トラックに課される緒税には性能によって減税されるものがあり、法人税の税金控除の対象になる場合もあります。それぞれの節税方法やメリットを解説します。
トラック購入時に知っておきたい税金の基本
トラック購入時に課税される税金の種類と節税ポイント、還付手続きを解説します。
トラック購入時の税金の種類
トラック購入時にかかる税金には自動車税・自動車重量税・環境性能割りの3つがあります。
自動車税
自動車税とは、所有する車両の大きさなどに対して課される税金で、乗用車の場合は排気量、トラックの場合は最大積載量をベースに「営業用」(事業用)と「自家用」によって支払う税額が異なります。その年の4月1日時点での所有者に課される自動車税ですが、年度の途中で車両を購入した場合は、購入翌月から翌年の3月までの月割りで支払います。
自動車重量税
自動車重量税とは、所有する車両の重さなどに対して課される税金で、車両総重量をベースに燃費基準や排ガス基準などによって支払う税額が異なります。新車登録時には初回車検までの分を、それ以降は車検時に次回車検までの分をまとめて支払います。また、新車登録から13年または18年経過した車両に対しては排ガス性能などの影響から環境への負荷が大きいとされ、税額が上がります。
環境性能割り
環境性能割りとは、車両購入時の取得価格に対して課される税金で、車両の燃費性能によって0~3%の税率が課税されます。なお、車両取得価格が50万円以下の場合には課税されません。
節税ポイントと還付手続き
トラックにかかる税金を節約するには最大積載量を減らす減トンと、燃費性能の高いトラックに買い替える方法があります。
輸送する荷物の量が減少し、トラックのサイズを下げられる場合には、最大積載量がワンランク下のトラックに買い替えることで自動車税を節約できます。また、自動車重量税は燃費性能の高い車両に対して税額が軽減されるため、登録から年数が経っている場合、とくに新車登録から13年または18年経過している場合は燃費性能の高いトラックへの買い替えがおすすめです。トラックを廃車にする場合、自動車税(翌年3月までの月割り額)と自動車重量税(次回車検までの月割り額)を還付することができます。
自動車税の還付は、運輸支局での抹消登録が完了すればとくに申請は必要なく、届いた還付通知書を金融機関に持参し還付金を受け取ります。
自動車重量税の還付は、「解体を事由とする永久抹消登録申請」または「解体届出」の手続の際に、永久抹消登録申請書または解体届出書と一体となった様式の還付申請書に、還付申請に係る必要事項を記載の上、運輸支局等の窓口へ提出することによって行います。
業者などに廃車手続きをお願いする場合は一緒に還付申請を委任する形になることが多いですが、確認してみるとよいでしょう。この申請後およそ2か月半で税務署から支払われ、受け取りは郵便局・ゆうちょ銀行窓口や指定の銀行口座への振り込みが利用できます。
税金控除対象となるトラックの条件
中小企業で導入した機械などに対しては、税額を控除できる制度があります。対象となるトラックと申告方法を解説します。
税金控除対象トラックの基準
法人税には中小企業投資促進税制といった制度があり、中小企業が導入した機械設備やソフトウェア、貨物自動車や一定の船舶に対して法人税の控除や特別償却が認められる場合があります。
対象となる企業は資本金または出資金が1億円以下の法人(同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人及び、複数の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く)、資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人です。対象となるトラックは、車両総重量3.5トン以上の普通貨物自動車で、取得価格の30%の特別償却または7%の税額控除(資本金3,000万円超え、1億円以下の法人は特別償却のみ)が認められます。
税額控除と特別償却の申告方法
中小企業投資促進税制の申告は確定申告のタイミングで行います。法人税の確定申告書にそれぞれの書類を添付することで申告できます。
税額控除の場合は適用額明細書、中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書を添付し、特別償却の場合は適用額明細書、中小企業者等または中小連結法人が取得した機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表を添付して申告します。
環境性能と税金控除
税制改革や環境性能割り、環境性能に優れたトラックの節税効果を解説します。
税制改革と環境性能割の導入
2019年の税制改革では消費税が8%から10%へと増税されましたが、自動車をめぐるさまざまな税も大きく変わりました。
一つは自動車税(種別割り)の税率の引き下げで、乗用車の排気量別にかかる税率が引き下げられましたが、税率が引き下げられた対象は乗用車だけで軽自動車や貨物車であるトラックの税率は変更されませんでした。
二つ目は自動車取得税の廃止です。自動車取得税では車両購入時に自家用自動車で3%、営業用自動車・軽自動車で2%課せられていましたが、これが廃止され代わりとなる環境性能割りが導入されました。
環境性能割りは、車両購入時に燃費性能に応じた税率が課されるもので電気自動車の場合は非課税、それ以外の車両は0~3%の税率が課されます。
環境性能に優れたトラックと節税効果
環境性能に優れたトラックはそうでないトラックに比べさまざまな税率が優遇されます。「環境性能割り」は車両購入時に、「エコカー減税」は車両購入時と車検時に自動車重量税が軽減され、「グリーン化特例」は車両を取得した翌年度に自動車税が軽減されます。
それぞれの軽減率は、環境性能割りでは燃費性能により0~3%が、エコカー減税では燃費基準の達成率に応じて自動車重量税を25%、50%、75%軽減または免除、グリーン化特例では電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%以上低減または平成30年排出ガス規制適合)プラグインハイブリッド自動車が新車新規登録を行った場合に限り、翌年度の自動車税が概ね75%軽減されます。
税金控除のメリットと注意点
税金控除を申告するメリットと注意点を解説します。
税金控除によるメリットとは?
中小企業投資促進税制では機械設備などを取得した場合、取得価格の30%の特別償却または7%の税額控除ができます。では、特別償却と税額控除にはどんなメリットがあるでしょうか。
特別償却のメリット
特別償却のメリットは、設備を購入した年度の利益を抑えられる点があります。減価償却費に特別償却を上乗せすることで経費が増加し、利益を抑えられます。その結果、利益にかかる税額を抑えることにつながります。
税額控除のメリット
税額控除のメリットは、設備を購入した年度の税額を一定割合で軽減できる点です。特別償却は言い方を変えれば将来の減価償却費の前倒しで、経費として落とせる総額は変わりません。つまり、取得年度の税額が軽減される税額控除のほうが節税効果は高いことになります。
税金控除を受けるための注意点
特別償却や税額控除を申告する場合、一つの資産において両方を重複して適用することはできません。特別償却は設備を購入した年度にしか適用できないため、利益の上がっていない年に設備を購入した場合は、特別償却により経費が膨らみ赤字になる可能性があります。
また、税額控除は控除できる税額の限度額に上限があり、その年度の調整前法人税の20%相当額が上限となりますが、限度額を超えた金額については翌年に繰り越すことができます。