トラックの油圧警告灯が点灯したら?原因と対処法、予防策

トラックの運転中に油圧警告灯が点灯した経験はないでしょうか?油圧警告灯の点灯はオイル系統の異常を知らせるもので、トラブルが発生する前に対処する必要があります。

本記事では、トラックの油圧警告灯が点灯する原因と対処法、点灯させないための予防策、日頃のメンテナンス方法について解説します。トラック運転手や所有者の方々にとって、この情報は車両の安全な運行と長寿命化に役立つでしょう。

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油圧警告灯点灯!その意味と原因

そもそも油圧警告灯とはどのようなもので、どういったケースに点灯するのでしょうか。油圧警告灯の意味と原因について解説します。

油圧警告灯とは?

油圧警告灯(オイルランプ)とは、エンジンオイルの異常を知らせるランプの形をした警告灯のことを指します。トラックのメーターパネル内には、車両のコンディションを示すさまざまな表示灯や警告灯が30以上ありますが、そのなかでも重要なものの一つが油圧警告灯です。

トラックのエンジンは、乗用車に比べて大型で高出力であり、より多くのストレスにさらされます。そのため、エンジン内部のオイル循環システムは非常に複雑で重要です。油圧警告灯は、このシステム全体の健全性を監視しています。具体的には、オイルポンプの機能、オイルの量と質、オイル経路の状態などを総合的に判断し、異常があれば警告を発します。

エンジン内部のエンジンオイルの量が十分かどうかは重要ですが、直接確認するのは困難です。直接確認せずにオイルの量を知るためには、オイルレベルゲージを見るしかありません。その意味では、表示灯・警告灯のなかで油圧警告灯は最も重要といっても過言ではありません。

警告灯の色は国際基準で決まっており、2種類の表示があります。それぞれの意味は以下のとおりです。

オレンジ(黄色)に点灯・・・「異常が発生しているが走行は可能」
赤色に点灯・・・「すぐに運転を取りやめる必要がある危険なレベル」

オレンジに点灯した段階で適切に対処すれば、滅多なことで赤の点灯になることはありません。しかし、急激にオイルが減った場合など気を付けていても赤の点灯になる可能性もあります。赤く点灯した場合、深刻なエンジントラブルがいつ起こってもおかしくない状態であり、早急に対処が必要です。

トラックの場合、エンジンの大きさや複雑さから、油圧警告灯が点灯してからエンジンが深刻なダメージを受けるまでの時間が乗用車よりも短い傾向にあります。そのため、警告灯の点灯を見逃さず、迅速に対応することが極めて重要です。

油圧警告灯が点灯する原因は?

油圧警告灯が点灯する原因で最も多いのが、エンジンオイルの減少です。トラックの場合、長距離走行や頻繁な発進停止により、オイルの消費が乗用車よりも早い傾向にあります。オイル管理を怠ったり、エンジンオイルが劣化したりすると、エンジンオイルが急速に減少します。適正値以下まで減ると、油圧が下がり警告灯が点灯するため注意が必要です。そのまま放置するとエンジンの焼き付きやエンジンブローなど深刻なエンジントラブルが発生する危険があります。

オイル漏れも原因の一つです。トラックの場合、振動や負荷が大きいため、ガスケットやシールの劣化によるオイル漏れが起きやすくなっています。急激にエンジンオイルが減少した場合、オイルパンの破損やオイルラインの損傷などによってオイルが漏れている可能性があります。そのまま走行しているとエンジンに大きな負担がかかり故障につながるため、即時に運転を停止しなければなりません。

また、吸い上げ用のエンジンオイル循環ポンプが故障している可能性も考えられます。トラックのエンジンは大型で、オイルを循環させるためにより強力なポンプが必要です。エンジンオイルがエンジン内部の隅々まで行き渡るようにするためには、循環ポンプが正常に機能していなければなりません。この循環ポンプに不具合があると、オイルがエンジンの内部へ十分に行き渡らず、故障として検知し油圧警告灯が点灯します。

