トラックの長距離運転や日常の運転を快適にするための装備やアイテムについて記述します。また、運転中にトラックドライバーが必要とするアイテムや、トラックの性能向上や安全性確保に役立つ装備についても記述します。
快適なトラック運転のための基本装備
快適なトラック運転のための座席とベッドおよび運転席のエルゴノミクスについてです。
座席とベッドの選択
トラックドライバーは、市内や県内だけを回る短距離配送をすることもあれば、いくつもの県を超えての長距離配送をすることもあります。どちらにしても一日のうちの長い時間を車中で過ごしますので、快適な車内であることは大事です。
特に座席は、運転および車内での休憩時には常時からだを支えているので、大事になってきます。快適性を確保する座席にエアサスシートがあります。
エアサスシートは、座席にサスペンション機構を内蔵することにより走行中の細かな振動を効果的に吸収する座席です。長距離や長時間の運行であっても、疲労を低減する快適な乗り心地を実現することができます。
エアサスシートの種類によっては、ドライバーの体重に合わせてシート座面の高さを一定に保持する自動体重調整機構がついているものや、シートヒーターがついているものもあります。また、トラックにはベッドが付いているものとそうでないものがあります。
トラックのキャビン(人が乗る部分)には、座席後部に空間のあるフルキャブと空間のないショートキャブがあります。フルキャブでは座席後部の空間のところにベッドが設置できます。
また、キャビンの天井の上にルーフを設置して、ルーフ内にベッドを設置することも可能です。トラックにベッドが付いていれば、トラック内でいつでも横になって休むことができるので、疲労の蓄積も小さく抑えることができます。
座席やベッドで休憩する場合には、エンジンをストップしてもクーラーやヒーターが使えるように、蓄冷式クーラーやベバストエアヒーターを設置すると便利です。蓄冷式クーラーは、トラックのバッテリーのみで稼働するエンジンを停止した状態で使用可能な冷房機器で、ベバストエアヒーターは、エンジンをストップしたままキャビン内を暖房できる暖房空調システムです。
運転席のエルゴノミクス
トラックの運転席は、長時間にわたって体を支持するので、単なる操縦席を超えた快適性が求められます。エルゴノミクス(人間工学)の考えを取り入れたアイテムで運転席周りを快適に保つことができます。
運転中に必要なアイテム
トラック運転手は、運転だけでなく、荷物の積み下ろしや梱包作業なども行うことが多いです。ここでは、トラック運転およびそれに付随する作業に必要なアイテムについて記述します。
ドライビンググローブと安全靴
ドライビンググローブは運転の最中につける手袋ですが、これは汗や皮脂でハンドル等を操作する手が滑ることを防ぎ、また、手の疲れを軽減してくれます。
ハンドルの操作性を重視するなら指先まで生地があるタイプが良いですが、指先の感覚を大事にしたいなら指先に生地がないタイプを選ぶと良いです。
運転のほかに車両の点検整備や荷物の積み下ろしなどの作業をする機会が多ければ、ドライビンググローブのほかに作業用グローブを用意すると便利です。作業用グローブは、滑りにくく力が入りやすいため、体の負担を軽減してくれます。
また、安全靴を履けばより安心して仕事ができます。安全靴は熱や衝撃から足を保護する頑丈な靴で、運転だけする場合には不必要ですが、トラックを降りて荷物の積み下ろしをするような場合には、ケガを防いでくれます。万が一車両やフォークリフトなどで足を踏まれることがあっても大丈夫です。
安全靴にはローカット、ミドルカット、ハイカットなもの、軽いもの、通気性が良いもの、防水のもの、静電気防止のものと様々あるので、用途に応じて選ぶとよいです。
時計とカーナビ
時計は、トラックのパネルや携帯しているスマートフォンに必ずと言っていいほど付いていますが、それが見やすいかというとそうでない場合もあります。
トラック運転手は時間厳守で、車内で過ごす時間も長いので、いつでも見やすいところに時計があることは重要です。また、複数の時計を用意することにより、たとえどれかの時計がくるっていても時間を間違えることはありません。
時間厳守に必要なものとしてカーナビもあります。運搬先の場所を正確に把握していなければ、時間厳守もままなりません。
トラックにカーナビをつける場合に注意が必要なのは、市販されている多くのカーナビは12V仕様であるのに対し、トラックは24V車が多いので、そのままつなげるとカーナビが故障するということです。
12V仕様のカーナビを24Vトラックに取り付ける際には、デコデコ(DC-DC)コンバーターという24Vから12Vへと変換する機器を使用すれば問題なく使用することができます。
運転支援と安全装備
トラックの運転を支援する装置や安全装置等について記述します。
高性能制動装置とエンジン
トラックにはガソリンエンジンではなくディーゼルエンジンが多く採用されていますが、これは、トラックに必要とされる「パワー」「持久力」「経済性」などを考慮してのことです。この高パワーのエンジンによりトラックは、高重量の荷物を長距離にわたって運ぶことができます。
トラックのうち、車両総重量の大きな大型トラックは慣性の法則の影響を最も強く受けるため、同じ速度であっても小型や中型のトラックよりも停車が難しいです。そのため、大型トラックには非常に強力な制動装置が搭載されています。
大型トラックの制動装置には、エアタンクに充填した圧縮エアを使用して強力な制動力を発生させるエアブレーキが搭載されます。エアブレーキの制動力は非常に強力で、最大積載時でも十分な制動が行えるので、空荷の状態で急ブレーキをかけると、タイヤはロックし、路面をポンポン飛ぶというような状態になるので注意が必要です。
また、レーダーとカメラが常に車両前方を検知・分析し、先行車や歩行者との距離に応じて警報やブレーキ制御を行ない、衝突回避をサポートする衝突回避支援装置といった安全装置もあります。
通信装置とワイヤレスイヤホン
近年のスマートフォンの普及により、カーナビや渋滞情報やオービスのアプリ、駐車場ナビゲーションアプリなど、トラックドライバーにおすすめのスマホアプリも多数流通しています。こういった運転を快適にするアプリを効果的に使用して、ストレスを低減する工夫をするのも大事です。
また、運転しながらでもスマートフォンが使用できるように、ワイヤレスイヤホンを装着するのもドライバーの利便性を向上させます。マイクのついたイヤホンは、ハンズフリーで通話や音声聴取ができますので、会社からの指示や依頼主からの連絡、他のドライバーからの情報共有などがいつでもできます。
トラック運転のストレス軽減
車体が大きなトラックを長時間運転することは、ストレスが大きいです。ここでは、トラック運転でのストレス軽減方法について記述します。
休憩とリラックス
トラック運転のストレスから離れるには運転をやめることです。自分しか運転手がいなければ車を止めて休憩し、自分の他に運転手がいれば交代して運転席から離れます。
休憩の際にはできるだけ運転席での姿勢とは違う姿勢をとるようにします。車を止めた場合には外に出て伸びをしたり、足の屈伸をしたりします。運転を交代した場合にはベッドに横になると疲れが取れます。
効率的なルートプランニング
効率的なルートプランニングの方法とツールを紹介し、時間と燃料を節約する方法を提案
運送ルートのプランニングが的確であれば、より短い時間であったり、より運転が楽であったりして、運転によるストレスも低減することができます。
先にも運転うるのに便利なスマホアプリを紹介しましたが、トラックドライバー用カーナビというのがあります。これは、車両サイズ(全長、全幅、全高)を事前に登録して使用するものなので、車両サイズに応じた道路を選択したり、横付け設定をすれば、目的地が左側にあるように到着するようナビゲートしてくれます。
