街中を走る一般車両に紛れて交通違反者を取り締まる覆面パトカーは、多くのドライバーにとって気になる存在でしょう。一見普通の車両に見える覆面パトカーも、注意深く観察すれば見分けることができます。
本記事では、覆面パトカーの特徴や見分け方、車両の外観や走行パターン、装備の特徴など、具体的なポイントについて解説します。ご紹介する内容は違反行為を助長するものではなく、安全運転への意識を高めるための参考にしてください。
覆面パトカーとは？その役割と見分け方
覆面パトカーは、一般車両に”擬態”した警察車両です。外見は一般車と変わりませんが、いくつかの特徴から見分けることができます。まずは、覆面パトカーの役割と見分け方のポイントをみていきましょう。
覆面パトカーの役割と目的
覆面パトカーは、おもに交通違反の取り締まり、犯罪捜査の支援、要人の警護という3つの役割を担っています。
1.交通違反の取り締まり
高速道路や一般道路でスピード違反や危険運転などがないかを監視し、ドライバーの違反行為を抑止します。特に朝夕の通勤時間帯や深夜帯など、交通違反が起きやすい時間帯に重点的な監視を行っています。
2.犯罪捜査の支援
事件現場への急行や張り込み、尾行などでその真価を発揮します。一般車両との見分けがつきにくいため、犯人に気づかれることなく効果的な捜査活動が可能です。
3.要人の警護
皇室や政府関係者、外国の要人などの警護では、主に黒色のセダンが使用されます。要人の車両の前後に配置され、周囲の不審な動きを監視しながら警護任務にあたります。特に首都圏や主要都市では、要人の移動に合わせて頻繁に活動しています。
覆面パトカーを見分けるための具体的な方法
覆面パトカーは一般車両との区別が難しいものの、特徴的な要素から推測することが可能です。以下では、車種や外観、装備品、走行特性など、具体的な識別方法を詳しく解説します。
車種、ナンバープレート、外観から見分ける
・車種
覆面パトカーには主に国産の高性能4ドアセダンが採用されています。トヨタ「クラウン」「マークX」、日産「スカイライン」などが代表的で、3000cc以上の排気量を持つ車種が中心です。近年では、トヨタ「レクサスGS」なども新たに導入されています。
・外観
ボディカラーは白、黒、グレー、シルバーなど彩度の低い無難な色が主流です。メーカーオプションは最小限で、ベーシックグレードをベースにした仕様が一般的です。エアロパーツやカスタムパーツなどの装着は見られません。
・ナンバープレート
その地域の管轄内のものが大半を占めます。たとえば、首都圏では品川や足立などのナンバーが多く見られます。また、希望ナンバーやゾロ目などの特殊な番号の組み合わせは使用されません。
装備品や外装の細部から見分ける
・ルーフ
格納式の赤色灯が内蔵されており、その部分が四角く切り取られています。この切り取り部分は、塗装の色味がわずかに異なることがあり、日光の当たり方によって確認できることもあります。
・アンテナ
後部には小型の無線アンテナが取り付けられていることが多く、位置は車種によって異なります。アンテナの形状は通常の市販品とは異なり、やや太めの棒状となっています。
・リアウインドウ
外からは見えにくいようにプライバシーガラスとなっていることが多いです。
・フロントガラス
上部には、サンシェードやステッカーなどの装飾品は一切見られません。内側には、専用の無線機や速度測定装置が設置されていることがあります。
・車体の細部
ドアミラー付近やフロントバンパー下部に小型カメラが設置されていることがあります。また、トランクルームには特殊な装備を収納するためのスペースが確保されており、トランクの開閉音が通常車両と異なることもあります。
走行特性と行動パターンから見分ける
走行特性も大きな特徴です。制限速度の遵守、左側車線での走行、3秒以上のウインカー点灯など、交通法規に則った模範的な運転を心がけています。特に、以下のような特徴的な走行パターンが見られます。
・深夜帯
前方の車両に長時間追従する傾向があります。これは速度違反の取り締まりを行う際の典型的なパターンです。また、信号待ちの際は、停止線の手前でピタリと止まり、発進も急ぎすぎることはありません。
・高速道路
追い越し車線を走行する速度超過車両を見つけると、素早く追跡態勢に入ります。この際、急な加速や車線変更を行うことがありますが、それまでは極めて模範的な走行を続けています。
・パーキングエリアや道路脇
車内から周囲の状況を確認できる位置に駐車することが多く、エンジンを切らずにアイドリング状態を保つ傾向があります。また、人通りの少ない深夜でも、街灯の下や明るい場所に駐車する特徴があります。
・休日や深夜帯
交通量の多い幹線道路や事故多発地点付近で低速走行を繰り返すことがあります。また、飲食店や歓楽街の周辺では、不審な運転をする車両がないかを監視するため、同じルートを巡回することもあります。
覆面パトカーに関する注意点と最新情報
覆面パトカーの取り締まり方法や装備は、時代とともに進化しています。最新の特徴や対応方法を知り、安全運転への意識を高めることが重要です。
地域差や最新の取り締まり強化情報
覆面パトカーの運用は地域によって多少の違いはありますが、基本的には全国的に共通しています。2023年以降、各都道府県で取り締まり体制の強化が進められており、使用される車種も多様化しています。
・地域差
首都圏では高級セダンが多く、地方では中型セダンやSUVタイプも増加傾向にあります。
・取り締まり強化
高速道路での取り締まりは特に強化されており、速度超過や通行帯違反を重点的に監視しています。制限速度をわずかに超える違反でも見逃さない傾向にあり、特に交通量の多い時間帯に注意が必要です。一般道では、事故多発地点や通学路周辺での巡回が増加しています。朝夕の通勤時間帯や深夜帯には、信号無視や速度超過の取り締まりが重点的に行われます。
違反時の適切な対応
覆面パトカーに停止を求められた場合は、下記のような冷静な対応が重要です。
1.安全な場所に速やかに停車します。この際、路肩や駐車場など、他の車両の通行を妨げない場所を選びます。
2.停車後は、エンジンを切り、ハザードランプを点灯させます。
3.運転免許証や車検証などの書類はすぐに提示できるよう準備し、警察官の指示に従って丁寧に対応します。
4.質問には正直に答える必要がありますが、自己に不利益となる供述を強要されることはありません。
5.違反切符を受け取る際は、記載内容をよく確認し、不明な点があればその場で質問します。
6.明らかに不当な取り締まりだと感じた場合でも、その場での争いは避け、後日、管轄の警察署や行政相談窓口で適切な手続きを取ることをお勧めします。
覆面パトカーによる取り締まりは、交通事故の防止と安全な交通社会の実現が目的です。取り締まりを受けた場合は、自身の運転を見直し、より安全な運転を心がけるきっかけとしましょう。