トラック特有の原因として、長時間のアイドリングや過積載による異常な負荷もオイル圧の低下を引き起こす可能性があります。これらの状況下では、エンジンオイルの温度が上昇し、粘度が低下することで適切な油圧を維持できなくなることがあります。

油圧警告灯点灯時の対処法:落ち着いて行動しよう

油圧警告灯が点灯した場合、あわてず冷静に対応することが大切です。特にトラックの場合、車両の大きさや重量から、慌てた行動が事故につながる危険性が高いことを認識しておく必要があります。油圧警告灯が点灯した際の対処法について詳しくみていきましょう。

安全な場所に停車

油圧警告灯が点灯したら、まずは安全な場所を探してすぐに停車してエンジンを止めましょう。トラックの場合、車両の大きさから即座に停車できる場所が限られる可能性があります。可能な限り他の交通の妨げにならない場所を選びつつ、できるだけ早く停車することが重要です。

高速道路を走行中の場合は、路肩に停車するのではなく、できるだけ最寄りのサービスエリアやパーキングエリアまで慎重に走行することをお勧めします。ただし、赤色の警告灯が点灯している場合は、即座に安全な場所に停車する必要があります。

目的地が近いからと楽観視し、走行を続けているとエンジン焼き付きによる廃車リスクがあるだけでなく、車両制御が不能になり重大な事故にもつながりかねません。トラックの場合、事故の被害が大きくなる可能性が高いため、とにかくすみやかに停車することが最優先です。

エンジンオイルの確認と補充

停車したらまず行うのはエンジンオイルの残量確認です。トラックの場合、エンジンルームが大きく、確認作業に慣れていないと時間がかかる可能性があります。あらかじめオイルレベルゲージの位置を把握しておくことをおすすめします。

ボンネットを開けてエンジンオイルのオイルレベルゲージを見てオイルの残量を確認しましょう。トラックの場合、エンジンが大きいため、オイルレベルゲージが長く、正確な読み取りが難しいことがあります。慎重に、複数回確認することをおすすめします。対処の仕方はオイルの残量で変わってきます。

オイル残量が「EとF」または「HとL」の間にない場合は、オイル不足が原因です。予備のオイルがある場合、すぐにオイルを補充しましょう。トラックの場合、エンジンの大きさに応じて、必要なオイルの量が乗用車よりも多くなります。十分な量の予備オイルを常備しておくことが重要です。

予備のオイルを積んでいない場合は、近くにガソリンスタンドやトラックステーションがあれば補充できます。しかし、非常時に見つけるのは難しいケースも多く、ロードサービスを呼ぶのが賢明です。トラック専門のロードサービスを利用することで、適切な対応を受けられる可能性が高くなります。

オイル補充して油圧警告灯が消灯すれば問題ありませんが、念のためにエンジンの点検整備とオイル交換を検討しましょう。トラックの場合、オイル交換の頻度が乗用車よりも高いため、この機会に交換時期を確認し、必要であれば交換を行うことをおすすめします。また、今後はオイル管理を怠らず定期的な補充を行い、再発を防止するという意識付けも必要です。

オイルを補充しても油圧警告灯が消えなければ、自力復旧は困難です。すぐに整備工場などで点検してもらいましょう。トラックの場合、専門の整備工場を利用することで、より適切な対応を受けられる可能性が高くなります。

専門業者への連絡

オイル残量が「EとF」または「HとL」の間にある場合、オイル不足が原因ではなくオイル系統の故障が考えられます。トラックの場合、オイル系統が複雑で大規模なため、素人判断での対応は危険です。故障が考えられる状態で、トラックを動かすとエンジンが急停止するおそれがあり非常に危険です。

