運送業を営んでいる方や、個人でトラックを所有している方が必ず直面するのが慣れない車庫証明取得の手続きです。
車庫証明とはそもそも何か?なぜ必要なのか?手続き方法や費用は?といった疑問に対し、今回はトラック購入時の車庫証明についてご紹介します。
トラック車庫証明とは?
車庫証明書とは、正式には「自動車保管場所証明書」という名称で、その名の通り所有する車ごとに保管場所がしっかり確保されていることの証明です。
現在、車両登録をする際にこの車庫証明書を陸運支局に提出する必要があるので、この証明書を取得しない限り、車両登録(ナンバー登録)はできません。車庫証明書は車庫を管轄する警察署にて申請することで発行されます。
車庫証明の基本知識
トラックを購入する際に、購入名義人はトラックの保管場所を確保することが、「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」で義務付けられています。
この車庫法とは、無秩序に車が駐車されて道路交通法に則った運転や道路の安全を妨げられることを防ぐために定められた法律です。
ここで不可欠になるのが、トラックの保管場所を確実に確保していることを証明する「保管場所証明書」。一般的には「車庫証明」と呼ばれ、トラックの購入名義人の本拠や保管場所である駐車場を管轄する警察署に取得申請を行い取得します。
しかし、保管場所としての要件を満たしているかの各審査を通過しなければ、車庫証明の交付は受けることができず、車両登録(ナンバー登録)まで行うことは不可能です。
なぜ必要なのか
車庫証明が必要な理由として、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」の第1条に「自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づける」と定められていることがあります。
また、トラックの車庫証明が必要になるケースは下記が挙げられます。
トラックを購入する際
会社ではなく個人で新しいトラックや中古トラックを購入する際は、ナンバーを取得するために車庫証明の取得が必須です。
トラックを複数所有する運送業務許可を得た事業者に関しては、車庫証明は取得不要です。その代わり、運輸局に事業用自動車等連絡書を提出しなければいけません。
名義変更した時
中古トラックの購入で名義人変更をする際は、手続き時に車庫証明を用意しなければいけません。
ただし、同居家族間での名義変更でトラックを保管する場所を変更しない場合や、事業用登録の場合は車庫証明の取得は不要です。
保管場所や所有者の住所が変わった時
トラックの保管場所の住所を変更する際や、引越しや譲渡によって保管場所が変わった場合は、もちろん車庫証明を再発行する必要があります。
参考記事:自動車の保管場所の確保等に関する法律
車庫証明取得の条件
前述のように、トラックのさまざまな手続きや変更時において車庫証明が必要になります。
車庫証明が必要なケースにも関わらず手続きをしていないと、罰則が適用されるリスクもあるので注意しましょう。
また、トラックの保管場所はどんな場所でもいいというわけではなので、保管場所の基準や条件を見てみましょう。
保管場所の基準
トラックの車庫証明が受領されるための必須条件は次の通りです。
・出入口の広さが約6〜8mの幅があること
・保管場所の車庫を使用する正当な権利があること
・車庫へ通じる道が通行禁止ではないこと
・車庫へ通じる道が幅員制限に抵触していないこと
・トラック全体が道路にはみ出さずに収容できること
・トラックを24時間支障なく出し入れできること
・他人の土地や建物を借りて保管場所にする際は、保管場所使用承諾証明書を提出すること
保管場所そのものの主な要件としては、「車両保有者が申請する保管場所を車庫として使用する権利があること」と「自動車全体を収容することができる場所・環境であること」の2つが挙げられます。
これらの条件をすべて満たさなければ、車庫証明登録もナンバー登録もできません。
本拠地との距離要件
次に、トラックの保管場所の距離要件についてみてみましょう。
自動車保管場所として認められるためには、トラックの使用本拠地の位置(個人の場合は自宅、事業者の場合は事務所の所在地)から保管場所まで直線距離で2km以内でなければなりません。
直線距離で半径2km以内という距離は、本拠地の位置からの距離とされています。
つまり保管場所となる駐車場探しをする際は、地図上で半径2kmの円を描き、その中に入っていることが条件ということになります。道のり(道に沿って測った長さ)2kmではないのでご注意ください。
自動車保管場所までの距離の要件が2km以内になった経緯としては、かつての車庫証明の要件は、自宅から保管場所・駐車場までの距離が500mだったため、販売店は車を売りづらく、自宅に保管場所が確保できないドライバーも車を買いたくても買えないという問題がありました。
