トラックのエンジンの寿命は乗用車よりも長く、走行距離によっては10~15年は乗ることができます。
特に「自動車の心臓」であるエンジンの寿命を伸ばすことができれば、トラックは長く安全に乗れるようになります。
この記事では、トラックのエンジン寿命に関する基本的なことや、長持ちさせるための運転やメンテナンスの方法について紹介します。
トラックのエンジン寿命に影響する要素
トラックのエンジン寿命において最も重要な要素は「走行距離」です。経過年数よりも、走行した距離のほうがより寿命に与える影響は大きくなります。
たとえば新車購入から10年以上経過していても、走行距離が数万kmであれば、まだまだ走れます。逆に、数年しか乗っていなくても毎日長距離を走って総走行距離が何十万kmにもなれば、そのトラックの寿命は近いということになります。
トラックの寿命は大きさによって変わる
トラックの寿命は大きさや最大積載量によって変化します。大きさ別に見たトラック寿命の目安は以下のようになります。
小型トラック(2t以下) 20万km
中型トラック (3~6.5t)40~50万km
大型トラック(6.5t以上) 70万km
一般的に大きいトラックの方が寿命(走行可能距離)は長くなっています。
理由は、大きなトラックほど、排気量の大きなエンジンを搭載しているためです。
エンジンが大きければ通常走行時の負担が比較的小さくなります。これは、フルパワーに対して余力を残した状態で走行したほうが疲れにくいのと同じことです。そのため、トラックは大型車の方が耐久性が高く、寿命も長くなります。
運転方法とエンジン寿命
実際のエンジン寿命は用途や運転方法によってかなり変わってきます。中でも日々の運転の仕方によって大きな差が出ます。
「エンジン寿命を縮める運転」には、以下のようなものがあります。
急発進
急ブレーキ
急ハンドル
過積載
上の3つには「急」が付いている通り「急な動作」はエンジンへの負荷が高くなります。
急発進はエンジンやクラッチを痛め、急ブレーキはブレーキシステムや駆動系の故障の原因となります。急ハンドルもタイヤや車体に与える負荷が増します。
やさしく丁寧な運転をすることでエンジンの寿命を長持ちさせることができるのです。
長く安全にトラックに乗るためには、余裕のある穏やかな運転を心がけましょう。
エンジン寿命を延ばすメンテナンス方法
走行距離と運転方法の次に大事なのが、「日々のメンテナンス」です。
トラックは細かい不調がつきものです。小さなトラブルを早期に発見して対応することで、エンジンの寿命を伸ばすことができます。
こまめなメンテナンスの重要性
トラックは乗用車と比べて運転する時間や走行距離も長く、積載する荷物も乗用車よりも重くなります。
業務用である限りエンジンの回転数などの負荷が大きくなることは避けられません。
そのためトラックのエンジン寿命を伸ばすには、こまめなメンテナンスが重要です。
適切なメンテナンスと点検の頻度
トラックの主なメンテナンス項目は次のようになっています。
冷却水の点検
エンジンオイル交換
タイヤ点検
その他システム点検
日常的な発車前点検は欠かさないようにしましょう。ほんの数分の目視による点検だけで、異常があれば気づくことができます。
エンジンオイルは半年もしくは5,000kmごとに交換するのが良いとされています。
システム系の点検も重要です。
新しいトラックには、最新のメカニックによる異常感知システムが搭載されている車種が多くなっています。これらのシステムは、事前に異常を感知し警告を与えてくれるので便利な反面、「素人では全く点検できない」というデメリットもあります。
メーカーへの定期点検は忘れずに行いましょう。
トラックの定期点検は乗用車より高頻度に実施されます。車検は年1回で、定期点検も業務用トラックや自家用大型トラックは3ヶ月ごと、自家用小・中型トラックは、6ヶ月ごとの定期点検が義務付けられています。
乗用車と比べると点検の回数は多くなりますが、これは利用頻度の高さや、万が一のときの損害の大きさを考えると妥当だといえます。
トラックの買い替え時期の見極め方
どれだけ丁寧に乗っていても、日々のメンテナンスを欠かさなくても、いずれトラックには寿命が訪れます。
重要なのは、トラックが発する「寿命が近づいているサイン」を見落とさないようにすることです。早めに気づくことによって、適切な買い替え時期を知ることができます。
買い替えを検討すべきサイン
トラックを運転していて、以下のような異変があったときには、買い替えを検討すべきかもしれません。
エンジンから異音がする
エンジン周辺からいつもと違う匂い(異臭)がする
クラッチが滑ったり、ギアが切り替わりにくくなった
アクセルを踏み込んでも加速するまでの時間が長い
妙な振動がするようになった
以上のような点に気づいたら、まずは修理業者やディーラーに連絡をして、早期に点検するようにしてください。その上で、トラックの買い替えを検討することをおすすめします。
買い替えの準備:情報整理と必要書類
トラックを買い替える際、事前に業者さんに知らせるべき主な項目は以下です。
トラックのメーカーと車種や車名
年式や走行距離
修理歴・事故歴
事前にわかっていると買い替えがスムーズに進みます。また、基本情報を提示することで、下取りに出す際にも大体の価格を提示してもらえることがあります。
必要書類
トラックを買い替える際に必要な書類には、次のようなものがあります。
車検証
自賠責保険証明書
自動車納税証明書
メンテナンスノート(保証書)
委任状
譲渡証明書
身分証明書(個人の場合)
車検証や自賠責保険の証明書は、普段から車に積んであるので問題ないはずです。
自動車納税証明書は、どこか別の場所に保管してあることもあります。買い替えがスムーズに進むように、必要書類は一式を事前に準備しておきましょう。
エンジン載せ替えか、新車購入か
エンジンは「トラックの心臓」ともいえる重要なパーツです。
新車への買い替え以外に、エンジンのみを交換する(エンジン載せ替え)という手段もあります。
トラックのエンジン交換には100万円以上の費用がかかりますが、それでも新車購入よりはコストが抑えられます。新車購入の前に検討する価値はあるかもしれません。
新しいエンジンのメリット
新しいエンジンに載せ替えることで、以下のような点が改善される可能性があります。
エンジンのかかり具合(すぐ起動するようになる)
加速が良くなる
エンジン音が小さくなる
排ガスの減少
エンジン以外のパーツや本体そのものが老朽化している場合には、エンジンを交換しても改善しない場合もあります。
専門業者に相談の上で、適切な方法を選びましょう。
新車購入のタイミングとメリット
トラックを新車に買い替えると決めたら、注文のタイミングは早い方がよいでしょう。なぜなら、トラックは納車までの期間が長いからです。
乗用車と比べてトラックは生産台数も少なく高価なので、半受注生産が多いため、注文してから納車されるまで、6カ月~10カ月かかるのが一般的です。
さらに最近では、部品の供給不足などの原因で納期延長が長くなっています。買い替えを決断したら早めに業者に連絡しましょう。
新車の良さ
トラックに限らないかもしれませんが、新車はやはり良いものです。
加速ブレーキの効きが古いトラックとは違いますし、何より車体がキレイです。
新しいトラックに乗ることで運転が安全で丁寧になることもよくあることです。