この場合、自力での対応は難しいため、早急にディーラーや整備工場でみてもらう必要があります。速やかにJAFなどのロードサービスや専門の業者に連絡し、レッカー移動などの対応を依頼しましょう。トラックの場合、専門のレッカー車が必要となるため、トラック専門のロードサービスを利用することをおすすめします。

JAF会員ではなくてもロードサービスは利用できますが、非会員は料金がかかるのでその点は注意が必要です。トラック専門の保険やロードサービスに加入していれば、このような緊急時により適切な対応を受けられる可能性が高くなります。

また、トラックの場合、積荷の取り扱いも考慮する必要があります。特に冷蔵・冷凍車の場合は、積荷の品質維持のために迅速な対応が求められます。このような場合は、運送会社や荷主にも速やかに連絡を取り、適切な指示を仰ぐことが重要です。

油圧警告灯点灯を予防!日頃のメンテナンスが重要

油圧警告灯が点灯した際に落ち着いて対処することも重要ですが、点灯しないよう日頃からメンテナンスしておくに越したことはありません。特にトラックの場合、日々の運行距離が長く、エンジンへの負荷も大きいため、より頻繁かつ丁寧なメンテナンスが求められます。具体的なメンテナンス方法をしっかり押さえておきましょう。

定期的なオイル交換

エンジンオイルの品質を保つには定期的な交換を行うことが必須です。トラックの場合、乗用車よりも頻繁なオイル交換が必要です。汚れたオイルをそのまま使っていると異物が混入し、ポンプの故障をまねきます。

トラックの場合、一般的な目安としては3ヶ月に1回、または走行距離が10,000キロを超えたタイミングで交換しましょう。ただし、使用状況によってはさらに頻繁な交換が必要になる場合があります。例えば、頻繁な発進停止を伴う市街地走行が多い場合や、重い荷物を積んでの走行が多い場合は、より短い間隔でのオイル交換が推奨されます。

また、オイルエレメント(オイルフィルター)の交換もあわせて検討しましょう。オイルエレメントはエンジンオイルの汚れをろ過する部品です。トラックの場合、大量のオイルを扱うため、オイルエレメントの役割がより重要になります。汚れが溜まってくると機能しなくなり、エンジンの寿命を縮めることになります。交換は、走行距離2万キロ程度または半年に1回が目安です。もしくは、オイル交換2回につき1回と覚えておくとよいでしょう。

トラック用のエンジンオイルは、乗用車用とは異なる特性を持っています。大型ディーゼルエンジンに適した高性能オイルを選択することが重要です。オイルの粘度や品質規格(API規格やJASO規格など)を確認し、車両メーカーが推奨するオイルを使用しましょう。長距離走行や重負荷運転が多いトラックでは、合成油の使用が推奨されることが多いです。

また、オイルの温度を適切に保つことも重要です。エンジンオイルにはエンジンを冷却する役割もあります。トラックの場合、エンジンサイズが大きいため、オイルの温度管理がより重要になります。オイルの温度が上昇しすぎると、オイルの粘度が低下し、油圧が下がってしまう可能性があります。オイルの温度は、油温計やオイルチェックランプで確認できます。

油温計やオイルチェックランプが装備されておらず確認が難しい場合は、2年に1回を目処に冷却水の交換をするようにしましょう。トラックの場合、冷却系統の容量が大きいため、冷却水の品質管理も重要です。不凍液の濃度や腐食防止剤の効果も定期的にチェックする必要があります。

オイル漏れチェック

エンジンオイルが急激に減っている場合、オイル漏れの疑いがあります。トラックの場合、振動や負荷が大きいため、オイル漏れが発生しやすい傾向にあります。オイル漏れには内部漏れと外部漏れの2種類があり、それぞれ適切な対応が必要です。

外部漏れの場合、車両の下を覗き込めば確認できます。トラックの場合、車高が高いため、地面に油脂の跡がないかを注意深く確認する必要があります。また、エンジンルーム内の各部品(オイルパン、オイルフィルター、各種ガスケットなど)に油の付着がないかをチェックしましょう。

