トラックの警告灯一覧:その種類と点灯時の対応法とは

トラックのメーターパネルには各種の警告灯が付いており、また種類によって点灯する色が異なります。ここではそれぞれが表している意味と点灯した時の対応方法について記述します。

目次

トラックの警告灯

トラックの警告灯の役割と種類、さらには、警告灯の色(赤、黄色、緑)が示す緊急性について説明します。

警告灯の役割と種類

車の警告灯の役割は、走行に関わる異常や故障が発生した際や正しい操作をしなかった場合に運転者へ注意や警告を示すことです。車の構造や装置等については、1958年に締結された国連欧州委員会(UN/ECE)の多国間協定「国連の車両・装置等の型式認定相互承認協定」によって世界基準で規格化されています。
この協定に規定されているレギュレーションは現在100を超えており、協定加盟国はこれらの規定を任意に採用することができます。日本はおよそ40項目程度を採用しており、これにより警告灯については国産車であれ外国車であれデザインは大体同じくなっています。

色による緊急性の違い

各種警告灯の点灯色は国際基準で定められるもので世界共通です。この基準は国際標準化機構(ISO)が策定しており、安全で信頼性が高く、質の高い製品やサービスを創出することを目的としています。
この基準によりますと、警告灯の点灯色がオレンジ(黄)色の場合は「要注意」を表し、差し迫っている訳ではありませんが早めに正しい対応法を講じるべき状態であることを意味します。点灯色が赤色の場合は「危険」を表し、即座に走行を停止し正しい対応法を講じる必要があることを意味します。
一般に安全であり特に何も対応しなくてもよい場合は警告灯が点灯することはありませんが、特定の場合に緑色の点灯が起こる場合があります。たとえば、車両が発進や加速をした際にタイヤが空転してしまうのを防ぐ装置であるASR(アンチ・スリップ・レギュレーター)の表示灯の場合、走行中にASRが作動した場合は緑色に光ります。しかし、この緑色は、安全であることを意味しており、そのまま走行しても大丈夫です。ASRに問題がある場合には、黄(オレンジ)色に点灯しますので、その場合には何らかの対応を講じる必要があります。

主要な警告灯の一覧とその意味

トラックにおける主要な警告灯とそれが表す意味について解説します。

「エンジン警告灯」

これは、スタータースイッチをONにしたときに一旦点灯しますが、正常であれば、その数秒後または、エンジン始動後には消灯します。しかし、この際に消灯しなかったり走行中に点灯した場合は、エンジンシステムに異常がある事を警告してます。

「オイルプレッシャー警告灯」

オイルプレッシャー(油圧)警告灯は、エンジンオイルの圧力の異常を検知した時に点灯します。この警告灯もエンジンを掛けたときに一旦点灯し、オイルプレッシャーが正常であればエンジン始動時に消灯し、異常であれば点灯し続けます。

「キャブチルト警告灯」

キャブ(キャビン)とはトラックの頭の部分で、人が乗る運転席・助手席の部分です。キャブチルド警告灯は、キャブがロックされていない状態である場合に点灯する警告灯です。エンジンを掛けた際にキャブチルド警告灯が点灯した場合は、キャブがロックされていないため、そのまま走行してしまうとトラックの乗車部が動いてしまう危険性があります。

「燃料フィルター水抜き警告灯」

燃料フィルター水抜き警告灯とは、燃料フィルターの中に水が溜まっていることを示す警告灯です。これが点灯したまま走行した場合、燃料噴射システムが破損する危険性があります。

「ABS 警告灯」

ABS警告灯とは、アンチロックブレーキ装置に異常があることを示す警告灯です。ABS警告灯もエンジンを掛けた際に一旦点灯し、アンチロックブレーキ装置が正常な場合は数秒後に消灯、異常がある場合は点灯したままとなります。

「SRS エアバック警告灯」

SRSエアバック警告灯は、安全装置であるSRSエアバックのシステムやシートベルトのプリテンショナー機能の異常を示す警告灯です。SRSエアバックシステムやシートベルトプリテンショナー機能が正常な場合には、エンジンを掛けた際に7回点滅した後に消灯します。しかし、それらの機能に異常がある場合には、7回点灯が無かったり、あるいは点灯したままで消灯しないといった状態になります。

