トラックの購入を考えている方へ向けて、基本的な知識をわかりやすくまとめました。
購入するときに戸惑わずにスムーズに進められるようになるために、基本的な知識を身につけておきましょう。トラックの種類や用途、購入費用や維持費用、免許の種類や保険などについて解説しています。
トラックの種類と用途
トラックには多くの種類があり、積載量、燃費、運転性能などに違いがあります。
それぞれの特徴や用途を理解することで、最適なトラックを選択できるようになるでしょう。
大きさによる違い
トラックにおける最も基本的な違いは、その大きさです。トラックの大きさは3つに大別することができます。
•小型(2トン以下)
•中型(4トン)
•大型(10トン以上)
小型トラックは小回りが効いて住宅地の狭い道でも走行できるのが特徴です。大型トラックは、細い道は走れませんが、代わりに大量の貨物を運ぶことができます。中型トラックはその中間に位置します。行いたい事業の用途や、要件を満たすトラックを選ぶことが大切です。
形状の違いと用途
トラックの荷台は、さまざまな形状(ボディタイプ)があり、主に以下のようなものがあります。
•平ボティ(アオリ型)
•バンボディ(アルミの箱型)
•ウィング車(両開き)
•幌車
平ボディ車は融通が効きますが、雨が降ると荷物が濡れてしまうためシートで覆う必要があり、積み込みには手間がかかります。
バンボディは頑丈で、ウィング車は荷物の上げ下ろしに便利ですが、平ボディと比べると価格が上がります。幌車は荷台部分をシートなどで覆い箱車形にしているトラックで、基本構造は平ボディと同じです。
また、追加の装備として、テールゲートリフター(パワーゲート)や、ユニック(クレーン)などがあります。これらの装備は重い荷物やフォークリフトが使えない環境で役に立つでしょう。
積載量、燃費、運転性能
トラックは種類によって積載量、燃費、運転性能に違いがあります。
積載量
それぞれのトラックの積載量の目安です。
小型・・・1~3トン
中型・・・4.5トン以上6.5トン
大型・・・6.5トン~
燃費
トラックの燃費は、重量が大きくなるにつれて悪くなる傾向があり、同じトラックでも重量(車体+乗員+荷物)によって燃費は変わります。重いほど燃費は悪くなり、リッターあたりの走行距離は短くなるのが普通です。
運転性能
車体が小さい方が機動性や小回りはよいですが、運転のしやすさという点で見ると、必ずしも小さいほど運転しやすい(大きい方が運転しにくい)ということもありません。「2トン車よりも4トン車の方が運転がしやすい」という運転手の話も聞きますが、これには大型のほうがエンジンの性能がいいことや、キャビンが広いことが関係しています。
購入費用と維持費用
トラックは中古でも高価です。決して安い買い物ではありません。価格はトラックのサイズや機能により大きく異なります。また、税金や保険料などの維持費用も予算に含めておく必要があります。事前に費用を確認し、総額で予算を立てましょう。
トラック購入の費用概算
小型の中古トラックは、安いものであれば数万~数十万円で買えるものもあります。新車のトラックは高額で、4トントラックの新車価格はおよそ1000万円が相場です。さらに大型トラックの新車になると2000万円を超えるものもあります。
トラックの維持費用
維持費用には主に以下のような項目があります。
・税金
・保険
・車検・メンテナンス費
・駐車場
たとえば自家用の2トン車だと自動車税が年間16,000円(事業用は12,000円)、重量税が12,300円(事業用は7,800円、13年未満エコカー減税なしの場合)。任意保険は100,000円前後(等級などによって変動します)。
車検費用は車の状態によって変動しますが、5〜10万円は見ておいたほうがいいでしょう。
維持費用を抑えるコツ
維持費用を抑えるには、定期的なメンテナンスやオイル交換が有効です。故障を減らすことで余計な出費を抑えることができます。
メンテナンス不足による故障で修理に出した場合、費用は少なく見積もっても5万円以上はかかる場合が多いです。また、保険会社や修理業者を低価格の業者に選ぶことで、最大数万円の差が発生する場合もあります
ただ、トラックの維持費用を抑える最も効果的な方法は「安全運転」といえるでしょう。事故を起こさないことが何よりの節約になります。
メンテナンスと修理
業務で使用するトラックは、定期的なメンテナンスが不可欠です。安全面でも費用面でも、こまめなメンテナンスに勝るものはありません。
定期メンテナンスのスケジュールと内容
エンジンオイルやウィンドウウォッシャー液の交換は、自分で行うことができます。
乗務前の点検も重要です。タイヤの溝の減り具合や、ブレーキの聞き具合などを常に意識するように心がけましょう。
エンジンオイル交換の目安は、小型トラックの場合で走行距離1〜2万kmごと、もしくは半年に一度です。タイヤやブレーキなどの消耗品は、走行距離や環境によって変わるので、日常的な点検を欠かさないようにしましょう。
