トラックのエアサスは上げっぱなしで大丈夫?メリット・デメリット、寿命や故障リスクを徹底解説

トラックのエアサスペンションは、荷物の積載や走行時の安定性を向上させる重要なパーツですが、上げっぱなしにしておくことには注意が必要です。トラックのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、エアサスの正しい使い方を理解しておく必要があります。

本記事では、エアサスを常時上げたままにするメリットとデメリット、寿命への影響や故障リスク、さらには安全性や燃費への影響について詳しく解説します。また、日常的な運用におけるアドバイスやトラブルシューティングについても触れていきます。

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エアサスを上げっぱなしにするメリット・デメリット

エアサスを上げっぱなしにしておくと一見便利そうですが、それと同時に見逃せないデメリットも存在します。エアサスを常に上げた状態にしているとどのようなメリットとデメリットがあるのかみていきましょう。

エアサスを上げっぱなしにするメリットとは?

エアサスを上げっぱなしにするおもなメリットは2つです。まず、荷物の積み下ろし時に作業効率が向上する点です。物流センターなどでは、エアサスで車高を調整し、荷台とホームの高さを揃えることで、大きな荷物や重い荷物の搬入がスムーズに行えます。これにより、作業時間の短縮や作業者の負担軽減につながります。

次に、急勾配の斜面や悪路での走破性が向上する点です。トラックはタイヤから車体がせり出しているため、車高を上げることでボディの損傷を防ぎやすくなります。特に未舗装路や工事現場などでの作業時に有効で、車体下部の保護にも役立ちます。

エアサスを上げっぱなしにするデメリットとは?

エアサスを上げると便利な場面が多い一方で、長時間そのままにすると弊害も生じます。まず、車高を上げるとサスペンションが硬くなり、舗装の悪い道路や市街地での乗り心地が悪化します。これは長時間の運転で疲労を増加させる要因となり、ドライバーの安全性にも影響を与える可能性があります。

また、車高の上昇によって空気抵抗が増え、高速走行時に燃費が悪化する可能性も無視できません。一般的に、エアサスを常時上げた状態で走行すると、通常時と比べて約5-10%程度燃費が悪化するとされています。この数値は車種や積載量、走行条件によって変動しますが、長距離を頻繁に走行するトラックにとっては無視できない燃料コストの増加につながります。

さらに、重心が高くなることで急カーブや突発的なハンドル操作時に横転やスリップのリスクが増加します。特に高速道路のインターチェンジや急カーブでは、通常の走行時と比べて横転リスクが最大で2倍に増加するという報告もあります。これは積載物の安全性にも関わる重大な問題です。

加えて、エアバッグやコンプレッサーへの負担が大きくなり、破損の原因にもなるため注意が必要です。常時高い圧力がかかることで、エアバッグの劣化が通常より20-30%程度早まる可能性があります。

エアサス上げっぱなしで起こるトラブル

エアサスを上げっぱなしにしていると、便利である反面、さまざまなトラブルが発生するリスクもあります。ここでは、エアサスを長時間上げた状態で使用したときに起こりうる代表的なトラブルについて解説します。

エアサス故障のサインを見つける

エアサスは高い耐久性を持っていますが、コンプレッサーや圧縮エアタンクなど複数のパーツで構成されているため、経年劣化による故障のリスクがあります。特にエア漏れやベローズの故障は、エアサスの不具合を示すサインです。

操作していないのに車高が下がる場合、エア漏れの可能性が考えられます。エア漏れは小さなものから始まり、徐々に悪化していく傾向があります。初期段階では、駐車中に車高が少しずつ下がっていく程度ですが、放置すると数時間で車高が大きく下がるようになります。

また、エアサスの要となるベローズはゴム製であり、傷が付くとタイヤがパンクした時のような状態になるおそれがあるため注意が必要です。ベローズの劣化は、車両の片側が低くなる、異音がする、乗り心地が極端に悪くなるなどの症状として現れます。

