高速道路で見かけるNシステムの特徴や役割を、正しく理解できているトラックドライバーはどのくらいいるでしょうか?
Nシステムとは何か、与える影響などを知ることで違反防止や事故防止につながります。ぜひこの記事を読んで、トラックの安全運転のために参考にしてみてください。
Nシステムの基本
Nシステムとは、走行中のあらゆる車両のナンバープレートを自動で読み取るシステムです。
都道府県警察と警察庁が管理しており、「車両捜査支援システム」とも呼び、犯罪捜査や手配車両の追跡に利用されています。
このように、速度違反を取り締まるための撮影を行うオービスとは目的が大きく異なるのがNシステムです。また、Nシステムの正式名称は「自動車ナンバー自動読取装置」と言います。
Nシステムとは何か
NシステムのNはナンバー(Number)の頭文字から名付けられました。
高性能カメラが搭載されたNシステムは、通過した車両ナンバーだけでなく、車種や色、運転者はもちろん同乗者の顔も撮影することができます。
撮影されたデータは約30年間の一定期間保存可能であり、もちろん検索もできます。
そしてNシステムは、速度違反の取り締まりが目的のオービスとは異なります。
オービスは速度超過した車両に対してのみ発光し記録しますが、Nシステムは赤外線カメラを用いているので、目に見えない光で車両を撮影します。
Nシステムの設置目的と機能
Nシステムの主たる機能として、ナンバープレートを照合することで、犯罪に使用された可能性がある車両や盗難車を探す役割を持ち、その車の形状から色、運転席や助手席に乗っている人の顔までも撮影します。
一定期間蓄積されるNシステム内で検索をし、手配中の車と合致した場合、現在地やルートが警察に送信され、追跡のために働きます。「車両ナンバー捜査支援システム」、「車両捜査支援システム」、「初動捜査支援システム」などと呼ばれることがあります。
Nシステムは設置点を通過するすべての車両を対象にしていますが、速度違反を取り締まるわけではなく、犯罪捜査の一貫で利用されるので、よほどのことがない限り心配して走行する必要はないでしょう。
しかし車検切れの車両を探すためにも使用されることがあるのでご注意。
また、撮影時に用いられるのは小型の赤外線カメラなので、光っていても私たちは目視することができません。また、事前に警告が書かれた標識はほぼありません。
Nシステムとオービスの違い
まずNシステムとオービスの違いとして、犯罪捜査のためか速度違反の取り締まりをする目的かどうかという点で大きく異なります。
両方とも道路の上方から撮影することが多く、システムの機械の形も似通っているので、目的などの違いについて詳しくご説明します。
Nシステムの特徴
前述にもあるように、Nシステムは赤外線カメラによって車両のナンバープレートを読み取り、警察のデータベース上の車両と照合するシステムです。
情報は主に、犯罪に関わった手配車両や盗難車の捜索などの犯罪捜査に活用されますが、自動車登録情報のデータベースと照会すると、撮影車が無車検かどうかも調査可能です。
また、ナンバーだけではなく、通過時間や車の車種・外装、運転手や助手席に乗っている人の顔までも判別され、それらのデータは約30年間記録されます。
オービスとの比較
では、システムや形状が類似するオービスとの役割や機能を比較し、違いを理解しましょう。
速度観測デジタル機能
Nシステムは、オービスとは異なり速度を測る機能はついていません。
一方で、オービスは速度違反などを取り締まる役割があるので、スピード違反を起こし検知された場合はオービスのスピード計測機能による影響が大きくあります。また、Nシステムは通過する全車両を撮影していますが、オービスは違反を検知し対象となった車両のみを撮影していることも大きく異なる点です。
事前の設置看板のあるなし
オービスは設置を示す看板があるので、事前に走行スピードの超過対策ができます。
その一方で、Nシステムは事前に設置を示す看板はありません。高速道路以外の道路でも撮影され、システム設置点を通過する車両をすべて、常に撮影されていると考えて運転をしましょう。
Nシステムの設置台数がより多い
2015年時点と最終調査は古くなりますが、Nシステムはオービスよりも約4倍の1690台ほどと設置台数は多いです。
