安全作業の要!トラックのアウトリガーとは

運送・物流業においてトラックへの積込み・積み降ろし作業や、建設現場でのクレーン作業において一番大事なことは安全第一の災害ゼロ作業です。

トラックやクレーン車などの移動式作業車は移動を要するため、機械を固定する基礎工事が出来ません。ですが、安全作業を徹底するために何らかの方法で、作業時のクレーン車の安定を図ることが求められます。これを行う要となるのが「アウトリガー装置」なんです。

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トラックのアウトリガーとは?

まずアウトリガーは通常、車体前側の両側面に搭載されている装置であり、作業時に張り出して地面に接地することにより、トラックや移動式クレーン車などの転倒を防止する役割をもっています。

トラックやクレーン車が重量物の運搬作業をする際、タイヤだけでは重心が取れず不安定な状態になったり、負担がかかりタイヤがパンクする場合があります。
そこで、それらの車両を支えるためにアウトリガーが活用されます。アウトリガーにも車両や状況に応じた種類があり、車体の前方と後方に搭載した「リアアウトリガー」、アウトリガーのジャッキと呼ばれる下部が四角い「差し違いアウトリガー」、長めのアウトリガーによって車体が高く持ち上げられる「ハイアウトリガー」の3種類があります。

アウトリガーの基本機能と役割

トラックやクレーン車などの移動式作業車での揚重作業において、安全かつ正確にその作業を行うためにアウトリガーは存在しています。

最初に車両に備わったアウトリガーを地面に張り出し、クレーンのブームを延ばして、車体が水平になるように固定し揚重作業を開始します。

基本的にアウトリガーの張り出しは、横方向には手動か油圧で行います。また、設置を行うための上下方向への動作は、ダンプカーの荷台を傾けたり消防車の力強い放水などを行うための動力をエンジンから取り出すPTOシステムを利用した動力で行っています。

大型の作業移動車の転倒事故防止がアウトリガーの一番の目的と役割であり、作業時においてアウトリガーの張り出しは労働安全衛生法でも義務付けられています。
法律化されている程、安全作業にはアウトリガーの存在は不可欠なのです。

ユニック車とアウトリガーの関係

アウトリガーを理解する上で、ユニック車という言葉をよく耳にすることは多いと思います。
ユニック車とはトラッククレーン車の一種で、クレーンを装備したトラックのことを指します。正式名称としては「搭載型トラッククレーン」ですが、大手トラックメーカーの古河ユニック株式会社の人気商品「ユニック」から、一般のクレーン車の総称として呼ばれるようになりました。

長さが調整可能で、最大4段まで伸びるタイプがメジャーな「ブーム」というクレーンを使い、あらゆる荷物を荷台に積み込んで運搬するユニック車は、多くの現場で活躍するトラックです。そこで、ユニック車にとってなくてはならない装置がアウトリガーなんです。
アウトリガーは作業車両からまるで腕のように張り出し、地面に接地させる装置で、主にユニック車が転倒しないように支える役割をもっています。
ユニック車や高い場所で作業を行う高所作業車などの安全作業をする際に、アウトリガーなしでは作業自体が始めることができないといえます。

アウトリガーの種類と特徴

ユニック車にもアウトリガーにも種類があり、揚重作業や作業環境によって使い分けられています。
ユニック車におけるアウトリガーは大きく分けて、「「ハイアウトリガー」、「キャブバック型」、「荷台内架装型」の3種類があるので、ここではそれぞれの利点や特徴についてご紹介します。

ハイアウトリガー型とその利点

ハイアウトリガー型のユニック車は、搭載されているアウトリガーが車体を好きな傾斜角度に傾けることができる特徴があります。
アウトリガーには「ハイアウトリガー」をはじめ、「リアアウトリガー」、「差し違いアウトリガー」の3種類がありますが、ハイアウトリガーは、他のアウトリガーよりも長いアウトリガーで車体を支えながら持ち上げる作業できるタイプのユニック車です。
車両や重機のような重量物を運搬する作業では、ユニック車自身が重心を取れず不安定になることがありますが、ハイアウトリガー型なら安定した状態で作業が可能になります。

キャブバック型と荷台内架装型の違い

また、キャブバック型はトラックの運転台と荷台の間にクレーンが付属する、ユニック車の中でも最も見かけるタイプのもの。
一般的な用途としては、戸建て住宅や、中〜高層ビル・マンションなどを中心とした建設現場や土木工事現場などで、人力では持ちあがらない資材を吊り上げる際に活用されています。
業界内では、クレーン付き車両というと上記のタイプを指すことが多いのですが、例外的にトラックの後ろにクレーンが付いているタイプも同じくクレーン付き車両と呼ばれることがあります。

