察庁が発表する「交通事故統計」によると、平成28年から平成31年までの間にトラックが関与する死亡事故件数は次のように推移しています。
平成28年:258件
平成29年:271件
平成30年:253件
平成31年:239件
この期間中は突入防止装置が広く導入された結果、トラック関連の死亡事故件数は徐々に減少しています。
とくに突入防止装置を装備したトラックでの追突事故における死亡事故の発生率は、装備していないトラックと比較しても低下していることがわかります。
この装置の効果は追突時に乗用車がトラックの下に潜り込むのを阻止し乗員の生存空間を確保することにより、死亡リスクを大幅に減少させるものです。
さらに、国土交通省は車両の安全性を高めるため、突入防止装置の取り付けを義務付ける法規を厳格化しています。
この政策は装置の正確な取り付け位置と強度基準を定め、事故時の乗員保護を最大限にするために設計されました。
突入防止装置の導入は、トラックによる事故の死亡件数を減少させ、全体的な道路安全性を向上させています。
これによりトラックメーカーは事故時の被害を減らす技術の開発において重要な役割を果たし、道路を利用するすべての人々の安全を守る責任を果たしています。
関連安全装備：スタビライザーの役割
トラック突入防止装置と並行してトラックの安全性を高めるために重要な役割を果たすのがスタビライザーです。
スタビライザーは車両の横揺れを抑制し、高速走行時や急カーブを通過する際の安定性を向上させます。これによりトラックの運転手はより安全に車両をコントロールできるようになり事故のリスクを減少させることが可能になります。
スタビライザーとは？
スタビライザーはトラックの横揺れを抑制し曲がり角や高速走行時の安定性を向上させる装置です。
この装置が運転の安定性を高めることでトラックの突然の動きを効果的に制御し、全体的な運転安全性が向上します。
スタビライザーはドライバーだけでなく乗客にも快適な走行体験をもたらし、とくに長時間の運転を要するドライバーにとっては、安全で安定した運転をするためには欠かせません。
スタビライザーとトラック突入防止装置は、互いに補完し合う形で機能します。安定した運転環境は突入防止装置がより効果的に機能するための前提条件を作り出します。
具体的にはスタビライザーによる車両の安定化は、急激な操作や避けられない衝突の際にトラックが乗用車の上に乗り上げるリスクを減少させます。
これにより、突入防止装置がその目的である乗用車の下への潜り込みを防ぐ際、より確実にその機能を発揮できるようになります。
交換目安とメリット
スタビライザーはトラックの横揺れを減少させ、運転の安全性と安定性を保証する重要な装置です。
この装置を適切に調整し定期的に検査することでトラックの操縦性は大きく改善されます。摩耗やダメージが見つかった場合は速やかに交換しましょう。
ドライバーは車両を良い条件で操ることが可能になり事故発生のリスクが大きく減少します。
スタビライザーの適切なメンテナンスは車両のパフォーマンスを維持し安全な運転を長期にわたって支援するために欠かせません。
