トラックを選ぶ際、最も重要なのは運搬する荷物の重量や容量に適したサイズを選択することです。同じ「トラック」でも、小型から大型まで様々なサイズがあり、それぞれ異なる寸法や積載量を持っています。また、法律上の分類とメーカーが使用する呼称にも違いがあるため、正確な理解が必要です。本記事では、トラックのサイズ分類から具体的な寸法、選び方、必要な免許、維持費まで、トラック選びに必要な情報を詳しく解説していきます。
トラックのサイズを分ける2つの基準
トラックのサイズ分類には、法律で定められた正式な区分と、業界で一般的に使われる呼称の2つの基準があります。この違いを理解することで、トラック選びの際に混乱を避けることができます。
法律(道路交通法)による分類
道路交通法では、車両総重量と最大積載量を基準にトラックを分類しています。これは運転免許の区分とも密接に関連しており、実際の運用において重要な基準となります。
小型トラックとして扱われるのは、車両総重量が5トン未満かつ最大積載量が3トン未満の車両です。これらのトラックは、都市部の配送や小規模な運送業務に適しており、狭い道路でも運行しやすいサイズです。ただし、2017年3月12日以降に普通免許を取得した場合、運転できるのは車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満の車両に限定されます。
中型トラックは、車両総重量が7.5トン以上11トン未満、かつ最大積載量が4.5トン以上6.5トン未満の車両を指します。中距離輸送や中規模な荷物の運搬に適しており、小型トラックでは積載量が不足し、大型トラックでは過剰となる場合に最適な選択肢となります。
大型トラックは、車両総重量が11トン以上、または最大積載量が6.5トン以上の車両を指します。長距離輸送や大量の荷物運搬に使用され、運送業界の主力として活躍しています。
なお、道路運送車両法では、自動車を排気量や寸法を基準として普通自動車、小型自動車、軽自動車などに分類しており、車両総重量や最大積載量による分類とは異なる体系となっています。
メーカーが使う一般的な呼称(2t車、4t車など)
一方、メーカーや運送業界では、最大積載量を基準とした分類が一般的に使用されています。これは実際の運搬能力を直感的に理解しやすいためです。
2tトラックは最大積載量2,000kgの車両を指し、小規模な配送業務や都市部での集配に適しています。3tトラックは最大積載量3,000kgで、中小企業の配送業務に多く使用されています。
4tトラックは最大積載量4,000kgで、中型トラックの代表格として幅広い用途に使用されています。6tトラックは最大積載量6,300kg程度で、4tトラックでは積載量が不足する場合に選択されます。
8tトラックは最大積載量8,000kgで、大型トラックの入門クラスとして位置付けられています。10tトラックは最大積載量10,000kgで、大型トラックの代表格として長距離輸送に多用されています。
さらに大型では、20ftコンテナトラックが最大積載量24,000kg、40ftコンテナトラックが最大積載量30,480kgとなっており、国際物流や大量輸送に使用されています。
【種類別】トラックの寸法・積載量一覧
トラックの実際の寸法や積載量は、サイズ分類だけでなく、荷台の形状によっても異なります。ここでは、代表的なサイズごとの寸法と、形状別の特徴を詳しく見ていきましょう。
サイズ別(小型・中型・大型)の代表的な寸法
道路運送車両法における小型自動車の寸法制限は、全長4,700mm以内、全幅1,700mm以内、全高2,000mm以内となっています。これらの制限内で製造される小型トラックは、最大積載量3,000kg以内、車両総重量5,000kg以内の範囲で設計されています。
中型トラックの寸法制限は、全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内です。実際の中型トラックは、これらの制限内で最大積載量6,500kg以内、車両総重量11,000kg以内の範囲で設計されています。
大型トラックも法律上は全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内の制限がありますが、最大積載量は6,500kg以上、車両総重量は11,000kg以上となります。ただし、車両総重量の上限は道路運送車両法で25トンまでと定められています。