「充電警告灯」

充電警告灯は、充電系統の異常を示す警告灯です。これもエンジンを掛けた際に一旦点灯しますが、充電系統が正常な場合にはその後消灯し、異常な場合には点灯したままとなります。走行中に点灯した場合は、オルタネーターやベルトといった充電系統に異常があることを示します、

警告灯が点灯したときの対応法

前記のとおり警告灯には各種ありますが、それら警告灯が点灯したときの一般的・基本的な対応方法と、いくつかの警告灯について緊急の対応方法について解説します。

警告灯が点灯したときの基本的な対応

前記のとおり警告灯には各種ありますが、それら警告灯が点灯した場合の一般的・基本的な対応方法について解説します。
警告灯が点灯しているということは、走行に関わる異常や故障が発生していたり、誤った操作をしていたりするということなので、まずは走行を止めることが必要です。停止状態であれば走らせない、走行中であれば安全な場所を見つけてすぐに停止することが大事です。
停止したならば、自分で対応できるようであれば対応し、そうでなければ自身の会社や修理をしてくれる工場などに連絡します。

緊急時の対応

例えば、エンジン警告灯が点灯したままの場合は、ディーゼルエンジン車の場合の多くは、排出ガス浄化装置の詰まりが原因ですので、その場合は装置のクリーニングをする必要があります。この作業は排出ガス浄化装置をエアーや水で洗浄することになりますので、出先ではその場での完全な対応はちょっと無理ですので、会社とも連絡を取り合っておそらくは最寄りの工場等で対応してもらうか、そこでは応急的な処置で済まし、その後に完全対応をするといった方法となるでしょう。
また、SRSエアバック警告灯が点灯したままの場合だと、SRSエアバックのシステムやシートベルトのプリテンショナー機能が異常ということですので、走行中であればとりあえずは衝突事故を避ける必要がありますので、スピートを出さず、低速超安全走行で最寄りの自動車工場へ向かい完全または応急的な処置を行うことになると思われます。

警告灯の点灯を防ぐためには

警告灯の点灯を防ぐためには、定期的な車両点検の重要性や適切な使用方法が必要です。

定期的な車両点検

車両点検には日常点検、定期点検、それらのほかに国が車両の保安基準適合性を確認する自動車検査登録制度、いわゆる車検があります。ここでは、日常点検と定期点検について説明します。
日常点検整備は、日頃自動車を使用していく中で、ユーザー自身が行うことのできる点検です。この点検は、ユーザーが運転席にすわったり、エンジンルームをのぞいたり、自動車の周りを回りながら自動車の状態を見たりすることにより行います。
トラックは主に事業用ですが、多くの物を運搬し、公共性が高く、その社会的影響の大きさから、マイカー等とは違い、一日一回、運行の前に点検を実施する必要があります。
事業用自動車用の日常点検項目(大型車の例)のいくつかを次に紹介します。日常点検整備の実施はユーザーの義務として道路運送車両法の第47条の2に自動車点検基準として定められています。点検の結果、「いつもと違う…」と感じたら、整備工場等に相談してください。
エンジンルーム・・・冷却水の量、ファンベルトの張り具合、エンジンオイルの量
ブレーキ・・・踏みしろ及び効き、ブレーキ液の量、空気圧、バルブからの排気音、駐車ブレーキレバーの引きしろ
タイヤ・・・空気圧、亀裂損傷、異常摩耗、溝の深さetc

定期点検は、一定間隔ごとに行う、少し大がかりな点検整備です。これも日常点検と同様にユーザーの方の義務となっていますが、専門的な知識・技術も必要なので、国の認証を受けた整備工場に依頼することもできます。車種や用途によって定期点検整備を行うべき時期、点検項目数が異なっており、例えば、事業用トラックの場合は、3か月ごとに50項目、12カ月ごとに100項目となっています。

適切な使用方法

トラックなどの事業用車両は、いわゆる車検のほか、日常点検整備や定期点検整備を行って車両の状態を把握しておくことで、まずは車両の異常を事前に察知することができたりします。そういった点検整備を行っていたとしても走行中や出先で、警告灯が点灯することもないとは限りません。このような場合であっても、点検整備をちゃんとしていれば、異常の程度が軽度で済んだりします。車両は適切に使用することによって、異常や故障等を予防することができます。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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