トラックの安全運行を守るための必須メンテナンス完全チェックリスト!プロが教える日常点検から法定点検まで

トラックの安全走行には定期的なメンテナンスが欠かせません。適切な点検を行うことで、事故を防ぐだけでなく、車両の寿命を延ばすことにもつながります。今回は、トラックにとって必須のメンテナンスや定期点検について詳しくご紹介します。

目次

トラックメンテナンスの重要性と基本知識

トラックドライバーにとって、トラックは仕事上の大切なパートナーです。日頃からメンテナンス・手入れ・掃除などを怠らず、ドライバー自らが走行前の安全管理の意識を高く持つことが必要です。法律を順守することはもちろん、プロとして安心安全な業務を行うために、積極的に点検・整備を欠かさないように心がけましょう。

なぜトラックのメンテナンスが重要なのか? 事故防止、コスト削減、法規制遵守の観点から解説

ドライバーが毎日出勤・運行前に実施する日常点検は、故障や事故を未然に防ぐことを目的として、車両の主要な部位の状態を確認する重要な作業です。日常点検は以下の点で重要な役割を果たしています。

1. 事故の防止
メンテナンスや点検不足による車両故障は、重大な事故につながるリスクがあります。日常点検によって事故を未然に防ぐことができます。

2. ドライバーの安全確保
車両の安全性を確保することで、ドライバー自身の安全走行を確保できます。

3. 車両故障の防止
日常点検やこまめなメンテナンスによって、車両故障を早期に発見し、適切な修理や交換を行うことができます。

4. 車両の寿命延長
車両の故障を早期発見し、適切な修理や部品交換をすることで、車両全体の寿命を延ばすことができます。

5. 経費節約
車両故障や事故が起こることで、修理費用はもちろん、休業・人的損害などで多額の経費が発生します。日常点検とメンテナンスは、これらの経費を大幅に削減することができます。

また、国土交通省が定める道路運送車両法では、事業用トラックドライバーは業務前の日常点検を実施し、異常を発見した場合は直ちに修理・交換を行う義務が課されています。これは安全運行を確保するための重要な法的要件です。

トラックメンテナンスの種類: 日常点検、定期点検、法定点検の違いとそれぞれの内容を詳しく解説

道路運送車両法により、トラックには以下の3種類のメンテナンスが必要とされています。

1. 日常点検
運行前や運行中、運行後の車両点検は、安全走行をするために欠かせない日常点検です。故障を予防する対策として、可能な限り業務中間や終業後の点検も実施することをおすすめします。

2. 定期点検
普通の自家用車の車検は2年に一度ですが、トラックの点検や整備の規定はより厳格です。全車両が年1回の車検が必須であり、さらに業務用トラックや大型トラックは3ヶ月点検、自家用小中型トラックは6ヶ月点検を義務付けられています。

3. 法定点検(車検)
一般的に車検と呼ばれる法定点検は、トラックの場合、原則1年毎に行うことが義務付けられています。法定点検項目や合格基準は明確に定められており、専門知識や技術が必要なため、ディーラーや整備工場で実施されています。タイヤやブレーキのチェックも含まれるため、これらの重要な部品の不具合も未然に防ぐことができます。

定期点検は道路運送車両法で車検と共に実施が義務付けられていますが、罰則規定自体は存在しません。しかし、定期点検が行われていない業務トラックに対して、警察は即時に改善命令を出し、運行停止命令を出すことができます。運輸業務に欠かせないトラックが業務中に運行停止命令を受けると、荷物を届けることができなくなってしまいます。さらに、リコールなどのメーカー保証も整備不良を理由に断られるケースがあるため、定期点検はトラックを運行するための保険だと考え、定められたサイクルで点検整備を確実に行いましょう。

プロが教える日常点検の完全チェックリスト

トラックを良好な状態で長く使用し続けるためには、日常的な点検が非常に重要です。日常点検を怠ると、車両故障だけでなく、それが引き金となって事故が発生し、車両はもちろん積荷への損傷を招いてしまう可能性があります。以下では、トラックの日常点検における重要な項目について詳しく解説します。

エンジンルームのチェックポイント: オイル、冷却水、バッテリーなど、自分で確認できる項目と注意点

トラックの心臓部分といわれるエンジンルームの点検は非常に重要です。エンジンルームの点検を怠ると、エンジン不調に気付きにくく、大きなトラブルが発生するリスクが高まります。トラックを安全かつ長期間使用するために、エンジンルームのメンテナンスは定期的に行いましょう。

