雨天時のトラック走行中にワイパーを使用した時、「ムラやスジが入って視界が悪い」、「水切れが良くない」。このような症状が現れたらワイパー交換の時期かもしれません。ワイパーは走行時の視界を確保する大事なパーツだけに、定期的な交換は必要です。
今回はトラックワイパーゴム交換時期の目安や、自分でできる交換方法について解説します。
トラックワイパーゴム交換の重要性と交換目安
降雨雪の日は視界が悪くなるので、ワイパーなしでのトラック走行はとても危険です。
ワイパーに取り付けられているゴムがガラスに密着して、左右に動き雨や雪を拭き取りますが、ゴムは消耗品ゆえ経年や使用頻度によって劣化していきます。トラックが安全に走行するためにも、ドライバーや管理者は適切な時期にワイパーゴムを交換しなければなりません。
ワイパーゴム交換時期のサイン
まず、トラックのワイパーは以下の3パーツから構成されています。
* ワイパーゴム
* ワイパーアーム
* ワイパーブレード
この3つのうち、定期的な交換が必要なのはワイパーゴムとワイパーブレードです。ワイパーゴムは基本的に1年程度、ワイパーブレードは1~2年程度の交換が目安ですが、期間だけでなくワイパー使用時の視界の状態も判断基準にしましょう。
例えば、
* 拭き、除きムラが残る
* スジ状の線が残る
* ワイパーからでる水が滲んでいる
* ゴムがきしむ不快な音がする
といったことが使用時に起こるなら、ワイパーのいずれかのパーツが寿命を迎えている可能性があります。ワイパーを使っても視界が悪い状態だと安全走行に支障をきたすので、早めの交換を検討しましょう。
定期的な交換が必要な理由
上記で説明したとおり、ワイパーの点検や交換をせずに不調のまま使用していると安全な運転の妨げとなります。ワイパーの機能は自分でチェックするだけでも簡単な点検ができます。ワイパーの不調に事前に気付くという意味でも、定期的な点検と交換は欠かせません。
点検方法としては、晴れの日でもウォッシャー液を出してワイパーを使用するだけで、ワイパーのコンディション点検ができます。その際にワイパーの動きがスムーズかどうか、拭きムラがないか、異音がしないかどうかを確かめましょう。
トラックごとのワイパーゴム交換手順
ワイパーゴムの交換は、比較的簡単な作業かつ特別な道具も必要ありません。ここでは、ワイパーゴムを失敗なく自分で交換するために、以下の準備と手順を参考にしながら、交換してみてください。もし不安であれば、ワイパーゴムを購入したお店のスタッフに聞くと失敗のリスクも少ないので安心でしょう。
必要な道具と準備
ワイパーゴムの交換作業は特別な工具を使う必要はなく、専門的な知識・技術も求められないため、個人で簡単に交換が可能です。自分で交換作業を行なうと、依頼する工賃もかからず節約につながるのもメリットです。
交換を始める前の準備としては、まずワイパーアームを立てましょう。次にアームを立ててワイパーゴムが上側に向くように、ワイパーブレードを少し傾けて取り外してください。ワイパーブレードを外した方がカンタンに作業できます。
コネクターのストッパーを押さえて、ワイパーブレードを手前側にスライドさせればスグに外すことができます。
また、普通自動車は必要なワイパーブレード自体は1セットですが、トラックに関してはワイパーは運転席と助手席で必要かつサイズが違う場合があるため、必ず両方の適合サイズを確認しましょう。3列シートのトラック車種は中央席分も必要となるため、サイズ確認は忘れないで行いましょう。
交換手順
ワイパーゴムだけを交換する場合
- ワイパーアームの先端とガラスの間に厚手の布やクロスを敷く
- ワイパーを立て、ワイパーブレードを片手で支えてゴムを引き抜く
- ワイパーブレードの溝に合わせ、交換用のワイパーゴムを差し込む
- 交換したワイパーゴムを軽く手で揺すって偏りをなくす
ゴムと一緒にワイパーブレードも交換する場合
- まずワイパーブレードの向きを確認する
- ワイパーアーム先端とガラスの間に厚手の布かクロスを敷く
- ワイパーを立て、アームとブレードの取付部裏側にあるストッパーを確認する
- ストッパーを押してワイパーブレードを手前にスライドし取り外す
- ワイパーアームを厚手の布の上に置く
- 交換用ワイパーブレードを用意し、ワイパーアームを再度立てる
- ワイパーブレードを奥にスライドさせてカチッと鳴るまで差し込む
- ワイパーウォッシャー液を出して動作確認を行なう
ワイパーゴムだけの交換なら、基本的にどんな種類のトラックでも同じ手順で交換可能です。しかし、前述のようにトラックのシート数によって必要なワイパーゴムの数も変わるので、交換が初めての方は忘れず確認しましょう。そしてワイパーブレードも一緒に交換する場合も、ワイパーブレードの種類を確認することは必須です。
ワイパーゴムの選び方と交換費用
