カーボンニュートラル取り組み事例を一挙紹介

世界の企業や地域が積極的に取り組む「カーボンニュートラル」。その取り組み事例を紹介します。ソーラーパネルと再生可能エネルギーの活用をはじめとした、CO2排出削減のためのアプローチを見ていきましょう。

目次

カーボンニュートラルとは?

まずは、カーボンニュートラルの基本的な意味と、その目標を把握しておきましょう。日本が取り組んでいる具体的な活動についても紹介します。

カーボンニュートラルの定義

カーボンニュートラルの定義は「地球温暖化の原因となる温室効果ガスの「排出量」を完全にゼロにし、ニュートラルな状態にすること」です。具体的には、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガスの排出量を、植物などによるCO2の吸収量を差し引いて、人為的に排出される量を実質的にゼロにする試みを指します。
また、日本はカーボンニュートラルの実現に向けて、取り組みを進めています。
2020年10月には「2050年カーボンニュートラル宣言」を行い、目標設定に向けて具体的な方針を打ち出しました。さらに同年12月には「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、経済成長と環境保護の両立を図っています。

改正温対法を成立させたことも、温室効果ガスの削減を法制度で後押ししました。この法律改正により、企業や産業部門に対してCO2排出削減を義務付けるとともに、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策の推進など、持続可能な社会の構築が進められています

ソーラーパネルと再生可能エネルギーの活用

カーボンニュートラルへの取り組みとして代表的なのが、ソーラーパネルと再生可能エネルギーの利用です。これらがカーボンニュートラルにどのように貢献するか、その成功事例を紹介します。

ソーラーパネル導入の活用事例

ソーラーパネルは、風力発電やバイオマス発電に比べて発電量は劣るものの、導入が比較的簡単です。例えば、事務所や工場の屋根に設置することで、再生エネルギー電力を自家消費できます。これにより、確実にCO₂の排出を削減できるため、環境への負荷を軽減することが可能です。
さらに、太陽光発電は燃料コストが不要で、発電後の運用コストを低く抑えられる利点もあります。電力の自給自足が可能になるため、エネルギーの供給も安定します。

例えば、株式会社二川工業製作所では、自社保有の再エネ発電所を41カ所も所有しています。2020年12月には全拠点の使用電力量約600万kWhをすべて再エネ電力に切り替え、再エネ100%を達成しました。
特に、ため池ソーラーの開発に力を入れ、45MWにも及ぶ太陽光発電所を所有。2MWの風力発電所と200kW、500kWのバイオマス発電所の建設も進行中です。ため池ソーラーで発電した電力をトラッキング付き非化石証書として購入することで、再エネ100%を実現しています。この取り組みにより、再生可能なエネルギーの利用が具体的な形で証明され、環境への貢献が広く認知されました。

再生可能エネルギーの活用事例

太陽光発電以外の再生可能エネルギーを活用した事例もあります。
株式会社グリーンテックは風力発電に注力しており、各地に風力発電所を設置しています。特に海洋風力発電にも取り組み、洋上風力発電所を複数保有しています。
また、バイオマスエネルギーも活用。農業や林業の副産物をバイオマス発電所に供給し、廃棄物の再利用とエネルギーの生産を結び付けることに貢献しています。

CO2排出削減とカーボンオフセットの取り組み

続いて、CO2排出量を削減した事例についても見ていきましょう。また、その中でも注目されているカーボンオフセットの意義と成功事例も解説します。

CO2排出削減策の事例

阪急電鉄は、国内初のカーボンニュートラル・ステーションを導入し、積極的なCO2削減策を展開しています。年間70トン排出される二酸化炭素のうち、約36トン分は太陽光発電やLED照明の導入によって削減されています。さらに、残りの34トン分については、証書等の環境価値を購入することで相殺しています。
この取り組みにより、阪急電鉄はカーボンニュートラル実現に大きく貢献しました。再生可能エネルギーの活用と省エネ対策により、自社の二酸化炭素排出を減らし、環境への負荷を軽減しています。
また、環境価値を購入することで、二酸化炭素排出量の相殺を図り、持続可能な社会の構築に向けたリーダーシップを発揮。他の企業にも示唆となる素晴らしいCO2削減の事例として評価されています。

カーボンオフセットプログラムの取り組み

カーボンオフセットとは、生活やビジネス活動によって不可避な温室効果ガスの排出を植林活動などによって削減し、地球温暖化対策に貢献する仕組みです。欧州を中心に多くの取り組みが行われており、イギリスやアメリカでも広がっています。
その中でも、企業や自治体は独自に活動による、温室効果ガス排出の埋め合わせを行う「自己オフセット」に取り組んでいます。

例えば、株式会社エスパルスは清水エスパルスのホームゲーム開催による二酸化炭素排出をオフセットしています。また、南アルプス市役所では、地域エネルギーである小水力発電を利用して「カーボンオフセット農産物」の販売を行い、購入者の日常生活に伴う二酸化炭素排出をオフセットしています。

持続可能な交通システムの取り組み

持続可能な交通システムの普及や低炭素車の活用方法も、カーボンニュートラルに向けての取り組みの一つです。それぞれの具体的な事例を見ていきましょう。

カーボンニュートラルな交通システムの事例

名古屋や大阪市圏に次ぐ、ものづくりの中心地として有名な三重県では「ミッションゼロ2050みえ推進チーム」が結成され、経済・社会・環境の三つの要素に重点を置いた脱炭素プロジェクトが実施されています。その中でもカーボンニュートラルな交通システムに関連しているのが「みえエコ通勤デー」という取り組みです。
バスなどの公共交通機関を利用した通学・通勤を奨励するもので、通学・通勤に自動車を利用している方々は、公式サイトから申請することで「エコパ(みえエコ通勤割引きパス)」を入手することができます。
毎週水曜日を「みえエコ通勤デー」と定めており、エコパを提示することでバス運賃を半額にすることができます。この取り組みによって、地域の人々がより持続可能な選択肢を選ぶことが促進されました。カーボンニュートラルな交通システムの構築に大きく貢献しています。

低炭素車の利用事例

日本国内における2020年度のCO₂排出のうち、運輸部門(自動車や船舶の利用)は、約18%もの割合を占めています。世界的に自動車のEV化が進む中、企業も対応を迫られています。しかし、すべての社用車をEVにすることは現実的ではないため、その代替案として、挙げられているのが低炭素車の利用です。
走行時にCO₂を一切排出しないEVやFCV、またCO₂排出が少ないハイブリッド車、クリーンディーゼル車、天然ガス車などが低炭素車とされています。企業はそれぞれの事業内容や都合に応じて、最適な低炭素車を選択して、利用する必要があります。
アルソックグループは、業務上多くの車両を使用することから、その際に発生する二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいます。具体的には、電気自動車やハイブリッド車の積極的に導入しており、安心・安全なサービスを提供しつつ二酸化炭素排出量の削減に努めているのが特徴です。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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