1. エンジンオイルの量
エンジンオイルを長期間交換せずに使用したり、オイルの量が目盛りの「L」より低い状態で走行し続けると、潤滑不良でエンジン破損を招く上、最悪の場合は火災が発生する可能性があります。使用トラック指定のオイルをこまめにチェックし、適切に補給または交換しましょう。

2. 冷却水の量
冷却水の液面が下限である「MIN」より低かったり、長期間交換せずに使用していると、エンジンのオーバーヒートにつながるリスクがあります。日常的に点検し、必ず適切な量を補給または交換してください。

3. バッテリー液の量
バッテリーの液面が「LOWER LEVEL」より低い状態で使用し続けると、バッテリーが上がることや、最悪の場合は破裂するおそれがあります。チェックをこまめにして、必ず適切な量を補給してください。ただし、メンテナンスフリーバッテリーを使用しているトラックは補給の必要がありませんので、事前に確認しておきましょう。

タイヤとブレーキの徹底チェック: 空気圧、溝の深さ、ブレーキパッドの残量などを確認する方法

タイヤのメンテナンスが不適切な場合、タイヤの機能が低下するだけでなく、様々な損傷を引き起こす原因となります。トラック走行時の安全を確保するためにも、必ず以下の部分の日常点検・整備を行いましょう。

1. 空気圧
適切でない空気圧は、燃費の悪化、走行性能の低下、偏摩耗、タイヤの損傷、故障など様々な問題を引き起こす可能性があります。走行前に適正な空気圧かどうか必ず点検しましょう。適正空気圧はトラック車種によって異なるので、運転席側のドア付近か給油口に貼付された空気圧表示シールで確認します。点検のタイミングとしては、走行前のタイヤが冷えている時に空気圧をチェックするのが最適です。

2. 溝の深さ
走行前にタイヤの溝の深さも必ずチェックしましょう。雨の日の高速道路等では、タイヤの溝が浅いと排水性能が低下し、タイヤが路面の水の上を滑る「ハイドロプレーニング現象」が発生する恐れがあります。これによりハンドルやブレーキが効かなくなる非常に危険な状態に陥る可能性があります。

そのため、日常的に走行前のタイヤの残り溝チェックは必須です。残り溝が1.6ミリになる目安としてスリップサインが設けられており、スリップサインが1箇所でも露出すると走行禁止であることが法律で定められています。

3. ブレーキパッド
ブレーキを頻繁に使用すれば、ブレーキパッドは徐々にすり減っていきます。このブレーキパッドが過度にすり減ると、ブレーキの効きが悪くなるだけでなく、重大な事故や車両故障の原因にもなります。

ブレーキパッドの残量目安は、ディスクブレーキが3mm以下、ドラムブレーキが1mm以下です。乗用車では約3年サイクルで交換するブレーキパッドですが、業務用トラックでは、3ヶ月に1度行われる法定点検でパッド残量を確認し、走行距離に見合ったサイクルでの交換が最適です。

車体と内装の点検: ライト類、ミラー、シートベルト、積載物の固定状態など、見落としがちなポイント

車体や内装に関しての日常点検では、以下のポイントを特に注意深くチェックする必要があります。

1. ヘッドライト、テールランプ、ウィンカーなど
ライト類は夜間や悪天候の走行時の視界を確保するために非常に重要です。ヘッドライトやテールランプが切れていると、他の車両から見えにくくなり、事故につながる可能性が高くなります。また、ウィンカーが点灯しないと、方向転換の意思表示ができず、同様に事故のリスクが高まります。

2. ワイパーブレードの状態、ワイパー液の量
ワイパーも、雨天走行時の視界確保のために重要なパーツです。ワイパーブレードが劣化していると、水滴などを十分に拭いきれずに視界が悪くなり、事故につながるリスクがあります。また、ワイパー液の量が不足していると、ワイパーが正常に機能しないので、こまめなチェックと補充が必要です。

3. ミラーの破損や汚れ
ミラーは、周囲の状況を確認するために車両にとって不可欠です。ミラーが破損したり汚れていると、周囲が見えにくく状況把握が困難になり、事故につながる可能性が高くなります。日常的な点検とこまめな清掃を心がけましょう。

4. 車体の傷やへこみ、錆など
車体に傷やへこみがあるままで走行し続けていると、そこに雨水が溜まり、錆びていく可能性があります。錆びは、頑丈なトラックであっても車体の強度を低下させ、車両故障から事故につながるおそれがあります。日頃のメンテナンスと早めの補修を心がけましょう。