さらに、コンプレッサーやエアタンクが故障すると高圧エアが供給されず、エアサスの機能が停止してしまいます。コンプレッサーの故障は、エアサスの動作が遅くなる、車高調整ができなくなるなどの症状として現れます。

よくあるトラブルと対処法

エア漏れが発生した場合、自力で復旧させるのは困難です。専門知識が必要なため、整備のプロに修理を依頼しましょう。ただし、簡単なチェックとして、石鹸水を使って接続部に泡が出ないか調べることは可能です。泡が出る箇所があれば、そこからエアが漏れている可能性が高いです。

ベローズの故障も同様に修理が必要です。ベローズの交換は専門的な作業が必要なため、必ず整備士に依頼してください。ベローズの交換費用は、車種やベローズの種類によって異なりますが、一般的に1本あたり5万円から15万円程度かかることが多いです。

コンプレッサーの稼働停止が疑われる場合には、検電器を使ってプレッシャースイッチまで電気が流れているか確認しましょう。電気が来ていれば再び稼働する可能性がありますが、流れていない場合は配線の損傷や断線が原因の可能性があるため、修理が必要です。コンプレッサーの交換費用は、車種や部品の種類にもよりますが、20万円から50万円程度かかることがあります。

これらのトラブルを未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。少なくとも年に1回は専門店でエアサスの点検を受けることをおすすめします。また、日常的にエアサスの動作や車両の挙動に注意を払い、異常を感じたら早めに整備士に相談することが重要です。

車種・状況別のエアサス運用術

エアサスの運用は車種や状況によって最適な方法が異なり、適切な使い方を知ることで車両の性能を最大限に引き出し、トラブルを未然に防ぐことが可能です。ここでは、さまざまな車種や使用状況に応じたエアサスの効果的な運用術をご紹介します。

大型トラック・中型トラック・小型トラックの違い

大型・中型・小型トラックに搭載されているエアサスの機能は基本的に共通していますが、構造や性能面でいくつかの違いがあります。
大型トラックは重い貨物を運ぶため、強度の高いエアバッグやショックアブソーバーを備え、サスペンション全体の剛性が高く設計されており、積載量が

増えても安定した走行が可能です。大型トラックの場合、エアサスの調整範囲も広く、様々な積載状況に対応できます。ただし、その分エアサスへの負荷も大きいため、定期的なメンテナンスが特に重要です。

一方、中型トラックは比較的軽い荷物を運ぶため、エアサスは小型で軽量ですが、快適性を重視した柔軟な構造になっています。中型トラックのエアサスは、市街地走行や長距離輸送など、様々な用途に対応できるよう設計されています。エアサスの調整範囲は大型トラックほど広くありませんが、日常的な使用には十分な性能を持っています。

小型トラックでは、エアサスの目的はおもに乗り心地の向上や積載物への負担軽減にあり、シンプルな構造でコストも抑えられるのが特徴です。小型トラックのエアサスは、主に市街地での配送や軽量な荷物の運搬に適しています。エアサスの調整範囲は比較的狭いですが、日常的な使用には十分な性能を持っています。
それぞれの車種に適したエアサスの使用方法を心がけることで、車両の性能を最大限に引き出し、長期的な運用コストの削減にもつながります。

走行環境による注意点(高速道路・山道・市街地)

高速道路では車両の安定性や燃費の向上を目的に、車高を低く調整することが多いです。車高を下げることで、車の重心が低くなって空気抵抗が減少し、車両の安定性向上や燃費改善につながります。多くの車両では、エアサスの車高調整は自動で行われますが、ドライバーが必要に応じて手動で車高を調整する機能を備えている車両もあります。そのため、急なカーブや速度の変化があるときは、車高を上げて安全性を確保することも可能です。

