AIにいろいろな仕事を任せることで多くの問題を解決できると注目されています。本記事ではAIにできることとできないことについてまとめました。AIで何ができるか知りたい方は参考にしてください。
AIとは何か
AIとは何か知るために、基本的な定義や機能、種類について紹介します。
AIの定義と機能
AIとは人工知能のことです。人間と同じように思考することができます。人間の思考プロセスと同様の形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じられる情報処理や技術全般がAIの定義です。
AIを活用することで音声認識や画像認識、自然言語処理などを行えます。既存の製品やサービスの中でAIは活用されており、すでに実用化されている技術です。
AIはディープラーニングの技術によって画像の識別ができます。たとえば、紙の帳簿から文字を抽出してデータ化することが可能です。人間が手入力しなくても、AIが文字を認識して画像からデータを取り込めます。
AIは人間の音声データをテキストデータに変換することも可能です。人間の音声から波形データを抽出し、文字データに変換します。人間の話す言語をコンピュータ上で処理してどのような内容が含まれるか抽出するのが自然言語処理です。たとえば、検索エンジンではAIがWebサイトの文章を理解して、処理します。
AIを活用することで、これまで人間が行ってきた多くの業務を代替させることが可能です。
特化型と汎用型AIの違い
AIの種類を大きく分けると特化型と汎用型の2種類があります。
特化型とは弱いAIとも呼ばれ、限定された範囲に特化して学習と処理を行うAIです。
したがって、特化型AIは特定の分野にしか対応できません。人間と同様の思考や感性を持っておらず、人間の仕事をすべて代替して行うことは不可能です。現在のAIはすべて特化型AIに分類されます。
汎用型AIとは人間と同様の思考ができるのが特徴です。
強いAIとも呼ばれており、自意識を持ち、自らの判断で思考や行動ができます。そのため、汎用型AIであれば、完全に人間と代替して自律的に仕事を行うことが可能です。ただし、現在の技術では汎用型AIは実現していません。AIの研究開発の最終目標が汎用型AIの実現といえるでしょう。
AIの能力と様々な分野での活用
AIはさまざまな分野で活用されています。以下ではAIが活用している分野や具体例、さらに自動化・効率化について紹介しましょう。
AIが活躍する分野
AIは医療分野で活用されています。東大医科学研究所では、2016年に特殊な白血病を10分足らずで見抜きました。国内でAIを用いて医師が診断をした初めての事例です。また論文のデータを読み込ませ解析することで、新たな治療方針を決めたり効率化したりするのに役立っています。
金融業界においてもAIは積極的に活躍しています。
みずほ銀行ではAIのシステムを用いて金融業界に特有な用語や表記を学習させて、文章の校閲や校正をさせています。みずほ銀行ではAIを導入したことで業務量を軽減し、なおかつヒューマンエラーの減少に成功しました。
製造業においてAIが活用されるケースも多いです。
株式会社大林組はAIによって「安全AIソリューション」というシステムを構築しました。労働災害情報をデータベース化し、AIがリスクを自動的に判定します。建設現場の安全対策を実施する際にAIのシステムを利用しているのです。
他にも多くの分野でAIの利用が進んでおり、今後も多方面でAIが活用されるでしょう。
AIがもたらす自動化と効率化
AIの利用で特に期待されているのが自動化と効率化です。自動化とは、人間が行うルーチンワークをAIにさせることで、業務量の軽減に寄与します。効率化とは、AIを活用して業務のスピードを短縮することです。
不良品検出にはAIのシステムが利用されています。事前に正常な状態の画像を学習させることでAIが自動的に画像を認識して不良品の検出が可能です。人間が目視で確認していた作業をAIに任せることで業務量の軽減や効率化を実現します。
日本通運はAIを利用したシステムを業務効率化のために導入しました。関税計算書システムを取り入れることで、帳票を自動でデータ化しています。従業員の業務負担を減らすことに成功しました。
AIのできないこと
AIにはできないことがあります。AIは何を苦手としているのか、どんな課題を抱えているのか紹介しましょう。
AIが苦手なこと
AIが苦手とするのはアースティスティックやクリエイティブな仕事、さらには空気を察して臨機応変な判断が求められる仕事です。
基本的にAIは与えられたデータから学習をして作業を行います。そのため、これまでに存在しない新しいものを生み出すのは苦手です。アーティスティックな仕事やクリエイティブな仕事については、AIが人間に取って代わるまでに時間がかかるでしょう。
また、現在のAIは人間の感情を正確に予測することができません。人間の感情や心理は曖昧なものであり、過去のデータを分析しても正解を導き出すことは困難です。そのため、AIは相手に合わせて臨機応変な対応を取ることが苦手とされています。
AIの課題
AIは過去に学習されたデータをもとにして特定の処理を行うのが特徴です。そのため、臨機応変に対応することができないケースがよくあります。事前に想定された状況にしか対応できないため顧客対応を完全に任せるのは難しいでしょう。人の気持ちに寄り添うことはできないため、人に寄り添って正しい行動を選択するといったことは不可能です。
AIに顧客対応を任せたとしても、顧客の感情の読み取り方を誤るケースもあります。人間は表面的には友好的な態度を見せても、内心では不満や不快な気持ちを抱いているケースが珍しくありません。多くの人は社交辞令を交えながら他者と接しており、嫌味や皮肉を言うこともあります。相手の言葉の真意を汲み取るといったことに現在のAIは対応できない点は大きな課題といえるでしょう。
AIが作る未来
AIは予測や予防といった分野の活用が期待されています。今後、AIによって予測や予防の未来はどのように変わっていくのか紹介します。
AIによる予測
AIは今後天気予報や犯罪予測といったさまざまな予測に活用されていくでしょう。
過去の膨大な気象データをAIに学習させることで、近い未来の天候を予測できます。各地の気象情報をリアルタイムで学習させれば、より精度の高い天気予報を実現できるでしょう。
アメリカではすでにAIを活用した犯罪予測システムが導入されています。犯罪予測システムの導入によって、実際に発砲事件や殺人事件が減少しました。
連続発生した事件について同一人物の犯行かどうかをAIが予測します。容疑者が次にどのような行動を取るのかを予測して、未然に事件を防ぐことも可能です。過去の犯罪に関する膨大なデータを学習させることで、AIによる犯罪予測を実現できます。
AIによる予防
AIによる予測の精度が高まれば、さまざまな問題を未然に防ぐことができます。AIの導き出した予測に基づいて予防策を取ることで、人間の幸福にAIは大きく寄与するでしょう。
予防医療においてはAIの可能性が模索されています。患者から得られた血圧などのバイタルデータをAIに取り込ませれば、個人に合わせた治療方法の提案が可能です。患者の健康データの変化から未然に病気のリスクを察知して、早期に対応できれば重症化予防につながります。実際にがんの検知にAIが活用されており、将来的には医師が気づかない病気のリスクをAIが検知する時代がやってくるでしょう。AIによって、人間の平均寿命を伸ばせる可能性があります。