5. 積載物の固定状態
積載物が適切に固定されていないと、走行中に荷崩れが起こり、事故の原因となる可能性があります。積み込み時と走行中の定期的なチェックを行い、必要に応じて再固定を行いましょう。

6. シートベルトの状態
シートベルトは事故時の乗員保護に極めて重要です。ベルトの摩耗や損傷、バックルの動作不良などがないか定期的にチェックしましょう。

これらの点検項目を日常的に実施することで、トラックの安全性を高め、事故のリスクを大幅に減らすことができます。些細な異常でも見逃さず、早期に対処することが重要です。

定期点検と法定点検: プロの目で徹底的にチェック

トラックの安全走行のために必要な点検やメンテナンスというと、多くの人がまず車検を思い浮かべるかもしれません。確かに車検(定期点検)は重要ですが、それだけでなく法定点検も車両の安全運行を確保するために不可欠です。ここでは、これらの点検についてより詳しく解説し、具体的な実施スケジュールや検査項目について説明します。

定期点検の内容と頻度: オイル交換、フィルター交換、各部の調整など、専門業者に依頼すべき項目

日々大量の荷物を運ぶのに活躍しているトラックですが、長期間かつ良好な状態で走行し続けるためには定期点検や点検整備を確実に行う必要があります。トラックの維持に不可欠な、プロに依頼すべき点検項目を詳しく見ていきましょう。

1. 3ヶ月毎の定期点検
3ヶ月毎に行う定期点検では、以下の点検項目を検査します。

– 制動装置:ブレーキペダル、駐車ブレーキ、ホース、パイプ、リザーバタンク、ブレーキチャンバー、ブレーキドラムやシュー、ブレーキディスクやパッド、センターブレーキドラム
– 走行装置:タイヤ、ホイール
– 緩衝装置:サスペンション、ショックアブソーバ
– 動力伝達装置:クラッチ、トランスミッション、トランスファ、プロペラシャフト、ドライブシャフト、デファレンシャル
– 電気装置:点灯装置、バッテリー、電気配線
– 原動機:本体、潤滑装置、燃料装置、冷却装置
– かじ取り装置:ロッド、アーム類、ナックル、パワーステアリング装置
– その他:エグゾーストパイプ、マフラー、エアコンプレッサー、車枠、車体、シャーシ各部

2. 6ヶ月毎の定期点検
6ヶ月毎に行う定期点検では以下の点検項目の点検整備を行います。

– 原動機:本体、潤滑装置、燃料装置、冷却装置
– 電気装置:バッテリー
– ブレーキ周辺:ブレーキペダル、駐車ブレーキ、リザーバタンク
– ハンドル周辺:パワーステアリング装置、運転席周り
– タイヤ:タイヤの状態
– その他:ワイパー、ライト、ウィンカー、下回り

3. オイル交換
オイル交換は検査項目には必ず記載されているものではありませんが、トラックを長持ちさせ安全に走行するためには必要不可欠です。以下のオイルの定期的な交換をおすすめします。

– エンジンオイル
– ブレーキオイル(フルード)
– オートマチック(CVT)オイル

これらのオイル交換を定期点検の際に合わせて行うことで、効率的かつ確実なメンテナンスが可能になります。

4. フィルター交換
エアフィルターの汚れ具合は、どのくらいの期間汚れた空気を吸い込んだかによって変わります。一般的には、定期点検時に合わせて交換するのが目安とされています。

ただし、年間走行距離が多いトラックや都心部などの渋滞の多い道路をよく走行する場合は、定期点検とは別に定期的にディーラーや修理工場などで点検してもらい、必要であれば早めに交換してもらうことをおすすめします。

5. 各部の調整
トラックの各部品は使用とともに微妙にずれや緩みが生じる可能性があります。特に以下の部分については定期的な調整が重要です。

– ブレーキの遊び
– クラッチペダルの遊び
– ステアリングの遊び
– ベルト類の張り具合

これらの調整は専門的な知識と経験が必要なため、必ず専門業者に依頼しましょう。

定期点検を確実に実施することで、トラックの安全性と耐久性を大幅に向上させることができます。点検項目が多岐にわたり、専門的な知識や技術が必要なため、信頼できる整備工場やディーラーに依頼することが重要です。また、点検結果や修理・交換の履歴を適切に記録・保管することで、トラックの状態を継続的に把握し、より効果的なメンテナンス計画を立てることができます。