そこで、自動車販売会社やドライバーから距離要件の緩和を求める声が続出し、直線距離2km以内に緩和することになりました。
車庫証明をはじめ車両登録をするためには、この要件を満たさなければいけないので、申請準備時にしっかりチェックしておきましょう。
手続きのステップと必要書類
個人で所有するトラックの車庫証明手続きは、必要書類を揃え管轄警察署に提出し、数日後に受け取り、完了という流れです。
運送業務許可を得た事業者は別に運輸局に行く必要があるので、少し手続きが異なります。
今回は個人所有の手続きの流れをご紹介します。
手続きの流れ
1.警察署で申請する
トラックの保管場所・駐車場を管轄する警察署で手続きを行います。
手続きで提出する必要書類は以下の通りです。
・車検証
・名義人の印鑑
・保管場所証明申請書
・保管場所標章交付申請書
・保管場所使用承諾証明書
・保管場所の所在と配置の図
2.申請料と標章料を支払う
書類提出時に警察署で申請料と標章交付手数料を支払います。
費用は都道府県によって若干変わりますが、平均して合計約2,500〜3,000円ほどです。申請後は納入通知書兼領収書を受け取り、申請自体は終了です。
3.車庫証明書を受け取る
申請から3〜7日後に申請時に受け取った納入通知書兼領収書を持って再び警察署へ行きます。
その際に車庫証明書・保管場所標章番号通知書・保管場所標章を受け取ります。
保管場所標章のステッカーは、他者からよく見えるトラックのボディに貼りましょう。
提出する書類一覧
前述にもある必要提出書類は以下の通りです。
1.車検証
2.名義人の印鑑
3.保管場所証明申請書(警察署に用紙があります)
4.保管場所標章交付申請書(警察署に用紙があります)
5.保管場所使用承諾証明書(保管場所の管理会社などに発行してもらいます)
6.保管場所の所在と配置の図(トラックの保管場所と使用者それぞれの住所が分かる地図)
3・4:警察署にあるので、車検証を見ながら記入欄を埋めましょう。
5:賃貸駐車場の場合は管理会社や大家さんが用意してくれるので、問い合わせればすぐ手に入ります。
6:自分で作成する必要があり、駐車場と使用者住所両方が含まれる地図(Googleマップなど)のコピーに二点間の距離が直線距離で何mかを記入します。
ここまでで説明したものは、車の駐車場が賃貸であることを前提なので、もし自宅に止める場所があれば、配置所在図も使用承諾証明書も不要です。
上記の必要書類一式はどの警察署でも用意されていますし、トラックを購入した販売店にも大抵は用意されています。手続き自体はそれほど難しい作業ではありません。
参考記事:自動車保有関係手続きは、ワンストップサービス(OSS)で!|国土交通省
費用と受取までの期間
必要書類を揃えたあとは提出するだけですが、車庫証明の申請時にどのくらいの費用が必要で、受け取りまでの期間は、すぐにでも購入したトラックを運行させたい方は気になるところです。
また、車庫証明の申請・交付手数料は、申請を行う都道府県によって異なり全国同一料金ではありません。
申請費用の内訳
車庫証明の取得にかかる手数料は、地域によって異なります。
申請手数料は平均2,000〜2,200円、標章代が平均500~600円なので、合計で約2,500~2,800円を申請時に支払います。
いくつかの地域を例に挙げてみると、北海道は申請手数料が2,200円・標章代が550円。
東京都は申請手数料が2,100円で標章代が500円、大阪府は申請手数料が2,200円で標章代が500円、福岡県は申請手数料が2,200円で標章代が550円です。
これら車庫証明取得の手数料はクレジットカードで支払うことができないため、自分の地域ではいくらかかるのかを管轄警察署のホームページなどで事前に確認し、必要な現金を用意しておきましょう。
地域によっては現金の代わりに収入証紙を購入するところもあります。
※最新の情報は、各地域の警察署に問い合わせるか、ウェブサイトで最新情報を確認することをおすすめします
車庫証明書の受け取り期間
できるだけ早く車庫証明を受け取り、車両(ナンバー)登録を完了し、通常運行させたいドライバーにとって、受け取り期間は気になるところです。
トラック購入後、保管所となる駐車場を確保し、必要書類を揃え保管所の管轄警察署で車庫証明取得申請手続きを行ったら、担当警察官が保管場所の視察を行い審査が行われます。
その後、書類に不備がなく保管所の要件を満たしていれば、申請から大体4~5営業日で車庫証明が交付されます。
車庫証明自体は必要書類を正しく揃えることができれば、比較的取得しやすい証明書だと言えます。
保管場所となる駐車場の確保がスムーズにいけば、そこから申請、受け取りまで2週間かかることはないでしょう。
参考記事:車庫証明の手数料・証紙代【全国一覧表】