予期せぬ修理費用
業務で長時間乗ることが多いトラックには、予期せぬトラブルがつきものです。エンジンがオーバーヒートしたり、尖ったものを踏んでタイヤがパンクしたりしてしまうこともあります。車体やパーツが大きいぶん、トラックの修理代は乗用車よりも高額になることが多いのです。
パンクの場合、外部のみの修理なら5,000円〜10,000円、タイヤ交換となると5〜7万円になることもあります。エンジン周りの故障では、状態によって数千円〜10万円を超える修理費用がかかる場合もあります。
突発的に修理が必要になって、思わぬ費用がかかる可能性を考慮しておきましょう。もしものときのための修理費用を予算に組み込んでおくことが大切です。
トラック運転に必要な免許
トラックの免許はサイズによって必要な免許が異なります。主な免許には、準中型免許、中型免許、大型免許に分かれます。
準中型免許
18歳以上なら運転経歴なしで取得可能です。
車両総重量3.5トン~7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満、乗車定員10人以下の車を運転することができます。
準中型免許を取得すれば普通自動車免許、小型特殊免許、原付免許も一緒に取得できます。
中型免許
20歳から受験可能で、取得にはそれまでに2年以上の運転経験があることが条件になります。
いわゆる「4トントラック」とよばれる中型トラックを運転するのに必要な免許です。
大型免許
21歳から受験可能で、取得にはそれまでに3年以上の運転経験があることが条件になります。
いわゆる「10トントラック」やダンプカー、タンクローリーを運転するときに必要です。
大型免許があれば、普通自動車はもちろん、中型・準中型の車両も運転できます。
ちなみに、トラックの免許にはオートマチック(AT)限定はありません。
トラックの保険について
自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があります。
大きな違いは、加入義務の有無と補償内容の範囲です。保険についての基本的なことを解説します。
自賠責保険
全ての自動車に加入が義務付けられているのが「自賠責保険」です。
補償される対象は「人身事故」に限られ、ケガまたは死亡させてしまった相手への損害賠償が補償されます。死亡事故の補償額は最大3000万円です(後遺障害では最大4000万円)。運転者自身のケガや自動車の修理代、単独事故の場合の物損には自賠責保険は適応されません。
保険料は、2トン以下のトラックでは事業用20,370円、事業用は21,970円です。2トン超の場合は、自家用22,570円、事業用30,530円です。
任意保険
任意保険は一般的に「自動車保険」と呼ばれるものです。加入は義務ではありませんが、多くのトラックが加入しています。トラックは乗用車と比べて車体も大きく重量もあるため、事故を起こした時の被害が乗用車よりも大きくなる可能性が高いからです。
運転時の過失による人身事故では、補償額が高額になり、自賠責保険では補えない部分をカバーするための保険です。
トラックの任意保険料は10万円前後が一般的で、任意保険を比べると高額になりますが、カバーできる対象は広く、保証額も高額まで対応してくれます。
また、物損や運転者自身のケガは自賠責保険の対象外になるため、任意保険でカバーするしかありません。トラックを所有して運転するなら、任意保険に加入しておくことを強くおすすめします。
購入先選びのポイント
トラックを購入する際には、信頼できる販売者を選ぶことが重要です。ここでは購入先の選び方について解説します。購入先は主に、ディーラーと販売店があります。それぞれの特徴や保証内容などを比較することが重要です。ネットやクチコミの評判も確認して、信頼できる販売業を選びましょう。
ディーラー
特定の自動車メーカーの車を販売するのがディーラーです。
ディーラーで購入するメリットは、品質が安定していること、保証があること、アフターサービスが手厚いことなどです。デメリットは、価格が高めであることや、特定メーカーの車しか取り扱っていないことが挙げられます。
販売店
中古車専門店やネット販売を行っているお店です。単に「販売店」とも呼ばれることもあります。
販売店のメリットは、価格が比較的低いことや、さまざまなメーカーの車を選べることです。反対にデメリットは品質が不安定であることや、店によって価格が違うことなどです。
ディーラーで購入する場合は、ある程度お任せでも大丈夫ですが、販売店で中古車を購入する場合は、自らでしっかり確認する必要があります。
スムーズな購入手続きのために
トラックの購入をスムーズに進めるために、以下の点を確認しておきましょう。
•必要な書類を準備しておくこと
•ネット販売店で購入する場合でも、購入前に現車を確認しておくこと
これらのポイントを押さえておくことで、いざ購入するときにも戸惑わずに進めることができるようになるでしょう。