形状別(平ボディ・バン・ウィング)の荷台寸法
同じサイズのトラックでも、荷台の形状によって使用できる容量や特徴が大きく異なります。
平ボディは最もオーソドックスな形状で、屋根のないオープンデッキタイプです。荷台は左右と後ろの3方をアオリで囲まれた構造となっています。
小型平ボディトラックの荷台寸法は、長さ3,000mm〜3,200mm前後、幅1,600mm〜1,800mm前後、荷台高さ200mm〜400mm前後となっています。
中型平ボディトラックでは、長さ6,000mm〜6,500mm前後、幅2,000mm〜2,200mm前後、荷台高さ400mm前後です。
大型平ボディトラックでは、長さ9,000mm〜9,700mm前後、幅2,400mm〜2,500mm前後、荷台高さ450mm〜500mm前後となっています。
平ボディの最大の特徴は汎用性の高さです。屋根がないため、形状を問わず多種多様な貨物を運搬することができ、道路交通法上問題がなければ何でも載せて運ぶことができます。建材、鉄鋼、仮設資材など、大型・不定形の貨物輸送に適しています。
バンは、アルミ製の箱状荷台を持つ形状です。雨風に強く、荷物を濡らさずに配送できるため、食品、精密機器、日用品など、保護が必要な貨物輸送に適しています。特に冷蔵バンや冷凍バンとして、定温管理が必要な食品輸送に多用されています。
ウィングは、箱型荷室の側面が大きく開閉し、荷台の横から荷物の積み下ろしができる形状です。バンと比べて作業効率が良く、フォークリフトによる効率的な積み下ろしが可能です。パレット積みの自動車部品、家電製品、一般貨物の運搬に適しており、倉庫間輸送や工場間配送などで活躍しています。
トラックの選び方と寸法の確認方法
適切なトラックを選ぶためには、運搬する荷物の特性と運行ルートを総合的に考慮する必要があります。また、手持ちのトラックの正確な寸法を把握することも重要です。
積荷と運送ルートから最適なサイズを選ぶ
トラック選びの基本は、「何を」「どれだけ」「どこへ」運ぶのかという3つの視点から考えることです。
「何を」運ぶかによって、必要な荷台の形状が決まります。建材や鉄鋼などの重量物や不定形貨物には平ボディが適しており、食品や精密機器などの保護が必要な貨物にはバンが適しています。効率的な積み下ろしが必要な場合はウィングを選択します。
「どれだけ」運ぶかによって、必要な積載量が決まります。日常的に運搬する荷物の重量と容量を把握し、余裕を持った積載量のトラックを選ぶことが重要です。過大なトラックは運行コストの増加につながり、過小なトラックは効率性を損ないます。
「どこへ」運ぶかによって、運行ルートの制約を考慮する必要があります。頻繁に通行する道路の幅員制限や高さ制限、駐車場所の広さなどを事前に確認し、これらの制約に適合するサイズのトラックを選択します。特に都市部では道路幅や駐車スペースの制約が厳しいため、小型トラックが適している場合が多くあります。
道路の高さ制限は、一般道では3.8m、高さ指定道路では4.1mとなっています。また、道路の幅員制限や重量制限も考慮する必要があります。運行ルートに橋梁や隧道がある場合は、それらの制限値も確認が必要です。
積載物についても制限があり、長さは車両の長さ+20%まで、幅は車幅+20%まで、高さは3.8m(4.1m指定道路は除く)までとなっています。これらの制限を超える場合は、制限外積載物許可制度を遵守する必要があります。
車検証とコーションプレートで正確な寸法を知る
手持ちのトラックの正確な寸法を確認するには、車検証とコーションプレートを活用します。
車検証には、車両の基本的な寸法が記載されています。全長、全幅、全高の欄に記載されている数値が、その車両の正式な外形寸法です。また、車両重量、車両総重量、最大積載量も記載されており、これらの数値から法律上の分類を確認できます。
コーションプレートは、車両に取り付けられた金属製のプレートで、車両の詳細な仕様が記載されています。コーションプレートの位置は車種によって異なりますが、一般的には運転席周辺や車体前部に取り付けられています。
2tクラスのトラックでは、運転席の右側やダッシュボード周辺に取り付けられていることが多く、大型トラックでは車体前部のエンジンルーム周辺に取り付けられている場合があります。