内部漏れは軽度の場合、目視では確認しづらいですが、ほとんど漏れている様子がないのに、オイルが急激に減るようであれば内部漏れを疑いましょう。トラックの場合、ピストンリングやバルブシールの劣化による内部漏れが起こりやすくなっています。

オイル漏れが起きた状態で走行を続けていると、エンジンの焼き付きにつながります。特にトラックの場合、エンジンサイズが大きいため、一度焼き付きが起これば修理費用が膨大になる可能性があります。また、オイルを漏らしながら公道を走る行為は道路交通法違反になるので要注意です。

オイル漏れしている場合、基本的に修理が必要と考えておきましょう。修理費用は車種や故障の度合いによって大きく変わってきますが、トラックの場合、乗用車よりも高額になる傾向があります。軽度の外部漏れであれば数万円程度で済むこともありますが、深刻な内部漏れの場合はエンジンの分解修理が必要になり、100万円以上かかるケースもあります。

添加剤などで一時的にオイル漏れを止めることもできますが、これはあくまで応急処置に過ぎません。トラックの場合、エンジンへの負荷が大きいため、添加剤による対処はより効果が限定的です。軽度の場合にしか効果がなく、深刻な状況の場合は逆効果になることもあります。添加剤を使用する場合は、必ず専門家に相談し、適切な製品を選択することが重要です。

定期的な点検整備の重要性

トラックの場合、日常点検と定期点検の重要性がより高くなります。法律で定められた点検項目を確実に実施することはもちろん、それ以上に丁寧な点検を心がけることが車両の長寿命化につながります。

日常点検では、オイルの量や漏れの有無、各種ベルトの張り具合、タイヤの空気圧などをチェックします。トラックの場合、これらの項目を確認するのに時間がかかることがありますが、必ず実施しましょう。

また、3ヶ月ごとの定期点検では、より詳細なチェックを行います。エンジンオイルやオイルフィルターの交換、各種フルードの量と質のチェック、ブレーキシステムの点検など、多岐にわたる項目を専門家が確認します。トラックの場合、これらの点検項目がより多く、時間もかかりますが、安全運行のために欠かせません。

さらに、年に1回以上の車検では、より詳細な検査と必要な部品の交換を行います。トラックの場合、使用状況によっては車検の間隔がより短くなることがあります。これらの定期的な点検と整備を確実に実施することで、油圧警告灯の点灯を含む多くのトラブルを未然に防ぐことができます。

運転習慣の改善

油圧警告灯の点灯を予防するためには、適切な運転習慣も重要です。トラックの場合、以下のような点に特に注意が必要です。

過積載を避ける:許容積載量を超えると、エンジンに過度の負荷がかかり、オイルの劣化や消費が早まります。
エンジンの暖機運転:特に寒冷地や長期駐車後は、エンジンを十分に暖機してからの走行が重要です。
急発進・急加速の回避:スムーズな発進と加速を心がけることで、エンジンへの負担を軽減できます。
適切なギア選択:エンジン回転数が適切な範囲に収まるよう、ギアを選択することが重要です。
アイドリング時間の管理:長時間のアイドリングは避け、必要以上にエンジンをかけたままにしないようにしましょう。

これらの運転習慣を心がけることで、エンジンオイルの寿命を延ばし、油圧警告灯の点灯リスクを低減することができます。

結論として、トラックの油圧警告灯は車両の健康状態を知らせる重要なインジケーターです。警告灯が点灯した際の適切な対応と、日頃からの丁寧なメンテナンス、そして適切な運転習慣を心がけることで、トラブルを未然に防ぎ、車両の長寿命化と安全運行を実現することができます。

トラックは事業用車両であり、その安全性と信頼性は事業の成功に直結します。油圧警告灯を含むあらゆる警告サインに注意を払い、適切に対応することが、効率的で安全な運送業務の基盤となるのです。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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