持続可能な未来を築くためには、環境破壊の原因の根本を理解し、具体的な対策に取り組む必要があります。
そこでこの記事では、私たちが直面している環境破壊の問題に焦点を当て、その原因と影響について解説します。
生活習慣と産業活動が環境に与える影響や、政府と企業の役割に加えて、私たち一人ひとりの行動が持つ力についても見ていきましょう。
環境破壊の原因
まずは環境破壊の定義を解説します。そして環境破壊の主要な原因となる、大気汚染・森林伐採・海洋汚染とその影響についても把握しておきましょう。
環境破壊とは何か
環境破壊は、一般的に「人間または生物をとりまき、それと相互作用を及ぼし合うものとして見た外界」と定義されます。また「大半が人類の活動によって引き起こされるマイナスな環境変化」を指すこともあります。
1970年代頃から先進国を中心に工業化や都市化が急速に進み、環境問題が注目を集めるようになりました。経済成長と引き換えに公害による環境破壊が進行し、各国が危機感を抱き始めました。
このような背景から、国連を含む様々な会議や議論の場が設けられ、環境問題への対策が模索されるようになったのです。
主要な環境破壊の原因と影響
環境破壊の主要な原因として挙げられるのが、大気汚染・森林伐採・海洋汚染です。
まず大気汚染ですが、具体的には車の排気ガスや工場の煙などに含まれる有害物質によって、空気が汚染されることを指します。光化学スモッグによる目の痛みや呼吸困難、PM2.5の微小粒子を吸い込むことで呼吸器系の疾患を引き起こすなど、人体の健康に影響を及ぼします。
次に森林伐採ですが、これは土地開発や木材の商業利用など人間の目的のために、森林が失われることで、大気中の二酸化炭素の吸収する力を消失。反対に、樹木内部の二酸化炭素が放出され、地球温暖化の進行を進めてしまうのです。
そして海洋汚染は、人間の活動によって海に廃棄された石油、ごみ、生活排水などの物質が海域を汚染することを指します。これにより大きな悪影響を受けるのが、海洋生物たちです。汚染物質が蓄積されると、生物たちが産卵場所を失います。また、誤ってゴミや油を摂取することで生命を脅かすことも珍しくありません。
人々の生活と産業活動による環境破壊
続いて、人々の日常生活や産業活動が環境に与える影響を見ていきましょう。実は、私たちの暮らしが便利になったことが、環境破壊の原因の1つでもあるのです。
日常生活の影響
環境に与える影響力が大きいのが食事とエネルギーの使用です。
近年では、食べ残しや賞味期限切れなどの要因により大量の食糧が廃棄されています。生産・加工・輸送などの過程で使用された資源やエネルギーが無駄になり、さらに廃棄物の処理にも多大なエネルギーと資源が必要です。
エネルギーの使用も環境に与える影響が大きくなっています。
石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、先進国や発展途上国を含め、エネルギー供給の面で必要不可欠です。しかし、化石燃料は何億年もの時間をかけて形成された資源であり、その量には限りがあり残り数十年で枯渇する見通しです。
代替のエネルギー源を見つけることができず、依存度が高いと、環境問題はより深刻化してしまいます。また、枯渇によるエネルギー不足は、経済にも大きな打撃を与える可能性も。世界恐慌に匹敵する経済的な影響が生じる恐れがあるのです。
産業活動の影響
産業活動も環境破壊に大きな影響を及ぼす存在です。
まず、産業活動において大量の廃棄物が生成されます。それらを不適切に処理することで、地球や水源への汚染を引き起こします。
さらに工場では有害物質やガスを発生し、大気汚染や地球温暖化を招くため、生態系の変化や気候変動に繋がります。
大規模な開発活動も、森林や湿地の破壊、生息地の喪失、生物多様性の減少などの環境破壊に影響を与えます。また、非再生可能な資源の過剰な使用は、枯渇や環境破壊をもたらし、地球の持続可能性を脅かします。
産業活動は経済発展の基盤ですが、持続可能な未来を築くためには環境への負荷を最小限に抑える取り組みが必要です。
政府と企業の環境破壊対策
環境破壊が大きな問題となっていますが、そのままにしておけば私たちの生活がさらに脅かされてしまいます。そのために、政府や企業は対策を講じています。
政府の環境保護法の制定や施行、企業が取り組んでいる環境問題解決のためのテクノロジー活用について見ていきましょう。
政府の対策と取り組み
政府は環境破壊への対策として、環境保護法を制定しています。
環境保護法は、国内における環境保護と持続可能な開発を促進するための法律です。これによって、環境に対する悪影響を最小限に抑えるための規制や基準が設けられ、環境への配慮が求められます。環境保護法は、廃棄物の適切な処理や排出物の規制、自然保護地域の指定など、幅広い環境問題に対処するために用いられ、産業活動による環境破壊のサイクルの改善に効果があります。
また政府の発行した「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」などの国際的な枠組みも、環境破壊への対策の1つです。有害廃棄物の適切な管理と処理を促進することを目的としており、加盟国は有害廃棄物の輸出入に関して規制を行い、事前の情報提供や許可手続きが求められます。さらに、安全な処理方法を遵守し、環境及び人間の健康へのリスクを最小限に抑えるためのガイドラインも定められています。
このように、環境保護法とバーゼル条約などの政府の取り組みを通じて、有害廃棄物の適切な管理と処理が進められています。
企業の役割とテクノロジーの活用
企業も環境破壊への取り組みにおいて重要な役割を果たしています。
まず、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した技術による脱炭素化です。
デジタル技術の進歩により、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用が可能となり、地球温暖化の改善に寄与します。DXによって、省エネルギーや効率的なリソース管理、環境監視などが実現され、企業の持続可能な経営につながります。
また、モノのインターネット化(IoT化)も環境にプラスの影響をもたらします。IoTにより、製品や設備の運用状況やエネルギー使用量などをリアルタイムにモニタリングし、最適化することができます。これにより、無駄な資源の使用を抑制し、エネルギー効率を向上させることが可能です。さらに、IoTデータを活用して製品のライフサイクル管理やリサイクルの促進も行えます。
個々の行動がもたらす変化
政府や企業の取り組みを見てきましたが、環境破壊を防ぐためには個人の行動も重要です。
まず、エコライフスタイルを取り入れることで、省エネルギーな生活や再利用・リデュースの意識を持つことができます。エネルギー効率の高い家電製品の選択や節水・節電の習慣化、エコバッグの使用などが有効です。
また、リサイクルの推進も大切です。分別ルールを守り、資源ごみの再利用を促進することで廃棄物の削減につながります。さらに、持続可能な交通手段の利用、無駄なプラスチックの使用削減、食品ロスの削減なども効果的な行動です。
このように、個人が省エネルギーな生活や再利用・リデュースの意識を持つこと、分別ルールを守り廃棄物の削減を図ること、持続可能な交通手段の利用やプラスチック使用の削減、食品ロスの削減は、環境破壊への対策として欠かせません。
個人の取り組みが集まることで、より大きな環境への貢献が可能となり、持続可能な未来を実現することができます。