トラックの法定点検: 車検、点検整備の時期と内容、違反した場合の罰則など、ドライバーが知っておくべき法律知識

トラックの法定点検は、装備不良による交通事故の防止や、トラックから排出される排気ガス・騒音などが環境基準を満たしているかを定期的に点検し、必要に応じて整備を行うものです。

1. 法定点検の実施時期と内容
事業用トラックの法定点検は自動車整備工場で行うことができ、スケジュールは以下の通りです。

– 3ヶ月点検:3ヶ月ごとに実施
– 12ヶ月点検(車検):12ヶ月ごとに実施

前回法定点検を受けた際に、フロントガラスに「点検整備済みステッカー(ダイヤルステッカー)」が貼られます。ステッカーの中央に書かれた数字が次回の点検年、周囲の数字が次回の点検月の目安を示しています。示されたタイミングの前後1カ月程度で法定点検を受けるようにしましょう。

2. 法定点検の重要性と罰則
法定点検は義務付けられていますが、受けなくても直接的な罰則はありません。しかし、法定点検を怠ることはトラックの安全性が保証されないまま走行することになり、運行中のトラブルや事故が発生した場合、道路運送車両法に基づき罰せられるリスクがあります。そのため、必ず定められた期間内に法定点検を受けるようにしましょう。

3. 点検項目
事業用トラックや自家用大型トラックに義務付けられている3ヶ月点検の項目数は50項目あります。主な点検箇所は以下の通りです。

– 電気装置:バッテリー、電気配線など
– 原動機:エンジン本体、潤滑装置、燃料装置、冷却装置など
– 制動装置:ブレーキペダル、ブレーキドラム、ブレーキチャンバーなど
– 走行装置:タイヤ、ホイールなど
– 緩衝装置:サスペンション、ショックアブソーバーなど
– 動力伝達装置:トランスミッション、クラッチ、デファレンシャルなど
– かじ取り装置:ロッド、アーム類、パワーステアリング装置など
– その他:マフラー、シャーシなど

12カ月点検(車検)の点検項目数は、自家用中小型トラックでは83項目、事業用・大型トラックは100項目あります。3ヶ月点検の項目に加えて、以下のような項目が含まれます。

– 点火装置
– ハンドル、ギアボックス
– リム、ホイールナット、ホイールボルト
– リーフサスペンション、コイルサスペンション
– ブローバイガス還元装置
– 燃料蒸発ガス排出抑止装置

これらの法定点検を実施するには専門的な知識が必要であり、自分で行うと「点検整備済みステッカー」を受け取ることができないため、プロに依頼するのが一般的です。法定点検を受けられる場所は主にディーラーや整備工場ですが、一部のガソリンスタンドやカー用品店でも対応可能な場合があります。

交換パーツの金額や工賃、種類はお店によって異なりますが、点検項目は法律で決められているため、どこに依頼しても内容が大きく変わることはありません。

法定点検を適切に実施することで、トラックの安全性を確保し、長期的な維持コストを抑えることができます。また、法令遵守の観点からも、定められた期間内に確実に点検を受けることが重要です。

トラックメンテナンスを効率化するためのコツと便利ツール

従来の紙のチェックシートを使用して点検やメンテナンスを行う方法には、保管の煩雑さや記入漏れのリスクなどの課題がありました。そこで、最近ではデジタルツールを活用して記録し保存することが増えています。これにより、記入漏れを防ぎ、データ化することで未点検者の把握も容易になります。

メンテナンス記録の重要性と管理方法: 点検記録アプリやノートを活用して、効率的なメンテナンスを実現

トラックをはじめとする事業用車両の安全運行に欠かせない日常点検やメンテナンスの記録・報告業務を、紙運用からデジタル運用に切り替えることで大幅な効率化が可能です。特に、モバイルアプリの導入が増えています。これらのアプリを使用すると、点検結果をその場でデジタルデータとして即座に社内各部へ共有・保存でき、点検表を提出するための手間を大幅に削減できます。

また、デジタルデータとして点検表を管理することで、過去の情報を簡単に検索・参照することが可能になり、トラックの状態の推移を把握しやすくなります。

以下に、効率的なメンテナンス記録管理に役立つツールをいくつか紹介します。

1. MOVO Driver
従来の日常点検表は、企業ごとに作成された専用用紙にドライバーが手書きで記入して紙保管することが一般的でしたが、MOVO Driverを使用すると、手持ちのスマートフォンで簡単に記録・報告することができます。道路運送車両法で定められている、実施すべき点検項目すべてについて記録可能で、点検結果を入力し、報告・データ保管することができます。

