サステナビリティとSDGsの違いを基本から学ぶ

近年、メディアやビジネスシーンの中で「サステナビリティ」や「SDGs」という言葉を耳にする機会が増えています。しかしこの言葉の意味を分かっているようで、はっきりしないという人もいるのではないでしょうか?

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サステナビリティとは

まず、サステナビリティ(Sustainability)とは、自然環境や社会、健康面、経済などが現在の価値を失うことなく永く続くことを目指す考え方です。日本語では「持続可能性」と訳されます。

サステナビリティとは?

サステナビリティには社会開発、環境保護、経済発展という3つの大きな柱があります。

社会開発

住宅や交通、教育、保健、社会福祉、医療、衛生などの社会サービスを改良し、発展させていくこと、平等に教育を受ける機会や、多様性のある働き方推進などもサステナブルな社会開発の例です。

環境保護

環境を守る活動もサステナビリティの大きな1つの柱です。脱炭素社会実現への取り組みや再エネ活用、水資源の節約、海洋汚染対策、森林保護など、地球環境を未来へ残していくための活動が積極的に行われています。

経済発展

各企業や経済全体が社会に貢献し、利益を出しながら成長を続ける経済発展も重要なサステナブル活動です。近年は、社会や環境に配慮した経営を行う企業への投資:サステナブル投資も増加しています。

サステナビリティの目標と重要性

地球温暖化がこのまま進行すると、海面上昇や砂漠化によって人間を含む多くの生き物がすみかを失い、貴重な生態系が大きなダメージを受けることになります。こうした環境破壊を防ぐために世界規模で温室効果ガスを削減しようとする活動は、サステナビリティの取り組み目標の大きなひとつです。

サステナビリティは地球に生きる私たちが考えるべき課題です。人間や企業の活動などのあらゆる場面で抱える課題や、持続可能な社会へ向けて、何を求められているかを考慮し、実行可能な施策を一刻も早く進めていく必要があります。

SDGsとは

つぎに、SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略語であり、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。世界各国が2030年までに達成すべき目標とする17のゴールと、169のターゲットを示しています。

SDGsとは?

SDGsは、前述で説明したサステナビリティのテーマを深掘りし、具体的に目標や対象を設定したもので、両者は相互的補完関係にあります。
貧困・不平等・格差・気候変動など、世界各国におけるさまざまな問題を根本的に解決し、より良い世界をつくるために設定された17の共通目標と、さらに細かく設定した169のターゲットがあります。

SDGsの目標と重要性

環境や社会、経済面等が抱える問題の根本的な解決によって、持続可能な世界を下記のSDGs目標として目指しています。
また、すべての国、すべての地域の人々が、世代を超え誰一人として取り残されることなく、尊重される社会を重要視しています。

目標1. 貧困をなくそう
目標2. 飢餓をゼロに
目標3. すべての人に健康と福祉を
目標4. 質の高い教育をみんなに
目標5. ジェンダー平等を実現しよう
目標6. 安全な水とトイレを世界中に
目標7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標8. 働きがいも経済成長も
目標9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標10. 人や国の不平等をなくそう
目標11. 住み続けられるまちづくりを
目標12. つくる責任つかう責任
目標13. 気候変動に具体的な対策を
目標14. 海の豊かさを守ろう
目標15. 陸の豊かさも守ろう
目標16. 平和と公正をすべての人に
目標17. パートナーシップで目標を達成しよう

サステナビリティとSDGsの違い

では、関連性の深いサステナビリティとSDGsの違いは何でしょうか。

サステナビリティとSDGsの関係

サステナビリティが経済、社会、環境の持続可能性を意味するのに対し、SDGsは持続可能な開発目標であり、その目標達成のための具体的な指針を定めたものです。 冒頭でも述べたように、SDGs達成のための活動が、サステナビリティと言えます。