また、荷台内架装型のユニック車は、トラックの荷台部分にクレーンが備え付けられたタイプで、「簡易クレーン」と呼ばれています。
キャブバック型にくらべると、コンパクトなのが特徴で、住宅が密集した市街地などの狭小地でも移動が小回りにできるため、そのような現場で使用されることが多いです。
基本的には造園業や石材業などを中心に、幅広い業種で使用されています。

アウトリガーの正しい設置方法と安全対策

ユニック車にとってなくてはならない装置であるアウトリガー。
トラックの転倒を防止する大きな役割がありますが、引き出す際の周囲と足場の確認は必須であり、慎重な操作を心がけないと、大きな事故につながってしまいます。
安全作業を行うために、改めてアウトリガーの設置方法や注意点を見てみましょう。

アウトリガー設置のステップバイステップ

アウトリガーを設置する際、接地面が不安定だと大変危険なうえ、車両の転倒を防ぐアウトリガーの力が発揮されません。
屋外作業など地面がぬかるんでいる場合などは、鉄板や角材で地面に足場を作ることは重要です。そして、アウトリガーを引き出す際は、アウトリガーの挟み込み事故防止のため、周囲に人や妨げるものがないか確認することが大切です。

安定な接地と安全確認を終えたら、左右のアウトリガーを最大限まで伸ばし引き出します。
片方のみを出してしまうと、車体の重心がずれて横転するおそれがあり非常に危険です。
リスクを考慮し、作業する前の周囲の確認と、実際にアウトリガーを出すときは慎重な操作を心がけましょう。

坂道でのアウトリガー使用時の注意点

また、アウトリガーを設置する場所が坂道やどうしても不安定になる場合は、ユニック車の重心を考えて作業しないと、横転してしまう危険性があります。

坂道にアウトリガーを設置する場合は水平に保つ必要があるので、バンクが低い場所に角材などを敷いてから作業を始めましょう。
進行方向が坂道なら、ユニック車から見て坂の低い方を向いて楕円状の範囲で作業を行うことも忘れずにオペレーションを組むことが大切です。

アウトリガー操作に必要な免許と資格

現在、物流・建設業界ではユニック車を運転操作できる人材は大変重宝されています。
ユニック車は主に建設現場で使われる車両で、作業機械や建設資材を運んでいます。
また日本では特に、大型地震のような災害で発生した瓦礫などの災害廃棄物の撤去でも活躍しています。
このような安全性が求められる場でアウトリガーは不可欠でありますが、アウトリガーを操作する前にクレーン作業のための免許・資格が必要なのは当然です。

各種荷物重量別の免許要件

ユニック車(クレーン車)は専用の運転免許の他に、クレーン作業のための免許と資格が必要であり、荷物重量別でも異なります。下記がその免許要件です。

吊り上げ荷重:0.5t~1トン未満の場合
吊り上げる荷物0.5〜1トン未満のクレーン運転操作には、労働安全衛生法に基づく「小型移動式クレーン運転特別教育」の講習受講と資格取得が義務付けられています。

吊り上げ荷重:1トン以上5トン未満の場合
吊り上げる荷物が1トン以上5トン未満の場合には「小型移動式クレーン運転技能講習」の修了が必要です。

吊り上げ荷重:5トン以上の場合
吊り上げる荷物が5トン以上の作業には、実技講習・学科試験を経て「移動式クレーン運転士免許」の取得が必要になります。また、これら移動式クレーン運転士免許は国家資格です。

クレーン操作のための資格とトレーニング

ユニット車のクレーンにはリモコンで操作するタイプをはじめ、天井のレールを移動するタイプ、タイヤのついた車両タイプなど、荷物を目的地まで移動させるために、状況に合わせたさまざまな形態があります。
またクレーンの大きさによって、持ち上げられる荷物の重さも異なり、運転操作をするための資格が当然必要となります。

クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
この免許を取得すれば、吊り上げ荷重が5トン以上の天井クレーン、橋形クレーン、ジブクレーン、ガイデリック、スチフレッグデリック、ジンポールなどの各種クレーンを運転できるようになります。

クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許は吊り上げ荷重が5トン以上の天井クレーン、橋形クレーンなど各種クレーンを運転できます。クレーン操作限定のため、デリックの運転や操作をする資格はありません。

クレーン・デリック運転士免許(床上運転式限定)
この免許により、5トン以上の荷物を床上から操作するクレーン車を操作できるようになります。また5トン未満の場合はクレーン運転の特別教育を修了すれば操作が可能になります。

移動式クレーン運転士免許
この移動式クレーン運転士免許を取得すれば、吊り上げ荷重5トン以上の移動式クレーンを操作できます。ただし、一般道の通行をする場合には、別途運転するための免許証が必須です。

揚貨装置運転士
この免許を取得することで、制限荷重が5トン以上の揚貨装置である船舶に取り付けられたデリックやクレーン設備を操作することが可能です。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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