さまざまな仕事で活躍するトラックですが、最適な買い替え時期はいつでしょうか?賢く買い替えをするためにポイントを紹介します。
トラックの寿命
機械であるトラックにも寿命を迎える日が来ます。トラックの平均寿命とその理由、乗用車との比較を解説します。
トラックの平均寿命とその理由
全日本トラック協会の調べによると人間の平均寿命に当たるトラックの平均使用年数は、1975年は小型、普通トラックともに6年前後だったのに対し、2010年では普通トラックが14.87年、小型トラックが11.92年となっています。
これは新車で購入登録してから廃車抹消登録をするまでの平均年数です。このように平均使用年数は年々長くなっており、近年ではさらに長くなっていると予想されます。
したがって、昨今のトラックが寿命を迎える理由は、走行距離の増加によるエンジン内部の摩耗や車両構成部品の経年劣化によるメンテナンス費の増大が主な理由となっています。
乗用車とトラックの寿命の比較
トラックの寿命は乗用車の寿命よりも長いと言われています。
乗用車の寿命は10年10万kmが目安とされていますが、トラックの場合は寿命を走行距離で判断されることが多く、小型トラックは約20万km、中型トラックは40~50万km、大型トラックでは70万kmほどといわれています。
通常の乗用車に比べてトラックの寿命が長い理由としては、エンジンの排気量が大きく余裕があること。部品点数が少なく堅牢なディーゼルエンジンであること。メンテナンス性や整備性が高いことなどがあります。
また、高速道路などを一定のスピードで長い距離を走ることが多いため、街中での停車・発進が多い乗用車よりも、車体にかかる負荷が少ないといった理由もあります。
最適な買い替え時期とは
トラックの買い替えを検討する目安や高価買取のためのタイミングと方法を解説します。
買い替えを検討するべき具体的なサイン
トラックの買い替えを検討するべき具体的なサインは、エンジンからガラガラ音など異音がするようになったり、排気ガスから黒煙が多く出るようになったり、また走行中に異音がするようになったなどです。
これらはエンジン内部やミッション、排気ガスを出すマフラーの触媒など、修理負担が高額になる場合が多く、安全性の面から考えても買い替えを検討してもいいタイミングと言えます。
また先ほど解説したように寿命とされている走行距離を超えている場合や、新車購入から10年が経過している場合も買い替えを検討するタイミングです。
高価買取を狙うタイミング
トラックの買い替えを検討した際に、古いトラックを高く買い取ってもらえたら嬉しいですよね。高価買取を狙うのであれば、使用年数と走行距離は少ないことに越したことはありません。
トラックを新車で購入してから10年を経過すると、買取査定価格が大きく下がるとされているため、高価買取を狙うのであれば新車購入から10年を経過しないうちに買取に出すようにしましょう。
また、走行距離の面から見ても、先ほど解説したトラックの平均寿命の走行距離を超えたものは高価買取が難しくなります。平均寿命の走行距離を迎える前に買取に出すようにしましょう。
ランニングコストと排気ガス規制
トラックを使用するうえでランニングコストを抑えることも大切です。また、排気ガス規制に合わせてトラックを買い替える必要がある場合も出てくるでしょう。
ランニングコストの増加を抑える
新車購入から10年を経過したトラックはランニングコストがかかりがちになります。経過年数に比例して走行距離も多くなっているため、各部部品の摩耗や劣化が進み、点検や車検の負担費用がかさむのが理由です。
ランニングコストを抑えるためには普段のメンテナンスや、ちょっとした運転のコツが大切です。
メンテナンス面では、タイヤの空気圧を適正に保つ、エンジンオイルを定期的に交換する、冷却水や各オイルの量は適正かチェックするなど、普段から気を配っておくことで負担費用のかかる大きな故障が発生する前に気づくことができる場合も多くあります。
また、運転面では早めのシフトアップや、急加速・急ブレーキをしないなどが燃費向上に役立ちます。
排気ガス規制とトラックの買い替え
交通量の多い大都市地域では、自動車の排気ガスから排出される窒素酸化物(NOx)や浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染が深刻化しています。健康に被害を及ぼすこれらの物質の排出を抑える目的で制定されたものが自動車NOx・PM法です。
これにより排出基準に適合していない自動車は、自動車交通が集中している対策地域での新規登録や移転登録ができません。つまり、対策地域で新たにトラックを新規登録や移転登録を行う場合は、排出基準を満たしたトラックでなければならないと言う事になります。
自動車NOx・PM法により車を買い替えなければならない場合は、税の軽減措置や買い替えの低利融資、補助金の制度が用意されているため有効に活用しましょう。
買取業者との良好な関係構築がおすすめ
信頼できる買取業者の選び方、買取業者との良好な関係性の重要性を解説します。
信頼できる買取業者の選び方
トラックを買取に出すのであれば、トラック専門の買取業者を選ぶとよいでしょう。
トラック専門の買取業者はトラックに関する知識や経験が豊富な場合が多く、専門でない買取業者と比べた場合に買取査定額が高くなる傾向にあります。
また、買い取り実績が多い業者を選ぶことも大切です。
実績が多い業者は査定や買取のノウハウがそれだけ豊富にあるということ。査定価格にも裏付けされた経験があると納得しやすいですよね。
気になる買取業者がある場合はホームページを見てみましょう。きちんとした買取業者であれば連絡先や所在地が記載してあるはずです。過去の買い取り実績を載せてある業者もあるので参考にしましょう。
買取業者との良好な関係が重要
信頼できる買取業者との良好な関係性を築いておくことにはメリットがあります。
日本各地で活躍するトラックですが、トラックの需要は国内だけでなく国外にもあります。このためトラックの買取相場は国内外の情勢によって日々変化しています。
買取業者はこの変化に対応するために国内外の多くの情報を追っています。トラックの高価買取には年式や走行距離も大切ですが、どのタイミングで売却するかも重要な要素の一つです。信頼できる買取業者との良好な関係性を築いておくことは、このようなタイミングを逃さずにトラックを売却できる方法のひとつです。
未来のトラックと買い替え時期
カーボンニュートラルへの影響と未来のトラックの買い替え戦略を解説します。
カーボンニュートラルへの影響
カーボンニュートラルとは、地球温暖化をもたらすとされている温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いて合計を全体としてゼロにすることです。これは2050年までに掲げられた目標であり、温室効果ガスの削減や植林などの吸収作用の強化が必要とされています。
菅首相は2021年に施政方針演説にて、2035年までに乗用車の新車販売をすべて電動車とする方針を宣言しました。全日本トラック協会では「車両総重量8t以下の小型トラックについて、2030年における電動車の保有台数を10%とする」目標を掲げています。
これらのことから今後トラックの買い替えはどの企業であっても、カーボンニュートラルを念頭に置いたトラックの導入を考えなくてはなりません。具体的には今後はハイブリッドトラックや電動トラックがメインになってくることが予想されます。
未来のトラックの買い替え戦略
先ほど解説したように、未来の社会では電動トラックがメインで活躍するようになると予想されます。
2050年にはガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車に乗ることができなくなるといった予想もありますが、従来のディーゼルエンジントラックがいつまで使用できるのかはわかりません。
あくまで予想ですが、2035年や2050年のカーボンニュートラルに向けて国内のディーゼルエンジントラックは徐々に需要が減っていくことが考えられます。
国内の需要が減るということは買取価格も相対的に下がる可能性があるので、ディーゼルトラックの需要がまだあるうちに早めに買取に出し、電動トラックに乗り換えることが賢い買い替え戦略になるかもしれません。