トラックの燃費効率をあげるためにできること

トラックは燃費が悪いといわれていますが、主にトラックの燃費に影響を与えている要因は何で何を意識すれば燃費向上を図ることができるのでしょうか。
この記事では、トラックの平均燃費やエコ運転の仕方など詳しくご紹介していきます。燃費効率が良いトラックの選び方などもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

トラックの燃費に影響を与える主な要因

トラックの燃費に影響を与える主な要因は、車体重量や積載量だけでなく運転の仕方も関係しています。まずトラックの平均燃費をサイズ別にご紹介します。

トラックのサイズと燃費

国土交通省が発表したトラックの平均燃費は以下の通りです。

小型トラック:最大積載量が3トン未満のトラックのことで、積載量や空気抵抗が小さいため他のトラックに比べて燃費が良い傾向にあります。平均燃費は10〜11km/L程度です。

中型トラック:最大積載量が3トン〜6.5トン未満のトラックのことで、小型トラックよりも積載量が大きいため空気抵抗も受けやすくなります。平均燃費は7〜8km/L程度です。

大型トラック:最大積載量が6.5トン以上のトラックのことで、車体や積載量だけでなくエンジンも大きくなります。その分燃料も多く消費するため燃費が悪くなる傾向にあり、平均燃費は4〜5km/L程度です。
トラックの燃費向上を図るには、運転技術の向上や車両の整備状態の維持に努める必要があるため、それらについて詳しくご紹介します。

運転技術と燃費効率

燃費効率が良くなる運転の仕方をご紹介します。

早めのシフトアップ

シフトアップとはギアを一段上げることでエンジンの回転数を下げ燃費を向上させることです。トラックのエンジンは低回転数では燃費が悪く、高回転数では燃費が良くなるため、急加速せずにゆっくり加速し早めのシフトアップでエンジンの回転数を小さく抑えて走行すれば燃費を向上させることができます。シフトアップのタイミング目安は車種や積載量により異なりますが

空気圧 500kPa

5.0kgf/c

700kPa

7.0kgf/c

900kPa

9.0kgf/c

燃費(指数) 97 100 102

・エンジン回転数:2,000~2,500回転/分
・車速:30~50km/h
だと言われています。
また全国トラック協会によると大型車が5連ではなく4連で、中・小型車が4連ではなく3連でというように一段下のギアで走行した場合、燃費はそれぞれ20〜40%も悪くなってしまうようです。

一定速度での走行

トラックのエンジンは加速時や減速時などに負荷が高まるため、走行中は無駄な加減速をやめて走行することが燃費向上に繋がります。そのため以下に注意して走行しましょう。
・前の車と車間距離をとり余裕を持つ
・先を見通した走行をしてアクセルとブレーキを多用しない
・急加速や急ブレーキを避ける

他にもアイドリングストップを心がけることも燃費向上に繋がります。
一定速度で走行することを意識するだけで燃費に約10%の差がでることもありますよ。

エンジンブレーキを利用する

ブレーキをかける代わりにエンジンブレーキを使用することで、ブレーキの摩擦による燃費消費を抑えることができます。また、エンジンブレーキの状態での惰性走行を取り入れて走行することでエコドライブにも繋がり環境にとっても良いでしょう。ただ、エンジンブレーキを多用すれば良いわけではなく注意しなければならないポイントもあります。

エンジンブレーキで減速しているときも最低限の燃料噴射は行われており、次に急な加速をした場合はエンジンに負荷がかかり一気にエンジン回転が減少しエンジンブレーキがきかなくなってしまう恐れもあります。急な加速は行わず、徐々に速度を上げましょう。

燃費向上のための具体的なアクション

燃費向上につながる運転やメンテナンスについてご紹介します。

エコ運転の実施

事業用トラックの大半がディーゼル車で、地球温暖化の原因である二酸化炭素や大気汚染の原因となる窒素酸化物や粒子状物質などが多く排出されています。
こうした大気汚染物質が大都市などで蔓延し呼吸器系疾患などあらゆる健康被害を引き起こしかねないと社会問題になっているのです。

また、エコ運転をすることで環境対策だけでなく、事故防止などの安全面や車両維持の大半を占める燃料費の削減やタイヤ消耗を抑えたりなどのコスト削減にも繋がります。ではどのような運転がエコ運転なのか具体的にご紹介します。

エコ運転に繋がる運転

エコ運転に繋がる運転は燃費向上にも繋がっており、先ほど運転技術と燃費効率でもご紹介した方法の他にも以下の方法があります。

必要最小限のアイドリングをする:渋滞で長時間停止しているときや荷物の積み降ろしの際にエンジンをかけたままにしておくと、無駄に燃料を消費するだけでなく大気汚染物質をより多く排出してしまいます。
また、市街地の場合は近隣住民から騒音や異臭による苦情が多いことで社会問題にも発展しています。暖気運転をする際も5分〜10分など必要最小限に抑えましょう。

適正な積載量で運転する:積載量が大きすぎるとエンジンの負荷が高まり燃費が悪化してしまいます。
積載量を減らすことで燃費を向上させることができるため、適正な積載量で運転するようにしましょう。車両ごとに適正な積載量は異なっているため、車検証で確認しておくことが大切です。また、積載物の積み方は重量を分散させて車両のバランスを保つようにしましょう。

