トラックの売却
トラックを売却する際の基本的な手続きと注意すべき点について記述します。
トラック売却の手続き
トラックなど事業用の車を売る方法は、個人が自分名義の乗用車を売るのとほとんど変わりはありません。トラックを個人名義で所有していた場合は普通に売るのと同じです。トラックを法人名義で所有していた場合は、書類として法人の実印と法人の印鑑証明書が必要になります。
一般に売却先として、ディーラーでの下取りや買取専門店を利用できます。ディーラーや買い取り専門店では、売却前に査定を受けると正確な買取価格が分かりますので、いくつかの店舗間での比較もしやすくなります。
トラックの売却における注意点
トラックの売却において特に注意が必要なのは、ローンが残っている場合です。この場合には、トラックの所有者によって売却方法が異なってきますので注意が必要です。
車検証の所有者の欄を確認して、自身が所有者であればローン返済中でも売却は可能です。この場合はローンの返済とトラックの売却とは別個に考えることができ、ローンの支払いを引き続き行いながらトラックの売却することができます。
一方、ローン会社やディーラーが所有者であれば、ローンを完済して名義を自身に変更しなければトラックを売却することはできません。しかし、この場合でもトラックの売却額がローン残額を上回っていれば、買取業者に売却することによりローン残額を一時的に立て替えてもらって完済し、トラックの売却額から返済額を差し引いた金額を受け取るという方法を採ることはできます。
売却時の勘定科目
トラック売却時に適用する勘定科目と、それに伴う会計処理について記述します。
トラック売却時に適用する勘定科目
トラック売却時に適用する勘定科目は、法人と個人事業主の場合で異なります。
法人がトラックを売却して損益が出た場合、勘定科目は「固定資産売却益」「固定資産売却損」となります。ただし、トラックを売却した場合はその中にリサイクル預託金相当額も含まれていることが多いので、仕訳の際には注意が必要です。個人事業主がトラックを売却して損益が出た場合、勘定科目は「事業主借」「事業主貸」となります。
売却時の勘定科目による会計処理のポイント
記帳方法には、資産として借方に記入した車両価格を減価償却の度に減額させていく「直接法」と、車両価格はそのままに減価償却累計額を貸方に記入していく「間接法」があります。また、税込で記帳する場合と税抜きで記帳する場合があります。
どちらの方法を使っても問題ありませんが、記帳方法を統一しておくことが大事です。
法人の場合の記帳方法は、例えば、直接法・税込経理ですと、トラックの売却額を「現預金」として借方に記入し、貸方にはトラックの購入費用から減価償却累計額を差し引いた額を「車両運搬具」として貸方に記入し、トラックの購入時に別途支払ったリサイクル預託金も貸方に入れます。
そして、売却したことにより損失が発生した場合は「固定資産売却損」として借方に記入し、逆に、売却によって利益が発生した場合は「固定資産売却益」として貸方に記入します。
個人事業主の場合の記帳方法は、直接法・税込経理ですと、トラックの売却額を「現預金」として借方に記入し、貸方にはトラックの購入費用から減価償却累計額を差し引いた額を「車両運搬具」として貸方に記入し、トラックの購入時に別途支払ったリサイクル預託金も貸方に入れます。
そして、売却したことにより損失が発生した場合は「事業主貸」として借方に記入し、逆に、売却によって利益が発生した場合は「事業主借」として貸方に記入します。つまり、個人事業主の場合は、法人の場合の「固定資産売却損」が「事業主貸」に、「固定資産売却益」が「事業主借」に変わるだけです。
書類の変更登録について
売却時の登録やその他書類の変更に必要な手続きについて説明します。
トラック売却時の書類変更の流れ
車の移転登録(名義変更)などの面倒な手続きは買取業者に代行してもらうことはできますが、書類は自分で用意することになります。ここでは、必要な書類について次に掲載します。
車検付き自家用(白ナンバー)車の流れは①②③④⑤⑥⑦⑨⑩
車検付き事業用(緑ナンバー)車の流れは①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩
車検切れ自家用(白ナンバー)車の流れは①②③④⑦⑩⑪
車検切れ事業用(緑ナンバー)車の流れは①②③④⑦⑩⑪
①自動車検査証 1通
②譲渡証明書(所有者実印) 1通
③印鑑証明書(交付から3ヶ月以内のもの) 1通
④委任状(所有者実印) 1通
⑤自動車損害賠償責任保険証明書 1通
⑥自賠責保険異動承認請求書 1通
⑦納税証明書(車検用)(最新のもの) 1通
⑧事業用自動車等連絡書(交付から1ヶ月以内のもの) 1通
⑨自重計技術基準適合証(土砂ダンプ売却時) 1通
⑩リサイクル券 1通
⑪OCR申請書(継続車検用)
トラック売却に関連する税金
トラックを売却する際にかかる可能性のある税金には自動車税、所得税、消費税の3種類があります。
自動車税は、4月1日時点の所有者に対して毎年かかるものなので、例えば4月に車を売った場合は売却後に納付書が届くこともあります。この場合はであってもトラックの前所有者は、一旦は1年分を支払わなければなりません。
ただし、支払った自動車税を月割りにした額が買取業者から返金されることが多いので、損をするということはありません。
次に、消費税ですが、トラックを売却した場合に消費税が課せられるのは事業者として売る場合だけで、個人で売るときには課税されません。ですから、商品の配達用に使用していたトラックを売った場合は課税の対象となります。
業務用として使用していたトラックを売却した場合には、消費税を支払う必要がありますので、中古車販売業者から消費税込みの金額を受け取り、消費税分を「受取消費税」として仕分けして、事業の消費税分と合算のうえ、最終の支払い消費税を納めなくてはなりません。
自家用車やレジャー用の車の場合は事業とはみなされないため、消費税は課税されません。
次に、所得税ですが、車を売って利益が出た場合、その分の所得税を支払わなければならないことがあります。しかし、車の売却価格が購入時の価格を上回るケースはめったにないため、利益が発生するのも稀です。
売却益の扱いについて
トラック売却による利益の計算方法とその会計処理について記述します。
トラック売却益の計算方法
トラックの売却益は、「購入時の車の帳簿価額」から「売却時までに減価償却された価額(減価償却累計額)」と「売却額」、事業用に使用していたものを売却したのであればさらに「受取消費税」を差し引いた残りです。
売却益の処理方法
トラックなど主に仕事で使用している業務用車を売却して利益が出た場合には、「譲渡所得」となり、所得税が課せられます。ただし、譲渡所得には50万円の特別控除があるので、実際に課税対象となるのは売却益から50万円を引いた額になります。
また、5年を超えて使用している車であれば、課税対象額は半分に減ります。例えば、売却益が70万円の場合、使用期間が5年以内なら課税対象は20万円、5年を超えていれば課税対象は20万円の半分の10万円ということになります。