2. Platio ノーコードツール
ノーコードツールとは、プログラミングをしなくてもアプリ開発が可能なツールです。専門的なプログラミング知識が不要なため、業務・点検項目をよく知る担当者が自社の業務に合った点検用モバイルアプリを簡単かつ短時間で作成することができます。

アプリ完成後も修正・改善がしやすく、実際に使用して見えてきた改善点をすぐに反映させ、現場のドライバーや担当者が使いやすいようにアプリの内容を柔軟に変更することができます。

3. スプレッドシートやデータベースソフト
Google SheetsやMicrosoft Excelなどのスプレッドシートソフト、あるいはAccessのようなデータベースソフトを使用して、独自の点検記録システムを構築することも可能です。これらのツールを使用すると、点検データの入力、保存、分析が容易になり、車両ごとのメンテナンス履歴を詳細に管理することができます。

4. 専用の車両管理ソフトウェア
大規模な運送会社や車両管理が複雑な企業向けに、専用の車両管理ソフトウェアも提供されています。これらのソフトウェアは、点検記録だけでなく、燃費管理、運行管理、ドライバー管理など、車両に関する総合的な管理機能を提供しています。

これらのデジタルツールを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

– 点検漏れの防止
– データの正確性向上
– 迅速な情報共有
– 過去のデータの簡単な参照と分析
– ペーパーレス化による環境負荷の低減
– 保管スペースの削減
– 長期的なコスト削減

ただし、デジタルツールを導入する際は、データのセキュリティやバックアップ、従業員のトレーニングなどにも配慮する必要があります。また、法令で定められた記録の保管期間や形式に準拠していることを確認することも重要です。

効果的なメンテナンス記録管理は、トラックの安全性向上、コスト削減、そして業務効率化に大きく貢献します。自社の規模やニーズに合わせて最適なツールを選択し、継続的に活用していくことが重要です。

トラブルを未然に防ぐための予防整備: 早めの部品交換や定期的なクリーニングで、故障リスクを低減

トラックのあらゆる部品は日々劣化していくものです。劣化すると当然性能は低下し、限界点を超えると重大な車承知しました。トラブルを未然に防ぐための予防整備について、続きを説明いたします。

トラブルを未然に防ぐための予防整備: 早めの部品交換や定期的なクリーニングで、故障リスクを低減

トラックのあらゆる部品は日々劣化していくものです。劣化すると当然性能は低下し、限界点を超えると重大な車両故障や事故を招くこともあります。長年従事するプロドライバーでも、日々トラックを使用している中で細かい劣化具合を把握することは簡単ではありません。万が一を起こさないために、日常点検はもちろん、早めの部品交換やセルフクリーニングを行うことでリスクを減らします。このような点検整備は「予防整備」と呼ばれ、トラックの安全性と信頼性を維持する上で非常に重要です。

以下が交換を気にするべき主な部品の交換時期の目安です。

1. 半年~1年毎に確認と交換が必要な部品
– エンジンオイル:走行距離目安は小型トラック:2万km、中型トラック:3万km、大型トラック:4万km
– エンジンオイルフィルター
– ワイパーブレードゴム

2. 2~3年毎に確認と交換が必要な部品
– バッテリー
– ブレーキオイル
– ラジエーター液
– エアクリーナー
– スパークプラグ

3. 4~5年毎に確認と交換が必要な部品
– ブレーキパッド
– タイヤ

これらの部品は、使用状況や走行環境によって劣化の速度が異なる場合があります。そのため、定期点検時にプロの整備士に状態を確認してもらい、必要に応じて早めの交換を行うことが重要です。

次に、トラックのDPF(排ガス浄化装置ディーゼル微粒子捕集フィルター)についても触れておきましょう。DPFはトラックの排気ガスなどの有害物質をフィルターに集め、走行中に大気排出しないよう燃焼除去と自動再生を行う重要な装置です。このフィルターを適切な状態でセルフクリーニングしていれば、早々に故障することはほぼありません。

最適な状態でセルフクリーニングを機能させるために、高速道路上などで高速高回転を行い、排気温度を高温にすることが重要です。このセルフクリーニングと呼ばれるフィルターの再生方法には以下の3つの方法があるので、定期的に行うようにしましょう。

1. 連続再生方式:排ガスの熱エネルギーなどを利用する自己再生方式
2. 間欠再生方式:電気ヒーターで燃焼させる再生方式
3. 添加剤再生方式:燃料に触媒を添加し触媒を接近させ酸化させる再生方式