サステナビリティとSDGsの違い

SDGsは、サステナビリティ:持続可能性を実現するための具体的な指標です。
そしてサステナブルは「世界全体で美しい地球環境や、生活を保ち続けるための設計や仕組みを考えること」を意味し、対してSDGsは「サステナブルな社会を実現するために、具体的に示された目標」という違いがあります。

まとめると、サステナビリティとSDGsの大きな違いは「具体的な目標設定」が有るか無いかです。持続可能な社会の実現へ向けた取り組み全般を指す抽象的な概念がサステナビリティ、実現に向けて不可欠な項目を17の具体的な目標として提言しているのがSDGsです。

サステナビリティとSDGsの実践例

帝国データバンクが実施した調査によると、各企業におけるSDGsへの理解度や取り組みについて、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」とする企業は23.6%、2021年度より9.3ポイント増加しています。
また、「重要性を理解し、取り組みたいと思っている」企業は28.6%であることから、「SDGsに積極的」な企業としては52.2%となり、半数以上の企業が前向きな姿勢を示しています。

実践例として、オフィス内のペーパーレス化促進や、女性活躍推進などのジェンダーレスに取り組んでいる企業や、持続可能な社会実現のために、大量生産・大量廃棄からの脱却、リサイクルやリユースを含む5Rを意識している企業が増えています。

企業がサステナビリティとSDGsに取り組む理由

前提として企業とは、多くの人やモノを巻き込みながらお金の流れをつくり、社会へ大きなインパクトを与える可能性を持っています。ここ数年では、環境・社会・経済の観点で持続可能性を実現するための「サステナブル経営」を経営戦略の基盤としている企業が増えています。
また近年では「ESG投資」と呼ばれる、財務状況だけでなく、環境・社会・ガバナンスに配慮する企業を選別し、投資する市場が拡大傾向にあります。
企業の持続的な成長と社会の持続可能性を両立させることは、よい効果が生まれます。企業としてのサステナブルな取り組みは発展にとって欠かせない要素となっています。

成功するサステナビリティとSDGsの取り組み

サステナビリティとSDGsが掲げる目標には、環境問題だけではなく経済や深刻な社会問題に対応するものが多く含まれており、企業にとっても経営面で生き抜くためにサステナビリティやSDGsの取り組みは重要です。ビジネス戦略としても、それらの実践例を活かすことで得られるメリットは多くあります。
成功するサステナビリティとSDGsの取り組みとして、国内2企業の実例を挙げてみましょう。

ユニリーバジャパン

イギリス・ロンドンに本拠を置く世界有数の一般消費財メーカーのユニリーバでは、ビジネスを通してSDGsの17の目標すべてに貢献していて、SDGsが採択される前の2010年には、すでに事業成長とサステナビリティを両立する経営プランを導入していました。その後、2020年までに消費者が健やかに暮らすことを支援したり、環境負荷を削減したりするなどの目標を掲げる事業戦略「サステナブル・リビング・プラン」を実施しています。

ユニリーバではさまざまな取り組みを通じて、消費者が使用する製品1回当たりの廃棄物量を32%削減し、すべての製造工場の埋め立て廃棄物ゼロなど、多くの成果を上げています。近年では後継プランとして「ユニリーバ・コンパス」を発表、環境面や社会における課題を解決しながら成長し続けることを目指しています。

JALグループ

世界トップクラスである航空会社のJALでは、「D&I推進」という取り組みを始めています。
例えば、「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」にしたがって、LGBTQへの理解度を促進するため、異性と法律上の婚姻をしている社員に適用する制度を、同社の定める同性パートナー登録を行った社員にも同様に適用させる制度を導入しました。

また、積極的な女性リーダーの育成と輩出に力を入れています。JALグループは「2023年度末までに管理職女性比率を20%に、2030年度末までには30%以上を達成する」という数値目標を掲げています。2020年3月末時点では女性管理職比率が18.4%という結果になり、着実に目標達成へ近づいています。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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