自治体が主導する脱炭素社会への道筋

脱炭素社会を実現する上で、国が主体となって動くことも大切ですが、自治体の役割も重要です。
ここでは、自治体の脱炭素化への取り組みにはどのようなものがあるのか。脱炭素化の課題や解決方法とは何なのかなどについて解説していきます。
この記事を読めば、自治体の脱炭素化への取り組みを理解することができるでしょう。

目次
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自治体の取り組み

脱炭素化に向けた取り組みは、公民連携により民間と自治体が共同で取り組む必要があります。公民連携で取り組むことで、民間の創意工夫を活用し、脱炭素化に対して税金を効率的に活用したり、行政の無駄を省いたりすることができます。

自治体での脱炭素化の動き

各自治体の脱炭素化への取り組みにはさまざまな事例があります。具体的な内容は以下の通りです。

大阪府の取り組み

大阪府は脱炭素化を目的として「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」という構想の名の下に、企業や自治体、大学などと連携して、スマートシティの実現に向けて動いています。
具体的には、社会課題の見える化を推し進め、見える化された課題を解決するためのソリューションを持つ企業や自治体、企業同士を繋ぐコーディネーター、データ活用、テクノロジーをテーマにしたワークショップなどに取り組んでいます。

神奈川県横浜市の取り組み

横浜市と社団法人みなとみらい21は、共同で環境先進都市を実現すべく、公民連携で、脱炭素化社会へ向けて動いています。
具体的には、ヨコハマSDGsデザインセンターの設立、運営を行っています。
また、ヨコハマSDGsデザインセンターと金融機関の連携によるSDGs認証システムであるY-SDGsの運用を実施しています。
さらに、市の施設への再生可能エネルギーの導入やEV充電器を公道脇に設置する実証実験などを推進しています。

愛知県安城市の取り組み

ウェルビーイングな脱炭素社会の実現を目標として掲げ、その目標を達成するために、「お金が地域で生まれ、まわる町」、「人が参加し、支えあう町」、「資源、エネルギーが循環
する町」という構想を打ち立て、2030年までに安城市のあるべき姿として想定しています。
「あんじょうSDGs共創パートナー制度」の運用を開始し、企業だけでなく大学をも巻き込んだ取り組みを行っています。

各自治体の温室効果ガス排出量と再エネ利用可能量

温室効果ガスは地球温暖化を推し進めてしまうガスで、脱炭素化社会を実現するために注目されている環境用語です。温室効果ガスの大半は二酸化炭素が締めており、その排出量の把握をすることが重要となっています。

環境省の2021年12月の発表によれば、日本の温室効果ガスの排出量は二酸化炭素換算で11億4900万トンと、前年度と比較して5.1%減少を実現しており、温室効果ガス排出量の測定以来、もっとも少ない温室効果ガスの排出量となりました。

各自治体では、この温室効果ガスを削減するために再生エネルギーを活用しています。

1つ目の事例としては、広島県広島市にある広島産業会館では、2022年4月からEVシェアリングと、完全自立型ソーラーカーポートが連携されたサービスを展開しています。
ソーラーカーポートとは、屋根にソーラーパネルを備えたカーポート(車庫)のことです。つまり、車庫に駐車しておくだけで、ソーラーパネルの発電により、EVが充電されるサービスを実施しています。
太陽光発電により充電されたEVを自治体の公用車として利用したり、地域の人が使えるようにカーシェアリングをしたりすることで、地域の脱炭素化を目指した活動を行っています。

2つ目の事例としては、新潟県新潟市の電力の地産地消の活動があげられます。
新潟市では、電力の地産地消を実現するために、再生エネルギーを扱う「新潟スワンエナジー株式会社」を設立しました。
新潟スワンエナジー株式会社では、再生可能エネルギーを活用するための電気プランを取り揃えています。
再生可能エネルギーについては、産業廃棄物を利用したバイオマス発電や、市内や近郊などの太陽光、風力、水力などの再生エネルギー発電所などで発電された電気により電力を賄っています。この活動により、市内の公共施設や中央卸売市場において、日によっては100%再生可能エネルギーを実現することができています。

脱炭素化の課題と解決策

脱炭素化への課題はいくつかありますが、ここではその代表例を示します。

脱炭素化の難しさ

第一の難しさは、エネルギー供給が化石燃料に依存していることがあげられます。
エネルギー庁の調査によれば、2018年時点でのエネルギー供給は、二酸化炭素の多い化石燃料を主軸としたものになっており、その割合は8割を超えます。

日本では、火力発電が主力となっており、再生可能エネルギーを導入することが切望されていますが、財政面や供給の安定性などを勘案すると、即座に再生可能エネルギーを導入することは難しい状況と言えます。

第二に、運輸業の脱炭素化が進んでいないことがあげられます。
運輸業で利用される飛行機やトラックの主燃料は化石燃料で、エネルギー産業に次いで、脱炭素化が遅れている業界です。
そのため、電気トラックや、次世代自動車の開発や、それを後押しするための 補助金制度の設立が推し進められています。

自治体での可視化プラットフォームの活用

脱炭素化を進めるにあたり、炭素量を可視化するプラットフォームが求められています。
NTTデータでは、C-turtleという二酸化炭素を精緻に把握するための可視化ソリューションを提供しています。
この可視化プラットフォームを各自治体に浸透させれば、一元的に二酸化炭素データを集約することでき、統計値に頼らない二酸化炭素排出量の把握が可能となります。

これを実現できれば、二酸化炭素の削減努力を瞬時に把握できるため、自治体として脱炭素化を推し進めることに役立つことは言うまでもないでしょう。

脱炭素化と各自治体経済の発展

脱炭素化の取り組みは、単に脱炭素化を推し進めるだけでなく経済成長をもたらす要因にもなります。
地球温暖化への取り組みを、経済の制約やコストと捉える時代は終わり、今後は企業や自治体が成長するための取り組みとして受け入れられる時代となることは間違いないでしょう。
実際に、環境やガバナンス、社会に特化した企業へ投資するシステム「ESG投資」は3,000兆円に匹敵するとされており、環境関連の事業はグローバルな市場で大きな役割を果たそうとしています。

公民連携による脱炭素化の取り組み

前述した通り、脱炭素化への取り組みは、自治体と企業が共同で実施する公民連携で実行することが大切です。
公民連携で脱炭素化に取り組むことで、自治体のお役所仕事にありがちな無駄の削減を図ったり、効率的に脱炭素化を実施する施策を実行したりすることが可能です。
また再生可能エネルギーを導入する際にも、公民が連携することで、その進捗が確実なものになるでしょう。

公民連携の具体的な例としては、例えば横浜市では「Zero corbon Yokohama 」と題して、家庭及び、事業者へ省エネを支援することや、再エネ資源の豊富な東北地方の自治体と連携して再生エネルギーを購入するなど、地方自治体同士の連携で、脱炭素化を目指すケースもみられます。

また、京都市では、太陽光発電システムを実質0円で設置できる「0円ソーラー」の事業者と府民をマッチングする「京都0円ソーラープラットフォーム」を京都市が主体的に運用していたりします。
さらに、長野では、長野県ゼロカーボン戦略を立て実行しており、屋根ソーラーの普及に力を入れています。
特徴的なのは、「信州屋根ソーラーポテンシャルマップ」というものを制作し、その建物がどの程度ソーラーパネルの設置に向いているかを数値化していることです。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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