トラックの荷台後ろに付いている「パワーゲート」。パワーゲートと言っても主に4種類ほどあり、取り付けるトラックの形状や運搬物、業務内容によって適したパワーゲートを選択します。
今回はパワーゲートの種類をはじめ、選び方や安全に使用するためのポイントをご紹介します。
トラックのパワーゲートとは
パワーゲートとはトラック荷台後部に取り付けて、荷物を積み下ろす作業を省力化してくれる昇降装置です。
重量であるガスボンベや大型什器など人力で持ち上げることが困難な荷物や、ロット数が多く時間がかかる荷物の積み降ろし時に、スイッチ1つでプラットホームと呼ばれる荷台を上げ下げすることができるためとても活躍します。
パワーゲートの基本機能と役割
運搬・物流業界で普及した今では、パワーゲートと呼ばれるのが主流ですが、パワーゲートは極東開発工業株式会社の登録商標です。正式には「テールゲートリフター」と言います。
パワーゲートは、通常電動または油圧式の昇降装置としてトラックの荷台に取り付けられ、重い荷物を効率的に荷台へリフトアップまたは下ろすことができるため、作業員に大きな負担がかかることなく積み降ろしを行うことが可能になります。
電動式のパワーゲートはバッテリーから電力を得て動き、油圧式パワーゲートはオイル圧を利用した力で荷物をリフトアップまたは下ろします。
リモートコントロールや簡単なスイッチ操作により、作業員は訓練なしにパワーゲートを容易に制御できます。
役割として、重量・多量の荷物を手作業で持ち上げる必要がなくなるので、作業員の負担が大幅に軽減され、怪我の防止につながる上に作業効率もアップします。
パワーゲートの種類と特徴
パワーゲートには大きく分けて以下の4種類があります。
1. 垂直式パワーゲート
垂直式パワーゲートは、荷物を乗せる台であるプラットホームが上下垂直に昇降可能なタイプです。プラットホームが上下に昇降するシンプルな構造なので、ドラム缶や酸素ボンベなどの重量かつ転がりやすい不安定な荷物を昇降させるのに適しています。
また、プラットホームよりも上部にパワーゲートを上げられる製品もあり、高所作業にも役立っています。
2. 跳ね上げ式パワーゲート
跳ね上げ式パワーゲートは、パワーゲートの中で最も一般的に利用されているタイプです。紹介している4つの中で最もプラットホームのサイズは大きく、一度に多量の荷物を運びたい場合に役立ちます。大きな特徴としてはトラックの後部扉がそのままプラットホームになっていて、主な使用用途としてはカゴ台車を必要とする荷物、大きく重い自動販売機などの運搬が挙げられます。
3. 格納式パワーゲート
格納式パワーゲートは車両の下に格納してあるタイプで、パワーゲートの使用中でも車両の後部扉を開け閉めできるようになっています。コンパクトに収納できるのが特徴でありとても便利ですが、作業中に足や手を挟まれないよう注意は必要です。
格納式の製品によっては、プラットホームが2枚・3枚折りできるものも販売されています。主にトラックを集積場に直接着けて積み下ろしする必要がある、生鮮品や冷凍食品の輸送に適しています。
4. スライド式パワーゲート
スライド式パワーゲートは、プラットホームが水平方向にスライドして伸び縮みするタイプです。トラックの後部から荷物を取り出す際に、プラットホームを伸ばして作業スペースを確保できるため、狭い場所での積み下ろしに便利です。
また、スライド式はプラットホームを格納する際にコンパクトになるため、パワーゲートを使用しない時でも邪魔になりにくいのが特徴です。
パワーゲートの選び方
パワーゲートを選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう。
1. 荷物の種類と重量
運搬する荷物の種類と重量に合わせて、適切な耐荷重のパワーゲートを選びましょう。重量物を運ぶ場合は、高い耐荷重のあるタイプが必要です。
2. トラックの形状
取り付けるトラックの形状に合わせて、適したパワーゲートを選びましょう。平ボディトラックには垂直式や跳ね上げ式が、バンタイプには格納式やスライド式が適しています。
3. 作業環境
積み下ろしを行う場所の環境も考慮しましょう。狭い場所での作業が多い場合は、格納式やスライド式が便利です。また、高所作業が必要な場合は、垂直式の中でも高く上げられるタイプを選びましょう。
4. 予算
パワーゲートの価格は種類によって異なります。予算に合わせて、必要な機能を備えたパワーゲートを選びましょう。
パワーゲートの正しい使い方と安全対策
パワーゲートは便利な装置ですが、安全に使用しなければ大事故につながるリスクがあります。安全に使用するために、以下の点に注意しましょう。
1. 作業スペースの確保
パワーゲートを使用する際は、周囲に十分な作業スペースを確保しましょう。他の車両や障害物、作業員との接触を避けるために、安全な作業環境を整えることが重要です。
2. 荷重制限の確認
パワーゲートには荷重制限があります。制限を超える重量の荷物を載せると、パワーゲートやトラックに損傷を与える恐れがあります。必ず使用前に荷重制限を確認し、遵守しましょう。
3. 荷物の固定
パワーゲートに荷物を載せた後は、荷物が安定していることを確認し、必要に応じてストラップやロープでしっかり固定しましょう。固定が不十分だと、荷物が転倒したり移動したりして、事故やトラブルの原因になります。
4. 複数人での作業
パワーゲートを使った積み下ろし作業は、必ず2人以上で行いましょう。荷物の状態を確認し、お互いに声を掛け合いながら、安全に作業を進めることが大切です。
パワーゲートのメンテナンス方法
パワーゲートを長く安全に使用するために、定期的なメンテナンスが欠かせません。以下の点に注意して、点検と整備を行いましょう。
1. 動作の確認
パワーゲートの開閉、起立、昇降動作がスムーズに行えるか確認しましょう。異常な音やガタつきがある場合は、早めに点検・修理を行います。
2. 各部の点検
ロック機構、キャスターストッパー(装着機種のみ)など、安全に動作するために重要な部分を点検します。
3. 消耗品の交換
ワイヤーロープなどの消耗品は、定期的に交換しましょう。経年劣化によって切れたり外れたりすると、大事故につながる恐れがあります。メーカーの推奨する交換サイクルを目安に、計画的に交換作業を行います。
パワーゲートの故障は作業効率を下げるだけでなく、修理費用も高額になる可能性があります。日頃から適切なメンテナンスを行い、異常があればすぐに整備工場やディーラーで点検・修理を受けることが大切です。
以上がパワーゲートの種類、選び方、使い方、安全対策、メンテナンス方法についての解説です。パワーゲートを上手に活用して、安全で効率的な荷物の積み下ろし作業を行いましょう。