ただし、長時間の高速走行ではエアサスに一定の負荷がかかり続けるため、2-3時間に一度は休憩を取り、エアサスの状態を確認することをおすすめします。また、高速道路での急な車高変更は車両の挙動を不安定にする可能性があるため、安全な場所で停車してから調整を行うようにしましょう。

市街地を走行する際は、市街地特有の交通状況や道路条件に対応するため、適切なエアサス調整が必要です。市街地には、頻繁にスピードバンプ(減速帯)や段差、穴ぼこ(ポットホール)が存在します。

そのため、車高を極端に低くすると、段差を越える際に車体やエアサスにダメージを与える可能性があるため注意が必要です。例えば駐車場の入口にある急な勾配や段差を超える際にはエアサスを使って車高を一時的に上げるなど、路面の状況に応じて適切な車高を設定しましょう。

市街地走行では、頻繁な発進停止や急な方向転換が必要になることも多いため、エアサスの反応性が重要になります。エアサスの設定を「通常」または「市街地」モードにすることで、これらの状況に適した車高とサスペンション特性を維持できます。

市街地走行では、頻繁な発進停止や急な方向転換が必要になることも多いため、エアサスの反応性が重要になります。エアサスの設定を「通常」または「市街地」モードにすることで、これらの状況に適した車高とサスペンション特性を維持できます。

山道では道路の起伏やカーブ、急勾配などに対応するため、エアサス使用時にとりわけ注意が必要です。車高が低すぎると、車体の底をこすったり、エアサスにダメージを与えたりする可能性があります。

急な上り坂や下り坂、凸凹道に対応するためには、エアサスを使って車高を少し高めに設定するようにしましょう。山道の一部は未舗装であったり、悪路になっていたりするため、車高を上げて地面と車体の間に十分なクリアランスを確保し、障害物による損傷を防ぐ必要があります。

山道走行時は、エアサスを「オフロード」または「高車高」モードに設定することで、より安定した走行が可能になります。ただし、急カーブが連続する山道では、車高を上げすぎると重心が高くなり横転のリスクが高まるため、適度な車高設定が重要です。また、長い下り坂ではブレーキの発熱によりエアサスの温度も上昇するため、適度な休憩を取ってエアサスの冷却時間を確保することも大切です。

エアサスのメンテナンスと正しい使い方

エアサスを長く快適に使うためには、定期的なメンテナンスと正しい運用が欠かせません。ここでは、エアサスのメンテナンス方法と日常的に心がけるべき正しい使い方について解説します。

エアサスの寿命を延ばすためのメンテナンス方法

エアサスの寿命を延ばすためには、ベローズの定期的なコンディション確認が重要です。エアバッグはエアサスペンションシステムの中心的な部品で、加圧された空気を使ってサスペンションの柔軟性を保ちます。ひび割れや摩耗があると空気が漏れ、性能が低下するため、定期的に外観を確認し、異常がないか点検しましょう。

エアバッグからの空気漏れを確認するには、石鹸水を使って接続部に泡が出ないか調べます。漏れが見つかった場合は、早めに修理や交換が必要です。また、コンプレッサーなどの消耗パーツも定期的に交換することで、エアサスの故障率を下げることができます。

エアサスのフィルターも定期的に点検・交換が必要です。フィルターが目詰まりすると、コンプレッサーに過度の負担がかかり、寿命を縮める原因になります。一般的に、フィルターは年間走行距離や使用環境に応じて、1年から2年ごとに交換することが推奨されています。

また、エアタンクの内部に水が溜まると、錆びの原因となりエアサス全体の寿命に影響を与えます。そのため、定期的にエアタンクのドレン抜きを行うことが重要です。ドレン抜きの頻度は使用環境によって異なりますが、月に1回程度行うのが一般的です。

エアサスの配管やバルブなども定期的に点検し、劣化や損傷がないか確認しましょう。特に、配管の接続部分や曲がっている箇所は注意深くチェックする必要があります。

これらのメンテナンスを適切に行うことで、エアサスの寿命を大幅に延ばすことができます。一般的に、適切なメンテナンスを行えば、エアサスは10年以上使用することも可能です。

