トラックの板バネとエアサスはどう違うのか

トラックに限らず、どのような自動車でも大切な役割を持つサスペンション。サスペンションには板バネとエアサスの2種類がありますが、その違いについてご存じでしょうか?
本記事では、トラックの板バネとエアサスの違いについて解説します。

目次

トラックサスペンションの選び方:板バネとエアサスの特徴

トラックのサスペンションには、2種類あると冒頭で申し上げましたが、どちらを選ぶかを考えるうえでそれぞれの特徴を見ていきましょう。

板バネサスペンションのコストと耐久性

板バネサスペンションは、しばしばリーフサスペンションとしても知られています。湾曲した鋼板が重なり合い、路面からの衝撃を吸収します。そのシンプルな構造のため、製造コストやメンテナンス費用の低減が可能です。そのため、現在でも多くのトラックで採用されています。

さらに、低価格でありながら、高い耐久性を誇り、一般的には8〜10年の間、8万〜10万kmの走行距離が交換の目安とされています。
また、構造のシンプルさから、悪路や重い荷物の運搬などの過酷な環境にも対応できるのが特徴です。

エアサスの高い衝撃吸収性と柔軟性

鋼板製の板バネの代わりに、高圧の空気で充填されたゴム製のクッションを備えるエアサスは、正式にはエアサスペンションと呼ばれます。エアサスペンションでは、ゴム製のクッションに充填された空気の量を調整することで、車高を上下させることができます。

エアサスペンションは、空気のクッションが衝撃を吸収するため、板バネに比べて衝撃吸収性に優れ、快適な乗り心地を提供します。また、車体の揺れを抑制し、安定した走行を実現可能です。
さらに、積載量に応じて車高を調整できるため、車体の水平を保ち、安定した走行が可能となります。

エアサスの具体的なメリットとデメリット

高性能なサスペンションシステムであるエアサスには、メリットはもちろんデメリットも存在します。ここでは、エアサスのメリットとデメリットについて解説します。

エアサスによる乗り心地の改善と荷物の保護

既述のようにエアサスは。空気のクッションが衝撃を吸収します。そのため、板バネと比べて路面の凹凸による振動を効果的に吸収し、快適な乗り心地を実現しています。また
車体の揺れも効果的に抑えているので、安定感のある走行を実現しており、長距離走行においても疲れは感じにくいのです。

エアサスは板バネでは抑えられないような微細な振動も吸収できます。そのため、衝撃に敏感な医療用機器や光学機器などの精密機械や美術品の輸送も可能です。

エアサスのコストとメンテナンス

エアサスは優れた衝撃吸収性や乗り心地、車高調整が可能な使い勝手の良さが人気ですが、高性能を維持するために非常に効果的なシステムです。操作系の配線およびエア漏れのチェックなど、取り付けには特殊な技術が欠かせないため、一般的には業者に依頼します。その工賃も専門性が高いので高めです。価格の高さは導入するうえで一番のデメリットになるのは否めません。

また、多くのパーツを使用しており、システムが非常に複雑なため、修理やメンテナンスにも手間がかかります。エアバッグやタンク、コンプレッサーなどの点検が欠かせません。交換が必要な部品も多く1年に1回は定期的な点検が不可欠です。
高性能ゆえにメンテナンスコストが高いのもエアサスのデメリットです。

用途別の板バネとエアサスの選択基準

トラックには、板バネとエアサスの2種類のサスペンションが使用されています。それぞれ異なる特性を持つため、用途に合ったサスペンションを選ぶことが重要です。ここからは、トラックの用途別に板バネとエアサスの選択基準を解説します。

様々な荷物と運送ニーズに応じた選択

トラックの利用目的は多岐にわたり、荷物の性質や運搬距離、頻度、路面の状況などによって、最適なサスペンションが異なります。

荷物の種類と重量に関しては、軽い荷物であれば板バネサスペンションでも十分対応可能ですが、重い、壊れやすい、液体や精密機器などの荷物を運ぶ場合は、エアサスペンションの方が安定性や衝撃吸収性、揺れの抑制に優れています。

運搬距離と頻度については、短距離かつ低頻度であればコストを重視して板バネを選択することも適切ですが、長距離や高頻度での運搬を行う場合は、エアサスペンションが疲労の軽減に有効です。

積載量の変化に関しては、積載量が一定であれば板バネをシンプルに活用できますが、積載量が頻繁に変動する場合は、エアサスペンションの車高調整機能を利用することで、車体の水平を容易に維持できます。