経済速度を守る:経済速度とは、車両の流れを乱さずにできるだけ低いエンジン回転数で走行するため最も燃費の良い速度です。全国トラック協会によると、周囲の交通状況から経済速度が50km/hのときに、あえて速度60km/hに速度を上げると燃費消費は約10%も多くなってしまうようです。

トラックの経済速度は一般的に80〜90km程度といわれていますが、あくまで目安であり車両重量やタイヤの空気圧などによっても異なります。

定期的なメンテナンスと検査

例え運転の仕方に気を付けていても日常の車両の維持管理や定期的なメンテナンスを怠っていたら意味がありません。
燃料ガスや排出ガスの減少を抑えるためにも必要なため、しっかりと整備や点検を行いましょう。主に燃費向上のために必要なメンテナンスや整備は以下の通りです。

エンジンのチューンアップ

エンジンのチューンアップとはエンジンの性能を向上するための整備で基本的なメンテナンスです。主にエアクリーナーやエンジンオイルの状態を確認します。

エアクリーナーはエンジンの燃焼室に吸入する空気に不純物が入り込むのを防ぐことで燃費状態を良くしますが、目詰まりをおこしたままにしておくと空気の吸入量が少なくなり燃費が約3~5%悪くなるだけでなく黒煙の量が増加してしまいます。

エンジンオイルは劣化したまま使い続けるとエンジン性能に悪影響を及ぼし燃費が3〜5%悪くなるといわれています。エンジンオイルの交換時期をしっかりと守り、こまめに量が減っていないか確認することが大切です。また、粘度が低い高品質なエンジンオイルを使用することで約3%の燃費改善が期待できるようです。

タイヤの空気圧チェック

全国トラック協会によると、タイヤの空気圧も以下の表のように燃費向上に関係しており、タイヤの空気圧が200kPa低いと燃費は約3%悪くなるといわれています。

・車両は前2軸大型車・荷重100%積載・速度80km/h
・タイヤ11R22.5 14PR・平坦路直進低速走行

また、タイヤの空気圧チェックは燃費だけでなくタイヤの寿命や制動性能などへの影響がでます。不足しすぎても過剰すぎてもタイヤにとって良くないため、運転する距離や積載量に変化がでたときに確認するのはもちろんのこと、変化がない場合でも月に1回は点検することをおすすめします。

燃費効率の良いトラックと機器

燃費効率の良いトラックの特徴や選び方と燃費向上が図れる装備についてご紹介します。

燃費効率の良いトラックの選び方

燃費効率の良いトラックを選ぶポイントは以下の通りです。

車体重量:車体重量が大きいほど必要なトルクが大きくなるためエンジンのパワーを消費してしまい燃費悪化に繋がります。そのため積載量が少ないときは多いときと比べると30〜40%燃費効率が上がります。他にも車体重量を抑えるにはトラックの部材を軽量にしたり不要な装備を省くのも効果的です。

エアロダイナミクス:エアロダイナミクスとは空気の流れが物体に及ぼす影響のことで、燃費向上を目的とした自動車にエアロダイナミクスの技術を積極的に取り組むメーカーが近年増えてきています。自動車の場合のエアロダイナミクスの考え方は車体の形状を小さくするように設計することです。

空気抵抗は車体の前面から後方に流れる空気がぶつかって生じる抵抗力で、この空気抵抗が大きいほどエンジンのパワーを消費して燃費が悪化します。他にも空気抵抗が小さくなることで、燃費だけでなく高速走行時の安定性や騒音の低減にも繋がります。

エンジンの種類やエンジン効率:エンジン効率とは燃料を燃やして発生したエネルギーのうち、どれだけが動力として使われたかを示す値です。エンジンの種類や排気量によってエンジン効率は異なりますが、熱効率が高く耐久性に優れているディーゼルエンジンや排気量が小さいエンジンはエンジン効率が高いです。
他にもエンジンの吸入空気量を増やす過給装置を採用するとエンジン効率を高めることができます。現在のトラック用エンジンの熱効率は平均で46%です。

燃費向上のための装備とアクセサリー

トラックの燃費向上に役立つ装備の一部は以下の通りです。

燃費向上デバイス:アイドリングストップの自動化やエンジンの停止と再始動を制御する装置などが主に効果的です。燃料の無駄を減らし消費を抑えることもできます。車両の状態にもよりますが、燃費が1〜5%程度向上するといわれています。

転がり抵抗が低い燃費向上タイヤ:燃費向上タイヤは通常のタイヤと比べて転がり抵抗が10〜20%低くなっており、タイヤを回転させる際に必要なパワーが小さくなるため燃費向上に役立ちます。燃費が向上することで二酸化炭素の排出量削減につながるためエコタイヤとも呼ばれています。

エコドライブ支援システム:エコドライブ支援システムとは、急発進抑制システムや急ブレーキ抑制機能などで燃料消費を抑えるシステムです。燃費向上はもちろんのこと交通事故のリスクを減らしたり環境への配慮や燃料費の削減にもつながります。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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