コーションプレートには、車台番号、製造年月、型式、エンジン仕様、最大積載量などの情報が記載されており、車検証と照合することで車両の正確な仕様を確認できます。
トラックの運転免許とランニングコスト
トラックの運用には、適切な運転免許の取得と継続的な維持費用が必要です。これらのコストを事前に把握することで、適切な車両選択と運用計画を立てることができます。
サイズごとに必要な運転免許の種類
トラックの運転に必要な免許は、車両総重量と最大積載量によって決まります。
普通自動車運転免許で運転できるトラックの範囲は、免許取得時期によって異なります。2017年3月12日以前に取得した普通免許では、車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満のトラックを運転できます。2017年3月12日以降に取得した普通免許では、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満のトラックのみ運転可能です。
準中型自動車運転免許は、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満のトラックを運転する際に必要です。2017年の免許制度改正により新設された免許区分で、小型トラックの一部がこの免許の対象となります。
中型自動車運転免許は、車両総重量7.5トン以上11トン未満、最大積載量4.5トン以上6.5トン未満のトラックの運転に必要です。ただし、2007年6月以前に取得した普通免許では、中型トラックの運転が可能です。これは、当時の普通免許の適用範囲が現在より広かったためです。
大型自動車運転免許は、車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上のトラックの運転に必須です。受験するには、普通免許取得後3年以上の経過が必要で、大型トラックの運転には最も高度な技能が求められます。
税金・保険・燃料代など維持費の目安
トラックの維持費は、「税金」「固定費」「変動費」の3つに分類されます。
税金には、自動車税と自動車重量税があります。自動車税は最大積載量に応じて決まり、1t以下の小型トラックでは事業用6,500円、自家用8,000円です。4t超5t以下の中型トラックでは事業用18,500円、自家用25,500円となります。10t超11t以下の大型トラックでは事業用43,600円、自家用59,400円となっています。
自動車重量税は車両総重量に応じて決まり、1年間の事業用エコカー外の場合、1t以下で2,500円、4t以下で10,000円、8t以下で20,000円となっています。
固定費には、自賠責保険料、車検費用、任意保険料などがあります。自賠責保険料は、令和6年4月1日以降の料金として、自家用小型貨物自動車の24ヶ月契約で20,340円、自家用普通貨物自動車2t以下で28,370円、2t超で30,980円となっています。
車検費用は、車両の大きさや整備の必要性によって異なりますが、小型トラックで10万円〜20万円、中型・大型トラックでは20万円〜50万円程度が目安となります。
変動費には、燃料費、高速道路料金、メンテナンス費用などがあります。燃料費は走行距離と燃費性能によって大きく変わりますが、年間走行距離5,000kmの場合、小型トラックで年間約20万円程度が目安となります。
高速道路料金は、中型車は普通車の1.2倍、大型車は普通車の1.65倍の料金が適用されます。メンテナンス費用は、定期点検、タイヤ交換、オイル交換などで年間数十万円程度が必要となります。
このように、トラックのサイズが大きくなるほど維持費用も増加するため、必要以上に大きなトラックを選択することは経済的に不利になります。運搬する荷物の量と頻度を正確に把握し、適切なサイズのトラックを選択することが、運用コストの最適化につながります。
トラック選びは、単純に積載量だけでなく、法律上の分類、運転免許、維持費用、運行ルートなど、多角的な視点から検討する必要があります。特に、道路交通法による分類と道路運送車両法による分類の違いを理解し、運転免許の取得時期による運転可能範囲の違いを把握することが重要です。本記事で紹介した情報を参考に、最適なトラックを選択し、効率的な運用を実現してください。