また、車内と車体の清掃も長くトラックを使用するためには大切なメンテナンスに含まれます。

車内清掃のポイントとしては:
– 天気が良く湿度の低い日に行い、生乾きによる雑菌の増殖を防ぐ
– 車内の荷物を全て出してから清掃をはじめる
– 荷物がなくなった車内を、まず掃除機やほうきを使って中に溜まったホコリやダニを出す
– シート類の拭き取り掃除をする
– 中性洗剤をふくませた布巾でガラス、ミラー、ダッシュボードを拭く

トラックの外装の掃除の仕方とポイントとしては、以下を参考にしてみてください。

1. トラックボディの洗浄
– まずは流水でトラックボディ全体を流し、ほこりやススなどを取り除きます。
– 次に洗浄液をスポンジに含ませ、屋根・フロント・サイド・リアの順番に優しく磨き、流水で洗浄液を流します。

2. タイヤ、ホイールの洗浄
– タイヤ、ホイールの洗浄には、カーシャンプーとブラシを使用します。
– 洗浄液をブラシにつけて、タイヤとホイールの汚れを優しくこすり落とします。

3. フレーム部分の洗浄
– フレームについた泥は、高圧のクリーナーを使うと綺麗に洗い流すことができます。
– クリーナーと専用洗剤、クリーナーがなければ大きく硬めのブラシでこすり洗いしましょう。

これらの予防整備と清掃を定期的に行うことで、トラックの性能を維持し、故障のリスクを大幅に減らすことができます。また、清潔で整備の行き届いたトラックは、ドライバーの仕事に対するモチベーションを高め、会社の信頼性向上にもつながります。

プロの整備士がおすすめする便利ツール: 点検作業を楽にするアイテムや最新技術を紹介

1つあると重宝するメンテナンスのプロも愛用する人気の点検・整備グッズをご紹介します。

1. イーバリュー(E-Value):整備工具セット 82点組
自動車などのメンテナンスに必要な工具がすべて揃った82点の整備セット。72ギア採用のラチェットハンドルは狭い場所でも作業性抜群で、ソケットはボルト、ナットの角に優しい面接触加工が施され、レンチ、ソケット類はクロームバナジウム鋼を使用した完全熱処理済みです。

2. 京都機械工具(KTC):ロングめがねレンチ 7点セット
使用頻度の高いサイズだけが集まった、ロングめがねレンチ7本セット。口径部は応力の集中を防ぐことでボルトやナットのエッジを傷めにくくし、より確実な締め付けと緩め作業が両方行えるパワーフィット形状のレンチです。立ち上がり角は狭い場所でも使いやすい45°×6°が採用されていて、狭い場所での使い勝手をよくすると同時に、ボルトやナットに効率よく力を伝えてくれます。よく売れているサイズのレンチだけを無駄なく集めているので、1つトラックに積んでおけばとても便利な工具セットです。

次に、点検作業を楽にする最新技術をご紹介します。

OBD(車載式故障診断装置)診断は、スキャンツールを用いてトラックの故障箇所を診断する技術で、特定整備や車検分野で義務化される予定のデジタル技術です。

このOBDを活用した点検や自動車整備が普及すれば、自動車整備や点検・車検対応にかかる時間が大幅に削減できます。また部品業者と提携することで、顧客の自動車を整備する際に必要となる可能性が高い部品を事前納品するか、すぐに取り寄せられる体制を整えておくと、ドライバー側は車検時に即時に部品交換ができて、走行業務に支障がでない上、点検業者側には売上の機会損失を防ぐことに繋がるメリットがあります。

さらに、今後は車検の際に専用アプリをインストールして、法定スキャンツールで故障コードを自動車から読み取り合否判定を行う「OBD検査」も開始される予定です。開始時期は国内車の場合は2024年以降、輸入車が2025年以降となっています。このOBD検査の対象となるのが、2021年10月以降の新型乗用車・バス・トラックで、保安基準に規定が定められている自動運転システム・排ガス関係装置をチェックする検査となっています。

これらの最新技術やツールを活用することで、トラックのメンテナンスがより効率的かつ正確に行えるようになり、安全性の向上とコスト削減につながることが期待されます。

以上で、トラックの安全運行を守るための必須メンテナンスについての解説を終わります。日常点検から法定点検まで、適切なメンテナンスを行うことで、トラックの安全性と信頼性を高め、長期的な運用コストの削減にもつながります。プロのドライバーとして、これらの知識を活かし、常に最高の状態でトラックを維持することを心がけましょう。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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