トラック運転手必見!仮眠に関する法律ガイド。労働時間の管理と安全な休息方法

トラックの運転手の仮眠の必要性、法律に基づく休憩時間、仮眠を取る際の法律や規制に関する情報などについて記述します。また、運送業界における労働時間と休憩時間の管理に関する課題や、仮眠を取る場所に関する法律とガイドラインについても記述します。

目次

トラック運転手の仮眠に関する法律と労働規制の概要

労働法に基づく休憩時間と仮眠の重要性について説明し、トラック運転手が遵守する必要がある主な法律と規制について解説します。

労働法に基づく休憩時間と仮眠の重要性

トラック運転手など自動車運転を行う労働者の労働時間を制限するための基準として、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(労働省告示)が、平成元年に制定されました。
その後、運転手の労働時間や拘束時間(労働時間+休憩時間)が長いことが問題視されて、この基準も改正され、最新のものは令和4年に告示され、令和6年4月1日から適用されます。

令和6年から適用される基準によると、トラック運転者の拘束時間は1日13時間までとされています。14時間を超える拘束は週2回までであり拘束時間の上限は15時間までです。

また、1ヶ月の拘束時間は284時間以内ですが、労使協定を結べば最大310時間まで延長が可能で、1年間の拘束時間は3,300時間以内ですが、労使協定を結べば最大3,400時間まで延長が可能となっています。
運転時間については、連続運転時間は4時間以内で、運転の中断時の休憩は1回おおむね連続10分以上、合計30分以上などとなっています。

この連続運転時間の制限と休憩時間の確保については、4時間を超える連続運転をする場合には休憩時間を30分以上確保しなければならないということで、一般に430休憩と言われています。
30分間で休憩の効果を大きくするには、仮眠が最適です。

仮眠は、短時間の睡眠をとることで、一般的には10分から30分程度が推奨されています。仮眠をすることにより、運転中に感じた眠気を解消し、体と頭の疲れを回復し、集中力を高めることができます。

トラック運転手のための仮眠法律ガイド

先にも述べたように、トラックを運転する場合、連続して運転できるのは4時間までと決められていることから、4時間を超える前にトラックを停めて30分以上の休憩をとらなければなりません。

トラックの運転手の中にはこの休憩時間中に車内で仮眠を取る人が多いですが、仮眠を取るためにトラックを停めてはいけない場所に停めれば、駐停車違反になってしまいます。
そこで仮眠を取るためにトラックを停める場合には、停めようとしている場所が駐車を禁止されている場所ではないか、近隣に迷惑をかけることはないかといったことを確認してから停める必要があります。

休憩時間の管理: 運送業における課題と解決策

運送業においては運転手の休憩時間の管理は重要性です。ここでは、休憩時間の管理における労働者と使用者の双方にとっての課題と解決策について記述します。

休憩時間の正確な記録と管理の重要性

トラック運転手の労働時間等の労働条件の向上を図るため、厚生労働大臣告示として「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が制定されており、労働基準法では規制が難しい拘束時間や休息期間が定められています。
この基準は、トラック運転手の労働条件をより一層改善するために、令和4年に改正され、令和6年 4月から適用されます。

基準の改正により、1日の休息期間は「継続8時間」とされていたのが「継続11時間を基本とし、継続9時間」とされ、1か月の拘束時間は「原則293時間、最大320時間」とされていたのが「原則284時間、最大310時間」とされ、トラック運転手の労働条件の向上が図られていますが、この実現には、休憩時間が正確に記録され、それに基づいて労働時間などが管理される必要があります。

休憩時間管理の課題とその克服方法

労働時間や拘束時間(労働時間+休憩時間)を管理する際の課題はいくつかあります。
一つ目は、労働時間の管理が難しいことです。トラック運転手は単独で仕事をしている時間が長いので、どうしても、労働時間や休憩時間の実態が管理者側には見えにくいという欠点があります。

客観的に労働時間等を把握しようと、トラックのタコメーターによる管理を行っても、エンジンをかけながら休憩しているのか荷物を搬入する順番待ちをしている停車なのかの判断はできません。ですから、結局は、運転手からの自己申告でしか判断できないのが現状です。

また、手待ち時間の扱いに関する課題があります。
手待ち時間とは、トラックの積み荷の搬入先で荷物を降ろす順番待ちをしている時間です。手待ち時間においては、運転手はからだを休めたりすることができますが、順番が来たらすぐに搬入しなければならないため、全く自由という訳ではありません。
この手待ち時間の扱いについて、会社によっては休憩時間に含めているところもあり、残業代の対象外とされています。

連続運転時間の制限と休憩時間の確保について、4時間を超える連続運転をする場合には休憩時間を30分以上確保しなければならないということで、一般に430休憩と言われています。
この430休憩の取得に関する課題というのもあります。

トラックは一般の乗用車とは異なり場所をとるため、どこでも簡単に停められるわけではありません。ですから、連続運転時間が4時間を超えたからといって、すぐにトラックを駐停車して休憩するという訳にはいきません。
道路脇にある駐車帯や広い駐車場のあるコンビニを見つけるまでは運転を続けなれればなりません。そのようなところが近くになかったり、渋滞にまきこまれたりといった場合にはなかなか休憩できないこともあります。
このように、適切な時に休憩を取れないことも課題となっています。

以上のような休憩時間管理の課題は、法整備や道路環境の整備のみならずトラックメーカーや運送会社等関係機関の理解促進により克服されていくものです。

安全かつ法律に準拠したトラックでの仮眠方法

トラック運転手が法律に準拠して安全に仮眠を取る方法と、仮眠の質を向上させるための具体的な方法について述べます。

法律を遵守した仮眠のための駐車場所の選択

車を止めることには、停車と駐車があります。
駐車はついては、道路交通法第2条の第18号に、「車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。」と規定されています。

停車については、道路交通法第2条の第19号に、「車両等が停止することで駐車以外のものをいう。」と規定されています。道路においては、駐車と停車で、することができる場所の数は圧倒的に停車の方が多く、駐車が可能な場所は幹線道路の駐車帯など非常に少ないです。

トラック運転手はからだを休めるために仮眠をとりますが、効果的な仮眠の時間は15~20分程度とされています。
また、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(労働省告示)では、4時間を超える連続運転をする場合には休憩時間を30分以上確保しなければならないとされています。
ですから、法律を遵守し十分な仮眠をとるためには、トラックを駐車可能なスペースに止めて15~20分程度仮眠するのがよいです。

質の高い仮眠を確保するための実用的なヒント

質の高い仮眠を確保するためには、まず、身体を横にしないことが大事です。
身体を横にすると疲れがとれるというメリットがありますが、深い眠りに入ってしまい起きられなくなります。また、横にならない代わりにできるだけリラックスできるように、身体を締め付けベルトや腕時計などを外すと疲れがとれます。

仮眠をとる前に、カフェインを摂取しておくのもおすすめです。
カフェインには覚醒作用があり、その効果が現れるのは摂取してから15〜20分後といわれているため、コーヒーや緑茶等を摂取して仮眠すれば、よい時間にすっきりと起きられます。

仮眠をするタイミングも大事で、午後2~4時頃が効果的とされています。
この時間帯は、もっとも眠気がやってきやすいといわれているため、この時間帯に仮眠をとることで、それまでに蓄積された脳の疲れや眠気をとることができ、その後の仕事の効率も上がります。
午後3時以降に仮眠をとると、体内時計のリズムが崩れ、夜の睡眠に影響がでてしまう可能性があります。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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