走行路面については、舗装路であれば板バネでも問題ありませんが、悪路を走行する場合は、エアサスペンションが快適性と耐久性を向上させることができます。

費用対効果を考慮した判断基準

サスペンションを選択する際には、初期費用だけでなく、ランニングコストも考慮する必要があります。初期費用については、板バネは安価であり、一方、エアサスペンションは高価です。

ランニングコストに関しては、板バネは比較的低く、一方、エアサスペンションは高額になる場合があります。エアサスペンションのランニングコストが高くなる理由としては、構造が複雑で定期的なメンテナンスが必要であり、空気圧を維持するためにコンプレッサーが必要となり、故障した場合の修理費用が高額になることが挙げられます。

費用対効果を判断する際には、使用頻度や走行距離、荷物の種類などの要素を考慮する必要があります。頻繁に使用する場合や長距離走行を行う場合、壊れやすい荷物や精密機器を運搬する場合には、エアサスペンションの方が安全性や疲労軽減効果においてメリットがあります。

費用対効果のみを考慮すると、板バネが有利ですが、使用状況や目的によってはエアサスペンションの方が優れている場合もあります。

最適なサスペンションを選択するためには、費用対効果だけでなく、様々な要素を総合的に判断することが必要です。専門知識を持つ販売員に相談し、使用目的や予算に適したサスペンションを選択することが重要です。費用対効果とその他の要素のバランスを考慮することで、最適なサスペンションを見極めることができます。

エアサス使用のノウハウとメンテナンス

エアサスは、空気圧を利用して車体を支えるサスペンションです。板バネよりも乗り心地が快適で、車高調整機能も備えています。しかし、構造が複雑なため、定期的なメンテナンスが必要です。
ここでは、エアサスを使用するうえでのノウハウとメンテナンスについて解説します。

エアサスの効率的な使用方法

エアサスは、車体を支えるサスペンションで、空気圧を利用します。乗り心地が快適であり、板バネよりも優れた車高調整機能を持っています。ただし、複雑な構造のため、適切な使い方をしないと性能を発揮できないことがあります。

以下では、エアサスの効率的な使用方法について説明します。

空気圧の管理
エアサスは空気圧によって車高を調整するため、適切な空気圧の維持が重要です。

推奨空気圧:車種や使用目的によって異なるため、取扱説明書を参照してください。
空気圧のチェック:定期的に空気圧を確認し、必要に応じて調整してください。
空気圧の低下:エア漏れや温度変化により、空気圧が低下することがあります。

車高の調整
積載物や走行条件に応じて、車高を調整することで、乗り心地や安定性を向上させることができます。

積載物:荷物を積む際には、車高を調整して車体を支えるようにしてください。
走行条件:悪路を走行する場合は、車高を上げて車体を保護します。
高速走行:高速走行時には、車高を下げて空気抵抗を減らします。

その他の注意点
悪路走行:悪路を走る際には、エアサスに負荷をかけないよう、速度を控えるなどの注意を怠らないようにしましょう。
冬期:冬季は空気圧が低下しやすいため、定期的な空気圧の点検が重要です。
定期点検:エアサスは定期的な点検が必要です。

エアサスを効果的に利用することで、快適性と安全性、長期的な性能貢献を向上させることができます。

エアサスのメンテナンスと寿命

トラックのエアサスは耐久性が高いパーツですが、高負荷をかけて変形を繰り返すと経年劣化が生じます。しかし、エアサスの修理費は高額な費用が発生しますので、なるべく寿命を延ばしたいものです。

エアサスの寿命を延ばす方法は以下のとおりです。

定期的なメンテナンス:定期的なメンテナンス特に主要パーツであるゴム製のクッションの「ベローズ」のメンテナンスはエアサスの寿命を延ばすために最も重要といえます。
過負荷:エアサスに過負荷をかけないように、過積載や走行速度、無理な運転は避けてください。
消耗品交換:エアサスの構成パーツであるコンプレッサーの付属品には消耗品があります。これらの消耗品の定期的な交換を行えば、故障の発生率を軽減できます。

エアサスは、定期的なメンテナンスと適切な使用によって、長期間快適に使用することができるのです。

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この記事を書いた人

環境課題とAIなどの先端技術に深い関心を寄せ、その視点から情報を発信する編集局です。持続可能な未来を構築するための解決策と、AIなどのテクノロジーがその未来にどのように貢献できるかについてこのメディアで発信していきます。これらのテーマは、複雑な問題に対する多角的な視点を提供し、現代社会の様々な課題に対する理解を深めることを可能にしています。皆様にとって、私の発信する情報が有益で新たな視点を提供するものとなれば幸いです。

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