オービスは基本的に速度を出しすぎる高速道路のみですが、Nシステムは至る所に設置されていると考えたほうが無難でしょう。
オービスのみ撮影時に光る
Nシステムは赤外線カメラなので、撮影されるときにシステムは光りませんが、オービスは速度違反などを検知した際に光りながら撮影します。
まとめると、Nシステムは犯罪捜査が目的で、通過した車両すべてが撮影対象、予告なし、目に見えない赤外線カメラで撮影する。オービスは速度違反等の取り締まりが目的、速度超過した車両のみ対象、予告標識あり、強く発光して撮影ということです。
Nシステムの運転への影響
最近は道路交通法などが変わり、取り締まりも厳しくなり、高速道路走行時に不安になる運転者も少なくありません。
特に大型トラックで荷物を運ぶ場合、高速道路の運転はより慎重になります。
運転者にとってのNシステム
Nシステムは犯罪捜査に使用されることが主目的だとご理解いただけたかと思いますが、元々の開発目的は無人検問であったことはご存知でしょうか。
人手を要する検問だけでは間に合わない・追いつかない状況から開発されたNシステム。
該当する車両をナンバーから外装などと自動照合することで速やかに事件解決を可能にします。
通過すると自動的に記録対象となる運転者として意識したいこととして、道路はもちろん、路肩など全ての道路が撮影されること。
「高速道路以外の一般道路も撮影されている」と考え、安全な運転を心がけましょう。
また、撮影データは一定期間(約30年間)保存されているということです。ドライバー含め、助手席者の顔も撮影できることも頭にいれておきましょう。
安全運転とNシステム
Nシステム自体、速度違反などを取り締まる目的は本来ないのですが、Nシステム設置付近には急ブレーキの痕跡(ブラックマーク)を良く見かけます。
多くのドライバーが、速度違反を検知するオービスと勘違いして急ブレーキを踏んだものと思われます。ただ、そもそも超過スピードを出していなければ、慌てて急ブレーキを踏むこともなく追突事故などを防げるので、普通乗用車はもちろん、大型トラックは積載物もあるのでスピードを抑えて運転しましょう。
また、自分が注意していたとしても、オービスと勘違いし急ブレーキを踏む他車に巻き込まれる可能性もあるので、良く通る道路でNシステムの設置場所を理解している場合は、スピードを落とし、車間距離を保ち、安全を確保しましょう。
Nシステムの未来
現時点でNシステムは自動的にナンバーを読み取り、車両情報はもちろん、運転手を撮影したりし、犯罪や事故のトラブルを解決したり未然に防ぐことに大いに貢献しています。
このように役立つNシステムは今後、道路設置型だけでなく持ち運び可能な可搬型の導入などもさらに加速していくことも予想されています。
技術的進化
基本的にNシステムは警察捜査に利用されていますが、現在は民間企業で利用するためのシステム開発へと方向転換が必要であると考えられています。
具体的な活用が見込まれている場面を見てみましょう。
工場施設向け
オープンゲートシステムにNシステムを導入することで、より効率の良い入退場管理が可能になります。
マンション向け
マンション駐車場へのゲート開閉には、キーリモコンが主流でしたが、Nシステムでナンバーを検知させ、キーレスオープンゲートシステムを可能にし、ストレスの無いスムーズな入出庫が可能です。
ホテル向け
顧客の車番認識システムをNシステムに読み込ませることで、ホテルへの来場をいち早くスタッフが把握し、よりランクの高い接客サービスが可能になります。
また最近では、商業施設の駐車場で退場時にナンバー入力するだけでチケットレスの支払いができるなど、民間部門でもNシステムは導入されつつあります。
運転者に与える影響
高速道路を含め、上記のような道路以外でのNシステムの導入や技術革新は、運転者にさまざまな影響を与えます。
基本的には犯罪捜査などでのみ活用されますが、Nシステム設置点を通過する車両すべてを撮影するので、プライバシーの侵害と捉えるドライバーも少なくはないでしょう。
一方で、停車する必要のある対面式の検問をしなくてよくなるため、交通渋滞を回避することができ、トラックドライバーにとっては業務効率化が計られます。
また、民間の商業施設での導入はスムーズな駐車場の出入庫が可能になり、混雑時などのストレスやトラブルを減らすことも期待されています。