ワイパーといっても大きく分けてワイパー本体で3種類、ワイパーゴムでも4種類と選択肢は多くあります。それぞれ得意・不得意な走行シチュエーションがあるので、適したワイパーを選ぶと性能面でより満足かつ安心して走行できるでしょう。
入手可能なワイパーゴムの種類
ワイパーゴムは走行環境や素材によって、次の4種類に分けられます。
スタンダードワイパーゴムの特徴
スタンダードワイパーはほとんどのトラックおよび普通自動車に標準で取り付けられているワイパーゴムです。安価である代わりに大きな特徴もなく、標準的な性能を持つワイパーゴムです。
プロやドライバーに支持を得ているスタンダードなワイパーゴムは、ボッシュの「国産車用フラットワイパーエアロツインJ-フィット」があります。
オールシーズン対応で、エボジウムスプリングという芯でゴムで覆われ、金属部品が大幅に少ない構造なので、錆びや熱射などによる金属劣化を防ぎ、圧力がバラつく事もなく、拭きムラやスジ状の拭き残しは発生しにくく、優れたワイピング効果が持続するものです。
また、最新のグラファイトを配合した天然ゴムがガラス面との摩擦の大幅な軽減を実現しているので動作音や不快な振動が低減します。
撥水ワイパーゴムの特徴
撥水効果を付与したワイパーゴムで、4種類の中でも値段は高い方ですが、ガラスに撥水コーティングしなくても良いのでワイパーを作動させる手間が大きく削減されます。
この撥水ワイパーゴムを使うときはブレードも専用のものがあるので、一緒に使うとさらに効果は期待できます。
撥水ワイパーゴムの中でも人気なのは、ガラコワイパーパワー撥水ゴムです。強力撥水成分を含浸させたシリコンゴムと、3次元ポリマーコーティングシステムによってたった3分のワイピングで水ハジキを実現しています。
また、耐熱性、耐候性、耐寒性、耐薬品性に優れた特殊シリコンゴムを採用しており、ワイパーを作動させることでゴム表面の3次元ポリマーが、濃縮ガラコ成分と共にガラス表面にコーティング膜を形成します。このワイパーゴムはどれよりも強く雨を弾くのが特徴です。
雪用ワイパーゴムの特徴
このワイパーゴムは降雪や寒さに強い特殊な素材で作られていて、低温でも硬化しにくいのがメリットです。雪用ワイパーゴムを使うときは雪用ブレードも同時に使用することをオススメします。
グラファイトワイパーゴムの特徴
グラファイトワイパーはゴムの表面が炭素から成る鉱物のグラファイトでコーティングされています。このグラファイトコーティングのおかげで摩擦抵抗は減り、ガラスの撥水コーティングの劣化を防ぎ、ガガッと鳴る異音を防ぐ効果を持っています。
スタンダードワイパーよりは高価ですが、ガラスのコーティングも保護されるため、結果としては安価になることも少なくないでしょう。
高品質天然ゴムを採用しているPIAAのグラファイトワイパーはプロの間で特に支持を得ています。グラファイト粒子とモリブデン粒子コーティングを最高級の天然ゴムに施しているため、摩擦抵抗を軽減しスムーズな動作を実現しています。
さらに、すでに撥水コーティングしているガラスにも、していないガラスにも優れた払拭性能を発揮する最高品質です。また、95~750mmまでの長さのラインナップのため、幅広い車種に適用できる面も人気の理由です。
自分で交換 vs. 業者に依頼
上記で解説したように、特別な工具や知識はいらないので自分でワイパーゴムを交換することは難しくありません。ワイパーゴムの交換費用は「誰が交換するか」によって大きく変動します。
自分でワイパーゴムを交換する場合
個人で交換作業を行なう場合、必要な費用は新しいワイパーゴムの代金のみです。商品価格はゴムの種類やメーカーによって変わりますが安いものなら800円程度、上質なものや特別なタイプのものでも1,000〜2,000円程で購入できます。
業者に交換作業を依頼をする場合
業者にワイパーゴムの交換を依頼すると、新しいワイパーゴムの代金に加えて工賃がかかります。工賃はカー用品店・ガソリンスタンド・ディーラーなどの依頼業者によって異なるため、事前の見積もりで確認してください。
特にディーラーの場合は平均より高く、純正品のワイパーゴムを使うのが一般的なので、合計3,500〜5,000円程度は必要でしょう。
一方で、カー用品店やガソリンスタンドの工賃は比較的安く、新しいワイパーゴムを含めても合計1,500〜3,000円程度で済みます。カー用品店で依頼する場合、店内で好きなワイパーゴムを選んで交換依頼ができるため、こだわりがある方はチェックしてみてもいいでしょう。
まとめ
今回はトラックのワイパーゴムの交換時期や交換方法、費用の目安などについて解説しました。ワイパーゴムは消耗品なので、定期的な交換が必要です。安全運転のためにも、ワイパーゴムの状態を常にチェックし、劣化している場合はすぐに交換するようにしましょう。
自分で交換する場合は、上記で紹介した交換手順を参考にしながら、安全に作業を行なってください。もし不安な場合は、無理せず業者に依頼することをおすすめします。