エアサスを正しく使うためのポイント

ベローズに負担をかけないためには、過積載を避けることが重要です。適切なエア圧調整を行い、積載物の重量に応じてエアサスの設定を最適化することで車両のバランスを保ち、安定性を確保しましょう。また、大きな変形が生じるような無理な運転は避け、走行条件に応じた車高調整を心がける必要があります。

長距離走行時は、定期的に車高を調整することをおすすめします。これにより、エアサスへの負担を分散させ、システム全体の寿命を延ばすことができます。例えば、2-3時間ごとに休憩を取り、その際に車高を少し変更するだけでも効果があります。

急激な車高変更は避けましょう。特に高速走行中の急な車高変更は、車両の安定性を損なう可能性があります。車高を変更する際は、安全な場所で停車してから行うのが理想的です。

また、エアサスの能力を過信せずに、道路状況に応じた適切な速度で走行することも重要です。エアサスがあるからといって、悪路を高速で走行すれば、システムに過度の負担がかかり、寿命を縮める原因になります。

寒冷地では、エアサスの動作が鈍くなる可能性があります。そのため、寒い季節や寒冷地で使用する際は、走行前にエンジンをかけてエアサスを暖機運転することをおすすめします。これにより、エアサスの動作がスムーズになり、突然の故障を防ぐことができます。

最後に、エアサスの異常を感じたら、すぐに整備士に相談することが大切です。小さな異常でも放置すると大きな故障につながる可能性があるため、早めの対処が重要です。

最新のエアサス技術と法規制

エアサス技術は日々進化しており、より効率的で信頼性の高いシステムが開発されています。最新のエアサスシステムでは、電子制御技術を活用し、走行状況に応じて自動的に車高やサスペンション特性を調整する機能が搭載されています。これにより、ドライバーの負担が軽減されるとともに、より安全で快適な走行が可能になっています。

また、一部の最新モデルでは、AIやビッグデータを活用したプレディクティブメンテナンス機能が導入されています。これにより、エアサスの状態を常時モニタリングし、故障の予兆を事前に検知することが可能になっています。この技術により、計画的なメンテナンスが可能になり、突発的な故障によるダウンタイムを最小限に抑えることができます。

法規制の面では、大型車両のエアサスに関する規制が年々厳格化しています。特に、車高調整機能の使用に関しては、安全性の観点から一定の制限が設けられています。例えば、高速道路走行時の最低地上高が規定されており、これを下回る車高設定での走行は禁止されています。

また、エアサスの点検・整備に関しても、定期的な検査が義務付けられています。これは、エアサスの不具合が重大な事故につながる可能性があるためです。法定点検の際には、エアサスの動作確認や漏れ検査などが実施されます。

これらの最新技術や法規制に関する知識を持つことで、より安全で効率的なエアサスの運用が可能になります。ドライバーや運送業者は、これらの動向に常に注意を払い、適切な対応を取ることが求められています。

エアサスは、トラックの積載性能や走行安定性を大幅に向上させる重要な装置です。しかし、その使用方法や管理には十分な注意が必要です。エアサスを上げっぱなしにすることのメリットとデメリットを理解し、適切な使用と定期的なメンテナンスを心がけることが、トラックの安全運行と長期的なコスト削減につながります。

また、走行環境や積載状況に応じて適切にエアサスを調整することで、燃費の改善や車両の寿命延長にも貢献します。最新のエアサス技術や関連する法規制にも注意を払い、常に最適な状態でエアサスを使用することが重要です。

エアサスは高額な装置ですが、適切に使用・管理することで、その投資に見合う十分な価値を発揮します。安全性、効率性、快適性のバランスを考慮しながら、エアサスを最大限に活用しましょう。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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